2014年8月4日(月)



2014年6月11日(水)日本経済新聞
■オンキヨー ティアック株を売却
(記事)




2014年6月14日(土)日本経済新聞
■オンキヨー 今期10億円の最終黒字
(記事)


 

2014年6月13日
オンキヨー株式会社
特別利益の発生および平成27年3月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ
ttp://www.jp.onkyo.com/ir/ir_pdf/20140613_JQIR_tokueki&syusei.pdf

 

2014年6月10日
オンキヨー株式会社
当社所有株式の一部売却および特別利益の発生に関するお知らせ
ttp://www.jp.onkyo.com/ir/ir_pdf/20140610_JQIR_teac_stock.pdf

4.  売却方法
(2/2ページ)

 


【コメント】
オンキヨー株式会社は保有しているティアック株式を売却する方針なのですが、
その売却方法は、証券会社を通じたブロックトレードによる売却を予定している、とのことです。
検索してみますと、「ブロックトレード」という株式売却方法については、次のようなページがありました。

 

東京証券取引所
証券用語
ブロックトレード(ぶろっくとれーど)
ttp://www.tse.or.jp/glossary/gloss_h/hu_blocktrade.html

>証券会社を通じて、大口の注文を相対で行う取引のことをいいます。
>執行コスト軽減のため、立会外取引などを利用することが多いようです。.

 

三田証券株式会社
ブロック取引・市場外取引
ttp://mitasec.com/products/block_trade.html


ブロック・トレードのご案内(パンフレット)
ttp://mitasec.com/pdf/download/blocktrading.pdf

>ブロック・トレードとは、同一銘柄を、一度に、大量に売却/購入する取引のことを言います。
>同一銘柄を、一度に、大量に売却/購入する場合、市場で取引を行うと、
>自らの注文がマーケット・インパクトとなって当該銘柄の価格を大きく上下させてしまうことがありますが、
>当該銘柄の購入/売却を希望する特定の投資家を事前に探し出し、時間外・市場外でクロス取引を行うことで、
>価格変動の影響を抑えながら株式の売買を行うことが可能になります。

 



「ブロック・トレード」とは、これらの記述を基にして簡単に要約しますと、
一定規模以上の株式数をまとめて売却したい場合に証券会社が売却相手を探してきてくれること(そして株式を売却すること)
を意味するようです。
投資家が証券会社に「銘柄」「数量」「希望売買価格」を伝えますと、
証券会社は独自のルートや提携証券会社を通じて取引の相手方を探してきてくれるようです。
三田証券株式会社のサイトには、”お客様がブロック取引のニーズをお持ちの場合、
取引相手を手分けして探し全力でブロック取引の成立に努めます”、といったことが書かれています。
何でも、”時価総額が小さい銘柄、流動性が低い銘柄等でも買い手又は売り手を探すことにも成功してきている”とのことです。

私が英国の証券会社にいた頃は、この種の取引のことは「Block Trade(ブロック・トレード)」とは言っておらず、
「Securities Retriever(セキュリティーズ・レトリーバー)」と言っていました。
証券取引の相手方を探し出し、相手方のところまで行き、そして買い注文を取って帰って来る、ということを行っていました。
私は英国在住の日本人のお客様方が担当でした。
会社の先輩からは「Retrieve!」(買い注文を行って取って来い!)と言われていました。
私は「Bow!」(わん!)と返事をし、日本人のお客様方のところへ行っておりました。
というのは全部冗談です。

 



