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2015年12月20日(日)


2015年10月31日(土)日本経済新聞
リソー教育株の指定解除 東証、特設注意市場銘柄
(記事)




2015年10月30日
株式会社リソー教育
特設注意市場銘柄および監理銘柄(審査中)の指定解除に関するお知らせ
ttp://www.riso-kyoikugroup.com/ir/pdf/271030.pdf


2013年12月16日
株式会社リソー教育
不適切な会計処理の疑義に関する調査のための第三者委員会設置に関するお知らせ
ttp://www.riso-kyoikugroup.com/ir/pdf/2013/20131216_2.pdf

 

「特設注意市場銘柄および監理銘柄(審査中)の指定解除に関するお知らせ」
会社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと判断した人は誰か?
(1/2ページ)

 



【コメント】
株式会社リソー教育では、2013年12月16日以降、不適切な会計処理に関して第三者委員会による調査が行われてきたようです。
その後、約2年間にわたり調査とそれを受けた改善が行われてきたようで、
2015年10月30日付けで特設注意市場銘柄および監理銘柄(審査中)の指定解除を受けた、とのことです。
プレスリリースを読んで気になった点がいくつかあります。
それは、第三者委員会の調査の結果、第三者委員会から、会社について、

>脆弱な管理部門の組織体制や不十分な監査の実施などが認められました。

と書かれている点です。
さらに、第三者委員会の調査結果をも踏まえてということだと思いますが、

>当社は東証より、当社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められた

と書かれています。
この手の第三者委員会の調査等では確かによくある文言ではあると思います。
ただ、これらの点について法理的な観点から考えてみますと、やはり少しおかしな点があるのかもしれないな、と思いました。
それは、管理部門の組織体制や監査の実施、そして会社の内部管理体制等について指図を行うべきなのは、
そもそも株主なのではないか、という点です。
第三者委員会の費用を支払うのは会社なのだから、十分な調査は行われないのではないか(お金を受け取るのなら独立はしていない)、
という見方もあると思いますが、ここではその見方ではなく、
そもそも調査を行ったり改善を指揮したりするのは、株主であるべきではないだろうか、と思ったわけです。
所有と経営の分離とは言いますが、それは日々の業務執行を行うのは株主から選任された取締役だという意味であって、
取締役が日々業務を行っていくための体制作りは株主が行わなければならないのではないか、という気がするわけです。
スポーツで例えれば、実際に試合をするのは選手のみですが、試合中に選手に指揮を出すのは監督であるわけです。
そして、試合前に試合に勝つ作戦を立てたり、さらにはチームを強化するための練習や指導を行うのも監督であるわけです。
さらに、有望な選手をスカウト・編成したり選手を肉体面でも精神面でもサポートしたりする役割を果たす人も、
大きな視点で見れば、チーム(野球であれば「球団」という言い方をすると思います)内にいるわけです。
それと同じで、取締役が日々業務を行っていけるような「体制作り」を行うのは、株主が果たすべき役割なのだと思います。
それこそ会社の設立から始まって、定款の作成や変更、会社機関の選任等は、全て株主が果たすべき役割であるわけです。
会社機関は、株主が用意した会社という舞台(会社の体制)で日々業務を執行することが果たすべき役割であるわけです。

 


そういったことを考えますと、証券取引所が会社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと判断する、
というのは、何かずれているな、と思うわけです。
会社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと判断するべきなのは、そもそも株主であるべきなのではないか、と思います。
確かに、投資家保護の観点から、証券取引所が市場で取引されている株式について
特設注意市場銘柄および監理銘柄(審査中)の指定を行うというのは意味は分かります。
しかし、その投資家というのも株主であるわけです。
これから株式を買おうとする投資家は、会社の内部管理体制等についても自分で判断をしていかなければならない、
という自覚を十分に持って、株式を買わなければならないわけです。
それがこれから株主になろうとする者にとっての責任ということではないでしょうか。
会社の内部管理体制等については自分では判断はできない、というのであれば、そもそも株主になるべきではないわけです。
その判断を、証券取引所にしてもらってどうするのでしょうか。
「会社の設計」は株主が果たすべき役割である以上、市場の投資家は、株式を買う際には、自分も「会社の設計」に携わるのだ、
という自覚が求められるわけです。
結局のところ、株主が自分では判断を行うことができないものですから、
第三者委員会や証券取引所が代わりに判断をしている、という状態になっているわけです。
そして、言うまでもありませんが、第三者委員会や証券取引所は株主が選任したわけではないわけです。
これでは、第三者委員会や証券取引所が会社から独立しているのではなく、
第三者委員会や証券取引所は株主から独立している、という状態である、と言っていいのではないでしょうか。
これでは意味がないと言いますか、会社に対し調査や監査を行う機関を選任するべきなのは株主であるべきでしょう。
会社に対し調査や監査を行う機関が会社からは独立していなければならないわけです。
結局のところ、上場企業では株主が不在なのだろうと思います。
ですから、会社が何かを決めたり、第三者委員会や証券取引所が会社について判断をしたり、ということになっているのだと思います。
本来は、株主が物事を決め、そして株主が判断をしなければならない、ということだと思います。
株式会社制度では、株主は日々の業務執行について包括的に取締役等に委任をする形になっていますが、
それでも、取締役等が日々業務を執行するための経営体制や内部管理体制等(業務の組織的枠組みや規則なども含む)の設計・整備は、
株主が果たすべき役割であると思います。
今日のまとめとしては、「会社の内部管理体制等について改善の必要性が高い」と、株主ではなく証券取引所が判断するというのは、
株式会社の原理・成り立ちから考えると何かずれているな、と思いました。
会社の内部管理体制等について改善を実施するのも、その一番の主体は、
会社ではなく本来は株主である、というふうに思います。

 



Fundamentally, those who should direct a management system of a company are shareholders.

そもそも、会社の経営管理体制について指図をしなければならないのは、株主なのです。

 


To form a system of a company is a role of a shareholder.
To execute conduct of a company is a role of a director.

会社の体制を形作ることは株主の役割です。
会社の業務を執行することは取締役の役割です。

 


On the principle of law, directors and auditors of a stock company presuppose
that they know everything about the company.
It means that, on the principle of law, the explanations "I am just appointed today." or
"The takeover of my work from the predecessor has not begun yet." or "I am not an expert on that issue." or
"That conduct is executed in my absence." or "I didn't know about that rule." are unjustifiable.

法理上は、株式会社の取締役と監査役は会社の全てを知っているということが前提となっています。
つまり、法理上は、「今日就任したばかりなのですが。」や「前任者からの仕事の引継ぎはこれからなのですが。」や
「その問題については専門外なのですが。」や「その業務は私がいないところで行われました。」や
「その規則については知りませんでした。」という弁解は通らない、ということです。