2015年12月19日(土)



2015年12月19日(土)日本経済新聞
■ネスレ・インディア(スイスの食品大手ネスレのインド子会社) 訴訟手続きの停止命令
(記事)

 




【コメント】
記事を要点部分のみ簡単に要約しますと、インド政府が訴訟を起こしたが最高裁判所は訴訟手続きの停止を命じた、となります。
この記事を読んで思ったのは、国(政府)というのは訴訟を提起できるのだろうか、という点です。
そして、国(政府)というのは訴訟の相手方(被告人)になれるだろうか、という点です。
テレビドラマや映画や小説などでは、”国を相手取り裁判を起こす”というような話はよくあるわけです。
そして現実にも、国を相手取り訴訟を提起するという報道や記事があったります。
ただ、ここでは法理的に考えてみると、国というのは少なくとも法律上の人ではないわけです。
法理的に考えてみると、国を相手に訴訟を提起することはできないのではないだろか、と思ったわけです。
例えば、ある人が公務員になったが、国が給料を支払ってくれなかったとします。
この場合、この人は誰を訴えればいいのでしょうか。
この人は債務不履行を起こされた(給与を支払うという契約を履行してくれなかった)わけですが。
給与の支払い者は、例えば県の公務員であれば県知事になるのでしょうか。
県知事が給与を支払うわけではないようにも思えますが。
国家公務員であれば誰が給与の支払い者になるのでしょうか。
所属している省庁の大臣でしょうか、それとも、総理大臣でしょうか。
大臣は省庁の最高責任者や代表者という位置付けに過ぎず、給与の支払い者とは異なるようにも思えますが。
国は法律上の人ではないため、法律上の行為者が不明であるように感じるわけです。
国という概念のものとは一体何だろうな、と思ったわけです。
考えてみますと、結局、法理的には「国が債務不履行を起こすことはない」ということを前提にするしかないように思えます。
「仮に国が債務不履行を起こしたとしたら?」という問いに答えはないように思えます。
債務不履行だけではなく、もっと一般的に、「国は不法行為をしない。」ということが法理上前提にあるように思えます。
結局、法律というのは、人(国民や会社(法人))に適用されるという前提があるような気がするなと思ったわけです。
一応、憲法や刑法は国を縛ることを目的とした法ではありますが、国は生きている存在ではありませんし実体があるわけではないので、
簡単に言えば国とは罰の与えようがない存在なのではないか、という気がするわけです。
裁判所も国の機関であるわけです。
三権分立とは言いますが、究極的なことを言えば、立法も司法も行政も、全て国の機関であると言えるわけです。
国会議員も公務員であるわけです。
国は罰の与えようがない存在なのであれば、「国は決して間違いを犯さない。」ということを前提にするしかない、
ということではないかという気すらするわけです。
もやはここまでくると法学というより哲学的な話になってしまいますが、
国というのは実は最後は説明が付けられない存在なのではないかという気がしました。


Is a country or the government legally capable of being a plaintiff or a defendant?

国すなわち政府は、告訴人や被告人になる法的資格はあるのでしょうか。

 

 



2015年12月19日(土)日本経済新聞
米マイクロソフト、中国で合弁
(記事)




Bringing Windows 10 to Public Sector Customers in China
(December 16, 2015 8:00 pm)
ttps://blogs.windows.com/windowsexperience/2015/12/16/bringing-windows-10-to-public-sector-customers-in-china/

 


【コメント】
昨日のコメントで、
事業運営上会社にさらなる資本が必要となった場合は、増資をするのではなく、新しく会社を設立する(その新会社で事業を運営する)、
ということが究極の解決策だ、と書きました。
このコメントに関連する記事が、紹介していますマイクロソフトの記事です。
マイクロソフトは中国において事業を拡大する計画であるわけですが、中国現地法人に追加出資を受ける形ではなく、
合弁会社を新たに設立する、という形を取るとのことです。
経営上は、確かに、現地子会社は米マイクロソフト本社の100%子会社のままにしておきたい、という考えもあるのかもしれません。
しかしここでは、株式の価額という観点から、新たに会社を設立することについて考えてみました。
増資という形を取りますと、新株式の引き受け手は、一体いくらで新株式を引き受ければよいのか最後まで明確ではない、
ということになるわけです。
どんなに資産の精査を行ってみても、貸借対照表の資本額では、減損可能性や含み益やリスクや成長性を表現し切れないわけです。
新株主と一緒に新しく会社を設立すれば、全株主が絶対的に公正な同一の価額で株式を引き受けることができます。
現実には難しい場合もあるかもしれませんが、理論上の答えは新会社を設立するとなります。
紹介した日本経済新聞の記事と関連のある記事がウォール・ストリート・ジャーナルにありましたので、
記事を引用し訳して今日のコメントを終わりたいと思います。

 

In case a company wants to invite a new shareholder to invest in the compnay,
the existing shareholders and the new shareholder should found a new company.

