2015年7月19日(日)


2015年4月22日(水)日本経済新聞
国有企業が債務不履行 中国初、市場への影響限定的
不動産開発会社 債務不履行に 中国、ドル建て社債で
(記事)




2015年5月8日(金)日本経済新聞
■中科雲網科技集団(中国の高級料理チェーン) 社債元本35%支払い
(記事)



2015年5月12日(火)日本経済新聞
■永輝実業控股(中国の石炭商社) 米ドル債で債務不履行
(記事)



2015年5月23日(土)日本経済新聞
■珠海中富実業(中国の大手ペットボトルメーカー) 社債の返済、できない恐れ
(記事)


 



中国のインターネット企業デフォルト、上場会社で2例目

[北京 7日 ロイター] - 中国のインターネット企業、中科雲網科技集団(クラウド・ライブ・テクノロジー・グループ)は、
資金不足で社債の元利払いができず、債務不履行(デフォルト)に陥ったことを明らかにした。
デフォルトとなったのは4月7日に期日を迎えた社債4000万ドル相当。
中国の上場企業が公募社債でデフォルトを起こしたのは2度目で、
中国の企業倒産法の有効性や、政府が国内投資家に多額の損失を負わせる意思があるかどうか再び注目される展開が予想される。
2014年に上海超日太陽能科技が中国初の公募社債デフォルトとなった当初は、
市場原理に基づく展開として歓迎する声が多かった。ただ最終的には債権者救済のため政府が介入している。
中科雲網科技は証券取引所への公告で、主要株主からの1億6140万元(2600万ドル)の調達と資産売却を試みたが、
依然2億4060万元が不足していることを明らかにした。引き続き債務返済に向け資金調達努力を続けるという。
同社は「今回のデフォルトにつき、当該債券を保有するすべての方々に、当社として心よりおわびを申し上げる」と述べた。
同社は飲食業のほかIT関連事業も手掛けているが、食品とリサイクル事業の不振が響き2年連続で赤字に陥った。
同社の孟凱元会長をめぐっては、中国の証券規制当局がこれまでに、証券取引法違反の可能性を含め調査を行っている。
(ロイター 2015年 04月 8日 00:27 JST)
ttp://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0MY0KB20150407

 

 


【コメント】
中国で社債の債務不履行が発生しているという記事です。
国有企業が発行している社債であったり上場企業が発行している社債が債務不履行を起こしている、ということで、
最近よく話題になっているようです。
例えば、中科雲網科技集団の事例で言いますと、2015年4月7日に債務を履行できなかったわけですが、
2015年5月7日に社債元本の35%を支払った、と言っているわけです。
金銭債権というのは、債務者は債務額の全額の履行を行わなければならないわけです。
たとえ債務額の99.9%の履行であっても、それは債務不履行であるわけです。
その意味では、2015年5月7日に社債元本の35%を支払ったのだとしても、
2015年4月7日以来、引き続き債務不履行の状態であることには変わりはありません。
また、債権債務関係というのは、債務者は履行を約束した日に履行を行わなければならないわけです。
たとえ債務を約束した日の次の日の履行であっても、それは債務不履行であるわけです。
その意味では、債務の履行を約束した1ヶ月後に債務額の35%を支払ったというのは完全に意味不明であるわけです。
債務の履行に関して「支払猶予期間」(grace period)という考え方をする国もあるようですが、
支払いを約束した日より後の日になって支払ってもよいというのは、やはり意味不明であるように思います。
皮肉を言えば、いわゆる掛取引も一種の「支払猶予期間」(grace period)の考え方を行っていると言えると思います。
なぜなら、法理的・本来的な代金支払日は商品の引渡しを受けた日であるにも関わらず、
仕入れ債務という考え方を行い、支払い日は商品の引渡しを受けた日よりも後の日、となっているからです。
ただ、掛取引の考え方と「支払猶予期間」(grace period)の考え方との間には、本質的な違いもあります。
それは、掛取引において「代金を支払うことを約束した日」というのは、あくまで「ある特定の決済日」である、という点です。
つまり、掛取引においては、将来の「ある特定の決済日」に代金を支払うことを約束するわけです。
そして、その「代金を支払うことを約束した日」に代金を支払えなかったら、それは債務不履行であるわけです。
それに対し、「支払猶予期間」(grace period)では、「代金を支払うことを約束した日」以降の日に代金を支払ってもよい、
という考え方をするわけです。
約束した日でなければならないのか、それとも、約束した日以降の日でも構わないのか、の違いは非常に大きいと言えるでしょう。

 



まあ、この点についても、
「本来の支払日は○月○日だが、万が一支払えない場合は、○月○日までに支払うこと。」
というふうに、支払日に余裕を持たせた内容の約束を予め行っておけばいいのではないか、
などと言い出すと、「支払猶予期間」(grace period)というような考え方も出てくるのかもしれませんが。
ただ、それでも、たとえ猶予をもたせておくにしても、「○月○日までに支払うこと。」という約束はやはりあるわけです。
「○月○日までに支払うこと。」という約束の日を過ぎて支払うことはやはり債務不履行と言えるのだと思います。
そういったことを考えますと、究極的には「支払猶予期間」(grace period)という考え方はやはりないのだと思います。
事前設定の支払猶予期間(grace period)は、あくまで約束の範囲内の支払日というに過ぎないわけです。
事前設定の支払猶予期間(grace period)を過ぎた日の支払いというのは、やはり債務不履行という考え方になると思います。
法理的なことを言えば、約束を守ったか約束を守らなかったかは明確でなければならないわけです。
そういったことを考えますと、各国の法制度から自然と設定される「支払猶予期間」(grace period)というものはあり得ず、
仮に「支払猶予期間」(grace period)という考え方があるとすれば、それは契約自由の原則の範囲内の設定に過ぎない、
というふうに、「債務を履行する日」については捉えないといけないと思います。

 



A company has its assets and profits which are strictly limited or which have the objective range of them,
whereas public works don't.

会社は、厳密に制限された資産と利益を、すなわち、客観的な範囲を持った資産と利益を有します。
一方、公の事業はそうではありません。

 


If there is not a grace period, then there is not an account transaction, too.

支払猶予期間などないとしましょう。すると、掛取引もまたないことになります。

 


Who will be saved when a company annonuces its potential default?

会社が今後の債務不履行を発表して、一体誰が救われるのでしょうか。