2015年7月3日(金)


2015年7月3日(金)日本経済新聞 公告
第16期決算公告
NNインベストメント・パートナーズ株式会社
(記事)



2015年7月3日(金)日本経済新聞 公告
大阪市公債償還公告
大阪市
(記事)


 



2015年7月2日(木)日本経済新聞
東芝 不適切会計のキーワード 上
工事進行基準 費用増、期ごとに反映 正確な情報、投資家に開示
(記事)





2015年7月3日(金)日本経済新聞
東芝 不適切会計のキーワード 下
部品の有償支給 下請けに高く販売 在庫たまれば利益過大に
(記事)




【コメント】
2015年7月3日(金)の記事の「部品の有償支給取引のイメージ」を見ますと、
上場企業における企業会計と税務会計とでは、利益の捉え方が正反対になるのかもしれないな、と思いました。
上場企業における企業会計の考え方では、確かに、利益の過大計上の側面が出てくるでしょう。
仮に、パソコンメーカーが下請け会社からパソコンを買い戻すことを約束している場合は、
パソコンメーカーから下請け会社への部品の販売は、決して販売と呼べる取引ではないわけです。
取引全体で見れば、これはいわゆる外注加工と呼ばれる取引に該当するのではないでしょうか。
部品の有償支給ということで、パソコンメーカーと下請け会社との間で代金の授受があったのだとしても、
パソコンを買い戻すことを約束している場合は、それはやはり販売であるとは見なせないと思います。
会計処理を大きな視点で見れば、棚卸資産勘定(借方)を相手方として利益(貸方)を計上することができる、ということになるわけです。
パソコンメーカーは、結局下請け会社への売却益(現金)でパソコンを買った、という見方になるわけです。
イメージとしては、下請け会社への販売で得た利益剰余金(内部留保)でパソコン(棚卸資産)を買った、と考えてもいいと思います。
企業会計上、その利益は実現しているのかと言えば、取引トータルで言えば、実は全く実現していない、ということになると思います。
一方で、税務上はどのように捉えるべきかと言いますと、
「パソコンメーカーから下請け会社への部品の販売は実現した。」と捉えるべきだなのだと思います。
現に、パソコンメーカーから下請け会社へ部品の引き渡しは行われ、そして、
下請け会社からパソコンメーカーへ代金の支払いが行われたわけですから。
確かに、その後、下請け会社からパソコンメーカーへ部品を組み入れたパソコンを販売しています。
このことを”買い戻す”と表現しているわけです。
そして、その約束があった、と言っているわけです。
しかし、パソコンメーカーから下請け会社へ販売した部品と、下請け会社からパソコンメーカーへ販売したパソコンとは全く異なるものだ、
という捉え方を税務上はしなければならないと思います。
下請け会社からパソコンメーカーへ販売したパソコンの販売価格がいくらだったのかは知りませんが、
いずれにせよ、その販売の結果は下請け会社の売却益というだけなのだと思います。
確かに、下請け会社からパソコンメーカーへ販売したパソコンの価額(棚卸資産勘定)には、
パソコンメーカーが下請け会社へ部品を販売した時の売却益が含まれています。
しかし、税務上は、「パソコンメーカーから下請け会社への部品の販売」と、
「下請け会社からパソコンメーカーへのパソコンの販売」とは全く別の取引だ、という捉え方になるわけです。
パソコンメーカーが外部に製品を販売したかどうかは、税務上は全く関係ないのです。
販売先が外部だろうが外注先だろうが、製品が売れたら益金を捕捉する、売れなかったら益金は捕捉しない、
税務上はそう考えるだけだと思います。
企業会計上、それは利益の過大計上だと言われれば確かにそれはそうだと思います。
しかし、税務上はそれは益金の過大申告ではないのです。
むしろ、それは下請け会社への販売の際に現に実現した益金なのです。
「正しい利益額とは何か。」という問いには答えるのが非常に難しいと思いますが、
どちらかと言うと取引を全体像から捉える方が適切な場合がある企業会計と、1取引1取引単位で益金を捉えていくべき税務会計とでは、
利益の捉え方に大きな差異があるのだけは確かだと思います。

 

 



2015年7月3日(金)日本経済新聞
トヨタ新型株 発行価格1万598円 普通株より3割高
(記事)




2015年7月3日(金)日本経済新聞
トヨタ新型株、発行総額4991億円 個人投資家の需要旺盛 配当利回りは平均1.5%
(記事)



2015年7月3日(金)日本経済新聞
横河電 133億円を調達 金庫株、海外で売却
(記事)

 

2015年7月2日
横河電機株式会社
海外募集による自己株式の処分に関するお知らせ
ttp://www.yokogawa.co.jp/cp/ir/pdf/2015/20150702.pdf

 


2015年7月2日
横河電機株式会社
処分価格等の決定に関するお知らせ
ttp://www.yokogawa.co.jp/cp/ir/pdf/2015/20150702_2.pdf

 



