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2014年11月18日(火)



2014年11月18日(火)日本経済新聞 公告
発行価格等の決定に関するお知らせ
株式会社ベクトル
発行価格等の決定に関するお知らせ
平和不動産リート投資法人
発行価格等の決定に関するお知らせ
常和ホールディングス株式会社
(記事)



 

2014年11月17日
株式会社ベクトル
発行価格及び売出価格等の決定に関するお知らせ
ttp://cdplus.jp/company/download/220394/18568.pdf

 


2014年11月17日
平和不動産リート投資法人
新投資口発行及び投資口売出しに係る価格等の決定に関するお知らせ
ttp://www.heiwa-re.co.jp/site/file/tmp-M4SEr.pdf

 



【コメント】
株式会社ベクトルは、発行価格の根拠については以下のようになっています。

>1.発行価格及び売出価格の算定
>(1) 算定基準日及びその価格 平成26 年11 月17 日(月) 1,733 円
>(2) ディスカウント率 3.00 %


平和不動産リート投資法人は、発行価格の根拠については以下のようになっています。

>1.発行価格及び売出価格の算定
>(1) 算定基準日及びその価格 平成26 年11 月17 日(月)
>(2) 算定基準日の投資口価格(終値) 90,700円
>(3) ディスカウント率 2.50 %

 


平和不動産リート投資法人のプレスリースには、少し妙なことが書かれています。

>算定基準日現在の株式会社東京証券取引所における本投資法人の投資口の普通取引の終値から
>1口当たり予想分配金1,684円を控除した上で算出しています。

しかし、その計算式に何の意味があるのでしょうか。
予想分配金1,684円は確定した数値ではないので、何かの算出に際し控除して考えることに意味はありません。
また、ディスカウント率もどちらかというと結果として算出される(ディスカウント率に明確な基準はない)ものです。
予想分配金とディスカウント率の両方の性質を踏まえますと、

(直近の終値-予想分配金)×(1-ディスカウント率)=発行価格(売出価格)

という計算式自体に意味がないわけです。

 



ただ、分配金のページを見ますと、分配金を控除しているのにはある考えがあってのことかもしれないな、とは思いました。

分配金
ttp://www.heiwa-re.co.jp/ja_cms/ir/dist.html

次回の分配金は、平成26年11月期(第26期)であり、基準日は2014年11月30日です。
一方、このたびの公募による新投資口発行の払込期日は2014年12月1日です。
つまり、このたびの公募により発行される新投資口の引き受け手は、平成26年11月期(第26期)の分配金を受け取れないわけです。
したがって、新投資口の引き受け手に不利にならないように、予想される分配金の金額分は発行価格から控除する、と考えたのかもしれません。
その考え方は何となく意味は分かるのですが、論理的にはやはり正しくありません。
まず、平成26年11月期(第26期)の分配金は、2014年11月30日の投資主に支払われるものです。
この分配金の支払いは、2014年11月30日の投資主にとっては正当な権利に基づく受取分配金というに過ぎず、
その前後に発行される新投資口の発行には何ら影響を与えるものではないわけです。
また逆に、新投資口の発行価額は分配金の受取額(支払額)には何ら影響を与えるものではないわけです。
発行価格から予想分配金を引き算しても、会社の調達金額が減少するだけで、何の意味もないわけです。
確かに、予想分配金を控除した分、引き受け手の投資口の取得価額は小さくなりますので、引き受け手に有利になると言えば有利になるのですが、
それは単純に発行価格を小さくすれば済む話であり、その控除額に予想分配金の金額との理論的関連性はないわけです。
例えば、投資口を簿価で発行する場合であれば、分配金の支払後、投資口の簿価は小さくなりますから、
分配金を控除した価額で新投資口を発行するということには合理性があるわけですが、
時価で投資口を売買している場合ですと、分配金を支払っても時価は小さくなりませんから、
直近の終値から予想分配金を控除することには、理論的には意味はない(時価と分配金との間に整合性・関連性は全くない)わけです。
また、直近の終値から予想分配金を控除しても理論的には意味はないということと関係があることですが、
予想分配金の控除と共に、ディスカウント率という考え方を行っていることも、理論的には十分な説明は付けられない部分だと思います。
率直に言えば、ディスカウント率には理論的根拠は全くありません。
また、発行価格の算定基準日(2014年11月17日)の時価と、新投資口の払込期日(2014年12月1日)の時価とは異なるわけです。
そうすると、ディスカウント率という考え方をしないとしても、厳密に言えば時価で新投資口を発行することはできない、
という言い方になると思います。
本当に厳密に時価発行増資をしようと思えば、会社自身が市場で新投資口を売却することしかないと思います。
時価がある状況下での新投資口の発行価格とは何か、という問いには答えはないように思います。
時価は常に変わるのです。
発行価格にプレミアムもディスカウントもないのではないでしょうか。
より正確に言えば、時価に説明は付けられない、ということだと思います。