会社が新しい株主に対し会社に出資をしませんかと招きたい場合は、
既存株主とその新しい株主は新しく会社を設立しなければなりません。

 


Microsoft Unveils Plans for China Joint Venture
Microsoft will set up a jointly owned entity with China Electronics Technology Group

Microsoft Corp. disclosed new details of a plan to work with a Chinese partner to accelerate adoption of
the Windows 10 operating system introduced last summer.
The company late Wednesday said it will set up a jointly owned entity with China Electronics Technology Group Corp.,
or CETC, a state-owned company that provides technology for Chinese military and civilian use.
The venture will extend a relationship announced with CETC in September, Microsoft said.
That venture, tentatively called C&M Information Technologies, will be based in Beijing and
will license, deploy, manage and provide technical support for Windows 10 for government agencies and
government-owned institutions, said Yusuf Mehdi, a corporate vice president in Microsoft’s Window and devices group,
in a blog post released to coincide with a news conference in Beijing.
The software company has been cutting deals with a range of partners, including Chinese search-engine giant Baidu Inc.,
in the wake of headwinds facing Microsoft and many U.S. technology vendors in the country.
Microsoft’s software is widely used in China, but often on a pirated basis that brings no revenue to the company.
More recently, Microsoft has faced a government probe over how it distributes software
and a ban by a government procurement center that prevented agencies from buying PCs loaded with Windows 8 software.
Microsoft’s problems have been exacerbated by security fears affecting many U.S. hardware and software companies
selling in China, stemming largely from assertions by former U.S. National Security Agency contractor Edward Snowden
that foreign-made products have been used for spying.
The initial relationship with CETC, announced during a visit by Chinese President Xi Jinping to Seattle,
was described as an effort to maintain a “localized” version of Windows 10 for clients in Chinese government
and state-owned enterprises operating critical infrastructure.
Mr. Mehdi, in the blog post, said the new venture will have exclusive rights to license a specific configuration,
or image, of Windows 10 developed for Chinese customers, which includes capabilities
such as government-selected antivirus software.
The venture, among other things, also will collect feedback from government customers for future versions
of the Windows 10 software image, Microsoft said.
Mr. Mehdi said Microsoft has no plans to weaken the security of Windows 10, and will retain ownership of the technology,
while continuing a policy of allowing customers and partners to develop additional components to plug into the software.
The venture is subject to regulatory approval in China, Microsoft said.
(WallStreetJournal Updated Dec. 17, 2015 9:27 p.m. ET)
ttp://www.wsj.com/articles/microsoft-unveils-plans-for-china-joint-venture-1450328708

 



【参謀訳】
マイクロソフトは中国における合弁会社に関する計画を明らかにした
マイクロソフトは中国電子科技集団と共同保有の会社を設立する計画だ

マイクロソフト・コーポレーションは、今年の夏に導入されたウィンドウズ10基本ソフトの採用を加速するために、
中国におけるパートナーと協業する計画の新しい詳細を明らかにした。
12月16日(水)の遅くに、マイクロソフトは、中国で軍事用と民生用に技術を提供している国有企業である中国電子科技集団(CETC)と
共同保有の会社を設立する計画であると発表した。
この合弁会社は9月にCETCと発表した関係を拡張するものとなるでしょう、とマイクロソフトは発表した。
暫定的にC&M情報技術と呼ばれているこの合弁会社は、北京に本社を置き、政府機関や国有施設のために、
ウィンドウズ10の技術的サポートに関して、使用許諾を与え配置・展開し管理しそして提供する計画となっています、
と、マイクロソフトのウィンドウズ・デバイス・グループのコーポレート・バイス・プレジデントであるユスフ・メーディ氏は、
北京で行われたニュース・カンファレンスと同時に投稿されたブログ記事で語った。
マイクロソフトは、自社や中国で技術製品を販売している多くの米国企業が直面している逆風を受けているため、
中国の巨大検索エンジン企業バイドゥを含む一定範囲のパートナーとの商取引をどんどん切っている最中だ。
マイクロソフトのソフトウェアは中国で広く使用されているが、その多くは会社に何の収益ももたらさない海賊版だ。
つい最近になって、マイクロソフトは、どのようにソフトウェアを販売しているのかについて政府から検査を受けており、
さらに、政府調達センターからは、ウィンドウズ8ソフトウェアがインストールされているパソコンを政府機関が買うことを禁ずる旨の
調達禁止令が発令されいる。
マイクロソフトの問題は、中国でハードウェアやソフトウェアを販売している多くの米国企業が影響を受けている
セキュリティ上の脅威によって、悪化している最中だ。
マイクロソフトの問題は主に、外国製の製品はスパイ活動に用いられているという国家安全保障局と以前契約を結んでいた
エドワード・スノーデン氏の主張から生じているものだ。
CETCとの最初の関係は、中華人民共和国主席習近平氏がシアトルに訪米した際に発表されたのだが、
中国政府内や重要な社会基盤を運営している国有企業内にあるパソコン用にウィンドウズ10の現地語版を
保守管理するよう努める、というものだった。
メーディ氏は、ブログ記事の中で、この合弁会社は、中国のお客様のために開発されたウィンドウズ10の
特定の設定―すなわちイメージーについてライセンス供与を行う独占権を持つ計画だ、と語った。
この特定の設定には、政府が選んだアンチ・ウイルス・ソフトウェアのような機能も含まれる、とのことだ。
とりわけ、この合弁会社はまた、ウィンドウズ10ソフトウェア・イメージの将来バージョンのために、
政府内の利用者からフィードバックを収集する計画です、とマイクロソフトは語った。
メーディ氏は、ウィンドウズ10のセキュリティを弱める計画はマイクロソフトは一切持っておらず、
技術の所有権を保持する計画ではありますが、ソフトウェアにプラグインする追加的なコンポーネントを
お客様やパートナー様が開発することを許可する方針は続けていく計画です、と語った。
この合弁会社は中国において規制上の認可を受けなければなりません、とマイクロソフトは発表した。
(ウォール・ストリート・ジャーナル アメリカ東部時間2015年12月17日午後9時27分更新)