2015年11月25日(水)



2015年11月25日(水)日本経済新聞 公告
合併公告
パシフィックゴルフマネージメント株式会社
株式会社G&B
発行価格等の決定に関するお知らせ
扶桑化学工業株式会社
(記事)





2015年11月25日(水)日本経済新聞
長江傘下2社の合併否決 総会、株式交換で不満 香港複合企業
(記事)

 


【コメント】
昨日、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の英国子会社2社が合併する、という公告を取り上げ、
「準備金」勘定は直接には承継できない、という点について書きました。
それで、今日は、香港において合併のための株主総会議案が議決された、という記事がありました。
記事の長江和記実業傘下の2社が、株主総会議案が否決されたため、合併ができなくなったわけですが、
私が昨日のコメントと今日の記事を読んで頭に浮かんだのは、株主総会での承認決議が不要な「簡易合併」のことです。
「簡易合併」とは、大まかに言えば、
合併の対価が純資産の5分の1を超えない場合には、存続会社での株主総会による承認は不要とする、という合併手続きのことです。
昨日も書きましたように、「準備金」勘定は直接には承継できません。
したがって、消滅会社で計上していたものと同じ「準備金」勘定を貸借対照表に計上するため、
存続会社では合併に伴い費用計上をしなければならないわけです。
この時、「『準備金』勘定を計上するための費用計上」は、会社法上合併受入仕訳に含まれるのだろうか、と思いました。
昨日のあいおいニッセイ同和損害保険株式会社の貸借対照表を見ても分かりますように、
保険会社の「準備金」勘定は純資産に比べて非常に多額です。
率直に言えば、合併の結果、存続会社の純資産は減少してしまうわけです。
例えば、「合併の対価が純資産の5分の1である」というのは、合併後、存続会社の純資産は合併前に比べて「5分の6(6/5)」になる、
という意味であるわけです。
つまり、存続会社の純資産額は5分の1だけ増加する、という意味であるわけです。
他の言い方をすれば、合併の結果、存続会社の純資産額は5分の1しか増加しないならば、株主総会の承認決議は不要だ、
と定められているわけです。
翻って、保険会社の合併の場合はどうでしょうか。
保険会社の合併の場合、「準備金」勘定を存続会社でも計上しなければならない関係上、
合併の結果、存続会社の純資産額は減少する、と言えるわけです。
仮に、「準備金」勘定計上のための費用計上も合併手続き(合併受入仕訳)の1つであると会社法上見なされるならば、
保険会社の合併は簡易合併手続きで事足りる、ということにならないだろうか、と思ったわけです。
この点について考えてみますと、消滅会社では合併前に「準備金」勘定を一旦戻し入れた仮想上の貸借対照表を作成し、
その貸借対照表を基準として合併比率を決定しなければならないのではないだろうか、と思いました。
この場合ですと、合併に際し、存続会社の純資産(ここでは特に「資本金」勘定)が非常に多額増加することになるでしょう。
これならば、その後「準備金」勘定計上のために費用計上しても、存続会社の純資産額は減少はしない、ということになります。
もしくは、消滅会社の負債の部から「準備金」勘定を除いた上で存続会社で合併受入仕訳を切るならば、
多額の負ののれんが計上されることになるでしょう。
この負ののれんと、「準備金」勘定計上のための費用は、金額としては一致するのではないかと思います。
少なくとも、全ての価額を帳簿価額で考えていくとそうなると思います。
全ての価額を帳簿価額で考えていくと、存続会社の純資産は、消滅会社の純資産額だけ増加する、ということになると思います。
結論を言えば、保険会社の合併は全て簡易合併で事足りるというわけにはいかないわけですが、簡易合併手続きを1つの気付きとして、
「準備金」勘定計上のための費用計上も合併手続き(合併受入仕訳)の1つなのだろうか、という点について考えてみました。

 



That equity is succeeded to another company means that profits and losses are succeeded to the company.
It means that equity, particularly retained earnings as well as a capital in this context,
can't be succeeded from an absorpted company to a surviving company.
The reason for it is that equity, particularly retained earnings in this context, represents
an accumulation of all profits and losses of a company from its foundation up to the present.
From a standpoint of the tax theory, a loss carryforward on the Corporation Tax Act
can't be succeeded from an absorpted company to a surviving company.

資本を他の会社が承継するというのは、損益をその会社が承継する、という意味です。
つまり、資本は―資本金もですがこの文脈では特に利益剰余金は―消滅会社から存続会社へ承継させることはできない、
ということです。
その理由は、資本というのは―この文脈では特に利益剰余金というのは―
設立時から今に至るまでの会社の全ての損益の合計額を表しているからです。
税務理論の観点から言えば、法人税法上の繰越欠損金は消滅会社から存続会社へ承継させることはできない、ということです。