2015年4月4日(土)
2015年3月31日(火)日本経済新聞
■インド国営火力発電公社(NTPC) 株主に債券無償割り当て
(記事)
27th Mar, 2015
NTPC Ltd.
Largest ever Bonus Debenture Issue of Rs
10307 crore by
NTPC
ttp://www.ntpc.co.in/en/media/press-releases/details/largest-ever-bonus-debenture-issue-rs-10307-crore-ntpc
【コメント】
インド国営火力発電公社(NTPC)が、社債券を株主に無償で割り当てた、という記事です。
プレスリリースの第一段落のみ訳してみます。
>NTPC Ltd. has issued, by way of bonus, one fully paid-up, secured
debenture of Rs. 12.50 each,
>for every one fully paid-up equity share of
Rs. 10 held by its shareholders.
>This is the largest ever Bonus Debenture
Issue of Rs 10307 crore in India
>and the issue created the largest
Debenture holders base of over 7 lakh investors thus adding depth to debt
market.
【参謀訳】
インド国営火力発電公社(NTPC)は、特別ボーナスとして、
弊社の株主様に所有されている全額払い込み済みの持分株式10ルピー1株に対し、
1口12.50ルピーの担保付社債を発行いたしました。
これは、10307クローレ(1030.7億ルピー)という、インドで過去最高の特別ボーナスの社債発行であり、
この発行により、700,000人を超える投資家からなる最大の社債券保有者層が誕生することになり、
その結果、負債市場は深さを増すことになります。
2つ並べて書かれてあるわけですが、一文目の"by way of bonus"と"one fully
paid-up"が矛盾していると思いました。
"by way of
bonus"だと、「特別ボーナスとして、無償で」といった意味でしょうし、
"one fully
paid-up"だと、「社債券を引き受けた投資家は全額を払い込んだ」といった意味になるでしょう。
記事の内容を参考にして、"one fully
paid-up"は誤植だと判断し、ここでは「特別ボーナスとして」とだけ訳しました。
株式会社が株主に対し社債券を無償で割り当てるというのは、あり得ない事だと言いますか、それは株主へのただの寄附なのだと思います。
インド国営火力発電公社(NTPC)は、今後10年間に渡り、株主に対し利息の支払いと元本の償還という2つの寄附を行っていく計画だ、
と言っているようなもの(将来の寄附行為の約束を対外的に堂々と発表しているようなもの)でしょう。
しかも、寄附であれば、寄附を行う者の自由意思で行うわけですが、この場合は、
社債券の発行という形になっていますので、会社は「寄附を行う義務を負っている」という、完全に意味不明な状況が生じています。
「借りたお金を返すことを約束する」なら意味は分かりますが、「寄附を行うことを約束する」というのは意味不明ではないでしょうか。
寄付というのは、行わないならそして行えないなら、行わなくてよいものです。
債務を弁済することは、必ず行わなくてはならないことです。
会社は「寄附を行う義務を負っている」という状況というのは、
それは自主的な寄附なのかそれとも義務的な債務なのか、説明が全く付けれられない状況であると思います。
端的に言えば、株主に限らず、社債券を誰かに無償で割り当てるということ自体があり得ない、と言わねばならないと思います。
会社側の仕訳
@社債券発行時の仕訳
(仕訳なし)
A社債券の利息の支払い時の仕訳
(寄附金) xxx / (現金) xxx
B社債券の元本の償還時の仕訳
(寄附金) xxx / (現金) xxx
株主(新社債券保有者)側の仕訳
@´社債券取得時の仕訳
(仕訳なし)
A´社債券の利息の受け取り時の仕訳
(現金) xxx / (寄附金) xxx
B´社債券の元本の償還時の仕訳
(現金) xxx / (寄附金) xxx