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2014年8月3日(日)
東証、ジャパンケーブルキャストの上場承認を取り消し
東京証券取引所は10日、データ配信の専用プラットフォームサービス提供などを手掛けるジャパンケーブルキャスト(9415*J)の上場承認を
取り消すと発表した。同社が予定していた公募増資や株式売り出しが中止され、東証が上場規定に定める要件を満たせなくなったため。
ジャパンケーブルキャストは売り出し中止の理由について「当社コンプライアンス(法令順守)体制の有効性に関して確認すべき事項が
発見され、当該確認に時間を要するものと判断した」とのコメントを発表した。これに伴い「上場手続きの延期を決議した」としている。
当初は6月26日に東証マザーズに上場する予定で、5月23日に東証が上場を承認していた。主幹事は大和証券。
今後の上場手続きの再開時期についてジャパンケーブルキャストは「状況を見極めたうえで総合的に判断する予定」とするにとどめた。
(日本経済新聞 2014/6/10
15:27)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXNASFL100QV_Q4A610C1000000/
東証からのニュース 2014/06/10 更新
新規上場承認の取消しについて
-ジャパンケーブルキャスト(株)-
ttp://www.tse.or.jp/news/10/140610_b.html
2014年6月11日(水)日本経済新聞
■ジャパンケーブルキャスト 新規上場を延期
(記事)
2014年6月10日
ジャパンケーブルキャスト株式会社
募集株式発行及び株式売り出しの中止に関する取締役会決議のお知らせ
ttp://www.cablecast.co.jp/press/pdf/0179_20140610.pdf
2014年5月23日
ジャパンケーブルキャスト株式会社
東京証券取引所マザーズ市場への上場承認に関するお知らせ
ttp://www.cablecast.co.jp/press/pdf/0177_20140523.pdf
【コメント】
ジャパンケーブルキャスト株式会社は、諸事情により、「上場中止」となったようです。
端的に言えば、ジャパンケーブルキャスト株式会社の既存株主は、新規上場に合わせ保有株式を市場で売却していく計画であったわけです。
また、ジャパンケーブルキャスト株式会社自身も、新規上場に合わせ新株式を発行し市場で売却していく(増資をする)計画であったわけです。
東京証券取引所のサイトからは、ジャパンケーブルキャスト株式会社が上場するに際して提出した財務情報関連資料は
全て削除されているようです(EDINETにも何らの提出書類もありませんでした)。
インターネットで検索してみますと、上場計画時の企業情報が載っていまして、
様々な投資ファンドが大株主となっていた(上場は中止になりましたから今も同じ株主構成のままだと思います)ようです。
そして、大株主に対しては90日間のロックアップが課せられていたようでして、株価が公募価格の1.5倍で解除となる条件だったようです。
ジャパンケーブルキャスト株式会社の既存株主が新規上場に合わせ保有株式を市場で売却していくことは何らおかしくなく、
また、ジャパンケーブルキャスト株式会社自身が新規上場に合わせ新株式を発行し市場で売却していく(増資をする)ことも
もちろん何らおかしくはありません。
むしろ、既存株主は保有株式を売却し株式売却益を得ることが、そして、企業自身は資金調達を行うことが上場の目的とすら言えるでしょう。
ただ、ここで問題なのは、株式の価額なのだろうと思います。
既存株主が保有株式を市場で売却していくことに関しては、
株価はその時その時の投資家間の需給関係により決まるということで特段問題はない(通常の市場取引と全く同じと考えてよい)わけですが、
企業自身が市場で資金調達を行うこと(新株式を発行し市場で売却していくこと)に関しては、
投資家間の公平性を鑑みますと、新株式の発行価額(投資家からすれば株式の購入価格)の公正性が問題になると思います。
上場企業が新株式を発行し市場で売却していきますと、株価はこの「一つの新株式の発行」の期間中、変動(主に下落)し続けるわけです。
「一つの新株式の発行」であるならば、新株式の発行価額(投資家から見れば株式の購入価格)は
全て同一でなければならないのではないでしょうか。
自己株式の取得の際に実施する株式公開買付の逆のイメージになると思いますが、
市場の投資家は企業が発行する新株式を同一の価格で購入できないといけないわけです。
「1つの新株式の発行」で発行価格が複数あることは投資家保護の観点から言えばおかしいでしょう。
例えば時価発行増資とは言いますが、「ある一つの定まった時価(市場価格)」によって、上場企業は増資をせねばならないのです。
この点は、「投資家間の株式の売買」と「上場企業と投資家間の株式の売買」とで根本的に異なる点ではないだろうかと思います。
金融商品取引法は、金融市場全体に渡り広く包括的に証券取引に関し規制を設けている法律であろうと思いますが、
金融商品取引法の主眼は、どちらかと言うと、投資家(投資家間)ではなく、企業の方に強い規制を課そうとするものではないでしょうか。
金融商品取引法の趣旨・目的はもちろん投資家保護なのですが、
それはイコール企業の方に証券取引に関連して強い制約を課そうとしているものと言えるでしょう。
もちろん投資家は投資家を騙していいというわけではありませんが、
企業が投資家を騙すことは決して起こらないようにとの法目的はあろうかと思います。
そうしますと、投資家間の株式の売買は一定度の範囲内で自由(市場取引の結果による市場株価の決定も投資家の自由)であるわけですが、
企業と投資家との株式の売買には、投資家間で不公平が生じないように、
投資家保護に重点を置いた厳しい規制や考え方が必要になると思います。
投資間の株式の売買で市場株価がその間変動すること自体は問題ありませんが、
企業が新株式を発行し市場で売却していく場合は全て同一の発行価格でなければならない、ということになると思います。
万が一、「1つの時価発行増資」で株式の発行価額が異なるとなりますと、それは投資家保護の観点に反することになるでしょう。
It means that some investor bought new stocks at the low price and some
investor did at the high price,
notwithstanding that this new stock issue
during the concerned public offering period is one set in
all.
