2015年9月13日(日)
華潤創業、新社名「華潤ビール」
■華潤創業(香港上場の中国ビール最大手) 「華潤ビール」に社名を変更する。
小売りなどビール以外の事業について親会社への売却が完了したため。
ビール事業の季節性の強さを理由に、四半期決算の公表も取りやめる。
四半期決算の公表をやめる理由について、
同社は「ビール事業は季節による変動が大きく、四半期の業績は株主や投資家に意味のある情報をもたらさない」と説明、
開示関連コストの削減にもつながるとしている。
香港取引所は上場企業に対し、四半期決算の開示を義務付けていない。
華潤創業はスーパーやコンビニエンスストアなど中国全土に約4800店の小売店を展開してきた。
だが英小売大手のテスコから引き継いだ店舗の採算が改善せず、2014年12月期には上場以来初の赤字に転落した。
4月にはビール以外の事業を非上場の親会社である華潤集団に譲渡する方針を発表、9月1日付で売却を完了した。(香港=粟井康夫)
(日本経済新聞 2015/9/9
23:40)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLZO91560720Z00C15A9FFE000/
5ヶ月弱前の記事になりますが、華潤創業がビール以外の事業を親会社へ売却する計画だ、と報じられた時の記事です↓。
そして、この報道を受けて、華潤創業は次の日、急騰した、とのことです。
中国の華潤創業、親会社にビール以外の資産を36億米ドルで売却へ
[香港 21日 ロイター] - 中国の複合企業、華潤創業(チャイナ・リソーシズ、CRE)
は21日、
ビール以外の資産(訂正)を親会社である華潤集団に280億香港ドル(約36億米ドル)で売却すると発表した。
香港市場で華潤創業は一時約63%の大幅高。
同社の中核事業はビールなどの飲料事業からスーパーマーケットのチェーン展開など、幅広い事業を手掛けている。
ビール以外の資産(訂正)の売却は内部戦略と所有構造再編の一環として行われる。
現金で135億8000万香港ドル、約束手形で残額が支払われる見通し。
香港証券取引所に提出した開示資料によると、売却による収入は、1株当たり11.50香港ドルの特別配当として株主に還元される。
華潤創業に対する華潤集団の出資比率は51.78%。
華潤創業はまた、華潤集団の傘下部門が、華潤創業の株式最大2億4214万株(発行済み株式の約10%相当)を対象に
公開買い付けを行うと発表した。華潤創業は上場を維持する方針。
買い付け価格は1株12.70香港ドル、総額で約30億8000万香港ドル。
華潤創業株は、新たな事業戦略の声明発表を控え、4月8日から取引停止となっていた。
(ロイター 2015年
04月 21日 12:27
JST)
ttp://jp.reuters.com/article/2015/04/21/idJPL4N0XI1IA20150421
きょう21日取引を再開している中国政府系コングロマリットの華潤創業(チャイナ・リソーシズ:291/HK)が急騰。
同社は21日、ビール以外の全事業を親会社の華潤(集団)公司に売却する計画を明らかにした。
売却価格は280億香港ドル(約4300億円)。厳しい経営環境のなか、業績不振の続く事業を切り離すことで、
財務のテコ入れを図る狙いだ。
華潤創業はビール専業会社へと転身する。
世界最大規模の販売量を誇るメーカーとして、ビール事業の強化に努めていく方針。
親会社の華潤(集団)公司から、事業買収の提案を受けた。
華潤創業は現時点で、同提案を受け入れる最終決断は下していないとしている。
なお、売却価格のうち135億8203万香港ドルは現金で、残りは約束手形の形で支払われる予定。
売却により約68億香港ドルの特別損失を計上する見通しだ。
売却を実施した場合、1株当たり11.50香港ドルの特別配当も実施する。
また、親会社の華潤(集団)公司が2億4213万株(発行済み株式数の10%)を上限に、公開買い付けを行う計画も明らかにした。
買付価格は1株当たり12.70香港ドル。
特別配当と合算した価格(24.20香港ドル)は、取引停止前の直近終値(15.20香港ドル)に対して59.2%のプレミアム水準となる。
公開買い付けの実施は、株主価値の向上が目的。華潤(集団)公司の持株比率(間接分を含む)は51.87→61.87%に上昇する予定だ。
華潤創業の浮動株比率は規定水準以上を保つ。上場を維持する運びという。
華潤創業はビール、小売り、飲料、食品の消費財事業を主力とするほか、傘下企業を通じて電力、ガス、医薬品などの業務を手がける。
今月1日に発表した2014年12月期(本決算)の業績は、純損益が1億6100万香港ドルの赤字に転落。
通期での赤字転落は上場来で初めてとなった。英小売大手テスコとの合弁事業で苦戦が続いている。
華潤創業は今月4日に株式取引を一時停止したが、本日(21日)から売買を再開する。
(ロイター 2015年
04月 21日 11:17
JST)
ttp://jp.reuters.com/article/2015/04/21/idJP00093600_20150421_00220150421
華潤創業、中国ビール会社の買収検討
■華潤創業(香港上場の中国複合企業) 中国国内でビール会社の買収を検討する。
同社の主力ブランド「雪花」は販売シェア23%で1位を維持しているが、
国内ビール市場が縮小に転じるなか、買収で経営基盤を固める狙い。
親会社の華潤集団から100億香港ドル(約1600億円)の融資枠を受けた。
中国のビール市場は2014年に前年比1.8%減の4939万キロリットルと統計を取り始めた1998年以降で初のマイナスを記録した。
黎汝雄最高財務責任者(CFO)は香港での記者会見で「将来は販売量が減ることもありうる」と述べ、
プレミアムビールの販売にも力を入れる考えを示した。
同社が発表した2015年1〜6月期決算は最終損益が43億香港ドルの赤字だった。
英テスコとの合弁事業など小売事業で引き続き大幅な損失を計上した。
同社は9月中にビール以外の事業を親会社の華潤集団に売却する予定だ。(香港=粟井康夫)
(日本経済新聞 2015/8/24
23:11)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLASDX24H1G_U5A820C1FFE000/
ただ、華潤創業から発表されている各プレスリリースを読みますと、
