2014年7月10日(木)



2014年7月10日(木)日本経済新聞
近鉄、個人向け社債300億円
■森ヒルズリート投資法人 分配金2280円に上方修正
▼トーメンエレクトロニクスへのTOB(日程決定) 買い手=豊田通商
(記事)



 

2014年7月10日(木)日本経済新聞 公告
公開買付開始公告についてのお知らせ
豊田通商株式会社
(記事)


2014年7月9日
豊田通商株式会社
株式会社トーメンエレクトロニクス株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
ttp://www.toyota-tsusho.com/press/upload_files/201407091530_jp.pdf

 


2014年7月9日
近畿日本鉄道株式会社
社債発行についてのお知らせ
ttp://www.kintetsu.jp/ir_news/news_info/140709%2084bond.pdf

 



近畿日本鉄道株式会社は来年2015年4月1日に持株会社制へ移行するようです↓。

 

2014年5月13日
近畿日本鉄道株式会社
純粋持株会社制移行に伴う会社分割に関するお知らせ
ttp://www.kintetsu.jp/kouhou/syokenkaiji/pdf/140513kaisyabunkatsu.pdf

 

2014年5月13日
近畿日本鉄道株式会社
商号の変更および定款一部変更に関するお知らせ
ttp://www.kintetsu.jp/kouhou/syokenkaiji/pdf/140513shougouhenkou.pdf


 

「純粋持株会社制移行に伴う会社分割に関するお知らせ」
(1)本件分割の日程
(2/9ページ)

 



会社分割の日程を見ますと、株主総会基準日は平成26年3月31日、分割承認株主総会は平成26年6月20日、
分割効力発生日は平成27年4月1日、となっています。
株主総会から持株会社以降まで随分間があいているな、では済まない法理上の問題があると思います。
問題点を率直に言えば、効力発生日の前に株主総会の基準日が来るというのは、絶対に認められないことでしょう。
簡単に言えば、その会社分割は一体誰が承認したのか、という話になるわけです。
少なくとも、平成27年3月31日現在の株主(効力発生日の直近の株主)の承認は取っていません。
要するに、平成26年3月31日現在の株主の承認では法的要件が不十分ではないか、と言いたいわけです。
法的要件が不十分というより、効力発生日が基準日の後となりますと、
もはや株主の承認を取っていないことに等しくなると思います。
効力発生日である「平成27年4月1日現在の株主は承認していない」と言えばいいでしょうか。
当たり前かもしれませんが、法理的には「本来は効力発生日の株主が承認をしなければならない」わけです。
ただ、株主総会招集の準備や実施までの実務上の調整のことが現実にはありますので、一定の日程的猶予があるだけなのです。
その猶予というのも、どんなに実務上のことを考えても、せいぜい基準日から3ヵ月以内でなければならないということになると思います。
効力発生日が基準日から遅くなれば遅くなるほど、株主が変わってしまうわけです。
株主が変わってしまうことは、株式譲渡の自由を踏まえれば、当然縛れないでしょう。
もちろん、基準日から効力発生日までは法的に株式譲渡の自由を制限する、すなわち、法的に株主が変わらないようにする、
ということも考えられるとは思います。
むしろ、基準日から効力発生日までは株主間で株式を譲渡してもその譲渡は法的に無効となる、
すなわち、基準日から効力発生日までの間の株式の譲渡は契約自由の原則の範囲を逸脱するものと考え、
基準日から効力発生日までの期間だけは株主間の私的な株式譲渡に法律(商法、会社法)が介入できる(その期間内の株式譲渡は法律上無効)、
と法に定めることはできるとは思います。
「基準日の株主と効力発生日の株主は同じでなければならない」という商行為上の要請は、株式譲渡の自由を超える事柄である、
と考えるわけです。
ただ、現行会社法上はこの点については明文の規定はないようです。
現行会社法では株主の同一性よりも株式譲渡の自由に重きを置いているということなのでしょう。
現行会社法の定めはともかく、効力発生日には既に意思決定を行った株主は株主ではないという状況はやはりおかしいわけです。
やはり理論上の一番望ましい定めは、基準日から効力発生日までの期間は株式の譲渡を法律で全面的に禁止する、だと思います。
少なくとも、効力発生日が次の株主総会の基準日をまたぐなど、株主の承認を取っていないことと同じではないでしょうか。
現実的には、非上場企業と上場企業とでは、株式譲渡の度合いが根本的に異なります。
上場企業の場合は、文字通り毎日株式が大量に売買され、1日で株式済株式総数を何倍も超える株式数が売買される銘柄も実際にあります。
しかし、非上場企業は正反対に、創業以来何十年も1株も売買されていない(株主が創業者から全く変わっていない)ということもあります。
この両者を「株式譲渡の自由はどれくらい保障されねばならないか」という尺度で議論してもあまり意味はないかもしれませんが、
少なくとも理論上は基準日から効力発生日までの期間だけは株式譲渡の自由は制限を受けるべきでしょう。

