2015年4月26日(日)
2015年4月25日(土)日本経済新聞
アイフル最終赤字364億円
(記事)
2015年4月24日
アイフル株式会社
業績予想の修正に関するお知らせ
ttp://www.ir-aiful.com/data/current/newsobj-2457-datafile.pdf
「利息返還損失引当金」に関する解説記事↓
2009年10月19日
新日本監査法人
<業種に特有な会計及び税務処理シリーズ>
第3回: 利息返還損失引当金の会計処理と税務
ttp://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/industries/typical/pdf/accounting-tax-03-2009-10-19.pdf
日本公認会計士協会
[掲載日]2012年05月21日 [号数]37号
「業種別委員会報告第37号『消費者金融会社等の利息返還請求による損失に係る引当金の計上に関する監査上の取扱い』の改正について」
の公表について
ttp://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/37_4.html
>消費者金融の利用者が過去に払い過ぎた利息(過払い金)の返還額が予想ほど減らず、引当金を大幅に積み増す
ことが原因だと書かれています。
プレスリリースには、利息返還請求件数を踏まえ、利息返還損失引当金の大幅な積み増し(利息返還損失引当金の多額の繰入)を行い、
同時に、利息返還に伴う債権放棄に係る引当金(貸倒引当金)の戻入れの処理を一定額行う予定だ、と書かれています。
これはいわゆる”過払い金の返還”といったトピックスになろうかと思います。
「利息返還損失引当金」については、上で紹介しています「第3回: 利息返還損失引当金の会計処理と税務」が
解説としては一番詳しいのではないでしょうか。
また、日本公認会計士協会からも、関連する実務指針(監査上の取扱い)が発表されています。
詳しい解説は上記の説明資料や発表資料を読んでいただくとして、
私としては、「利息返還損失引当金」について、純粋にまた別の会計学的な観点からそして法理上の観点から私見を述べたいと思います。
私は決して消費者金融会社等の関係者ではないのですが、
この”過払い金の返還請求”というのは、そもそも根本的に話としておかしいのだと思います。
まず適用される法律の話をしますと、
「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(いわゆる「出資法」)の範囲内にはありながら、
利息制限法の上限を超えて収受したいわゆる「グレーゾーン金利」がここでは問題になっているわけですが、
当時、問題となっている消費者金融会社等は法律上はその「グレーゾーン金利」分も適法な利息として受け取ってよかったわけです。
利息を受け取っていた当時の法律の話をすれば、当時の貸金業法43条により、
「グレーゾーン金利」は法律上は完全に適法であったわけです。
ですから、法律の話をすれば、消費者金融会社等には「グレーゾーン金利」を返還する法的義務は実は全くないのです。
念のため書いておきますが、この貸金業法43条は2009年12月19日に廃止されましたので、
現在ではこの「グレーゾーン金利」は違法になります(金利は利息制限法の範囲内まで)。
以上が法律上の話です。
次に、法理的な話を一言だけします。
以下の話では、いわゆる出資法や利息制限法やグレーゾーン金利の話は一切度外視します。
つまり、出資法や利息制限法やグレーゾーン金利など一切なく、当事者は全く自由に金銭の貸借を行ってよいとします。
この時、貸付人は過去に受け取った利息を支払った借入人に返還するということなどあり得るでしょうか?