今般の「非ビール事業の売却」に関する意思決定に関しては、報道されている内容とは少しだけニュアンスが違うな、と感じました。
というのは、華潤創業が親会社にビール以外の事業を売却する、というより、
正確に言えば、華潤創業の親会社である「華潤集団公司」が子会社である華潤創業からビール以外の事業を買い取る、
というふうにプレスリリースからは読めるなと思ったからです。
確かに、法人単位で見ますと、所有している側(売り手、子会社)が売却することに同意しない限り、
買い手(親会社)は各種事業を買い取れないわけですから、どちらでも同じことではないかと思われるかもしれません。
しかし、今般の「非ビール事業の売却」をグループ経営戦略という観点から見ますと、
ある意味当たり前のことかもしれませんが、親会社が今般の「非ビール事業の売却」を決定している、
という見方になるわけです。
華潤グループの事業持株会社である「華潤集団公司」がグループ経営戦略の立案を担っているわけですが、
グループ子会社である華潤創業は、親会社の「華潤集団公司」の意思決定を受けて「非ビール事業の売却」を意思決定した、
という流れになるわけです。
法人(人)単位で見ればと言いますか、法理的な観点から言えば、
親会社の「華潤集団公司」も事業の「買い手」というれっきとした法律行為の主体であり、
グループ子会社である華潤創業も事業の「売り手」というれっきとした法律行為の主体であるわけですが、
グループ経営戦略という観点から見ますと、今般の「非ビール事業の売却」は親会社の「華潤集団公司」(だけ)が決めた、
グループ子会社である華潤創業は今般の「非ビール事業の売却」の意思決定に参加していない・意思決定に影響を与えていない、
という見方になると思います。
株式を通じて、「法律上の人」その人以外の人がその「法律上の人」に関する意思決定を行う、
という、法人ならではと言いますか、基本的には自然人ではあり得ない意思決定の構造(意思決定の主体の齟齬)が、
実はグループ経営戦略(親会社と子会社の関係、もしくは総体としての株主と会社との関係)と呼ばれるものの背景にはある、
と言っていいのではないかと思います。
それでは、今般の「非ビール事業の売却」に関する最初のプレスリリースを訳してみたいと思います。
From a viewpoint of the Corporation Tax Act, what you call quarterly financial statements are not the final statements.
法人税法の観点から見れば、いわゆる四半期財務諸表は確定した計算書類ではないのです。
21 April 2015
China Resources Enterprise, Limited
China Resources
(Holdings) Proposes to Acquire the Non-Beer Businesses of China Resources
Enterprise
ttp://www.cre.com.hk/home/infocenter/compantnews/company/201504/P020150421287807058449.pdf
China Resources (Holdings) Proposes to Acquire the Non-Beer Businesses of
China Resources Enterprise
CRH proposes group restructuring of its consumer
and retail businesses
CRE to transform into a beer-focused company
CRH has made a proposal to CRE to purchase the non-beer businesses of CRE
for HK$28 billion
CRE to focus on beer and further strengthen its position as
the leading brewer in China
Under the proposal, CRE would pay a special cash
dividend of HK$11.50 per share
from substantially all of the proceeds from
the Possible Disposal,
representing approximately 75.7% of the value of the
last closing price of HK$15.20
CRH has also proposed to make a
pre-conditional partial offer to acquire
up to approximately 10% of the
outstanding shares of CRE at HK$12.70 per share
Total cash consideration of
the Possible Disposal and Partial Offer (to the extent tendered and fully
accepted)
amounts to HK$24.20 per share, representing approximately a 59.2%
premium to the last closing price of HK$15.20
Dr. Fu Yuning, Chairman of China Resources (Holdings) said,
“Given the
adjustments and consolidations in the retail industry,
we are highly
supportive of this strategic transformation of CRE into a beer-focused
company,
as the leading brewer in China. CRH is providing CRE's public
shareholders with an upfront cash offer
for the non-beer business realisable
today.
