2015年8月26日(水)
2015年8月26日(水)日本経済新聞
発行価格等の決定に関するお知らせ
サムコ株式会社
発行価格等の決定に関するお知らせ
株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン
(記事)
2015年8月26日(水)日本経済新聞
久光薬、上限45億円 4年ぶり自社株買い 株価下支え
(記事)
2015年8月25日
久光製薬株式会社
自己株式の取得に係る事項の決定に関するお知らせ
ttp://www.hisamitsu.co.jp/company/pdf/news_release_150825.pdf
【コメント】
昨日、マクニカ・富士エレ
ホールディングス株式会社を題材に、
「1株に満たない端数の処理に伴う自己株式の買取」についてコメントしました。
では、このたび久光製薬株式会社は、「1株に満たない端数」について自己株式の取得を行うことができるでしょうか。
言うまでもなく、「1株に満たない端数」は自己株式の取得を行うことができないわけです。
その理由は、譲渡できないからであるわけです。
会社が公開買付を行う場合でも、株主は「1株に満たない端数」は応募できません。
市場取引であれ相対取引であれ、株主は「1株に満たない端数」は譲渡できません。
要するところ、株式は1株単位であるわけです
他の言い方をすれば、「株式は1株単位でしか所有できない。」と表現できるわけです。
マクニカ・富士エレ
ホールディングス株式会社の場合は、共同株式移転という組織再編行為を行うに際して、
数理計算上、「1株に満たない端数」が発生することになったわけですが、
「1株に満たない端数」は譲渡できないのなら、「1株に満たない端数」部分を決済することもできない、
ということになると思います。
なぜなら、決済をするということは、譲渡をするということだからです。
現行の会社法に規定されている種々の組織再編行為は、
「株式は1株単位である」という株式の基本概念を完全に度外視しているからこそ成立している、
と言っても言い過ぎではないと思います。
2015年8月26日(水)日本経済新聞
三菱電機、伊空調を買収 900億円、最大のM&A 欧州首位 ダイキン追撃
「欠けている領域
補完」 会見一問一答 「ビル丸ごと」提案
ダイキン 業務用空調機 設置しやすく
(記事)
2015年8月25日
三菱電機株式会社
イタリア業務用空調事業会社DeLclima(デルクリマ)社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
ttp://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2015/0825-c.pdf
2015年8月25日
三菱電機株式会社
【説明会資料】イタリア業務用空調事業会社DeLclima(デルクリマ)社買収について
ttp://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2015/0825-d.pdf
【コメント】
記事には、三菱電機株式会社の株式取得方法について、
>親会社のデロンギインダストリアルから、デルクリマの発行済み株式の約75%を11月末をめどに取得する。
>その後、残りの株式をTOB(株式公開買い付け)で取得し、2015年度中の完全子会社化を目指す。
と書かれています。
プレスリリースにも同様の内容が記載されています。
説明会資料に分かりやすい図が書かれています↓。
「【説明会資料】イタリア業務用空調事業会社DeLclima(デルクリマ)社買収について」
1. 本件概要
(3/20ページ)
記事を読んだ瞬間、何やら手続きが複雑だな、と思いました。
先に親会社のデロンギインダストリアルがデルクリマを完全子会社化し、その上で、
デロンギインダストリアルがデルクリマ株式の全てを三菱電機株式会社に譲渡する、
という流れではだめなのだろうか、と思いました。
親会社のデロンギインダストリアルは現在デルクリマ株式の74.97%を保有しているわけですが、
市場に流通している残りの25.03%をデロンギインダストリアルが「4.44ユーロ」で全て取得し、
その上で、デロンギインダストリアルがデルクリマ株式の全てを三菱電機株式会社に「4.44ユーロ」で譲渡すれば、
結局、デロンギインダストリアルに計上される株式売却益の金額は、プレスリリース記載の方法による場合と同じになるわけです。
三菱電機株式会社がイタリアで株式公開買付を実施するよりは、
デロンギインダストリアルから全ての株式を取得する、という方が、三菱電機株式会社にとっては話は簡単ではないかと思いました。
もしくは、どうしても三菱電機株式会社が株式公開買付を実施するというのなら、
三菱電機株式会社ははじめから全株式を目標にした株式公開付けを実施し、
その公開買付に親会社のデロンギインダストリアルにも応募してもらう、ということでも問題はないように思います。
ただ、この場合でも、株式公開買付で全ての株式を買い取れるわけではありませんので、
いずれにせよ、三菱電機株式会社は全ての株式を強制的に取得する手続きを進める必要が出てくるとは思いますが。
株式取得の手続きが二段階になっている、という点が少し気になったので書いてみました。
What would be the stock acquisition price if the current parent company was
going to acquire the same stocks
just as Mitsubishi Electric Corporation
is?
三菱電機株式会社が取得しようとしているように、現在の親会社が同じ株式を取得するつもりであるとしたら、
株式取得価格はいくらになるでしょうか。
Mitsubishi Electric Corporation can only acquire the stocks at the market
price,
but the parent company can acquire the stocks at any price.
