2014年6月2日(月)



2014年6月2日(月)日本経済新聞
第一生命、米生保買収へ プロテクティブ 5000億円、保険で最大 海外展開を加速 売上高、日生並みに
(記事)




2014年6月2日(月)日本経済新聞
第一生命、上場転機に一気 米中堅を買収へ 国内生保、国際競争へ 経営体制変革急ぐ
きょうのことば 生保再編 リーマン危機で活発に
(記事)



2014年6月2日(月)日本経済新聞 グローバルオピニオン
米カーライル・グループ共同創業者 デビッド・ルーベンスタイン氏
首相は投資家と対話を
(記事)


2014年6月2日(月)日本経済新聞 広告
日経ビジネス 2014.6.2号
徹底研究 デュポン 200年永続企業が見る「メガトレンド」はこれだ! 脅威の事業選択眼
(記事)


 



2014年6月2日(月)日本経済新聞
相場操縦への対応 課徴金少額、抑止効果薄く 新たな取引形態、想定外
(記事)





2014年6月2日(月)日本経済新聞 公告
第65期決算公告
オリエント化学工業株式会社
モバイルゲームポイント残高の払戻しに関するお知らせ
株式会社コーエーテクモゲームス
iOS/Android専用通貨「LPコイン」の払戻しに関するお知らせ
株式会社コナミデジタルエンタテイメント
証券投資信託約款変更のお知らせ
アライアンス・バーンスタイン株式会社
(記事)

 



【コメント】
課徴金制度については詳しくはありませんが。
不正利得を没収するというのはそれはそれで適切な対応なのだろうとは思いますが、
問題なのは株式市場で相場操縦が行われたことそのことでしょう。
相場操縦により不正に利益を得たということは、株式を低い価格で買い高い価格で売ったということですが、
それは裏を返せば、高い価格で買った投資家が株式市場にいたということでしょう。
その投資家は不正に吊り上げられた価格で株式を高掴みをしたことになるわけです。
不正に利益を得た者への制裁も大切ですが、高掴みをさせられた投資家に対する救済策のようなことも大切だと思います。
高掴みした投資家にはその後株式市場において適正な価格で株式を売却させ、売却損分は課徴金からその投資家へ損失補填する、
というような案はどうでしょうか。
これなら、相場操縦により得をした者もいなければ損をした投資家もいない、ということになるのではないでしょうか。
要するに、相場操縦云々という話題では、不正に利益を得たということばかりがクローズアップされるわけですが、
その裏には損をした(高掴みをさせられた)投資家がいる、ということを忘れてはならない、ということを言いたいわけです。
そういう意味では、課徴金を課することではなく、相場操縦に対する抑止力を強める(相場操縦をやめさせることを優先する)というのは、
株式市場の健全化のためには正しい方向性であろうと思います。
課徴金を課することはあくまで対症療法です。
しかし、相場操縦が起こらないことは根治と言えるでしょう。

 



以上の議論と同時に思うことですが、そもそも相場操縦という考え方自体にも少しおかしなところがあるように感じます。
端的に言えば、その時々で変化する市場株価(時価)により株式を売買するという制度を導入しておきながら、
市場株価(時価)が操縦されたと騒ぐのはおかしい、と私は思うわけです。
株式はそもそも簿価で売買するものです。
市場株価(時価)で売買することにしている時点で、株式の価格はいくらでも変わります。
率直に言えば、公正な市場株価(時価)というのはないわけです。
市場株価(時価)がいくらからいくらに変化しようとも、その時々の売買が正しく成立したならば、
その時々毎にそれが正しい市場株価(時価)と見なされるわけです。
しかし、それが本当に公正な市場株価(時価)であるという根拠はどこにもないわけです。
要するに、はじめから簿価で株式を売買することにすれば、相場操縦など絶対に起こり様がないわけです。
なぜなら、どんなに需給が変化しようが虚偽の情報が流れようが、株式の価格は簿価のまま一定だからです。
株式の価格が全く変動しないのなら短期間に儲けようがありませんから、今でいう相場操縦に類する不正行為は行われないでしょう。
市場株価(時価)の導入と相場操縦の規制とが、私には何か矛盾にすら思えます。

それから、決算短信や業績予想や業績予想の修正が上場企業から発表されていますが、
これも広く言えば一種の相場操縦ではないでしょうか。
なぜなら、それらの数値は監査を受けていないからです。
監査を受けていない財務情報開示は全て、相場操縦と見なさなければならないのです。
監査を受けていない決算やさらには業績予想までも上場企業は発表してよいのなら、
そしてそれらにより市場株価(時価)が変動することを是とするのなら、
はじめから会計監査も確定した財務諸表の開示もいらないわけです。
「正しくない数値に基づいて市場株価(時価)が変動するのもまた市場株価(時価)だ」と言うのなら、そういうことになるでしょう。
株式の価値の判断基準となるのは「会計監査を受けた確定した財務諸表」のみなのです。
どんな情報でも判断基準になると言うのなら、この世に相場操縦などないはずです。
率直に言えば、一応暫定的な決算と言える決算短信はともかく、業績予想や業績予想の修正というのは、
実際の業績を当然反映していない文字通りの予想や推測に過ぎないわけです。
業績予想や業績予想の修正というのは、世間一般に言われていることとは正反対に、
むしろ発表してはならないことなのではないか、という気がします。
究極的には、株式というのは「会計監査を受けた確定した財務諸表のみに基づいて簿価で売買する」という点に行き着く気がします。

