2015年3月24日(火)


2015年3月24日(火)日本経済新聞
OKI、営業益18%増 今期320億円 中国でATM伸びる 優先株すべて転換
(記事)


 


【コメント】
今日は、昨日のコメントに追記する形で、益金・損金の発生場所について一言だけ書きたいと思います。
沖電気工業株式会社の「事業内容」は、電子通信・情報処理・ソフトウェアの製造・販売、ということで、
ATMや業務用プリンタが沖電気工業株式会社の主力製品となっているわけです。


商品・サービス(沖電気工業株式会社)
ttp://www.oki.com/jp/products/


こちらのページを見る限り、沖電気工業株式会社では、勤怠管理に使ういわゆるタイムレコーダーは製造していないようです。
それで、なぜタイムレコーダーの話をしているのかと言えば、
実は私の学生時代のアルバイト経験が、このたびの益金・損金の発生場所の議論と関係があるからなのです。
私は学生時代、ある塾でアルバイトをしていたのですが、複数の教室を掛け持ちで授業をしていました。
その時の勤怠管理についてなのですが、塾の各教室にはタイムレコーダーが当然設置してあったわけですが、
私は同時に複数の教室を掛け持ちで授業をしていたため、私のタイムカードの管理・運用がその際問題になったわけです。
私には当初、タイムカードを1枚のみ塾の方から渡され、その1枚のタイムカードを出勤の際常に持参し、各教室で打刻するように、
と言われたわけです。
タイムレコーダーは全教室で共通の機械であったので、その1枚のタイムカードには全教室で当然打刻できたわけです。
その1枚のタイムカードには、Aという教室に出勤した際に打刻した日時もあれば、別のBという教室に出勤した際に打刻した日時もある、
といった具合に、複数の教室の打刻がなされていたわけです。
私は最初、塾という雇用者は1人であり私という被雇用者も1人なのだから、これで何の問題もないのだろうと思いました。
勤務場所(教室)が日によって異なるというだけであり、雇用者と被雇用者の雇用関係には何の問題もないのだろうと思いました。
結論だけ言えば、その塾ではそれでアルバイト代が支払われなかったなどといった問題は一切ありませんでした。

 



しかし、その後、別の塾でアルバイトを始めた際、それまでの習慣で、私はいつもの通りタイムカードを持ち帰ろうとしました。
すると、私は室長から注意を受け、タイムカードは各教室で管理しますので、持ち帰ってはいけません、と言われました。
私はその時、言われてみればそれは確かにそうだよな、と思いました。
一般化して言えば、これは勤務場所毎に被雇用者の勤怠管理は行わなければならない、ということだと思います。
雇用者と被雇用者の雇用関係は1つなのだから勤怠管理で使うタイムカードも1枚だ、というふうに考えるのではなく、
各勤務場所毎に被雇用者の勤怠を管理する必要があるのだろうと思いました。
この勤怠管理方法には労務管理に関する各種法令上の理由もあるのかもしれませんが、
別の見方をすれば、賃金は各勤務場所毎に発生する、という見方・把握の仕方をしなければならないのではないだろうか、と思いました。
たとえ雇用者は同一の1人なのだとしても、「被雇用者が労務を行った勤務場所」と「賃金の発生場所」とは
1対1に管理・把握をしなければならない、という労務に関する法理があるように思いました。
最初の塾での話に即して言えば、「Aという教室での労働と賃金」と、「Bという教室での労働と賃金」とは
区別して管理・把握しなければならない、ということなのだと思います。
雇用者と被雇用者は同一の人物であり、雇用者と被雇用者の雇用関係は1つなのだとしても、です。
アルバイト代は、勤務を行った全教室分をまとめて、1度に支払う・受け取ることになりますので、
その点だけを捉えれば、複数の勤務場所で勤務をしようがタイムカードは1枚のみでよいのではないかと思えますが、
「労務を行った場所」、そして、「賃金の発生」、といった見方・捉え方をしますと、
労務を行った場所毎に賃金は発生するのだから、労務を行った場所毎に勤怠管理は行わなければならない、
という考え方に行き着くのだろうと思います。
以上の私の学生時代のアルバイト経験そしてそこから学び得た「場所の概念」を踏まえますと、
益金・損金の発生に関しても、各場所毎に管理・把握しなければならないのではないか、と思うわけです。
「会社は1つだ」、「法人としてはあくまで1つだ」、「同一の1人の商人が行っている商行為だ」、
という益金・損金の捉え方をするのではなく、
たとえ法律上は同一の1人(商号としては1つ)なのだとしても、「商人が商行為を行った(所在)場所」と「益金・損金の発生場所」とは
1対1に管理・把握をしなければならない、という税務に関する法理があるように思うわけです。
この考え方を踏まえますと、「商号」と「商号の場所」とも1対1に対応していなければならない、ということになり、
したがって、法理上は、「支店開設は商法上認められない。」という結論に行き着くように思います。
タイムカードを勤務場所毎に分けないといけないように、商業帳簿も商号の場所毎に分けないといけない、ということだと思います。
では支店毎に帳簿を作成すればよいのではないか、と思われるかもしれませんが、それでは既に会社が複数あることと同じになるでしょう。
支店の帳簿など概念的・法理的にはない、というふうに理解しなければならないのだと思います。
会社に商業帳簿は1つだけ(したがって、会社に支店などない)、というふうに理解しなければならないのだと思います。
仮に支店を開設したければ、完全に独立した1つの会社として支店を開設(設立)するしかない、ということになると思います。