2015年9月5日(土)
2015年8月20日
株式会社ミスミグループ本社
取締役に対する退任時報酬としての株式報酬型ストック・オプション(新株予約権)の発行に関するお知らせ
ttp://www.misumi.co.jp/ir/news/pdf/news_150820_1.pdf
2015年8月20日
株式会社ミスミグループ本
取締役に対する中期インセンティブ報酬としての株式報酬型ストック・オプション(新株予約権)の発行に関するお知らせ
ttp://www.misumi.co.jp/ir/news/pdf/news_150820_2.pdf
2015年8月20日
株式会社ミスミグループ本
ミスミグループ幹部社員に対する中期インセンティブ報酬としての
株式報酬型ストック・オプション(従業員新株予約権)の発行に関するお知らせ
ttp://www.misumi.co.jp/ir/news/pdf/news_150820_3.pdf
2015年9月4日
株式会社ミスミグループ本社
ストック・オプション(新株予約権)の発行中止に関するお知らせ
ttp://www.misumi.co.jp/ir/news/pdf/news_150904.pdf
【コメント】
記事には、
>ミスミグループ本社は4日、取締役やグループの社員などを対象としたストックオプションの発行を中止すると発表した。
>発行を決議した8月20日以降、株式相場の先行きが不透明になったためと説明してる。
と書かれています。
2015年9月4日に株式会社ミスミグループ本社が発表した「ストック・オプション(新株予約権)の発行中止に関するお知らせ」には、
「2.発行中止の理由」として以下のように記載されいます。
>8 月20
日のストック・オプション(新株予約権)発行決議以降、世界の株式市場において相場が急激に変動し、先行きも依然として
>不透明な状況が継続する中、一旦当該ストック・オプション(新株予約権)の発行を取り止めるべきと判断したため。
ストック・オプション(新株予約権)の発行を取り止めることの経営上の判断や株式市場に与える影響についてはここでは度外視し、
ここでは「発行を中止すること」について法理的な観点から考えてみましょう。
ストック・オプション発行を開示する各プレスリリースには、「新株予約権を割当てる日」として、
>平成27 年9 月4 日
と書かれています。
株式会社ミスミグループ本社は、2015年9月4日にストック・オプションの発行・割当てを行う計画であったわけですが、
その発行日・割当て日に発行を取り止めることにしたわけです。
一見、まだ発行・割当ては行っていないのだから、取り止めることもできるのではないか、と思われるかもしれません。
しかし、この場合、発行・割当ては取り止めることはできません。
例えば、明日散歩をする計画を立てていたとします。
しかし、次の日になってみると雨でしたので、散歩をすることを取り止めるにした、とします。
これは自分1人で行う行為ですから、途中で取り止めることは全く任意であるわけです。
しかし、例えば、明日ある商品の売買を行う約束を相手方としたとします。
しかし、次の日になってみるとやはりまだ商品の売買はしたくないと思ったので、売買をすることを取り止めるにした、とします。
この場合、売買を取り止めることはできるでしょうか。
明日売買を行うことは既に確定した約束事であるわけです。
売買を取り止めるためには相手方の同意が必要ですし、相手の同意が得られないまま売買を取り止めることは債務不履行であるわけです。
簡単に言えば、当初行う予定であった行為を途中で取り止めることができるか否かは、
「取引の相手方がいるのかいないのか」、で決まるわけです。
取引の相手方と約束したことであるのなら、債務を履行するしかないわけです。
それでも、この取引の場合は、
株式会社ミスミグループ本社が取締役や幹部社員に無償で付与する形なのだから、取り止めるのは自由なのではないか、
と思われるかもしれません。
しかし、法理的には、たとえ無償であっても相手方がいる場合は取り止めることはできません。
新株予約権というのは相手方の同意なしに割当てることはできません。
会社がいくらあなたに新株予約権を割当てると言っても相手方が同意していない場合は、割当てることはできません。
分かりやすく言えば、勝手に権利者にされては困る人もいるわけです。
ですから、株式会社ミスミグループ本社が取締役や幹部社員にストック・オプションを付与することを決めたということは、
実は取締役や幹部社員はストック・オプションの引き受けに同意をした、という意味なのです。
取締役や幹部社員がストック・オプションの発行の取り止めに同意をしたのなら何の問題もありませんが、
