2014年5月10日(土)
2014年5月9日
東ソー株式会社
完全子会社との合併契約締結に関するお知らせ
ttp://www.tosoh.co.jp/news/pdfs/20140509004.pdf
2014年5月9日
東ソー株式会社
定款一部変更に関するお知らせ
ttp://www.tosoh.co.jp/news/pdfs/20140509003.pdf
2014年5月9日
東ソー株式会社
平成26年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)
ttp://www.tosoh.co.jp/news/pdfs/20140509001.pdf
【コメント】
「平成26年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)」
<次期の見通し>
(5/28ページ)
決算短信の説明は根本的かつ完全に意味不明かと思います。
連結子会社で減損処理を実施したならば、親会社の連結決算でも減損処理後の価額で資産を合算しないといけません。
親会社の連結決算では減損していないものとして取り扱っている、という時点で意味不明かと思います。
連結子会社との合併に際し、合併期日に減損固定資産の受入益の計上が見込まれるというのも意味不明ですし、
当該特別利益については連結決算では消去されるというのも意味不明です。
適正に減損処理した後の帳簿価額が一番公正な帳簿価額である、と考えなければならないと思います。
合併を行い消滅会社から税務上の繰越欠損金を引き継ぐ、という点に関しては、次のような記事がありました。
東福製粉(2006)、連結子会社大江商店により孫会社興英商事を吸収合併 (食品製造業界のM&A)
東福製粉株式会社(2006)は、
100%連結子会社である株式会社大江商店が、同社の100%子会社である興英商事有限会社を吸収合併することを決定した。
興英商事は実質的に休眠状態であり、親会社の大江商店が同社を吸収合併することにより、経営の効率化と競争力の強化を図る。
今後のスケジュール
合併予定日(効力発生日)
平成26年2月1日
(日本M&Aセンター 2013年12月05日(木))
ttp://www.nihon-ma.co.jp/news/20131205_2006/
2014年2月24日
東福製粉株式会社
業績予想の修正及び子会社による孫会社の吸収合併による特別利益並びに繰延税金資産の計上について
(PDFファイル)
2014年5月9日
東福製粉株式会社
業績の修正に関するお知らせ
(PDFファイル)
「業績予想の修正及び子会社による孫会社の吸収合併による特別利益並びに繰延税金資産の計上について」
”繰越欠損金とはそもそも引き継ぐことができるものなのか?”
(1/1ページ)
各期各期への益金の帰属と損金の帰属を考えれば、繰越欠損金(損金を繰り越す)という概念自体がそもそもおかしいわけですが、
繰越欠損金を他の会社から引き継ぐというのはさらにおかしいなと思いました。
この論点に関連して、繰越欠損金の活用を見越した繰延税金資産の計上があります。
会計理論上は、繰越欠損金と税効果会計は本質的に全く関係ないわけですが、
将来課税所得を減らすことができるという表面上の類似点をとらえ、
繰越欠損金の活用を見越して繰延税金資産が計上されることがあります。
本来は、繰越欠損金と税効果会計は完全に分けて議論した方がきれいに整理できると思うのですが、
ここでは話の簡単(実はかえって複雑か?)のために、企業会計上の費用を計上した結果繰越欠損金が生じた、とします。
議論が分かりづらければ、ここでの繰越欠損金のことは単に「まだ損金算入されていない企業会計上の費用」のことだと思ってもよいと思います。
税効果会計で一番大切な概念は「一時差異」です。
ただ、ここが大切なのですが、「一時差異」というのは、
企業会計上の費用と税務上の損金とが「全く同じ要因に基づく場合のみ」に生じるものである、という点です。
損金算入は税法で決まるなら、企業会計が税法の定めと全く同じ会計処理を行っている場合のみ、という解釈・考え方でもよいと思います。
東福製粉株式会社の事例に即して言えば、
被合併会社興英商事有限会社が繰越欠損金を生じさせることになった要因(企業会計上の費用)と、
合併会社株式会社大江商店が今後当該繰越欠損金を活用し損金算入することになる要因(税務上の損金)とが、
「全く同じ要因に基づく場合のみ」に、その差異のことを一時差異と呼ぶのです。
被合併会社興英商事有限会社が繰越欠損金を生じさせることになった要因(企業会計上の費用)は、例えば多額の退職金だったかもしれません。
しかし、合併会社株式会社大江商店では退職金など一切支払っていないわけですから、
今後「合併会社株式会社大江商店が支払った退職金が損金算入されること」自体がないわけです。
合併会社株式会社大江商店は当該企業会計上の費用を負担していないわけですから、今後当該繰越欠損金を活用することもできない、
という論理の流れがあるように思います。
合併会社株式会社大江商店は、「被合併会社興英商事有限会社はかつて当該企業会計上の費用を負担した」という事実までも承継した、