 


もしくは全く別の見方になりますが、特に利益の内部留保ということを考えますと、新投資口を発行して資金調達をするくらいなら、
はじめから分配金は支払うべきではない、という言い方もできるでしょう。
戦前の株式会社制度のように、利益の内部留保はできない場合であれば、
株主へ配当金を法的義務として支払いつつ、資金調達のために増資をする、という場面もあったと思いますが、
戦後の株式会社制度であれば、利益の内部留保が行えますから、
資金調達のために増資をするのであれば、配当金は1円も支払わない、という考え方になると思います。
会社の手許現金量を考えれば、増資をしつつ配当金を支払うのは矛盾であるわけです。


If the expected dividend is one of the bases of something, the future stock price may be the firm ground of something, too.

予想分配金が何かの基準になるのなら、将来の株価も何かの確かな根拠であると言えるのでしょう。

 

 

 



昨日のコメントに一言だけ追加をします。
昨日、パナソニック プロダクションエンジニアリング株式会社の資本金の額の減少に関して、

>減資をしないままに、つまり、株式の数を減少させないままに、会社が出資を受けて会社が利益を計上しても、
>その利益は累積損を作った既存の株主の方にも減資前と同じだけ帰属してしまいます。

と書きました。
この点について一言だけ追加で説明をします。
結論だけ先に書きますと、既存株主の株式数を減らすこと自体は実は本質的には重要ではありません。
なぜなら、会社の発行済株式総数を減らしますと、「1株当たりの資本額」がその分増加しますので、
新たな出資者が引き受ける際の発行価額もその分大きくなるからです。
要するに、重要なのは、減資そして増資後の「各株主の持株比率(特に既存株主と新たな出資者の持株比率)」であって、
所有株式数の多寡はあまり関係がない、ということです。
所有株式数に関してのみ言えば、減資を行って株式数を減らしますと、新たな出資者が引き受けることになる株式数も相対的に減りますし、
逆に、減資を行わずに株式数を減さないままですと、新たな出資者が引き受けることになる株式数もそれだけ多くなる、
というだけなのです。
最終的な「各株主の持株比率(特に既存株主と新たな出資者の持株比率)」は、減資を行っても行わなくても、実は全く同じなのです。
各株主に帰属している利益とは、各持株比率に応じて帰属している利益という意味でしょう。
会社の累積損という点では減資を行うか行わないかは決定的に異なるわけですが、
減資を行うか行わないかは各株主の最終的な持株比率には影響を与えないのです。
しかし、ここで注意が必要な点がありまして、それは上場企業における減資です。
上場企業において減資を行いますと、既存株主の株式数は減少するのですが、市場株価は切り上げられないのです。
そうすると、株主の資産価値というのは、減資により間違いなく減少してしまうわけです。
非上場企業の場合は、減資を行いますと、既存株主の株式数は減少するのですが、「1株当たりの資本額」がその分増加しますので、
株主の資産価値には影響を与えない、ということになるのです。
新たに出資をする側からすると、会社に累積損がないことが重要であるわけですから、どちらにせよ、
「私の増資前に減資は必ず行って下さい」、というお願いはするわけですが、株式の発行価額を簿価に基づく場合は、
減資は行っても行わなくても、最終的な各株主の持株比率に影響は与えないわけです。
非上場企業で減資を行う場合は、株式数を減らすことでなく、会社の累積損をなくすことに大きな重点があると言えます。
上場企業の場合は、皮肉なことに、株式数を減らすだけで、株主責任を問うたことになるわけです。