(つまり、低い価格で新株式を購入した投資家もいれば高い価格で新株式を購入した投資家もいる、ということです。
当該公募増資期間の新株式の発行はこれで1セットであるにも関わらずです。)
非上場企業の場合は「株主割当増資(株主割当てによる新株式の発行)」が唯一のと言っていい一番公平な増資(新株式発行)方法ですが、
「株主割当増資(株主割当てによる新株式の発行)」の場合は、
当然(手続きを考えれば必然的に)、新株式の発行価額(株主から見ると新株式の引受価額)は全て同一であるわけです。
非上場企業で実施されるこの「株主割当増資(株主割当てによる新株式の発行)」の手法・考え方を応用して考えてみますと、
上場企業においても新株式の発行価額(株主から見ると新株式の引受価額)は全て同一でなければならないのではないかと思いました。
と同時に、市場株価自体は日々変化し続けるわけです。
ですから、上場企業が増資をする際は、文字通りの市場取引(市場で順次企業が投資家へ新株式を売却していく)ではなく、
期間を設け「投資家に証券会社の方へ新株式購入の申し込みをしてもらう」ということが必要なのだと思います。
これもまた自己株式の取得の際に実施する株式公開買付の逆のイメージになると思いますが、
上場企業は市場外で増資をするというイメージになると思います。
その時の新株式の発行価額(株主から見ると新株式の引受価額)は基本的には直近の市場株価その他、市場株価を基準とした何らかの価額、
ということになると思います。
一番いいのは直近の市場株価そのものであろうとは思いますが、市場株価自体は日々変化し続けるわけですので、
新株式の引き受けの募集に際してはある一定の価格を便宜上決定する他ないと思います。
応募が少なく資金調達額が目標額に達しない場合は、新株式の発行価額(株主から見ると新株式の引受価額)を下げて、
さらなる新株式の引き受け手を募る、というようなことも実務上必要になるかもしれません。
市場株価自体は日々変化し続けるということがまさに原因ということになるわけですが、
市場株価と新株式の発行価額(株主から見ると新株式の引受価額)との関係は論理的にきれいに説明が付くものではないと思います。
新株式の発行価額(株主から見ると新株式の引受価額)を下げ過ぎると、簡単に市場で株式の裁定取引ができてしまうことにもなるでしょう。
例えば、公募増資期間中は株式の売買を停止する、という考え方もあるとは思います。
しかし、市場株価と新株式の発行価額(株主から見ると新株式の引受価額)とは基本的にはどうしても乖離します。
株式の売買を停止してもあまり解決にはならないようにも思います。
また、新株式への応募が少なく資金調達額が目標額に達しないことが明らかな場合は、増資自体を取りやめたいということもあるでしょう。
資金調達は中止し、設備投資計画その他、経営計画自体を見直さなくてはならないという事態もあり得るわけです。
そういったことを考えますと、市場株価への影響その他を考えますと、新株式への応募状況を踏まえた増資の意思決定ということも含め、
「投資家に証券会社の方へ新株式購入の申し込みをしてもらう」(市場外で増資をする)、
ということが必要なのではないかと思います。
上場企業の場合は、既存株主保護と投資家保護とはどちらにより重点を置かねばならないのかが必ずしも明確ではありません。
私は投資家保護の方だと考えますが。
また、現実的な増資方法として上場企業の場合は株主割当増資は実施不可能です。
さらに、市場株価というのは需給関係で決まるとは言いいますがそもそも値が決まるメカニズムについて合理的な説明は不可能であり、
なおかつ市場株価は日々変化し続ける、といったことを考えますと、
「上場企業における増資(新株式の発行)」自体、論理的にきれいに説明付けを行うことは全くできないように思います。
他の言い方をすれば、
「上場企業ではこのように増資(新株式の発行)を行えば良いのではないか」
という手法・方法・手続きが全く思いつかないわけです。
どのような手法・方法・手続きを採用しても、どこかに論理的矛盾や理論上の不都合や説明の付かない部分が生じるわけです。
悪く言えば、上場企業では理論上問題のない増資はできない、と言えようかと思います。
参考までに言いますと、非上場企業の増資方法は理論上は完璧な説明ができると思います。
株主割当増資の場合、全株主の新株式の引受価額は皆同じです。
新株式の引受価額は皆同じなら、株主は全て平等になるわけです。
It means that all the shareholders bought new stocks exactly at the same
price,
therefore definitely nothing unfair nor unequal exists
here.
(つまり、全ての株主が完全に同一の価額で新株式を取得した、ということです。
したがって、そこには不公平や不平等は断じて存在しないのです。)