取締役や幹部社員が同意をしていないのなら、発行取り止めは株式会社ミスミグループ本社の債務不履行を意味します。
たとえ無償であっても、取締役や幹部社員はストック・オプションを引き受ける確定した権利を有するわけです。
株式会社ミスミグループ本社の一存で発行を取り止めることはできないのです。
プレスリリースには、「新株予約権割当契約書記載の権利喪失事由」まで書かれています。
株式会社ミスミグループ本社と取締役や幹部社員との間で、「新株予約権割当契約書」を取り交わしたのでしょう。
取り交わした「新株予約権割当契約書」に、「発行日までに世界の株式市場において相場が急激に変動した場合は発行を取り止める」、
と記載されていれば、発行を取り止めることはできますが、その旨記載がない場合は会社の一存で発行を取り止めることはできません。
法理的には、「寄付」も考え方は同じです。
甲さんと乙さんとの間で寄付を行う約束を行った場合は、期日に必ず寄付を行わなければならないのです。
寄付を行わないことは債務不履行なのです。
見返りを求めないのが寄付なのだから、寄付を取り止めるのは自由ではないか、と思われるかもしれませんが、実は債務不履行です。
寄付を行う行わない自体は、全く任意に決めてよいのですが、寄付を行う約束をした場合は、取り止めは自由ではなくなるのです。
寄付を受ける方も寄付を受けることに同意をしなければならないのです。
法理的には、寄付を受ける方には、寄付を受け取る権利と義務の両方がある、ということになります。
約束した寄付を受け取らないことも債務不履行なのです。
>当社は、新株予約権の割当てを受けた者(以下「新株予約権者」という)に対し払込金額と同額の報酬を付与し、
>新株予約権者は、当該報酬請求権と当該新株予約権の払込金額とを相殺することにより、新株予約権を取得する。
と書かれています。
厳密に言うと、ストックオプションの発行・割当ては無償ではないようです。
ただ、新株予約権の割当てを受けた者は新株予約件の取得代金を会社自身から受け取るため実質的には現金支出は行わないようです。
会社から報酬として受け取る取得代金には所得税がかかりますので、厳密に言うと払込金額と相殺することはできません。
ただ、大まかな考え方としては何を言いたいか分かりますが。
ただ、そこまでするくらいなら初めから無償発行でいいのではないでしょうか。
You can decide whether you will make a donation or not quite at
will.
But, a firm contract to make a donation is an obligation.
It means
that you must make a donation mandatorily.
寄付をするかどうかは全く自由に決めることができます。
しかし、寄付を行う旨の確定した契約というのは、債権債務関係になります。
つまり、義務として寄付をしなければならない、という意味です。
2015年9月5日(土)日本経済新聞
わかる 国際会計基準 D しぼむ売上高
正味の収入「純額」で示す
(記事)
【コメント】
この記事を読んで、今日改めて純額表示などという表示方法はないな、と思いました。
というより、売上高や売上原価の金額がどの金額になるのかは取引により一意に決まる、と思いました。
売上高や売上原価の金額は、会計基準によって決まるのではなく、取引そのもののみによって決まるのです。
話は極めて簡単であり、取り扱う総額を売上高として計上するだけのことなのです。
他の言い方をすれば、いくら会社に現金が入ってきたのかを売上高で示すだけのことなのです。
実際には商品を取り扱っているのに手数料部分のみを売上高として表示するのは間違いなのです。
もちろん、商品の取り扱いは行っておらず現に手数料のみを受け取っているという場合は、手数料のみが売上高を構成しますが。
広告代理店であれば、広告主から現に広告料金を受け取ったのなら、その受け取った全額を売上高として計上するべきなのです。
なぜなら、取引として、広告主から現に現金を受け取ったからです。
広告代理店がメディア各社に支払う広告料金は、現にメディア各社に支払ったのですから、
売上原価として計上すればよいだけのことでしょう。
なぜ売上高から売上原価を引き算した金額を売上高と呼ぶのでしょうか。
実態としては手数料のようなものなのだとしても、広告業に関して広告主から現に現金を受け取ったのならそれは売上高であり、
広告業に関してメディア各社に広告料金を支払ったのならそれは売上原価であるわけです。
取引実態としては、などと言い出すとキリがありませんし線引きもあいまいになりますから、