 


実は、昨日コメントを書きながら私の中にあった設定は以下のようなものになります↓。


【設例】
株式数は100株で常に一定。
1株当たりの払い込み金額は1万円。
資本金の金額は100万円で常に一定。
累積損が90万円あるとする。
ここで、減資を実施するのだが、株式数と資本金の金額を一定に保つため、新たな出資者からの増資も同時に実施する。
資本金の額を90%(90万円)減少させ、そして、株式数を90%(90株)減少させる。
同時に、新たな出資者に1株当たり1万円で、合計90株、新株式を引き受けてもらい、資本金の金額を90万円増加させる。
これで、新たな出資者による増資により、会社は減資前と全く同じ状況(ただし、累積損のみなくなっている)となった。


債権者から見た会社の状況を変えないことが大切だ、と思ったわけです。
法理的には、資本金の額を減少させるという考え方自体がない(資本金の額を減少させるというのは株式会社制度の根幹に反する)わけですし、
また、証券が消える(株式数が減少する)ということ自体が実はないわけです。
ただ、減資を所与のものとして考えるなら、その意味合いについては昨日のように説明できないことはないわけです。
それで、1株当たりの払い込み金額は減資・増資前後で一定でなければならないな、と昨日はコメントを書きながら思ったわけです。
それで、増資の金額も、1株当たりの払い込み金額は1万円、と考えました。
以上のような設定を設けますと、「既存株主の株式数を減少させる」ということが極めて重要になるわけです。
なぜなら、新たな出資者の株式の引受価額は、1株当たりの資本額ではなく、「1株当たり1万円」だからです。
以上のような設定を設けますと、全株主にとって株式の価値・価額は全て1株1万円ですし、また、減資により、
既存株主は累積損を作ってしまった分責任を取ったことになります(既存株主が過去に払い込んだ合計90万円・全90株はパーになった)。
既存株主の持株比率は10%、新たな出資者の持株比率は90%です。
この場合、仮に、株式数を減少させないで、「1株当たり1万円」で新株式を発行するとおかしなことになります。
なぜなら、既存株主の所有株式数は100株であり、新たな出資者の所有株式数は90株となるからです。
仮に株式数を減らさないで増資をする場合は、新株式の発行価額は「1株当たりの資本額」となります。
「1株当たりの資本額」で新株式を発行する場合は、「1株当たりの資本額」は1千円ですので、
増資後は、既存株主の所有株式数は100株であり、新たな出資者の所有株式数は900株となります。
この場合も、既存株主の持株比率は10%、新たな出資者の持株比率は90%です。

 



