2015年3月27日(金)


2015年3月27日(金)日本経済新聞
OKI優先株の消却決議
(記事)



2015年3月26日
沖電気工業株式会社
自己株式(A種優先株式)の消却に関するお知らせ
ttp://www.oki.com/jp/ir/filing/2015/f15004.pdf

 


【コメント】
このたび沖電気工業株式会社が消却した自己株式(A種優先株式)とは、
A種優先株主からの取得請求により普通株式の交付と引き換えに沖電気工業株式会社が取得したA種優先株式です。
つまり、沖電気工業株式会社のA種優先株式の取得価額は文字通り0円なのです。
法律上(会社法上)は、確かに、沖電気工業株式会社は発行済のA種優先を取得し普通株式を新規に発行しているわけですが、
会計上は、沖電気工業株式会社は発行済のA種優先を無償で取得して普通株式を新規に無償で発行した、という見方はしません。
どう言えばいいか分かりませんが、会計上は特段の会計処理は行わない、と言えばいいでしょうか。
正確に言えば、結局のところ、法律上(会社法上)も、
沖電気工業株式会社は発行済のA種優先を無償で取得して普通株式を新規に無償で発行した、という見方はできないのだと思います。
なぜならば、沖電気工業株式会社は発行済のA種優先を無償で取得したと考えますと、
法理的にやはり、既存のA種優先株主にはA種優先株式償却損失が計上されてしまう(所有株式の価額は0円になる)からです。
そして、沖電気工業株式会社は普通株式を新規に無償で発行したと考えますと、
法理的にはやはり、旧A種優先株主=新普通株主の普通株式の取得価額は0円、ということになってしまうからです。
旧A種優先株主=新普通株主が所有している株式の価額は旧取得価額から0円に変わる、ということは、
おそらく取引上想定されていないことだと思います。
つまり、旧A種優先株主=新普通株主が所有している株式の価額に変動はない、ということを取引上想定していると思います。
つまり、種優先株式の価額と普通株式の価額は同じなままだ、ということを取引上想定していると思います。
そうしますと、この取引では、A種優先株式が普通株式へと何か機械的に変わる、というふうに考えることになると思います。
そのことを他の言葉で、株式の「転換」と呼ぶのだと思います。
本来は、ある証券が他の種類の証券に変わるということは概念的にあり得ないわけですが、
優先株式が普通株式へと変わるという文脈では、「転換」という概念を用いて、価額は同じなまま証券の種類だけが機械的に変わる、
という考え方を行っているわけです。
本来は、価額は同じなまま証券の種類だけが機械的に変わるという考え方はありません。
この点は、合併の際、価額は同じなまま消滅会社株式が存続会社株式へと機械的に変わる、という取り扱いにそのまま当てはまる論点です。

 


参考までに、A種優先株式の取得と消却に関する沖電気工業株式会社とA種優先株主の仕訳を書きます。
一定の価額を持ったある資産について、2者(ここでは会社と株主)で取引を行っているのに、
一方は一定の仕訳を切っているのに他方は仕訳を全く切らない、というのは、やはり取引としておかしい、ということではないでしょうか。
より話を一般化して言えば、次のようになります。
目に見えるある有体物(例えば鉛筆)が他の有体物(例えばボールペン)に変わるということは絶対にあり得ないでしょう。
株式の場合も有体物の場合と全く同じであり、ある株式が他の株式に変わるということは本来あり得ないわけです。
ただ、証券は有体物ではないので、「転換」ということが考えられるのではないか、と思ってしまうだけなのです。
株式というのは概念的なものなので、他の種類の株式へ変更することができるかのように感じてしまうだけなのです。
結論だけ言えば、株式の「転換」は考えられはするわけですが、物についての本来の考え方とは相容れない部分があるのは確かでしょう。

 

過去、沖電気工業株式会社が自己株式(A種優先株式)を取得した時の仕訳

(仕訳なし)


過去、沖電気工業株式会社が自己株式(A種優先株式)を取得した時の株主の仕訳

(沖電気工業普通株式) xxx / (沖電気工業A種優先株式) xxx

 


2015年3月27日の沖電気工業株式会社の自己株式(A種優先株式)の消却に関する仕訳

(仕訳なし)


2015年3月27日の沖電気工業株式会社の株主の自己株式(A種優先株式)の消却に関する仕訳

(仕訳なし)