For the
parent company can acquire all the stocks from shareholders by compulsion.
三菱電機株式会社は市場価格でしか株式を買えません。
しかし、親会社は株式をどんな価格で買うこともできます。
というのは、親会社は全ての株式を株主から強制的に取得できるからです。
Please remember the fact that the parent company can make its subsidiary
delisted at any time.
A listed company can make itself delisted at any time
of its own free will.
親会社は子会社をいつでも上場廃止にできる、ということも忘れないようにしましょう。
上場企業はいつでも自分の意思で自社を上場廃止にすることができるのです。
Only the fact that a person acquires an asset is not a proft and loss
transaction.
資産を取得するというだけでは、損益取引ではありません。
25.08.2015
RSA INSURANCE GROUP PLC
Update regarding possible offer
from
Zurich
ttp://www.rsagroup.com/rsagroup/en/investor-relations/group-news/?type=press&view=743#press-releases
【コメント】
買収提案を受けているRSA社からのプレスリリースから、気になった点のみ引用し、訳してみます。
Zurich has reserved the right to make an offer for RSA at any time, with
a value less than 550 pence per ordinary RSA share
【参謀訳】
チューリッヒは、いつでも、RSA普通株式1株当たり550ペンス未満の価額でRSAに公開買付を実施する権利を今でも留保しています。
日本では、買付価格の引き下げは認められていませんが、イギリスでは認められているのでしょうか。
まだ正式な買付手続き(買付期間)に入っているわけではない、
買付者は今後最大1株当たり550ペンスまで買付価格を引き上げる意向を持っているという意味だ、
と言われればそれまでですが、企業買収に関連する、法令に基づく審査や所定の手続きには既に正式に入っているわけです。
投資家保護の観点から、買付価格を引き上げるのは自由だと思いますが、
最大いくらであると言ったり発表価格未満の価格で買い付ける権利があると言ったりするのは、決して望ましくないでしょう。
ただ、550ペンス未満の価額でRSAに公開買付を実施するには、一定の条件があるようでして、
それは次の3つのいずれかとなっているようです。
with the agreement or recommendation of the RSA board
if a third party announces a firm intention to make an offer for RSA pursuant
to Rule 2.7 of the Code,
which, at the date Zurich announces a firm intention
to make an offer for RSA,
is valued at a lower price than the equivalent of
550 pence per ordinary RSA share
following the announcement by RSA of a whitewash transaction pursuant to the Code
【参謀訳】
○RSAの取締役会の同意や推奨が得られた場合
○仮に、第三者が、RSA普通株式1株当たり550ペンス未満の価額相当と評価される価格
―550ペンスというのは、チューリッヒがRSAに公開買付を実施する確たる意思を持っている旨表明した日の価格ですが−でもって、
法令の規則2.7に従ってRSAに公開買付を実施する確たる意思を持っている旨を表明した場合
○法令に従ってホワイトウォッシュ取引を行うとRSAが表明した場合
そしてこのプレスリリースは、以下の言葉で締めくくられています。
There can be no certainty that any firm offer will be made.
This statement
is being made by RSA with the consent of Zurich.
【参謀訳】
今後どんな確たる提案がなされるかについては全く確かなことは言えません。
この声明はチューリッヒの同意を得た上でRSAが発表しているものです。
株式の売買(公開買付への応募)ですらとことん会社が主体であり、株主は会社の意向に従うだけだな、という印象を持ちました。
記事には、
>RSAの経営陣は買収に賛同すると表明した。
>実際に株式の買い付けを実施するかどうかは資産査定を経て、
>第三者がより高い価格での買収を提案しないかを確認したうえで9月22までに正式に決定する。
と書かれています。
まだチューリッヒが買収することは正式決定ではないにも関わらず、RSAの経営陣がチューリッヒによる買収に賛同すると表明した、
という部分を読んで、私は以下のように思いました。
It is not until the final decision
when the management of a
to-be-acquired company expresses an approval for an acquisition plan.
被取得企業の経営陣が株式取得計画に賛同すると表明するのは、正式決定を受けてからになります。
If another person offers an acquisition at a higher price,
then the
management of a to-be-acquired company should express an approval for the new
acquisition offer
because the management has an obligation to give its
shareholders an opportunity to sell their shares at the highest price.
Timely
disclosure is certainly important, but haste makes a withdrawal of the
previous statement.
It gives the stock market an impression that the company
is inconstant.
仮に、他の人物がより高い価格での買収を提案した場合は、
被取得企業の経営陣はその新しい買収提案の方に賛同すると表明しなければなりません。
なぜなら、経営陣は、株主に最も高い価格で株式を売却する機会を与える義務を負っているからです。
適時開示は確かに重要ですが、慌ててしまうと前言を撤回することになってしまいます。
それは株式市場に対し、あの会社は節操がない、という印象を与えることになります。