2014年9月27日(土)
【コメント】
You can say anything about revenue recognition between this, that,
and the other.
Therefore, the revenue recognition in accordance with
cash-based accounting is the most objective standard.
収益認識について、ああだともこうだといやこっちだとも言えてしまうではありませんか。
ですから、現金主義会計に基づいた収益認識が最も客観的な基準なのです。
The stupid think of an upside as a downside.
There is no time to cope
with.
バカは何とでも言う。
いちいちかまってなどいられるか。
2014年9月27日(土)日本経済新聞
■CFSコーポレーション 今期単独税引き益12億円
(記事)
201年9月26日
株式会社CFSコーポレーション
業績予想の修正に関するお知らせ
ttp://www.cfs-corp.jp/corp/img/topics_pdf/pdf1_450.pdf?PHPSESSID=056c5c85e0520ffc0c70aa94cfe8578e
【コメント】
A potential sale at the price lower than its book value should be
recorded as an impairment loss.
(簿価よりも低い価額での売却予定については、減損損失として計上せねばなりません。)
記事には店舗の減損損失について書かれてあり、プレスリリースには事業構造改革費用について書かれています。
会社が保有している資産が今後回収が不可能であると見込まれる場合には、資産に関し減損損失を計上せねばなりません。
また、事業構造改革に関連して今後現金支出が見込まれる場合には、現金支出に関し引当金を計上せねばなりません。
私は以前、店舗などに関して簿価よりも低い価額で売却することが確定している場合は、
店舗売却損失引当金を計上すべきだ、と書いたような気がしますが、今から思うとそれは間違いです。
店舗に関して簿価よりも低い価額で売却することが確定している場合も、店舗減損損失を計上すべきだと思います。
理由は、店舗を簿価よりも低い価額で売却することに伴う損失額は現金流出額を表すわけではないからです。
その時のコメントでは、店舗を継続して使用する場合は店舗に関し減損損失を計上し、
簿価よりも低い価額で売却することが確定している場合は店舗売却損失引当金を計上すべきだ、と書いたと思います。
今現在の私の考えでは、これらは間違いだったと思っています。
訂正したいと思います。
それで話は変わりますが、明治期の株式会社の利益概念においては、減損損失や引当金を計上することはどう考えればよいでしょうか。
戦後の法人所得税では、減損損失や引当金を計上しても、税法上損金算入されません。
したがって、会社で減損損失や引当金を計上した場合は、課税所得の計算上、企業会計上の利益額と税法上の所得額に差異が生じます。
では明治期の株式会社の利益概念(及び税制)の場合はどうであったかと言いますと、
減損損失や引当金を計上しますと会社の当期利益が減少する、という影響があるわけです。
それはイコール、出資者の課税所得が減少することを意味するわけです。
なぜなら、会社の当期利益が減少することは株主への配当金額が減少することを意味するからです。
資産売却価額が法的に確定している場合や今後の現金支出額が法的に確定している場合を除けば、
減損損失や引当金には当然見積もりの要素が含まれます。
所得税法から見れば、出資者は減損損失や引当金を恣意的に計上し当期利益を減らすことで、利益を株式会社内に隠匿しようとしている、
と見えるかもしれません。
この点について考えてみますと、
「明治期の株式会社の利益概念においては減損損失や引当金を計上することはできなかった」
ということになると思います。
これは、戦後の税制とは異なり、明治期の株式会社の利益概念では、会社の利益と課税所得とが直接的にリンクしていることが原因です。
明治期の株式会社では、損益計算自体が税法(所得税法)に完全に沿っていなければならなかった、と言っていいわけです。
損益計算に関する商法独自の考え方(利益算出方法)のようなものは、税法(所得税法)の定めから結果として認められなかったわけです。
費用や損失はできる限り早く計上すべき、という考え方自体は時代を問わず債権者保護の観点に資するのは確かだと思います。
株主に対する配当ということで利益(現金)が社外に流出してしまうよりは、
費用(損失)計上してしまった方が現金が社外に流出しない分、債権者にとって有利なのです。
これは戦後の株式会社制度でも明治期の株式会社制度でも全く同じことでしょう。
社内にある現金額が同じなら、当期利益額は少ない方が債権者にとって有利である、と言えばいいでしょうか。
減損損失も引当金計上もそれ自体は現金支出を伴わないことから生じる会計上のちょっとしたトリック(錯覚)であるわけです。
戦後の株式会社制度でも明治期の株式会社制度でも、他の条件が同じなら配当金額は少なければ少ないほど、債権者にとって有利なのです。
戦後の株式会社制度でも明治期の株式会社制度でも、株主への現金流出額は少ない方が債権者にとって有利なのは全く同じなのです。
このことは戦後、結果として、商法において債権者保護の観点を強化させた、と言えるのかもしれません。
明治期の株式会社制度では、商法においても会計処理に関しては債権者保護の観点は相対的には希薄であったのだと思います。
なぜなら、会計処理方法は所得税法で一意に決まるからです。
ところが、戦後の株式会社制度では、「株式会社独自の利益計算」ということが認められることになるわけです。
戦後の株式会社制度では、会社の利益計算は会社自身のための利益計算であると表現でき、
必ずしも株主のための利益計算ではなくなったわけです。
法人所得税そのものは法人所得税法に従い算出し支払うのものの、それと株主の利益とは関係がなくなってしまったのです。
配当可能な金額というのも、所得税法からは離れ、商法で独自に算出するようになったわけです。
そこで求められるのは、より保守的な会計処理方法ということになると思います。
法人所得税の導入により、所得税法ではなく会社が配当金額を決定できるようになったのです。
商法上、資本金制度に加え、さらなる債権者保護の考え方が重視されるようになったのは自然な流れだったのでしょう。
会計処理方法に関しては、より保守的な会計処理方法が求められることになりましたし、
おそらくそこではじめて減損損失や引当金という考え方が商法に出てきたのでしょう。
私は今まで何回も”減損の考え方は明治三十二年からある”などと書いてしまっていましたが、
実はこれは大間違いであったのでしょう。
明治三十二年商法には減損の定めはなかったのでしょう。
「回収が見込めない場合は資産勘定の減損を行うべし」との定めは、戦後、法人所得税の導入と同時に定められたものだったのでしょう。
この点については、お詫びし訂正したいと思います。
自分の不勉強を恥じる次第です。
引当金についての定めも同様かと思います。
引当金計上に関する定めも、戦後、法人所得税の導入と同時に定められたものだったのでしょう。
ついでに言えば、あの「企業会計原則」も戦後、法人所得税の導入と同時に定められたものだったのでしょう。
「企業会計原則」の制定・発表は、昭和24年7月9日(経済安定本部企業会計制度対策調査会中間報告)とのことです。
一方、法人税法の改正(法人所得税の導入のことだと思います)は、昭和25年のことです。
私が漠然と”戦後”と言っているのは、より具体的には昭和24、25年のことを指していることになります。
法人所得税の導入に伴い、税法も商法も企業会計関連法規(証券取引法も)も、この時期根本から大改正が行われたということだと思います。
そういうわけで、今日も明治期の株式会社について書いてみました。
明治期と戦後では、会計処理方法についての基本的な考え方すら違ってきてしまう部分があるなと思いました。
保守的な会計処理や債権者保護という考え方も、実は戦後に生まれたものという側面が強いのだろうと思いました。
明治期の株式会社制度では、債権者保護は資本金制度のみ、ということだったのだろうと思います。
法人所得税の導入は会社と株主とを非常に多くの点で切り離してしまった、ということなのだろうなと今日改めて思いました。