とまで考えると整合性は取れる(当該繰越欠損金を活用できる)かもしれませんが。
合併に沿ってより一般化して言えば、
「消滅会社が企業会計上の費用を計上したのに、存続会社がその分税務上損金算入する」というのは会計理論上全く整合性が取れていない、
という考え方ができると思います(だから繰越欠損金も引き継げないのではないか)。
税法の定め以前に、費用と損金の発生原因が同一ではないなら、それはそもそも差異ですらないのです。
全く別の費用項目であり全く別の損金項目であるというに過ぎないのです。
例えば、企業会計上「ストック・オプション等に関する会計基準」という会計基準があります。
大まかに言えば、ストック・オプションの公正な評価額(株価−権利行使価額)を「株式報酬費用」として費用計上するわけです。
では「ストック・オプション等に関する会計基準」でいうこの「株式報酬費用」は税務上損金算入できるかと言えば、できないわけです。
その理由は、表面的には税法に当該「株式報酬費用」に関する定めがないからだと言ってもいいかもしれません。
しかし、企業会計上の当該「株式報酬費用」と税法上の損金不算入の取り扱いとの差異はいわゆる永久差異なのかと言えば、
永久差異ですらないわけです。
これは、「永久差異」という会計用語の定義にまでさかのぼる話だと思います。
当該企業会計上の費用は永久に損金算入されることはないという意味では、一時差異以外を全て”永久差異”と呼んでもよいとは思います。
しかし、一時差異の対義語として強調して「永久差異」という場合は、「税法上その項目の損金算入可能額には限りがある」が、
企業会計上の費用はその限度額を超えている、その越えている部分は永久差異だ、
という意味(用語の使い方)ではないかと思います。
つまり、その項目が税法上定められている場合に「損金算入可能額を越えた部分」を永久差異と呼んでいるのであって、
その項目自体が税法に定められていない場合は永久差異とは呼ばない(そもそも差異ですらない)のではないかと思います。
この考え方に沿えば、「ストック・オプション等に関する会計基準」でいう「株式報酬費用」は永久差異ではないのです。
同一の期中における、「費用計上額と損金算入額の関係」は以下の4通りが考えられるのではないかと思います。
@費用計上し全額損金算入もできた→当然何らの差異も生じていない
A費用計上し一定額のみ損金算入できた→一定額を超える部分は永久差異
B費用計上し当期は一定額のみ損金算入でき残額は次期以降損金算入可能→一定額を超える部分は一時差異
C費用計上したがその発生原因については税法上何ら定めや概念がない→一時差異でも永久差異でもない(差異ですらない)
@は、極めて一般的な営業費用全般が当てはまるでしょう。
Aは、例えば寄附金や交際費が当てはまるでしょう。
Bは、税法の定めを越えた減価償却費(有形固定資産の減損損失など)が当てはまるでしょう。
Cは、「ストック・オプション等に関する会計基準」でいう「株式報酬費用」が当てはまるでしょう。
AとBの違いがやや分かりづらいかもしれません。
Aに関して言えば、簡単に言えば、例えば寄附金や交際費は税務上次期に繰り越せないということです。
当期の企業会計上の交際費は合計130万円だったが、税法上100万円までしか損金算入できないとします。
この時、残額の30万円は次期に損金算入できるかと言えば、できないわけです。
だから、当期に損金算入できなかった残額の30万円は永久差異です。
Bは結局、Aで言う残額が次期以降に順次損金算入可能な場合を一時差異と呼んでいるわけです。
税法の定めを越えて企業会計上減価償却費を計上しても、超過額は当期に損金算入されません。
しかし、その超過額は次期以降順次損金算入されます。
その超過額のことを一時差異と呼んでいるわけです。
それから、例えば、投資有価証券評価損(投資有価証券の減損損失)は上記「C」に該当すると思います。
なぜなら、投資有価証券評価損は税法上何ら定めや概念がないからです。
投資有価証券は減価償却を行わないからだ、と言ってもいいかもしれません。
投資有価証券評価損は一時差異でも永久差異でもないのです。
投資有価証券評価損に税効果会計の適用などもっての他と言わねばならないでしょう。
これは投資有価証券評価損は計上すべきではないなどと言いたいのではありません。
もちろん全資産は適切に減損処理していかねばなりません。
ここで言いたいのは、全資産のうち、税法に減価償却の定めがない資産に関する減損損失は一時差異でも永久差異でもないので、
それらの減損損失に対しては税効果会計は適用すべきではない(適用できない)、と言いたいわけです。
もちろん、どのような場面でも税効果会計は全面的に適用すべきではありませんが。
東福製粉株式会社に関しては、他に以下のような記事がありました↓。
東福製粉が債権1800万円取立不能のおそれ、取引先の破産で
東証2部・福証上場の製粉業「東福製粉」は、子会社「山甚」が保有する債権について取立不能のおそれが生じたことを明らかにしました。