「ブロック・トレード」についてまじめにコメントします。
英語の block は「ひとかたまり」という意味です。
ですから、「ブロック・トレード」と言うと、やはり一定規模以上の株式数をまとめて売買する、というニュアンスがあるのだと思います。
ただ、特に「証券会社を通じて」という文脈ですと、一定規模以上の株式数をまとめて売買するということだけではなく、
証券会社が売却相手を探してきてくれること(そして株式を売却すること)の意味合いが強いのではないだろうかと思います。
というのは、ただ単に特定の相手方と一定規模以上の株式数をまとめて売買するというだけなら、それはただの相対取引というだけでしょう。
立会外取引その他、何らかの市場外の取引において特定の相手方と株式を売買するというだけでしょう。
もちろんそれだけでもその取引のことを「ブロック・トレード」と呼んでもよいのだとは思います。
しかし、取引の相手方が既にいる場合は、証券会社を通す必要は全くないわけです。
上場株式を売買する時は法律上証券会社の口座を媒介にしなければならないという意味で売買の際は証券会社を通しているだけのことであり、
通常の上場株式の売買に際しては、証券会社自身はその売買には全くタッチしないわけです。
そこでの証券会社の役割というのは、純粋に投資家の代理人としての役割であり、
特段証券会社が取引相手を探すというようなことはしないかと思います。
投資家が株式の取引相手と出会う場がまさに株式市場なのではないでしょうか。
このことを考えますと、わざわざ「ブロック・トレード」という言い方をする場合というのは、
証券会社が積極的に株式の売買に関与する場合を特に指す、ということのような気がします。
この場合の「積極的に株式の売買に関与する」とは、
「証券会社が投資家に代わり株式の売却相手を探し出してきてくれること」という意味です。
ですので、「ブロック・トレード」には、単なる立会外取引や市場外取引という意味だけではなく、
「取引相手を探す」という意味が含まれると思います。
先ほどは冗談で書きましたが、「ブロック・トレード」には、やはり、
「retrieve」(買い注文を出す相手を探し出す(そして行って取って来る))という意味が含まれると思います。

 



こちらのページに、立会外分売とブロック・トレードとの違いが簡単に載っています↓。

松井証券 立会外分売
ttp://www.matsui.co.jp/service/houjin/bunbai.html

立会外分売もブロック・トレードもどちらも投資家間(既存株主と投資家間)の株式の売買なのですが、
主な差異は、立会外分売は「不特定多数の投資家に株式を売却すること」であるのに対し、
ブロック・トレードは「特定の投資家同士の取引」という点だと思います。
そして、株式の売却相手に関しては、どちらも売却計画当初は株式の売却相手は決まっていないという共通点がありますが、
立会外分売は「売主が市場で探す(株式購入希望者は証券会社へ申し込む)」という側面が強いのに対し、
ブロック・トレードは「証券会社が市場外で探し出す(特に購入しそうな大口投資家に対し勧誘する)」という側面が強いと思います。
どちらの場合も株式の購入希望者がいないことには株式の売却は進まないわけですが、
株式の取引形態は、立会外分売は「1(売主) 対 多(買主)」であるのに対し、
ブロック・トレードは基本的には「1(売主) 対 1(買主)」である、という違いがあるように思います。
いずれにせよ、私の理解では、「ブロック・トレード」とは単に大量の株式を立会外取引等で売買することではなく、
「証券会社が投資家に代わり株式の売却相手を探し出してきてくれること」という意味である、
というふうに理解しているところです。


インターネット上の解説記事を読みますと、「ブロック・トレード」には様々な意味合い・ニュアンスがあるようです。
文脈によってやや使われ方に違いもあるようです。
また、金融商品取引法には、「ブロック・トレード」について厳密な定義や規則があるようです。
法律の観点から、厳密に「有価証券の売出しに伴う引受け」と「ブロックトレード」との違いについて考察している記事もありました。
日本では「ブロック・トレード」とはこうであると法律で決まっている、ということであれば、
もちろんそれはそれでその定義や規則に従わなければなりません。
しかし、そういった条文の逐条解釈の話ではなく、条文としては直接的には記載されていない(明文の解説はない)ものの、
「それらの取引とはそもそも一体何なのか?」という取引実態論と言いますか、取引の本質的な部分について深く考えていきますと、
「ブロック・トレード」と、立会外分売や買取引受との本質的な違いは、
「ブロック・トレードの場合は証券会社が投資家に代わり株式の売却相手を探し出してきてくれること」にある、
と言えるのではないだろうかと思いました。
厳密な・正確な法律解釈論とは異なりますが、「ブロック・トレード」についての自分なりの理解を書いてみました。