 

 



2014年5月30日(金)日本経済新聞
■サンドラッグ 自社株買い、上限260万株
■サントリー食品インターナショナル 社債登録2000億円設定
(記事)


 

2014年5月29日
株式会社サンドラッグ
特定の株主からの自己株式取得に関するお知らせ
ttp://contents.xj-storage.jp/xcontents/99890/a945cc2b/fb0a/4fd5/9671/ad6a462cbc64/140120140529075064.pdf

”売主追加議案の請求”とは?
(2/2ページ)

 


【コメント】
このたび株式会社サンドラッグは、当社の筆頭株主を取得先として相対取引による自己株式の取得を行うこととしたようです。
ただ、市場取引等以外の方法による自己株式取得には株主保護の観点から一定の規制が設けられているようです。
これはおそらく、株式に市場性があるのなら、全ての株主に株式売却の機会を与えなければならないとの考えが背景にあるのだと思われます。
プレスリリースには「株式1株を取得するのと引き換えに交付する金額の算定方法」についての記載があります。
ここでの自己株式取得についての規制とは、非常に大まかに言えば、市場性のある株式をある特定の株主から相対取引で会社が取得する場合、
「株式1株を取得するのと引き換えに交付する金額」が各種法令で定められた額を超える時は、
他の株主は、特定の株主に自己をも加えたものを株主総会の議案とすることを会社に請求できる、というものです。
簡単に言えば、会社がある特定の株主から高い価格で株式を買うという場合は、自分の株式も一緒に買い取るよう株主は会社に請求できる、
という定めが会社法にあるわけです(他の株主に買取請求権が発生するということです)。
会社法は、「株式の便乗押し売り」まで認めているようです、というのは冗談ですが。
私の造語ですが、「株式の便乗押し売り」は英語で、"Me-too" high-pressure stock-selling、とでも訳しましょうか。
このたび株式会社サンドラッグの特定の株主からの自己株式の取得では、相対取引ではありますが低い価格での自己株式の取得であるため、
他の株主に”売主追加議案の請求”を行う権利は生じないようです。

 



この定めについては2つ問題点があると思います。
1つ目は、この定めには会社の自己株式の取得を促進する効果があることです。
会社法は債権者保護を目的としているはずですが、株主に「株式の便乗押し売り」を行う権利を認め、会社財産の流出を活性化するとは、
本末転倒(債権者保護ではなく株主保護に力点を置いてしまっている)もいいところではないでしょうか。
まあそれを言うなら、そもそも会社の自己株式の取得を認めている時点で、と言わねばならないと思いますが。
2つ目は、1つ目の問題点と関連する論点ですが、会社が特定の株主から自己株式を取得する価格が高ければ高いほど、
俺も俺もと買取請求を行う株主がどんどん増加しかねない考え方・定めになっている点です。
逆に言えば、会社が特定の株主から自己株式を取得する価格が低ければ低いほど、買取請求を行う株主はどんどん減少するわけですが。
これはイメージとしては、株式公開買付による自己株式の取得に近いのかもしれません。
買付価格が高ければ高いほど、応募する株主は増加するでしょうし、買付価格が低ければ低いほど、応募する株主は減少するでしょう。
厳密な定めは読んでいないのですが、おそらく会社が特定の株主から相対取引で自己株式を取得する場合は、
株式公開買付でいう上限のようなものはないのだと思います(他の株主が買い取れと言ったら全て買い取らねばならないと思います)。
何と言いますか、株式取得数に制限がない分、会社財産の流出にも制限がかからないことになると言わねばならないでしょう。
この点でもまた、本末転倒(債権者保護ではなく株主保護に力点を置いてしまっている)と言えるでしょう。
まあそれを言うなら、そもそも会社の自己株式の取得を認めている時点で、と言わねばならないと思いますが。
この定めは、会社財産の流出額は自己株式の取得価額に対し、

a cash outflow spiral (現金の社外流出スパイラル) 「(悪循環・良い循環による)会社財産流出のらせん状進行過程」

の状態にあると表現できるのかもしれません。

 

最後に、サントリー食品インターナショナルの記事についてですが、
社債登録枠設定というのはおそらく金融商品取引法で定められているのだと思います。
ただ、社債自体は議決権とは関係ありませんから、社債をどう発行していくのかは会社の判断なのだと思います。
また、社債の発行や償還は株主資本(利益剰余金など)にも全く影響を及ぼしませんから、その点からも株主には関係ないと言えるでしょう。
要するに、社債登録枠設定に株主総会決議などは概念的・法理的にも不要なのだと思います。
自己株式の取得には概念的・法理的には株主総会決議が絶対に必要だと思いましたので、
自己株式の取得と社債発行との対比ということでその点のみ指摘してみました。