2014年5月12日(月)



2013年12月24日
株式会社ゲオディノス
臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ
ttp://www.geodinos.com/pdf/20131224.pdf

 


2014年1月28日
株式会社ゲオディノス
臨時株主総会の招集及び付議議案の決定に関するお知らせ
ttp://www.geodinos.com/pdf/20140128_1.pdf

 


2014年1月28日
株式会社ゲオディノス
資本金の額の減少に関するお知らせ
ttp://www.geodinos.com/pdf/20140128_2.pdf

 


2014年2月7日
株式会社ゲオディノス
ゲオディノス_臨時株主総会招集通知
ttp://www.geodinos.com/pdf/20140207.pdf

 



【コメント】
上から順番にコメントしてきます。

 

「臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」
1. 臨時株主総会に係る基準日等
2. 臨時株主総会の付議議案等
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日程は以下のようになっています。


公告日         平成25 年12 月27 日(金)
株主総会の基準日 平成26 年 1 月17 日(金)
開催予定日      平成26 年2月下旬


まず、株主総会の「開催日」を一番最初に決定しなければならないでしょう。
そしてそれから、株主総会の「基準日」を決定しなければならないでしょう。
株主総会の開催日が決定していないでは、このたびの株主総会自体がまだ法的に定まっていないという考え方になるのではないでしょうか。
開催日も含めて一つの株主総会でしょう。
株主総会自体は決めていないが基準日だけは決めた、というのはおかしな話でしょう。
開催日を正式に決定した上で、基準日を定め、そして基準日設定公告を行うべきでしょう。

 


次に、付議議案自体の公告はできない(紙面の都合上難しい)かとは思いますので、
公告には”取締役の選任等を予定している”等、簡単に記載する程度でよいのだと思います。
いずれにせよ株主には株主総会招集通知が送付されますから、議案の詳細についてはそちらを見ていただくということでよいと思います。
要するに、開催日が確定していないこととは異なり、
基準日設定公告の時点で議案内容が詳細に確定していないのはおかしいという話にはならないのではないかと思います。
決議する内容は決まっていないではもちろん困りますが、基準日設定公告の時点では詳細な文言まではお知らせしなくてよいと思います。
要するに、株主総会招集通知送付以前に、株主や投資家や利害関係者等に詳細に何か議案内容を開示していかねばならないかと言うと、
それは違うだろうと思いました(もちろんホームページ上その他で積極的に詳細に適時情報開示をしていくのは全く構わないわけですが)。

それから、本株主総会には開催する条件が付いていまして、親会社が実施中の公開買付けの成立を条件として開催することになっています。
逆から言えば、公開買付が成立しなかった場合は、株主総会の開催は中止するということのようです。
「条件付の株主総会の招集」と聞くと、何か法理上の問題がありそうな気もします。
公開買付が成立したのを受け、正式に株主総会を招集すべきではないかとは思います。
株主総会の開催を中止する条件が付いているとなりますと、何か不要な混乱を株主に生じさせる恐れがあると言えるとは思います。
株主総会の開催を中止する条件が付いているというのは、
開催日が決まっていないことや開催日を安易に変更することと同じようなものではないかとも解釈できる気がします。
ただ、開催する条件と開催しない条件ははっきりしていると言えばはっきりしているわけです。
ある意味、法的に確定していない要素というのはこの開催条件にはないわけです。
そうであるならば、基本的にはやはり公開買付が成立したのを受けて正式に株主総会を招集すべきではないかとは思いますが、
「条件付の株主総会の招集」自体は法理的にはおかしくはないと思います。
株主総会招集の早期の公告は、株主にとって公開買付に応じるか否か(株式を売却するか否か)を判断する一材料ともなると思います。
決まってもいないあやふやな情報を開示しているのはなく、法的に確定した情報を開示しているのです。
公開買付に応じるか否か(株式を売却するか否か)は全く自由、後は株主の判断(意思)だ、という情報開示の姿勢は何ら間違っていないと思います。
「条件付の株主総会の招集」は事例としては非常に少ないとは思います。
しかし、一見何かおかしいなとは思いましたが、株式会社の概念に照らしても、法理的にも、最終的にはおかしくはないように思いました。


