2015年9月26日(土)
【コメント】
ハイトスコーポレーション株式会社の貸借対照表を一目見て、流動資産がやたら多いなと思いました。
そして、それに対応するかのように、流動負債に非常に多いなと思いました。
流動資産が非常に多いということは、設備等が相対的に少なく棚卸資産等が相対的に多いということになるわけですが、
老舗の小売業などがこのような貸借対照表になるのかもしれないな、と思いました。
なぜ老舗かと言えば、店舗の減価償却が進んでいるため店舗等の貸借対照表価額は小さくなっているからです。
一方、販売商品である棚卸資産は、経常的に仕入れているわけですし、棚卸資産には減価償却手続きはない(評価減はある)
わけですから、価額としては比較的大きくなっていてもおかしくはないと思いました。
流動資産は、仕入債務ということではないだろうか、と思いました。
それでハイトスコーポレーション株式会社のサイトを検索してみますと、以下のような業種でした↓。
商品ラインナップ(ハイトスコーポレーション株式会社)
ttp://www.hitos-c.co.jp/lineup/index.html
ハイトスコーポレーション株式会社は、オーナーが所有している土地を活用した、賃貸経営のサポートが本業のようです。
土地や建物といった不動産であっても、販売目的の場合は棚卸資産に計上されるわけですが、
ハイトスコーポレーション株式会社のサイトを見る限り、所有している土地や建物を販売しているわけではないように思えます。
一括借上システムといったことも書かれていますが、借り上げというくらいですから、
ハイトスコーポレーション株式会社が所有しているわけではない、すなわち、貸借対照表には関連する資産は一切計上されない、
ということになります。
いろいろと考えてみましたが、巨額の流動資産の中身は全く想像が付かないな、というのが率直な感想です。
2015年9月26日(土)日本経済新聞 大機小機
中小企業税制に潜む抜け道
(記事)
【コメント】
この記事に書かれていることは全て逆なのではないかと思いました。
現在の税制は、経営者や中小企業による節税行動のみを目的としている、と言わざるを得ません。
この際はっきり言いますが、経営者の家計が本来負担すべき費用を会社の経費に付け替えることを促進する税制となっているのです。
それだけならまだ問題は小さいかもしれません。
支払う税金が少なくなって結構なことだと思います。
しかし問題は、たかが「経営者の家計と会社とを合わせた税負担を最小化しようとする節税行動」のことを
「経営」と呼ぶことなのです。
ただ単に”必要経費”とやらに振り回されているだけなのに、
社長さんがいつしか、自分のことを会社の経営を行っている経営者だと勘違いをするようになってしまうのです。
名刺の肩書きは社長であったり代表取締役であったりするものですから、すっかり経営者気分なのです。
でもそれは経営ではありません。
率直に言えば、それは経営ではなく、ただの公的扶助の受給です。
公的扶助の受給が悪いと言っているのではありません。
経営と言い換えているのは愚かだ、と言いたいだけです。
経営と言い換えているうちに、バカにならなければいいがな(もう手遅れかもしれませんが)、と思っております。
When you receive the government aid directly, it's called the government
aid.
When through a stock company, it's called management.
直接公的扶助を受ければ公的扶助となり、株式会社を通じて公的扶助を受ければ経営となる。
2015年9月26日(土)日本経済新聞
権利付き最終売買日 配当狙い個人が買い
(記事)
【コメント】
株式の価額を簿価で考えると、配当落ちや配当付きという言葉の意味が分かると思います。
というより、株式の価額を簿価で考えないと、配当落ちや配当付きという言葉の意味は分からないと思います。
株式の価額を簿価で考えると、株式の価額は会社の資本額に等しいわけですが、
会社が配当を支払うことにより、資本額が小さくなりますから、株式の価額もその分小さくなるわけです。
会社が配当を支払う前の株式の価額を配当付き(の株式の価額)、
会社が配当を支払った後の株式の価額を配当落ち(の株式の価額)、
と呼ぶわけです。
株式の譲渡を一切行わないならば、株式の価額自体は実はあまり問題にならないわけですが、
株式の譲渡を行うことを考えますと、その譲渡価額がすなわち株式の価額が問題になります。
端的に言えば、会社が配当を支払う前か後かで譲渡価額が異なってくるわけです。
株式の価額が会社が配当を支払う前と後で異なってくることを、俗に配当付きや配当落ちと呼ぶわけです。
以上の議論は、「株式の価額を簿価で考える」場合の議論になります。
上場企業のように株式の価額を市場株価で見る場合は、
少なくとも株式の価額という観点から言えば、株式に配当付きも配当落ちもありません。
9月25日(金)が9月末の「権利付き最終売買日」であったようですが、9月25日(金)の終値と翌営業日である9月28日(月)の始値は同じです。
その企業が支払う配当金の金額だけ株価が切り下げられる、などということはないわけです。
理屈を言えば、そういった権利の付きと落ちも織り込んだ上で市場株価が形成されているからだ、などと説明付けられるでしょうか。
いずれにせよ、本来であるならば、会社が配当を支払うことにより株式の価額は小さくなるわけですが、
上場企業の市場株価の場合は何らの変化も起きないと考えるようです。
このことのおかしさは、例えば9月25日(金)に株式を終値で買い、翌営業日である9月28日(月)に買った株式を始値で売る、
という投資行動を思い浮かべてみれば分かるでしょう。
この株主は、1営業日も株式を保有することなくそして株主総会で議決権を行使することもなく、ただで配当金を受け取れるわけです。
The value of dividend off is equal to the value of dividend on less the value of a dividend.
