2015年7月28日(火)
2015年6月4日(木)日本経済新聞
米ドル引き出し5分の1に ミャンマー中銀 上限 週5万j→1万j 貿易赤字・通貨安に対応
(記事)
2015年7月25日(土)日本経済新聞
海外送金規制を緩和 ギリシャ、1日10万ユーロ
(記事)
【コメント】
昨日、証券の取引に関して、
>一方、国債という文脈では、売買代金と出来高は同じ意味を持ちます。
>他の言い方をすれば、その取引価格というのは額面金額と常に同じである、ということです。
と書きました。
これは端的に言えば、額面金額が100円の国債を持っているということは、実質的に現金を100円持っていることと同じだ、
という意味になります。
額面金額が100円の国債を持って証券会社に行けば、即時現金100円を手に入れることができるわけです。
額面金額100円の国債が現金100円にならないことなど絶対にないわけです。
簡単に言えば、国債を持っているということは現金を持っているということと同じであるわけです。
では預金はどうでしょうか。
預金を100円持っているということは、実質的に現金100円持っていることと同じです。
紹介した記事のように、為替管理上の理由により、
外国通貨の引き出しや海外送金に関して規制がかけられるということは国によってはあるにしても、
その国の国民がその国の金融機関に預けている自国通貨が引き出せない、ということはまず発生し得ないわけです。
では、国債と預金とはどう異なるのでしょうか。
国債と預金との間には、
「預金は『自分のお金を金融機関に預けているだけ』なのだから、
いつでも引き出せるすなわち預金者は預金をいつでも現金として持つことできなければならないのに対し、
国債の場合は、『国債は現金とは本質的に異なる一証券』なのだから、
国債所有者は国債の買い手が他にいて初めて現金として持つことができる。」
という絶対的な違いがあります。
預金というのは率直に言えば現金と同じであり、その所有権を考えれば、現金と同じでなければならないわけです。
しかし、国債というのはやはり現金とは異なる証券なのです。
国債所有者はあくまで証券を所有しているわけです。
証券というのは現金ではありません。
したがって、証券を現金化するためには、「証券の買い手」が必ず必要なのです。
実務上・現実の世界では、国債という名の証券には常に必ず買い手がいます。
それも、その額面金額で買ってくれる買い手が。
その買い手というのは証券会社だったりするのだと思います。
しかし、本来的なことを言えば、ある証券をある決まった価格で必ず買ってくれる人がいるなど、絶対にあり得ないことなのです。
「所有者は国債を必ず現金化することができる」ということの背景には、一定の政策的なからくりはやはりあるわけです。
それに対し、預金は証券ではありません。
預金は文字通り、「金融機関に現金を預けているだけ」のものであるわけです。
預金の場合、現金化するのに他に買い手が必要だ、などということは決してありません。
法理的に言っても、預金はそれそのものだけで現金と同じでなければならないわけです。
逆に、証券は、それそのものだけでは決して現金と同じにはなりません。
「現金化に際し、その買い手が必要か否か」の違いというのは、
現金という観点から見た場合は、絶対的な違いだと言わねばならないでしょう。
以上が、証券と預金との違いです。
為替管理上の理由云々についてはここでは度外視しますが、
金融機関に預けた現金が自由に引き出せないというのは、所有権という文脈に照らせば明らかにおかしいわけです。
また、海外送金に関しても、預金者が自分のお金を送金しようとしているわけですから、
同様に所有権という文脈に照らせば明らかにおかしいわけです。
それから、記事に関して一言だけ追加すると、ミャンマー内に米ドルが預金としてあるということは、
海外からミャンマー内に米ドルが入ってきた、ということでしょう。
ミャンマー国内で米ドル紙幣を印刷しているわけでは決してないでしょう。
そもそもミャンマー国内には米ドルは1セントたりともなかったわけです。
すると、海外からミャンマー内に入ってきた米ドルを引き出すと言っているわけですから、
引き出してもミャンマー内の米ドルの通貨量としてはプラスマイナスゼロと言いますか、
上手く言えませんが、預けた米ドルを引き出すこと自体が外国為替に影響を与えるのだろうか、とふと思いました。
今現在銀行が米ドルを持っているということは、過去の時点において誰かが銀行に米ドルを預けたということです。
On the principle of law, not only cash but also all kinds of things
aren't transferred to overseas.
法理的には、現金だけではなく全ての種類のものは、海外へは移転されないのです。
A deposit is quite equivalent to cash.
On the other hand, no kind of
security is equivalent to cash.
預金というのは、現金と全く同じです。
一方、どんな種類の証券も現金と同じではありません。