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2015年4月17日(金)


2015年3月13日(金)日本経済新聞
東京ドーム44%減益 今期最終
(記事)



2015年3月12日
株式会社東京ドーム
平成27年1月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
ttp://www.tokyo-dome.jp/news/pdf/20150312150008-002-128.pdf

 


【コメント】
記事には、2016年1月期の連結純利益が前期比44%減になる見通しである理由として、

>設備の除却損など10億円強の特別損失も見込む。

と書かれています。
2015年3月12日に株式会社東京ドームが発表した決算短信には、2016年1月期(次期)の見通しとしては、
除却損については何も書かれていません。
ただ、2015年1月期(当期)の「財政状態に関する分析」として、

>固定資産については、有形固定資産の減価償却が進んだ他、耐震工事に伴い後楽園ホールビルの一部資産を除却しました。
>その結果、固定資産合計は、2,806億6千5百万円(前年同期比9億3百万円減)となりました。

と書かれています(8/68ページ)。
決算短信の損益計算書を見ますと、株式会社東京ドームは前期も当期も「固定資産除却損」を計上しています。
株式会社東京ドームは、営業施設の変更又はアトラクションの入替等といった形で、
毎年のように一定度の設備を除却しているということなのだと思います。
固定資産除却損の内容は以下のようになっています。


連結財務諸表に関する注記事項
(連結損益計算書関係)
固定資産除却損の内容
(30/68ページ)

 



資産の除却に関してなのですが、資産の除却は資産単位で行わなければなりません。
それも、除却を行う場合は、その資産の価額全額、ということになります。
つまり、資産の価額の一定額のみを除却する、という考え方は全くないわけです。
会計上、除却は行うか行わないかしかないわけです。
この点、いわゆる減損は除却とは異なります。
減損は、資産の価額の一定額のみを減損する(こともできる)、という考え方になります。
もちろん、この会計処理方法の違いは、それぞれの会計処理を行う原因が本質的に異なるからです。
除却は、今まで使用していたものが不要となったため有形固定資産を事業の用途から外す、
ということが除却という会計処理を行う原因です。
一方、減損は、設備投資の失敗や災害、事故等により、固定資産の収益性が低下し、
投資額の回収が見込めなくなった状態になってしまった、
ということが減損という会計処理を行う原因です。
除却は、文字通りその固定資産は事業でもはや使用しない、ということが会計処理の前提と言えます。
一方、減損は、その固定資産をその後事業で活用するかどうかは相対的には関係なく、
純粋に資産の価額の回収可能性だけに着目した会計処理であると言えます。
その資産を売却することを決定し、売却価額が低いため保守主義の原則の観点から売却損失を減損損失として早期に計上する、
という場面であれば、その資産はその後事業で使用しないことがある意味前提となっているとも言えますが、
どちらかと言うと、減損を行う時というのは、基本的にはその資産はその後も事業で活用することが前提だ、と言っていいと思います。
税法上は、固定資産除却損はそのまま全額が損金算入されます。
一方、資産の減損損失は、税法上は全く損金算入されません。
その理由を税法の観点から言えば、
取り壊した(もしくは完全に事業で使用不可能となった)か否かは基準としてが明確だが、
回収可能性が低下したというだけでは、まだ損失額が確定していないということも含め、基準としては明確ではないからだと思います。
減損は、債権者保護のみを目的としている会計処理方法だ、という言い方をしてもいいのだと思います。

 

The disposal of an asset should be made for each asset.
It means that the amount of a disposal loss on an asset is always the full amount of the asset.

資産の除却は資産単位で行わなければなりません。
つまり、ある資産の除却損の金額は、常にその資産の価額の全額だ、ということです。