会社に入ってきた現金と会社から出て行った現金のみで判断することにしているのではないでしょうか。
確かに表面的には手数料を受け取っただけなのですが、実態としては弊社が仕入れ販売したようなものなのです、
などと言って、売上高と売上原価を増加させて表示したとしたら、それはおかしいと分かるでしょう。
実態というのは目に見えないのです。
現金のみが目に見えるのです。
酒税やたばこ税やガソリン税などの徴収を代行している企業も同じです。
確かに、それらの租税部分に関しては、会社にとって代行徴収に過ぎません。
しかし、一つの取引として、販売時に現に現金として受け取っているわけです。
租税部分については、代行徴収ということで政府に納税を行った(現に現金を支出した)、と表示・計上すればそれでいいわけです。
一つの取引として、政府に納税をしたというだけなのです。
租税部分(代行徴収部分)であろうと、現に会社に現金が入ってきて、現に会社から現金が出て行った、
それだけのことではないでしょうか。
お客様から受け取った現金額のうち、租税部分(代行徴収部分)はこれだけです、と明確に表示するだけのことでしょう。
なぜ租税部分は引き算した形で売上高を表示する必要があるのでしょうか。
総額表示か純額表示かという問いの答えは極めて簡単だったのです。
答えは、現金の出入りのみで判断すればいい、だったのです。
現金が入ってきた項目と現金が出ていた項目とを明確に表示しさえすれば、それでいいのです。
以上の議論を踏まえた上で、総額表示をするべき取引と純額表示をするべき取引とを図に書いてみました。
手数料のみを売上高に計上するべき業種業態は極めて限られると思います。
例えば総合商社の場合も、お客さんからの注文を受けて商品を仕入れるわけですが、
商品を現に仕入れ、そして、仕入れた商品を現にお客さんに引き渡している以上、
売上高は総額表示を行うべきなのです。
ここでの理解のポイントは、現金の出入りのみで判断することなのです。
「総額表示の例と純額表示の例」
A merchant actually pays cash to a vendor and actually purchases
merchandise,
even though the merchant purchases merchandise only in order to
deliver it to a customer.
商人は現に仕入先に現金を支払い、現に商品を仕入れるのです。
たとえ、その商人はお客さんに商品を引き渡すためだけにその商品を仕入れるのだとしてもです。
Even though an order from a customer precedes a merchant's purchasing
merchandise,
the customer's paying cash to the merchant doesn't
precedes the merchant's purchasing merchandise.
Even though an order from a
customer precedes a merchant's purchasing merchandise,
the merchant purchases
merchandise with his own cash or not with an advance received from the
customer.
たとえお客さんからの注文の方が商人が商品を仕入れることよりも先であるとしても、
そのお客さんが商人に現金を支払うことが商人が商品を仕入れることよりも先であるわけではありません。
たとえお客さんからの注文の方が商人が商品を仕入れることよりも先であるとしても、
その商人は商品を自分自身の現金で仕入れるのです。すなわち、お客さんから受け取った前受金で商品を仕入れるわけではありません。
商人は仲介者ではありません。商人は買主であると同時に売主でもあるのです。
A customer pays cash as a consideration of merchandise to a merchant, not
to a vendor of the merchant.
お客さんは商品の対価として現金を商人に支払います。商人の仕入先に現金を支払うわけではありません。
A transaction between a merchant and a vendor is first. A transaction
between a merchant and a customer is secondarily.
商人と仕入先との取引が先です。商人とお客さんとの取引は後なのです。