We will continue to offer our full support to CRE in order for it to
further strengthen its market position in China.”
Mr. Chen Lang, Chairman of
China Resources Enterprise said,
"This strategic transformation of the
Company is in the best interests of all stakeholders.
The market challenges
and business integration risks faced by our non-beer businesses
have
negatively impacted our financial performance.
The proposed transaction will
unlock the value of our market-leading beer business
from the previous
conglomerate structure and remove the uncertainties around the complex
restructuring
required in the non-beer businesses from CRE’s public
shareholders.
Furthermore, there will be greater transparency for the market
to evaluate our beer business on a standalone basis.
We are confident of our
ability to leverage our leading position in the Chinese beer market
to create
profitable growth ahead.”
CRE shareholders retain their shareholding in the
attractive beer business.
Its flagship “雪花Snow” brand was the best-selling
single beer brand by volume in China in 2014
for the ninth consecutive year,
with a market share of approximately 24%.
As at the end of 2014, CRE operated
98 breweries in China with an aggregate annual production capacity
of over
200,000,000 hectoliters.
CRE’s beer business has achieved significant growth,
with CAGR of 26% and 23% for sales and net income respectively
since its
inception in 1994.
This was achieved through organic growth, successful
takeovers of domestic breweries and a long term strategic partnership
with
the world's second largest brewer.
China is the largest beer market by volume
and the second largest by value.
CRH currently holds an indirect stake of
approximately 51.78% in CRE.
Merrill Lynch (Asia Pacific) Limited and Morgan
Stanley Asia Limited are the financial advisers to CRH for the
transaction.
UBS AG is advising CRE on the transaction.
【参謀訳】
2015年4月21日
華潤創業有限公司
華潤(集団)は華潤創業の非ビール事業を取得することを提案いたします
華潤(集団)は華潤創業の非ビール事業を取得することを提案いたします
華潤(集団)は消費者・小売り事業のグループ再構築を提案いたします
華潤創業はビールに焦点を絞った会社に生まれ変わる計画です
○華潤(集団)は華潤創業に対し華潤創業の非ビール事業を280億香港ドルで買い取ることを提案いたしております
○華潤創業はビールに焦点を絞り中国における業界一位のビール会社としての地位をさらに強化していく計画です
○華潤(集団)からの提案が首尾よくいけば、今後の事業売却からの対価の実質的に全てを原資に、
華潤創業は1株当たり11.50香港ドルの現金を特別配当として支払う予定です。
これは、前日終値である15.20香港ドルの約75.7%に相当します。
○華潤(集団)はまた、1株当たり12.70香港ドルで流通している華潤創業株式の最大約10%を取得するという、
事前条件付の部分公開買付を実施することも提案いたしております
○今後の事業売却と部分公開買付(公開買付が実施され上限まで応募があった場合)の現金による対価の総額は
1株当たり24.20香港ドルに達します。これは、前日終値である15.20香港ドルに約59.2%のプレミアムを付けた額に相当します。
2015年4月21日、香港発―華潤創業有限公司と華潤(集団)有限公司は本日、
華潤(集団)が華潤創業の非ビール事業を280香港ドルで買い取ること(以下「事業売却」)を提案いたしましたことを
共同で発表いたします。
この事業売却の結果、中国における業界一位のビール会社である華潤創業はビールに焦点を絞った会社へと
戦略的な組織再編を遂げることになります。
この事業売却は、独立した株主による承認と一定の銀行や第三者からの同意を条件としております。
事業売却の完了と華潤創業による資本金の減少を条件として、
華潤創業は、1株当たり11.50香港ドルの特別現金配当を通じて、
事業売却から得た現金対価の大部分を株主様に還元する計画です。
これは、華潤創業の前日終値である15.20香港ドル(2015年4月8日に発表された売買一時停止の前)の
約75.7%に相当いたします。
加えて、華潤創業の将来展望に華潤(集団)が自信を持っていることを示すために、
華潤(集団)は、華潤創業株式を最大242,136,536株(これは、華潤創業の発行済株式総数の約10%すなわち
市場の株主が保有している株式の約20%に相当します)、限定的な株主様から1株当たり12.70香港ドルの買付価格で買うという
事前条件付の公開買付(以下「部分公開買付」)を実施することを提案いたしました。
提案されている特別配当と合わせれば、部分公開買付に応募され無事決済された株式1株1株について、
株主様は総額24.20香港ドルという現金対価を受け取ることになっています。
これは、華潤創業の前日終値である15.20香港ドル(2015年4月8日に発表された売買一時停止の前)に
約59.2%のプレミアムを付けた額に相当いたします。
部分公開買付に応募されなかったり全株式は決済がなされなかった残りの株式に関しては、
株主様は提案に基づき、提案された特別配当1株当たり11.50香港ドルを受け取ることになります。