2015年12月24日(木)
法理上は、やはり商品の譲渡や購入は1商品(1有体物)単位で行われる、と見るべきかもしれませんが、
実務上は、1商品(1有体物)毎に決済を行うということを実際問題行わないわけです。
他の言い方をすれば、「決済単位で端数の切り捨ては行う(端数の切り捨ては1決済に1回)」ということではないでしょうか。
そうしますと、その観点から言えば、やはり「消費税額は1取引毎にまとめて計算するべきだ。」という結論になると思います。
要するに、現代では、複数の商品をまとめて決済するということを行いますので、
端数の切り捨ても1回のみとなるべきであり、それはイコール「消費税額は1取引毎にまとめて計算する」ということであるわけです。
決済に際し、決済前に端数を切り捨てるということはあってはなりませんし(端数を切り捨てるのはあくまで端数は決済できないから)、
他の言い方をすればそれは、1取引において端数の切り捨ては1回のみ、ということだと思います。
結局、「現代では、複数の商品をまとめて決済するということを行う」ということが、
どちらの考え方にも分がある、という状態を生じさせているのだと思います。
法理上は、取引というのは、1商品毎に決済を行う、です。
この場合は、1商品毎に消費税額を計算する、となります。
一方、現代では、複数の商品をまとめて決済するということを行います。
したがって、現代では、複数の商品をまとめて消費税額を計算する、という考え方が正しい、と言えるわけです。
ここでの”正しい”とは、決済に際し複数回端数を切り捨てるのは間違いだ、という意味です。
端数の切り捨ては決済時のみです。
決済前に端数を切り捨てるのは間違いなのです。
結論としては、「消費税額は1取引毎にまとめて計算する。」という考え方も正しいですし、
「消費税額は1商品毎に計算する。」という考え方も正しいのです。
それで、今日の論点を書くに際して、いくつか資料を作成しました。
以下の資料と記載しているコメントは、「消費税額は1商品毎に計算する。」という考え方に重点を置いています。
「消費税額は1取引毎にまとめて計算する。」という考え方は間違いであり、
「消費税額は1商品毎に計算する。」という考え方が正しい、
ということをどこか念頭に置いて作成しました。
以下の資料を作成した時は、「『端数の切り捨て』と『決済』の関係」についてはあまり頭になく、
実は「1回の取引において取引される商品は、有体物としてどれくらい独立しているのか?」という点のみから資料を作成しました。
それでも、消費税率が複数ある場合の消費税の計算方法について、理解を深めるのには十分役立つと思います。
計算方法により、「商品合計金額(税込)」が複数計算され得ることになるのですが、
そのどちらにも理論的根拠はあると言えると思います。
How much are items on sale in one transaction independent as corporeal
property?
(1回の取引において取引される商品は、有体物としてどれくらい独立しているのか?)
「PDFファイル」
「キャプチャー画像」
そして、結論を言えば、
「消費税率が複数ある場合は、商品合計額(本体)に消費税率を掛け算して計算することはできない。」
ということになります。
1つの計算方法は、以下のようなものです。
消費税率が複数ある場合は、同じ税率の商品の本体価格を足し算した後、その合計本体額にそれぞれの消費税率を計算し、
それぞれの消費税率毎の消費税額を計算する、
そして、改めて、全ての商品合計額(本体)と、それぞれ計算した消費税額とを足し算して、合計商品金額(税込)を計算する、
という計算を行うことになります。
しかし、この計算方法ですと、ある意味「1つの取引」を複数に分けていることになります。
”消費税率によって商品を分ける”というのはあまり本質的ではないように思えます。
したがって、より本質的な消費税額の計算方法は、元祖会計理論における所得税額の計算方法と同じように、
「商品単位」で消費税額を計算する、となります。
消費税額の計算においては、適用される消費税率によるグルーピングはできない、という考え方になります。
消費税額にグループという概念はなく、敢えて言うなら、1商品のみが固有の計算単位だ、という言い方になります。
消費税率が複数の場合は、理論的に正しい消費税額の計算方法というのがないように思います。
その理由は、「1つの取引」を複数の取引に分けざるを得ないからです。
以下の資料は、上記の資料の拡張という形になりますが、消費税率が複数ある場合の消費税額の計算方法です。
この資料の場合、「商品合計金額(税込)」は、1041円も1038円も、理論的にはどちらも正しいとは言い切れないと思います。
「同一消費税率毎に消費税額を計算する場合」は1つの取引を3つの取引に分けていますし、
「商品単位(本体)で消費税額を計算する場合」は1つの取引を9つの取引に分けているからです。
究極的なこと(法理上の取引・結論)を言えば、「1商品毎に決済を行う。」が正しい考え方になるのだと思います。
「決済を行うことが取引なのだ。」(1取引=1商品=1決済、という考え方が基本)、というふうに理解をすればよいと思います。
「端数を切り捨てるのは、あくまで端数はという理由に過ぎないのだ。」
という点を理解しなければならないと思います。
「決済ができないから」という理由以外の理由で端数を切り捨てるのは間違いなのです。
In case that the rate of a consmption tax is plural.
(消費税率が複数ある場合)
「PDFファイル」
「キャプチャー画像」
In other words, from a standpoint of a consumption tax, is one transaction one block or is one item one block?
他の言い方をすれば、消費税から見た場合、1取引が1かたまりなのか、それとも、1商品が1かたまりなのか、という問いです。
In what kind of unit is a consumption tax levied, in an item on sale or in a transaction?
消費税は、何単位で課税されるのですか?商品単位ですか、それとも取引単位ですか?