2015年6月27日(土)


2015年6月24日(水)日本経済新聞
楽天の公募価格1905円50銭
(記事)



2015年6月24日(水)日本経済新聞 公告
発行価格等の決定に関するお知らせ
楽天株式会社
(記事)




2015年6月4日
楽天株式会社
新株式発行に関するお知らせ
ttp://corp.rakuten.co.jp/news/press/pdf/20150604_02_J.pdf

 

2015年6月23日
楽天株式会社
発行価格等の決定に関するお知らせ
ttp://corp.rakuten.co.jp/news/press/pdf/20150623_01_J.pdf

 

2015年6月26日
楽天株式会社
発行新株式数の確定に関するお知らせ
ttp://corp.rakuten.co.jp/news/press/pdf/20150626_J.pdf

 


【コメント】
楽天株式会社がこのたび計画している新株式発行に関して一言だけコメントします。
プレスリリースによりますと、
発行価格(募集価格)は「1株につき金1,905.5円」とのことであり、払込金額は「1株につき金1,826.92円」とのことです。
発行価格(募集価格)にも払込金額にも1円未満となる端数が生じている状態です。
楽天株式会社は、単元株式数が「100株」となっています。
つまり、新たに発行される株式を引き受けるにせよ、発行済の株式を取得・譲渡するにせよ、
楽天株式は100株単位で売買することになりますから、
100株単位で見れば結局発行価格(募集価格)にも払込金額にも端数はない、ということにはなるわけです。
では、1株単位で見た場合はと言いますか、
発行価格(募集価格)や払込金額に1円未満となる端数が生じること自体については、どのように考えるべきでしょうか。
以前、「新株式3株を合計100円で発行することはできるだろうか。」という論点について書きました。
新株式3株を合計100円で発行することにすると、1株当たりの発行価額は「33.33...円」となるわけです。
ただこの場合、会社は一度に3株新株式を発行しますし、同時に一度に100円の払い込みを受ける形になりますから、
”株式1株当たり”で考えることにはあまり意味はない、というふうにも言えると思います。
1株当たりで見ると1円未満の端数が生じる場合の発行の可否については、結局のところ「決済できるかどうかで決まる。」、
というのが1つの結論なのだろうとは思います。
「新株式3株を合計100円で発行する」場合、新株式を引き受ける株主の数が2人や3人であれば、
発行価額が端数になり決済ができません(端数は払い込みができない)ので、新株式は一切発行できませんが、
新株式を引き受ける株主の数が1人であれば、端数が生じず払い込みができますので、新株式を発行できる、
という考え方になるように思います。

 


ただ、以上の考え方は実務上(法律上)の考え方に過ぎないのかもしれません。
「株式1株1株は全て完全に独立している。」という株式の概念に照らして考えてみますと、
「新株式3株を合計100円で発行する」ことはできない、という結論にやはり行き着くと思います。
「株式は1株単位で発行される。」と考えなければならないのだと思います。
発行される新株式を、株主は、3株引き受ける場合もあれば100株引き受ける場合もあるというだけだ、
というふうに株式を捉えなければならないのだと思います。
株主はあくまで、1株単位で新株式を引き受けるのです。
3株や100株をまとめて引き受けるわけではないのです。
株主はあくまで、1株単位で会社に対して資本の払い込みを行うのです。
株主が何株引き受けるかによって、合計3株引き受け合計3株分の資本を払い込む場合もあれば、
合計100株引き受け合計100株分の資本を払い込む場合もある、というだけのことであるわけです。
別な言い方をすれば、株主が合計3株引き受ける場合は、株主は会社に対して合計3回資本の払い込みを行いますし、
株主が合計100株引き受ける場合は、株主は会社に対して合計100回資本の払い込みを行う、と考えなければならないわけです。
例えば、株主は従来より2株株式を所有していたとして、新たに3株株式を取得したとします。
今、株主は合計5株株式を所有しているわけですが、株主はこのうち4株だけを譲渡することができるわけです。
このような譲渡が可能であるためには、全株式は完全に無差別(区別が一切ない)であることが必要であるわけです。
株式を、何か一定数をまとめて取得したということや、一定数分をまとめて資本を払い込んで引き受けた、
という考え方をしてしまうと、株式が何かそれで1セットであったり、取得の仕方や引き受け方に株式が影響を受けてしまう、
という考え方につながってしまうでしょう。
取得方法や引受方法によらず、全株式は完全に無差別(区別が一切ない)だ、ということを担保するためには、
取得の際も引き受けの際も譲渡の際も、1株単位で株式を捉えていかなければならない、ということになると思います。
株式の取り扱いはあくまで1株単位、発行も引き受けも取得も譲渡も株式は全て1株単位、
この点について理解をしますと、
発行価格(募集価格)にも払込金額にも1円未満となる端数が生じてはならない、
という結論に行き着くと思います。