【コメント】
トヨタ自動車株式会社が発行を計画している新型株式の発行価格が決まったようです。
この新型株式の資本市場での引き合いについてですが、記事には、

>関係者によると購入希望額は発行額の4〜5倍に達しているという。

と書かれています。
この新型株式は社債の性質が強いのが特徴であるようですが、
確かに元本の償還はなされるとはいうものの、それは元本の価額(≒額面金額)で償還されるという意味であって、
引き受け手の購入価額で償還されるという意味では決してないわけです。
トヨタ自動車株式会社は、この新型株式を1万598円で発行し、そして、償還の際は1万598円で償還する、というだけです。
証券の発行者が1万598円で発行すると言っている以上、引き受け手は、損をしたくないのなら、1万598円で購入するしかないわけです。
今後の受取利息の絶対額の合計額を考慮すれば、1万598円よりも少しだけ高い価格でであれば、
高い価格で購入しても損をするとは限りませんが、それでも配当利回り(受取利息÷元本価額)は平均1.5%ということですから、
発行価額を何十パーセントも上回るような価額で購入するとなりますと、受取利息を考慮しても損をしてしまいます。
発行価額の4倍も5倍も高い価額で買うとなりますと、大まかに言えば、
新型株式を5万円で買って1万円しか返ってこない、という状態になります。
新型株式自体はトヨタ自動車株式会社から買う(引き受ける)としますと、
元本は1万598円である以上、差額(購入価額−発行価額)は引き受け手からトヨタ自動車株式会社への寄附、
ということになるのではないでしょうか。
実務上は証券会社が購入窓口になっているでしょうし、新型株式の引き受け形態(買取引受なのか取り次ぎに徹しているのか等)なども
考慮しなければならないとは思いますが、細かい点は度外視しますと、
基本的・概念的には、引き受け手はこの新型株式を発行価額でしか購入できないのではないか、という気がします。
記事では、「株と名のつく債券」という表現がされていますが、
この新型株式については発行者が株式の買い戻しを約束しているということで、
償還価額が確定している以上、購入する際は発行価額(元本の価額)でしか購入できない、と考えるべきなのだと思います。
新型株式は5年後以降には普通株式への転換も可能となっているようですが、
それでも、株式の発行価額と引き受け手の購入価額が異なるというのは、意味不明と言いますか、
差額(購入価額−発行価額)は引き受け手からトヨタ自動車株式会社への寄附、という考え方になる気がします。
発行済の株式であれば、投資家同士でいくらでその株式を売買しようが全く自由であるわけですが、
会社が株式を新たに発行するという場合は、発行価額=引受価額(購入価額)でなければおかしいわけです。

 


実務そのものの話ではなく、やや概念的な話になりますが、会社が普通株式による公募増資を行うとします。
つまり、会社は株式市場で新普通株式を発行し、引き受け手は株式市場で新普通株式を購入する(売り手は会社自身)とします。
この時、株価は、すなわち、株式の発行価額は、需給関係によって決まると言えるわけです。
需要が旺盛なら、株価すなわち発行価額は上昇していく(会社が売値を上げる)でしょう。
逆に、需要が低迷するなら、株価すなわち発行価額は下降していく(会社が売値を下げる)でしょう。
しかし、そのいずれの場合にせよ、
発行される・売買される1株1株は全て、少なくとも発行価額=引受価額(購入価額)になっているわけです。
極端に言えば、発行される新普通株式の発行価額は全て異なる、ということになるわけです。
なぜ購入価額が投資家により異なるのかと言えば、投資家は将来株価は上昇するだろうと考えて株式を購入するわけですが、
その将来の予想株価が投資家によって異なるからです。
将来株価は100円まで上昇するだろう、すなわち、自分が今株式を購入すれば将来100円で売却できるだろう、と予想する投資家は、
今株式を100円未満の価格で購入するわけです。
株価は80円までしか上昇しないだろうと予想する投資家もいれば、120円まで上昇するだろうと予想する投資家もいるわけです。
その自分自身の予想株価との見合いで、投資家はいくらまでなら株式を購入する、と決めるわけです。
では、このたびトヨタ自動車株式会社が発行を計画している新型株式の場合はどうかと言いますと、
普通株式とは異なり、償還価額が先に決まっているわけです。
つまり、投資家が将来売却できる価格が先に決まっているわけです。
そうしますと、普通株式の場合とは異なり、投資家がこの新型株式を購入できる価格というのも必然的に決まってしまうわけです。
普通株式の価格は需要で決まるが、この新型株式は需要で価格が決まるわけではない、という言い方ができると思います。
その理由は、この新型株式の場合は将来の売却可能価格の予想値が投資家によって異なることはないからだ、ということになります。
結論としては、この新型株式の投資家の購入希望額が発行額の4〜5倍に達することなど絶対にあり得ない、ということになります。
株価は将来どれほど上下するかは分かりません。
しかし、償還価額ははじめから決まっています。
大まかに言えば、これが株式と社債との違いということになると思います。