2014年8月26日(火)
2014年8月25日
北越紀州販売株式会社
三菱製紙販売株式会社との経営統合に向けた基本合意書締結について
ttp://www.hokuetsu-kishu-hanbai.jp/common/pdf/info-2014082501.pdf
2014年8月25日
三菱製紙販売株式会社
北越紀州販売株式会社との経営統合に向けた基本合意書締結について
ttp://www.mitsubishi-kamihan.co.jp/corporate/pdf/140825_news.pdf
2014年8月25日
北越紀州製紙株式会社
三菱製紙株式会社
販売子会社の経営統合(合併)に向けた基本合意書の締結について
ttp://www.hokuetsu-kishu.jp/pdf/OSIRASE/20140825_release01.pdf
ttp://www.mpm.co.jp/company/news/pdf/2014/20140825.pdf
2014年8月26日(火)日本経済新聞
JT、自社株買い実施せず 今期 1株利益、目標達成見通し 海外の値上げで国内補う
(記事)
【コメント】
利益剰余金は毎期全額を株主に配当する場合は、当然自社株買いの原資自体がないわけですから、
根本的に自社株買いは実施できない、ということになるでしょう。
ただ、自社株買いというのはそもそも株式会社の概念や成り立ちに反することですので、
会計理論上は、期中に自社株買いの原資としての利益剰余金があったとしても、どちらにせよ自社株買いはできません。
株式を買い戻す(払い戻す)ということ自体が、株式会社では概念的に全く前提とはしていないわけです。
平成13年に旧商法が改正され、自社株買いは実施可能になってしまったわけですが、個人的には望ましくない改正であったと思いますが、
それでもその原資は繰越利益剰余金(当時は次期繰越利益と呼んでいました)のみとされただけ、まだましだったと思います。
自社株買いの原資が繰越利益剰余金(次期繰越利益)なのは当たり前なのではないかと思われるかもしれませんが、
「出資という行為と株式とは一体のもの」(出資と株式とは一体不可分、出資を表象するものがそもそも株式)という見方をする場合は、
自社株買いの原資は資本金でなければならないわけです。
株式を払い戻すということは、資本金を払い戻すということです。
繰越利益剰余金(次期繰越利益)を原資に株式を払い戻すということの方がむしろ根本的におかしい、ということになるわけです。
株式を払い戻すという行為をどう見るのかで、その原資そのものが変わってくるわけです。
もちろん、株式を払い戻すという行為自体がそもそも株式会社の概念に反するわけですが。
資本金というのは、
最低でもこれだけの価額は会社の財産として社内に維持・拘束し、万一会社倒産時はこの価額を債権者の債権の弁済に充てます、
と言って株主が債権者のために会社に払い込んだ証なのです。
株主は債権者のためにこれだけの義務を果たしました、ということを表示しているものが資本金です。
株主が債権者のために果たさないといけない義務そして果たし終わった義務は、まさに資本金以上でも資本金以下でもないわけです。
義務を果たし終わった証であるその資本金を株主が引き上げる(払い戻しを受ける)というのは、完全に債権者保護の観点に反するわけです。
履行した義務はどこへいった?、という話になるわけです。
いや、「履行し終わった義務を取り消す」というようなことが概念的にあるのかどうか。
資本金の金額を減らすということは、「履行し終わった義務を取り消す」というようなことでしょう。
民法上の契約であれば解約はあるでしょうが、出資に解約はないでしょう。
株主が会社へ出資することを解約することは、商法理論上、認められないわけです。
債権者の利益保護のため、その解約は商法制が禁止していると言えるでしょう。
そういう意味では、株主に帰属している繰越利益剰余金(次期繰越利益)を原資に株式を払い戻すことは、
債権者保護の観点から言えば、債権者の利益は害していないとは言えるでしょう。
少しだけ民法の話をすれば、民法上も、契約の履行に着手した後は契約を解除できないわけです。
それは概念的に当たり前のことと言えるでしょう。
タイムマシンに乗って契約の履行に着手する前に戻らなければ、解除のしようがないわけです。
有料サイトなどを思い浮かべれば分かると思いますが、契約を解除する場合は新しい契約期間に入る前に解除しなければならないわけです。
新しい契約期間に入った後は、もうその契約は解除できないでしょう。
民法で解釈される「契約の履行に着手した後は契約を解除できない」とはこういう意味です。
商取引における商品の売買でも、通常は返品はできないでしょう。
返品とは、商品の売買契約をその履行後に解除するということです。
それは通常はできないことでしょう。
ただ、一般消費者を相手とする小売店の場合などは、特約のような形で、「返品の場合は〜」と別途規約を設けているというだけのです。
そういうわけで、「履行し終わった義務を取り消す」ということはできないと言えるかと思います。
「義務を取り消す」という時点で意味がよく分からないかとは思いますが。
出資というのは株主にとって義務であることから、ここでは「義務を取り消す」という表現を敢えて使いました。
出資を株主にとっての義務であると考えるならば、果たし終わった義務を取り消すというようなことはできず(義務は果たして終わりでしょう)、
また、出資を会社への資本の払い込み(出資は株主が現金を払い込むという会社との契約)であると考えても、
その契約の解除(=株式の払い戻し)は商法理論上認められない(商法制が禁止している)ということになり、
このどちらの見方をするにしても、資本金を原資とした自社株買いは認められない、ということになろうかと思います。
最後になりますが、記事の最後には、
>JT法で新株の発行が難しいため、消却はせずにM&A(合併・買収)などに活用していく
と書かれています。
JT法に何と書かれているのかは知りませんが、自己株式は消却してもしなくても、会社外部に発行できる株式数に変化はありません。
なぜなら、自己株式を消却すると確かに発行済株式総数は減少しますが、発行可能株式総数に変化は全くないからです。
自己株式を消却してもしなくても、その後社外に発行できる株式数は全く同じです。
【コメント】
「会社が計上した利益は毎期全額を株主に配当金として支払う場合」は、常に「株式の価額=資本金の金額」です。
したがって、全株主の株式1株当たりの取得価額は全く同じ(全取得価額は1株当たりの資本金額に比例した金額)になります。
この場合であれば、ROEにも意味はあるでしょう。
ROEはこの場合、「当期純利益額÷資本金額」です。
「当期の利益÷株主が払い込んだ金額」とイコールです。
また、「当期の利益÷株主の株式取得価額」と表現してもよいでしょう。
これは純粋に株主が払い込んだ資本(事業の元手)でどれだけの利益を稼いだかを表しているわけです。
全株主の(1株当たりの)株式の取得価額は同じだからROEに意味が出てくるわけです。
この場合のROEであれば、ROEの数値が大きければ大きいほど立派な経営を行った、というふうに判断できます。
ROEの数値の毎期毎期の趨勢分析にも意味があります。
分母が変動しないからこそこのROEには意味が出てくると言えるでしょう。
株式は金銭債権や債券のように証券の一つに過ぎないと見なす状況下では、株式に含み損益は全くありません。
株式に含み益はない理由は、全ての利益は既に株主に分配されてしまっているからです。
この状況下での株式の公正な価額は、異議は一切唱えられることなく、常に資本金と完全に同じです。
では、含み損はどうでしょうか?
資本の欠損すなわち計上した当期純損失に対しては、株式勘定を合理的に会計処理することは全くできません。
究極的なことを言えば、株式勘定は貸借対照表に計上できません。
それはつまり、法人(特に株式会社)は株式を取得したり所有したりは一切できない、ということです。