以上の議論を簡単にまとめますとこうなります。

株主総会開催日がまだ決まっていない→明らかにおかしい。
付議議案の詳細は後日お知らせする→何らおかしくない。
株主総会開催を中止する条件が付いている→おかしくはない。

 

 


「臨時株主総会の招集及び付議議案の決定に関するお知らせ」
2. 臨時株主総会の付議議案等
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2013年12月24日の「臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」発表時点では、
株主総会では”取締役の選任等を予定している”とだけ書いてありましたが、
2014年1月28日になってみますと、新たに一つ議案が増えています。
上の方では、基準日設定公告では議案は簡単に記載する程度でよいのだと思いますと書きましたが、
議案数が増えるのは全く望ましくないと思います。
株主としてどう行動するべきか判断するために、基準日設定公告でも議案数は決めておかねばならないでしょう。
英語で言えば subject だと思いますが、株主総会で審議する事柄の議題・題目・主題・題名・タイトルだけは
はっきりと記載しなければならないと思います。
公告に題目さえ書いてあれば、株主としては、例えば詳細な事柄について会社側に問い合わせることもできるわけです。
基準日前に株式を売却するかそれとも株主総会に出席するかといった意思決定も含め、
株主総会で審議する事柄の議題だけははっきりさせておくべきでしょう。

 



ところで、会社は、基準日株主が行使することができる権利の内容を定め、基準日の2週間前までに公告しなければならない、
と会社法に定められています。
株主が行使する権利とは議決権であるということは自明・前提であることを考えれば、
ここで言う”基準日株主が行使することができる権利の内容”とは、やはり議題(subject)だと思います。
少し気になるのは、”基準日の2週間前までに公告しなければならない”という点であるように思います。
株主総会招集通知は、開催日の2週間前までに発送しなければならないと定められています。
これは、株主が株主総会に出席する前に準備する時間を与えるためとされています。
株主総会招集通知は開催日の2週間前までに発送しなければならないという定めは様々な現実的なことを考えれば妥当なところだと思います。
しかるに、”基準日の2週間前までに公告しなければならない”という定めはどうでしょうか。
基準日設定公告は何のために行うのか、という点にまでさかのぼる話になると思いますが。
もちろん、基準日前に株主は株式を売却するか否かを決めることができるといった点では1つの判断材料になるとは思いますが。
例えば、法制度上、「基準日設定公告を行わないとしたらそれは株主の利益を害することにつながるのか」、
というと、そんなことはないような気がします。
基準日設定公告を行わない場合、株主には会社から突然株主総会招集通知が送付されてくることになります。
しかし、会社から突然株主総会招集通知が送付されてくること自体は、株主の利益には中立でしょう。
株主総会召集通知に書いてある議案を見て、
株主総会に出席するなり欠席すると決めるなり議決権のみ行使するなり議決権も行使しないと決めるなりするだけでしょう。
2週間弱あれば、自分の利益に適うと判断できる意思決定を行うことは十分に可能でしょう。
「基準日設定公告を行わくても株主の利益は何ら害されない」のだとすると、
基準日設定公告自体が法制度上不要という結論になるような気がします。
このことを踏まえさらに言えば、「基準日の設定」ということ自体がおかしな点がある気がします。
もちろん、定時株主総会であれば基準日は毎年決算期末日と必然的に決まります。
しかし、臨時株主総会の場合は、基準日とは招集日のことではないだろうかという気がします。
招集日とは(主に株主への)正式発表日というような意味合いになろうかと思いますが、
そのことを踏まえれば、言わば「基準日は今日です。」と言っていることになるわけです。
当然、株主は基準日前に株式を売却するか否かを決めるというようなことはできないわけですが。
株主総会招集通知を発送する前に適時情報開示ということで会社が何らかの発表を行うという場面も現実にはあろうかとは思いますが、
法理的に言えば、臨時株主総会の基準日とは、「株主総会招集通知発送日」になるような気がします。
私がそう思う理由は、「何を基準に臨時株主総会の基準日を設定すればよいか分からない」と思うからです。
恣意性のない何か客観的な設定材料はない(定時株主総会であれば決算期末日がまさに決定的な根拠でしょう)以上、
「臨時株主総会の基準日は今日である」と決める他ないと思います。
株主は基準日が何月何日であっても、変わることなくいつでも株式を売却することができます。
「臨時株主総会の基準日は今日です。」と決めても、株主の利益は全く害されないと思います(したがって、基準日設定公告も不要となります)。

