2015年9月14日(月)


2015年9月5日(土)日本経済新聞
■日月光半導体製造(ASE、台湾の半導体封止・検査世界最大手) 引き続き筆頭株主めざす
(記事)


 

日月光半導体、SPILの筆頭株主めざす

 ■日月光半導体製造(ASE、台湾の半導体封止・検査世界最大手)
 同業の●(いしへんに夕)品精密工業(SPIL)の筆頭株主を引き続き目指すと表明した。
SPILは鴻海精密工業が筆頭株主となることで合意したと発表している。
 ASEは8月24日からSPILに対するTOB(株式公開買い付け)を開始した。
SPIL株7億7900万株を11億ドル(約1322億円)で取得、持ち株比率25%の筆頭株主になることを目指している。
 だが鴻海とSPILは28日、新株発行を伴う株式交換で鴻海がSPILの筆頭株主となることで合意したと発表した。
これにより鴻海はSPIL株21.2%、SPILは鴻海株2.2%を保有するという内容だ。
SPILと鴻海の株式交換後にASEがSPIL株7億7900万株を取得した場合、
ASEの保有率は19.7%になり、筆頭株主は鴻海になる見通しだ。
 ASEの呉田玉最高執行責任者(COO)は1日、SPILの株式取得計画をあきらめていないと述べた。
 SPILは新株の発行について10月15日に開く臨時株主総会で株主の承認を得る必要がある。
ただ、海外の機関投資家の一部が鴻海とSPILの提携について懸念を示しているといわれ、
SPILの株主が新株発行を承認しない可能性がある。
SPILによると、海外の機関投資家の同社株式の保有率は米預託証券(ADR)を入れると約60%に上る。(台北=呉詠航)
(日本経済新聞 2015/9/4 23:31)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLASDX04H08_U5A900C1FFE000/

 



2015年1月22日(木)日本経済新聞
■マンディリ銀行(インドネシア最大で国営) 株主割当増資で920億円
(記事)






マンディリ銀、株主割当増資で920億円

 ■マンディリ銀行(インドネシア最大で国営) 7月にライツ・イシュー(株主割当増資)を実施し、
最大10兆ルピア(約920億円)を調達する予定だ。政府の大型インフラ事業が相次ぐ見込みで、資本を増強し融資を拡大する。
 リニ・スマルノ国営企業相は政府がこの計画を承認し、増資に応じる方針を明らかにした。
政府は同行の発行済み株式233億3000万株の約60%を保有している。
インドネシア政府は燃料補助金の削減で最大205兆ルピアの余裕資金ができるため、
その一部をインフラ開発への融資強化に振り向ける。
 マンディリ銀行以外の国営3銀行、バンク・ラクヤット・インドネシア、バンク・ヌガラ・インドネシア、
バンク・タブンガン・ヌガラも増資を計画している。(ジャカルタ=リンダ・シラエン)
(日本経済新聞 2015/1/21 23:45)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLASDX21H1D_R20C15A1FFE000/

 


2015年8月18日(火)日本経済新聞
■ハンジャヤ・マンダラ・サンプルナ(米フィリップ・モリス・インターナショナル傘下のインドネシア大手)
増資で2410億円調達へ
(記事)



HMサンプルナ、増資で2410億円調達へ

■ハンジャヤ・マンダラ・サンプルナ(米フィリップ・モリス・インターナショナル傘下のインドネシアのたばこ大手)
 株主割当増資により最大26兆7000億ルピア(約2410億円)を資金調達する計画を発表した。
 インドネシア証券取引所の浮動株要件を満たすことが狙い。同証取に提出した届け出書によると、
新株2億6972万株を1株当たり6万3000〜9万9000ルピアで発行する。
既存株主は、保有する65株ごとに新株4株を買う権利を割り当てられる。
 インドネシア証取は取引の活性化を目指し、上場企業に対して、
市場で売買できる上場株式の最低比率要件を7.5%とする規制を来年から実施する。
サンプルナは今回の増資により、浮動株を現在の1.82%から7.5%に引き上げられる見込み。
残りの株式は引き続きフィリップ・モリスの子会社、フィリップ・モリス・インドネシアが保有する。
 サンプルナは時価総額ベースで同国最大の上場企業。今月12日時点の時価総額は353兆ルピアだった。(ジャカルタ=鈴木亘)
(日本経済新聞 2015/8/17 23:51)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLZO90637670X10C15A8FFE000/