金銭の貸借を実施する際、借入人はその金利による利息の支払いを貸付人と同意したわけです。
逆に、貸付人はその金利による利息の受け取りを借入人と同意したわけです。
その金利に不満があるのなら、借入人は貸付人からお金を借りなければよいわけですし、
また、貸付人は借入人にお金を貨さなければよいわけです。
どちらか一方でもその金利に不満があるのなら、金銭の貸借は合意に至らないはずです。
お互いがその金利に納得をした、だから、貸付人と借入人は金銭の貸借に合意をしたのではないでしょうか。
金銭消費貸借契約を締結し、金銭の貸借を実施した後は、つまり、金銭消費貸借契約が効力を発生した後は、
貸付人は借入人にもっと多くの金利を支払えとは請求できませんし、
借入人は貸付人にもっと少ない金利だけを支払いたいとは請求できません。
このことは何も金利の大小だけではなく、元本の返済期日や金額に関しても同じことが言えます。
金銭消費貸借契約を締結し、金銭の貸借を実施した後は、つまり、金銭消費貸借契約が効力を発生した後は、
貸付人は借入人に返済期日よりも早期に元本を返済せよとは請求できませんし、
借入人は貸付人に返済期日をもっと後の日に遅らせたいとは請求できません。
さらに、金銭消費貸借契約を締結し、金銭の貸借を実施した後は、つまり、金銭消費貸借契約が効力を発生した後は、
貸付人は借入人に元本金額よりももっと多くの金額を返済せよとは請求できませんし、
借入人は貸付人に元本金額よりももっと少ない金額だけを返済したいとは請求できません。
それが「お互いが納得をした約束」というものではないでしょうか。
借入人は、その金利に納得をしたのです。
納得をしたから、金銭の貸借に至ったのです。
したがって、貸付人が過去に受け取った利息を借入人に返還するということなど、法理的にはあり得ないのです。
それで、以上見ましたように、法理的には貸付人が過去に受け取った利息を借入人に返還するということなどあり得ないものですから、
会計処理までおかしくなるわけです。
仮に、貸付人が過去に受け取った利息を借入人に返還するとなりますと、「その返還とは何か?」の説明が付かないことになりますので、
貸付人の側も借入人の側も、会計処理の行いようがない、ということになるわけです。
敢えて言うなら、貸付人から借入人への寄附金ということになるのかもしれません。
確かに、借入人からすると支払い過ぎた利息の返還を受けただけ(税務上は過去の損金算入額がその分多かった)、と考えられますし、
貸付人からすると受け取り過ぎた利息の返還を行っただけ(税務上は過去の益金算入額がその分多かった)、と考えられますので、
利息の返還に関しては、借入人にとっては益金算入、貸付人にとっては損金算入というふうに考えれば、
取引トータルで見れば、両者のそれぞれの課税所得額は、結果としてプラスマイナスゼロ(過大でも過少でもない)、
ということにはなるのかもしれません。
しかし、やはり、「その利息の支払いは過去の時点で既に完了していた」のも事実であるわけです。
過去の時点において、お互いが納得をした利息の支払い・受け取りを現に行った、
だから、貸付人は受取利息を現に計上(益金算入)しましたし、借入人は支払利息を現に計上(益金算入)したわけです。
それが結局のところ利益(益金)や費用(損金)の「確定」、ということではないでしょうか。
利益(益金)や費用(損金)の計上額は、それぞれの意思に基づいているのだ、という言い方をしてよいと思います。
他の言い方をすれば、利益(益金)や費用(損金)の計上のためには、当事者の確たる意思が必要だ、ということになります。
ここでもまた、法理と会計とがバックグラウンドで概念的に結び付いているわけです。
法理上当事者の意思がある、だから、それを会計上計上してよいのだ、という法理と会計のつながりが背景にあるわけです。
逆から言えば、よく分からない(当事者の意思が不明確な)お金は、受け取ってもいけませんし支払ってもいけないのです。
なぜなら、それこそそのお金は相手に返さないといけないかもしれないからです。
相手の意思が不明確なお金は、企業会計上利益とするわけにはいきませんし、税務上益金とするわけにはいかないのです。
相手の意思がなければ利益や益金の金額が「確定」しない、ということになるわけです。
確定決算主義ということばがありますが、決算の金額は全て自分と相手方との意思に裏打ちされていなければならないのです。
全ての金額が自分と相手方との意思に裏打ちされている、だから、決算が確定するのです。
意思に基づいている、だから、確定するのです。
紹介した資料を読むと、現行税法上は、利息返還損失引当金の繰入についての取扱いも、理論的にはおかしいようです。
法理的なことを言えば、取引の実施(益金や損金の計上)は既に完了してしまっているわけですから(過去の課税所得額は既に確定している)、
過去の取引を相殺する(過去の益金額や損金額を減少させる)ような考え方自体が本来はない、と理解しなければなりません。
その理由をやや極端に言えば、過去の取引と今現在の取引とは関係がないからだ、と言っていいと思います。
過去の取引と今現在の取引とは関係がない、だから、課税所得額の相殺や企業会計上の利益額の相殺などないのです。
コンピューターのデータであれば
restore(元に戻す、回復させる)ということが可能だと思います。
しかし、当事者の意思や計上した(すなわち一旦確定した)損益は、restore も
reverse(取り消しや戻し入れ) もできないのです。
Did you agree to the interest rate you would pay, didn't you?
あなたは支払うことになる金利に納得をしましたよね?