話が分かりづらくなっていると思います。
分かりづらくなっている理由は、株式の発行価額だと思います。
ここでは、
「1株当たりの払い込み金額は1万円」
で一定であると想定しているわけです。
なぜそのような想定を行っているのかと言えば、株式と資本金との関係を変えたくなかったから、と言えばいいでしょうか。
特に戦前の株式会社制度が漠然と頭にあると思っていただけると、私が何を言いたいか、理解できるかもしれません。
戦前の株式会社制度においても、通常の増資の際、1株当たりの発行価額に制限はなかった(増資毎に発行価額自体は異なってよい)と思いますが、
それでも、株主割当増資を行うことによって、全株主で1株当たりの引受価額・取得価額は必ず同じであったわけです。
全株主で1株当たりの引受価額・取得価額は必ず同じであることも、株主平等(の原則)の1つということではないでしょうか。
このことを考えますと、いわゆる減資を行い同時に増資を行う場面では、
既存株主の1株当たりの引受価額・取得価額と新たな出資者の1株当たりの引受価額・取得価額とは、同じでなければならない、
と思うわけです。
ただし、減資により減少した既存株主の株式については、その「1株当たりの引受価額・取得価額」の算出においては度外視されますが。
累積損の解消、いや、正確に言えば、資本金の減少と同時に相当する株式も消滅した、と考えるわけです。
このように考えると、全株主で1株当たりの引受価額・取得価額を一定(ここでは1株1万円)に保とうとしている
理由が分かるのではないでしょうか。
累積損があろうとなかろうと、株式の価額は、1株当たりの資本額で見るのではなく、
常に「1株当たりの資本金額」で見る、と考えるわけです。
仮に、会社に累積損がある場合は、既存株主の責任において解消しなければならない、という考え方になるわけです。
ただし、その場合、減少させることができる資本金額は、株式と資本金との関係を考えれば、「1株当たりの資本金額」の整数倍のみになります。
しかし、1株しか所有していない株主のことを考えればわかるように、
株式の数を減少させると共に資本金の金額を減少させるという考え方がない(減少させたくてもできない)、ということになると思います。
減資と同時に実施する増資の場合は、株式と資本金との関係を踏まえ、新株式の発行価額は、
減資前の「1株当たりの資本金額」と同じでなければならない(=結果、当然増資後も同じ1株当たり資本金額になる)、と思うわけです。
このような減資・増資の方法により、会社は何も変わらない状態になる(既存株主が責任を取り累積損がなくなったのみ)、と思うわけです。

 



減資というのは、厳密にどのような法律行為・会計処理であると捉えればいいかは、難しいと思います。
例えば、既存株主は所有している株式の一部を会社に無償で贈与し、会社はその贈与を受けて、
贈与を受けた株式数分資本金を取り崩し、利益(ただし税務上は無税)とする、そしてその利益で累積損を解消する、
といった具合に考えことはできると思います。
このように考えると、株式の減少割合と資本金の減少割合とは連動していることになると思います。
しかし、各株主の1株当たりの取得価額・1株当たりの会社への出資額は皆異なるわけですから、1株当たりの責任額は異なることになります。
株主が平等に責任を取るということであれば、1株当たりの責任額も同じでなければならないようにも思います。
戦前の株式会社制度のように、利益の内部留保がないと想定すると、
減資の際、1株当たりの責任額=1株当たりの資本金額=全株主の1株当たりの取得価額、
ということになり、株主は平等に責任を取ったことになると思います。
もちろん、減資の考え方そのものが、債権者保護の観点に反しています。
株式会社制度では資本金のみが債権者の頼りですから、資本金の金額を減少させることは法理上は認められないであるわけですが。
ここでは、戦前の株式会社制度において資本金の額の減少があったとすると、と想定・空想してみました。
その場合、減資そして増資の前後で、資本金の金額に変動はあってはならないように思いましたし、
株式数にも変動があってはならないと思いました。
会社は累積損のみがなくなっている状態でなければならないな、と思いました。
資本金の金額を減少させるという考え方自体がないというのが、株式会社における元来の考え方であろうと思いますが、
既存株主の責任で累積損を解消するという考え方はあってもいいように思いました。

今日は全体を通して上手く書けなかった部分が多く、上手くまとめ切れていませんが、今日はこれで終わりたいと思います。
株主平等の原則を徹底しようと思えば、全株主で株式の1株当たりの取得価額は同じでなければならない、
というところまで話がさかのぼるな、と思いました。
株式の価額とは資本金の価額である(株式の価額そのものが変動することはない)、と考えることが一番理論的整合性が高いと思いました。