 



【コメント】
株式会社が会社設立後、新株式を発行するという場合、どのような株式発行方法であるべきなのだろうか、と思いました。
増資(新株式の発行)を所与のこととしますと、やはり株主割当増資(株主割当による新株式の発行)が
株主平等の原則に一番適うと思います。
その理由は、増資前後で各株主の持株比率は変化しないからです。
現行の会社法で定めのある「株主割当による募集株式の発行」は、株主に割当てを受ける「権利」を与えて行う新株発行、
とされていますが、法理的には、株主割当増資では株主は株式を引き受ける「義務」を負う、と考えるべきでしょう。
なぜなら、一部の株主が株式を引き受けなかったならば増資前後で各株主の持株比率が変化してしまうからです。
逆から言えば、「会社は各株主の持株比率が維持されるような増資(新株式の発行)を行わなければならない。」
ということになるわけです。
一旦第三者割当増資を認めてしまうと、大株主は自分にだけ有利な価格で株式を割り当てることができてしまうわけですから、
少数株主の持株比率はどんどん小さくなってしまうわけです。
結局のところ、株式は1株1株が平等であるという言葉の意味は、
株主の立場から言えば、意思決定の力や帰属する利益は所有している株式数にきれいに比例していなければならない、
ということなのだと思います。
それなのに、第三者割当増資を行いますと、それはイコール株主の意思決定の力や帰属する利益が変動する、
ということを意味しますから、
既にその時点で株式1株1株が平等ではなくなっている、という言い方をしてもいいのだと思います。
株主は、持株比率が変動しないように新株式を引き受けなければならないのです。
第三者割当増資を行う場合は、新株式を引き受けなかった株主の株式の価値が小さくなった、と言っていいのだと思います。
株式は1株1株が平等であるべきなのに、一部の株式だけその価値が小さくなった、という状態が生じてしまうわけです。
少なくとも、株式を通じた、会社と株主との関係を大きな視点で捉えればそうなるでしょう。
したがって、法理的には、増資(新株式の発行)の方法は、株主割当増資のみであるべきだと思います。

 


そして、株主割当増資を行う時の株式の発行価額についてですが、
自分が以前書いたコメントを読み返していますと、”株主割当増資を行う場合は株式の発行価額は問題にならない。”
と書いていました。
このコメントは正しいことは正しいのですが、今日改めてこの点について法理的に考えていましたら、新たな結論に達しました。
それは、「(株主割当)増資を行う場合は株式の発行価額は会社設立時の株式発行価額と同一でなければならない。」、です。
この理由は、株式は1株1株が平等ですから、その発行価額も同一でなければならない、という論理です。
この点について会計面から考えますと、株式の公正な価額は「1株当たりの資本額」ではないのか、と思われるかもしれません。
確かに、会計上は株式の公正な価額は「1株当たりの資本額」なのですが、
「資本額」に重きを置くよりも、株式の発行価額そのものを同一にした方が、株式は1株1株が平等だ、
と言えるのではないだろうかと思いました。
資本額を基準にすることは、それはそれで何ら間違いではないのですが、
借方(資本に対応する資産勘定)を考えますと、必ずしも資本額が公正だとは言い切れないわけです。
各勘定科目の貸借対照表価額は確かに帳簿価額によらざるを得ないわけですが、
帳簿価額が必ずしも絶対的な意味で公正な価額を表しているとは限らないわけです。
資本額を基準にするとは、資産の帳簿価額を基準にする、と言っているに等しいわけです。
ものの価額は現金で計るしかない、価額は現金が決めるのだ、ある資産の価額を他の資産の価額で計るという考え方はない、
ものの価額の絶対的な基準・尺度・定規は現金のみだ、
といったことをこれまで何回か書いてきましたが、株式も同じなのかもしれません。
株式の公正な価額を資本額で計るというのは、まさにある資産の価額を他の資産の価額で計る、
と言っていることと同じであるようにも感じるわけです。
資本金の価額は現金で計る(会社に払い込まれた現金の金額が資本金額)ように、株式の価額も現金で計るべきなのかもしれません。
といっても、会社に現金が払い込まれたことを表象するのが株式であるわけですから、
結局、「会社に払い込まれた現金の金額が株式の価額」ということになるのだと思います。
ただ、ここでいう「株式の価額」はあくまで「会社に現金が払い込まれた時の価額」、ということになります。
その後の「株式の価額」すなわち「会社に現金が払い込まれた後の株式の価額」は、
究極的なことを言えば誰にも分からない、ということになると思います。
そして、その時それだけの現金が会社に払い込まれたという事実だけは誰にでも分かるわけです。
その意味では、「時価」のことを私は「one-time price」と表現しましたが、
「株式の価額」もまた「one-time price」、すなわち、払い込んだ時のみの価額、という捉え方になるのではないかと思います。
そういったことを考えますと、株式は1株1株が平等ですから、その発行価額も同一でなければならない、
という結論に行き着くわけです。