配当落ちの価額は、配当付きの価額から配当の価額を引いた金額に等しい。
2015年9月26日(土)日本経済新聞
■HSBC(英金融大手) 中国で元建て外債を発行
(記事)
HSBC、中国で元建て外債を発行
■HSBC(英金融大手) 29日に中国の債券市場で10億元(約190億円)の社債を発行する。期間は3年。
外国発行体による元建て外債で、民間銀行としては初めてとなる。中国銀行の香港法人も同時期に発行する。
元建て外債は通称パンダ債と呼ばれ、日本の円建て外債(サムライ債)に相当する。
これまで国際金融公社とアジア開発銀行が発行した実績がある。
これまでは中国当局から許認可を取得することが難しかったうえ、
中国国内の金利が高かったこともあり、発行は極めて少なかった。(上海=土居倫之)
(日本経済新聞 2015/9/25
23:47)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLZO92109710V20C15A9FFE000/
HSBC, Bank of China (HK) given permission to issue bonds in China's interbank market
China's central bank will allow HSBC Holdings plc and Bank of China (Hong
Kong) Ltd to issue yuan-denominated bonds
in China's interbank market, it
said in a statement on Tuesday,
the first time offshore commercial banks have
been permitted to issue local-currency debt in the domestic market.
HSBC will
be allowed to issue 1 billion yuan ($156.86 million) of bonds, while Bank of
China (Hong Kong) Ltd
will be permitted to issue 10 billion yuan ($1.57
billion) of debt, according to the statement.
In 2005, the IFC launched a
Panda bond issue in the Chinese domestic market worth 1.13 billion yuan ($177.25
million),
becoming the first foreign issuer in the domestic market along with
the Asian Development Bank.
(Reuters Thu Sep 24, 2015 8:38am
BST)
ttp://uk.reuters.com/article/2015/09/24/china-debt-offshore-idUKWNBS01DOI20150924
【参謀訳】
HSBCと中国銀行(香港)が中国の銀行間市場で社債を発行する許可を得た
中国の中央銀行は、木曜日に発表した声明の中で、HSBCホールディングスと中国銀行(香港)に対し、
中国の銀行間市場で人民元建ての社債を発行することを許可する予定だ、と明らかにした。
これは、海外の商業銀行が中国国内市場で人民元建ての負債を発行することを許可された初めてのケースだ。
声明によれば、HSBCは、10億人民元(1億5686万米ドル)の社債を発行することを許可される予定であり、
一方、中国銀行(香港)は、100億人民元(15億7000万米ドル)の社債を発行することを許可される予定となっている。
2005年に、国際金融公社が、11億3000人民元(1億7725万米ドル)のパンダ債を中国国内市場で発売したのだが、
これはアジア開発銀行と共に、中国国内市場で外債を発行した最初の発行者であった。
(ロイター 2015年9月24日 イギリス夏時間午前8時38分)
【コメント】
昨日、国際間の取引では実は取引の当事者は互いに債権者、債務者になれない、と書きました。
このことは、法理的には、社債の発行にも当てはまります。
法理的には、外国法人は国内で債務者になることができません。
社債発行の場面で債務者になれないということは、社債を発行できないという意味です。
外国法人であっても、現地法人を設立すれば、その現地法人が現地で社債を発行することはできます。
なぜなら、現地法人であれば現地で債務者になれるからです。
商取引というのは結局のところ法律に基づいて行わなければならないということを考えれば、
国際間の取引というのは、当事者が同一の法律に基づきようがないため、
他の手当てがなされない限り実施は極めて難しいと思います。
ところで、日本経済新聞の記事には、HSBCが”中国の債券市場で社債を発行する”と書かれています。
しかし、ロイターの記事によりますと、HSBCは”中国の銀行間市場で社債を発行する”と書かれています。
”China's
interbank
market”と書かれていますので、これは債券市場ではなく銀行間市場ということだと思います。
銀行間市場の詳しい仕組みは知りませんが、銀行間市場というくらいですから、市場の参加者は銀行のみでしょう。
つまり、HSBCが発行する社債を引き受けることができるのは、中国の銀行のみだ、ということになると思います。
An overseas issuer of a bond is not able to be an obligor.