 



ちなみに、1日で株式済株式総数を何倍も超える株式数が売買される銘柄とは、例えばこちらになります↓。


株式売買高ランキング
ttp://www.nikkei.com/markets/ranking/stock/vol.aspx

「キャプチャー」


「沖電線のここ3ヶ月間の値動き」



本日2014年7月10日(木)、株式売買高ランキングは「沖電線株式会社」が1位でした。
本日の沖電線株式の売買高(出来高)は111,515,000株でした。
一方、沖電線株式会社の発行済株式総数はこうなっております↓。

日経会社情報
沖電線(株)
会社概要
ttp://www.nikkei.com/markets/company/gaiyo/gaiyo.aspx?scode=5815&ba=1

>発行済み株式数 38,990,870 (株)


沖電線株式会社の発行済株式総数は38,990,870株です。
つまり、今日1日で、沖電線株式は発行済株式総数の2.86倍(=111,515,000株÷38,990,870株)もの株式数が売買されたわけです。
今日の沖電線株式会社はやや極端にしても、多くの上場企業では発行済株式総数の何割にも相当するような株式数が毎日売買されています。
このような状況下で、基準日から効力発生日までの期間は株式の売買を法律で禁止する、と聞くと非現実的なのではないか、
と思われるかもしれません。
特に、このたびの近畿日本鉄道株式会社の会社分割の事例であれば、基準日から効力発生日まで丸1年株式の売買を禁止することになります。
上場株式というのは、いわゆる金融商品と言いますか、市場性が極めて高く、換金性が極めて高い有価証券、という位置付けかと思います。
それなのに1年間も株式の売買を禁止するというと、投資家保護の観点にも反する、という話にもなろうかと思います。
しかしそれでも、基準日の株主と効力発生日の株主とが異なっていることがそもそもの問題なのだ、と私は言いたいと思います。
上場企業では個々の株主の議決権割合は極めて小さいですので議決権行使という観点では現実にはあまり問題にならない論点かもしれませんが、
株式売買禁止が非現実的ならば、せめて基準日と効力発生日の期間をできる限り短くするよう、法的な要請が望まれるのではないかと思います。

 


最後に、「債務の譲渡」とは何かについて考えたいと思います。


(7)債務履行の見込み
(3/9ページ)


>各承継会社が承継する債務および義務については、重畳的債務引受の方法によるものとします。


債権譲渡はありますが、債務譲渡はないわけです。
この点については今までに何回か書いたかと思います。
私は今までのコメントでは、債務の譲渡などないが、もし債務を譲渡する場合は、
債権者はその債務者なら債務を弁済できると判断したからこそ商取引を行ったのだから、
債務を譲渡するようなことがもしあれば、元々の債務者が連帯してもしくは重畳的に債務を引き受けるようにすべきだ、と書きました。
このたびのプレスリリースには、重畳的債務引受との文言がありまして、その点では望ましいとは思います。
ただ、よく考えてみましたら、特に会社分割という場面ですと、分割する事業に関連する資産も一緒に譲渡するわけです。
そもそもの話をすれば、債務の弁済の根拠というのは、会社財産であるわけです。
会社財産を譲渡してしまっては、連帯も重畳的もないのではないでしょうか。
近畿日本鉄道株式会社は承継会社が承継する債務および義務については重畳的に引き受ける、と言っていますが、
債権者からすると、近畿日本鉄道株式会社は債務を引き受けたり保証したりする根拠を譲渡した、と見えると思います。
債務を譲渡した近畿日本鉄道株式会社自身が債務を引き受けたり保証したりするのでは全く意味がない、と債権者は思うかもしれません。
一部の資産負債(権利義務)だけであればまだよいのですが、
特にこのたびの近畿日本鉄道株式会社の事例では、文字通り全事業(全資産全負債)を分割するわけです。
近畿日本鉄道株式会社には弁済に充てるべき資産は何も残っていないわけです。
仮に、承継会社が承継する債務および義務について連帯してもしくは重畳的に引き受けるようとすれば、
分割会社ではなく全承継会社が連帯してもしくは重畳的に引き受けるようにしないと意味がない、ということになると思います。
近畿日本鉄道株式会社の定款にも、純粋持株会社は事業子会社の管理しかしないと書かれてあります。
全事業を分割した分割会社には、とても債務の重畳的引受などできないでしょう。
債務者に他に十分な資産があれば重畳的引受も可能と言えるでしょうし、また、
債務者に他に十分な資産があるのなら譲渡や債務保証などせずに債務者がそのまま弁済してしまった方が早いのでは、とも言えるでしょう。
究極的には、やはり、債務譲渡などない、というところに行き着こうかと思います。
この論点を一般化して言えば、次のようになるでしょうか。
”債権や他の資産に付随する形で債務を譲渡するというのは、元々の債務者はそれらの債務の保証を行う根拠を失うということです。”