これは、同子会社の取引先となる仕出し弁当製造・小売業「中屋フーズ」(福岡県福岡市)が9月12日付で
福岡地方裁判所より破産手続の開始決定を受けたための措置で、債権額は売掛金など1800万円(連結純資産に対し1.1%相当)の見込みです。
なお、当該債権のうち回収が困難な部分については損失計上する予定で、連結業績への影響については確定次第明らかにするとのことです。
(不景気.com 2013年9月25日
17:56)
ttp://www.fukeiki.com/2013/09/tofuku-debt-collection.html
東福製粉/中屋フーズに1800万円焦げ付く
東証2部・福証上場の東福製粉は25日、子会社「山甚」が保有する債権について取立不能のおそれが生じたと発表した。
子会社「山甚」の取引先である仕出し弁当製造および販売の「中屋フーズ」(福岡市)が、9月12日、
福岡地方裁判所において、破産手続きの開始決定を受けたことによるもの。
債権額は、売掛金など1800万円。
同社では、当該債権のうち回収が困難な部分については、損失計上する予定としている。
(JC-NET 2013年9月26日)
ttp://n-seikei.jp/2013/09/1800-3.html
【コメント】
2013年9月25日
東福製粉株式会社
子会社における債権取立不能のおそれに関するお知らせ
(PDFファイル)
4. 当該取引先に対する債権の種類及び金額
(1/1ページ)
子会社において債権取立不能のおそれが生じた経緯等について記載がなされています。
>当社子会社である株式会社山甚の保有する中屋フーズ株式会社に対する債権について、
>取立不能のおそれが生じましたので、下記のとおりお知らせいたします。
と書いてあるわけです。
私はここで、「『お知らせいたします。』と書いてあるが、一体誰に対してということになるのだろうか」、とふと思いました。
東福製粉株式会社のホームページ上に「プレスリリース」という形で発表がなされているわけです。
特段誰に対してというわけではなく、上場企業ということで投資家をはじめ、会社債権者や取引先、一般消費者等に向けての発表
という位置付けだとは思います。
ただ、特に金銭面の話になりますので、投資家と会社債権者に向けての財務情報開示という側面がやはり強いかとは思います。
ここで私は何が気になっているのかと言えば、
「当該取引先に対する債権の種類及び金額」に「純資産に対する割合」が記載されているという点なのです。
もちろん、貸し倒れが生じますと貸倒損失が計上されますので、純資産が減少するのは分かります。
純資産の減少は、株主の利益にも債権者の利益にも影響を与えますから、適時開示を行ったというのはもちろん分かります。
ただ、この適時開示は、ひょっとしたら債権者に対してというより株主に対してという意味合いの方が強いのかもしれないなと思いました。
というのは、この適時開示は、相対的には債権者の利益保護には結局あまり資さないと思うからです。
なぜなら、会計理論上、債権者が社内に留保されているという意味で債務の弁済の引き当てとできるのは資本金だけだからです。
仮に、このたびの債権取立不能が原因で株式会社山甚が倒産することになったとしても、
債権者への弁済は債権者平等の原則に従いまた株式会社山甚の会社財産に基づき言わば淡々と行われるだけでしょう。
仮に、このたびの債権取立不能を経ても株式会社山甚が倒産しなかったならば、
債権者への弁済は平常通り淡々と行われるだけでしょう。
つまり、極端に言えば、「当該取引先に対する債権の種類及び金額」や「純資産に対する割合」を開示されても、
債権者には金銭的・弁済額という点ではほとんど意味がないわけです。
意味があるとすれば、「株主資本額が減少したことによる株式の価額の減少」を正確に把握せねばならない株主にとってだけでしょう。
少なくとも既存の債権者にとっては、「当該取引先に対する債権の種類及び金額」や「純資産に対する割合」を開示されても、
「今更手遅れだ」と言ってもいいと思いますし、もしくは正反対に、
「弁済の引き当てとなる会社財産は資本金により十分に社内に留保されている」という言い方をしてもよいと思います。
いずれにせよ、適時開示により債権者に対する債務の弁済額に変動は生じないわけです。
もちろん、これから取引をしようとしている関係者への情報開示という意味もありますので、この適時開示に意味はあります。
また、この適時開示をきっかけに、倒産はしなかったが債権者や取引先が資金繰りの計画を保守的に見直すということもあるでしょう。
ただ、具体的金額や具体的割合の開示部分に関しては、株主に向けての財務情報開示の意味合いが相対的に強いであろうと思いました。
平時であれ会社倒産時であれ、どのような場面であっても、
「債権者に対する債務の弁済額ははじめから決まっている」、そう表現してよいかと思います。
債権者にとっては、極端に言えば、「弁済の引き当てとなる会社財産は資本金により十分に社内に留保されている」場合は、
まっとうな経営が行われてきたならば、会社が倒産しても会社や経営陣が悪いわけではない、ということになるのだろうと思いました。