社債の外国発行体は債務者になることができません。
【コメント】
子会社が発行した社債の弁済を親会社が肩代わりする、という事例です。
ある債務者が負っている債務を第三者が代わりに弁済することを「代位弁済」と言います。
「代位弁済」については現行民法に規定があるのですが、
現行の民法、所得税法、法人税法の規定を鑑みつつ、この「代位弁済」について法理的な観点から論じてみたいと思います。
「代位弁済」というのは、法理的には、既存契約の解除と寄付の2つの取引が行われたもの、という見方になります。
ただ、仮に民法で債務の譲渡を所与のことと考えるならば、「代位弁済」は債務の無償譲渡、という見方をすることになります。
結論だけを言えば、この「代位弁済」を認めることによって、
明文の規定はないものの、現行民法では債務の無償譲渡を結果的に認めていることになります。
そして、現行の所得税法と法人税法でも、現行民法の規定(代位弁済=債務の無償譲渡)に沿って課税関係が定められています。
ただ、現行民法では、この「代位弁済」のみを認めることによって、
債務の無償譲渡のみを認めているだけであり、有償による債務の譲渡は認めていない、という規定になっています。
そして、現行の所得税法と法人税法でも、
現行民法の規定(債務の無償譲渡のみを認め有償による債務の譲渡は認めない)に沿って課税関係が定められています。
Subrogated performance is
a mix of cancellation of an existing contract
and merely a donation by a new obligor in subrogation.
For an obligee will
not lend money to the new obligor in subrogation or a new loan agreement is not
made between them.
Therefore, In case subrogated performance is made,
taxation of the three interested parties are below:
The former obligor in
subrogation is exempted from its obligation by the obligee or
writes its
borrowing account off on the corporate accounting (But, it's a taxable
income).
The new obligor in subrogation pays a donation (tax disallowance) as
much as the former obligor's debt to the obligee.
The obligee abandons its
obligation with the former obligor or
writes its lending account off on the
corporate accounting (But, it's tax disallowance.),
and then receives a
donation (Of course, it's a taxable income.) from the new obligor in
subrogation.
In short, the former loan agreement and the subrogated
performance are the different contract and the different transaction,
at
least on the principle of law, though.
In other words, the obligee agrees
with the former obligor and the new obligor to the cancellation of the loan
agreement
because the new obligor in subrogation pays cash as much as the
obligee lent to the former obligor.
Subrogated performance can be said to
presuppose a transfer of a payable.
The current Civil Code provides a
transfer of a receivable, but it has not provided a transfer of a payable yet,
though.
Roughly speaking, the current Corporation Tax Act and the current
Income Tax Act are both against the current Civil Code.
Well, if you classify
subrogated performance as one of the most typical cases of a transfer of a
payable,
or as a transfer of a payable without compensation,
it means that
the current Civil Code has already provided a transfer of a payable in a
sense,
and that the current Corporation Tax Act and the current Income Tax
Act are both
compatible with the current Civil Code, though.
To put it
simply, that a person is able to make subrogated performance on the Civil Code
means
that a person is able to transfer his payable wihout compensation on
the Civil Code.
From a viewpoint of the opposite direction, the current Civil
Code doesn't permit a transfer of a payable with compensation.
And, the
current Corporation Tax Act nor the current Income Tax Act both
don't permit
a transfer of a payable with compensation, either.
These three laws don't
permit a transfer of a payable,
but they permit a transfer of a payable only
when it is made without compensation.