 



究極的なことを言えば、と言いますか、元祖会計理論の視点から言えば、
資本金や株式の価額は会社の資産で計るのではなく現金で計る、という見方をしなければならないのだと思います。
株式の価額を会社の資本額で測るというのは、「事業継続を前提とすれば貸借対照表の資産勘定の価額は公正である」、
ということを暗に前提にしていると言えると思います。
株式の公正な価額を資本額で計るのは間違いではないのですが、それには一定の前提条件が必要になるのです。
それで、株式の発行価額を同一にした上で、株主割当増資を行うとしますと、
まず、発行する新株式数は増資前の発行済株式総数の整数倍となります。
つまり、株主割当増資の結果、発行済株式総数は2倍、3倍、4倍・・・というふうに増加します。
1株しか所有していない株主もいることを考えれば、発行済株式総数と同じ数だけ新株式を発行しなければなりません。
そして、増資後の資本金の金額も、増資前の資本金の整数倍になります。
これは、株式の発行価額が先に決まっていますから、そして、発行する株式数も固定的ですから、こうなるわけです。
現在の資本金額が100円なら、増資は100円か200円か300円か・・・といった具合に資本金額の整数倍にしかできないわけです。
現在の資本金額が100円で50円だけ増資をするということは、この場合できないわけです。
事業運営で必要な金額だけを調達する柔軟な増資とはとても言えないかもしれませんが、
株式の価額が先に決まっている以上、そして株主割当を行う以上、このような増資方法になってしまいます。
そこまで固定的な増資しかできないのなら、新株式の発行を行うのではなく、
既存株主で全く新しく会社を設立する(そして旧会社から新会社へ事業を譲渡する)方があるいは話は簡単かもしれません。
その方が会社設立に際して持株比率の変更や株主構成の変更もできることになります。
ただここでは、会社設立後の増資(新株式の発行)を前提のこととした上で、
どのような増資方法(新株式の発行方法)が株式会社の理念や概念に適うか、という観点から、
株式の発行方法や発行価額について考えてみました。

 

 


It's like putting the cart before the horse.

馬の前にカートを置くようなものだ。

 


A shareholder would sooner lend money to the borrower on his own than
invest the money in a stock company which is to lend money to a borrower.

株主は、借入人にお金を貸す株式会社にお金を出資をするくらいなら、自分自身で直接その借入人にお金を貸した方がよい。

 


One shareholder owns more than half of the shares for one reason
and another shareholder owns one third of the shares for another reason.

株式の過半数を所有している株主には過半数を所有しているなりの理由があるし、
株式の3分の1を所有している株主には3分の1を所有しているなりの理由がある。