 

 


「資本金の額の減少に関するお知らせ」
4. 日程
5. 今後の見通し
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日程が気になりました。
資本金とは、会社債権者にとっては商法制においては担保と言えるものです。
株式会社の成り立ちから言えば、債権者は担保が減らされることについて会社と同意はしないものなのです。
こう書くと当たり前ではないかと思われるかもしれませんが、資本金の額を減少させるとは債権者にとってはまさに担保を減らされることです。
債権者が同意しようはずがない行為に関して法律に定めがあるということ自体がそもそも法としておかしいわけですが、
ここでは現行の会社法の定めについて考えてみます。
減資は会社債権者の利益を損なうものですから、会社は債権者に対し、
一定の期間内(1ヶ月以上)に資本金額の減少に異議を述べることができる旨と、
資本金額の減少の内容、さらに会社の計算書類に関する所定の内容を官報で公告し、
かつ知れている債権者に個別に催告しなければならないことになっています。
大まかに言えば、逆算すれば、
「公告を行ってから減資の効力発生日まではどんなに短くても最低1ヶ月はかかる」
ということです。

 



注意が必要なのは、この債権者保護手続きは「減資の株主総会決議日から1ヶ月間」ではないという点です。
株主総会の開催の前にこの債権者保護手続きを取るということも実務上は可能ということなのでしょう。
結局、「株主総会の開催の前にこの債権者保護手続きを取る場合」に、減資の実施に関して、
その後開催予定の株主総会において「資本金の額の減少の件」が承認可決されることを条件とする、
という条件が付く、ということなのだと思います。
上の方で「条件付の株主総会の招集」は法理的におかしくはないと書きましたが、
「条件付の債権者保護手続き」も法理的にはおかしくはないということでしょう。
この場合、仮に(当然に?)異議を述べる債権者が現れても、
株主総会決議日までは弁済もしくは相当な担保の提供等は会社はしなくてよい、ということになると思います。
このたびの事例で言いますと、「平成26年2月24日(臨時株主総会決議日)から平成26年3月14日(債権者異議申述最終期日)まで」の
3週間弱の間だけ、弁済もしくは相当な担保の提供等を会社は行っていくことになるのだと思います。
弁済もしくは相当な担保の提供等を会社が実際に行う期間が1ヶ月間以上必要だという意味ではなく、
債権者が異議を述べることができる期間が1ヶ月間以上必要だ、というのがこの債権者保護手続きの趣旨なのだと思います。
ですから、「条件付の債権者保護手続き」も法理的にはおかしくはないということだと思います。
(法としておかしいという点は度外視するとして)資本金の額を減少させると意思決定するのはあくまで株主です。
債権者ではありません。
そのことを踏まえますと、株主総会の開催に条件を付けて株主総会を招集することは望ましくないということ以上に、
債権者保護手続きに条件を付けて債権者保護手続きに入ることは望ましくないと思います。
株主総会を開催しないことにしたのはある意味株主の意思です。
しかし、弁済もしくは相当な担保の提供等をしないことにしたのは全く債権者の意思ではないからです。
「条件付の株主総会の招集」に株主が混乱してしまう以上に、
「条件付の債権者保護手続き」には債権者は振り回されてしまうでしょう。
こういったことを考えますと、正式に債権者保護手続きに入るのは、
公告を行った後からではなく、正式に株主総会決議を取った後からにすべきである、ということになると思います。


最後に、プレスリリースには、減資が業績に与える影響は全くないと書かれています。
確かに、減資を行っても損益は一切発生しませんから、利益額という意味では減資は業績に全く影響を与えないでしょう。
しかし、担保が減少するため債権者の利益は害され、現金を社外流出させやすくなるので株主の利益は相対的に増加するわけです。
さらに、現金が社外流出しやすくなったということは、会社の財務体質・会社事業の基礎は悪化したと言わねばならないでしょう。
業績には財務状況という意味も含まれると思います。
その意味では減資は業績に重大な影響を及ぼすと言っていいと思います。