2014年5月2日(金)
【コメント】
まず、株主総会と取締役会の招集について、現会社法の定めを書きます。
株主総会の召集は、原則として「取締役」が行います。
通常は取締役会決議により、日時、場所そして目的事項(議案)などを決定します。
取締役会を設置していない場合は、取締役が日時、場所そして目的事項(議案)などを決定します。
そして、代表取締役が株主に通知します。
取締役会の招集は、「各取締役」が行います。
ただし、取締役会を招集する取締役を定款または取締役会で定めた場合は、その取締役が招集します。
また、言うまでもないことですが、「株主」自身も株主総会を招集できます。
基本的には、株主は召集を必要とする理由と議題を書面に記載し代表取締役に提出して召集を請求することになるわけですが、
請求を行ったのに株主総会が招集されない場合は株主自身が自力で株主総会を招集できます。
この定款変更自体は会社法上も法理的にも何もおかしなところはないと思います。
社長の肩書きを持つ取締役以外の取締役が株主総会の招集することはおかしくはないと思いますし、
会長の肩書きを持つ取締役以外の取締役が株主総会の招集することもおかしくはないと思います。
社長や会長という肩書き・名称は各会社内部で便宜上つけているだけなのですから、
「あらかじめ取締役会で定めた取締役」という招集者の指定の仕方でもおかしくはないと思います。
ただ、注意点がいくつかあります。
株主総会の招集という行為はそもそも会社における業務執行の一つでしょう。
そうしますと、株主総会の招集という行為を行えるのは、厳密な意味での「業務執行」権がある取締役ということになると思います。
そうしますと、結局のところ、株主総会の招集という行為を行えるのは「代表取締役」のみ、ということになると思います。
”株主総会の召集は、原則として「取締役」が行います。”の「取締役」とは、厳密にはやはり「代表取締役」のみを指すと思われます。
「営業本部長兼取締役」、「○○工場長兼取締役」、「財務担当取締役」、というふうに、
取締役も会社の最高幹部として一定の”業務”(職務)を日々行っているわけですが、
その”業務”とは商法制でいう厳密な意味での会社の「業務」ではないように私は思います。
取締役が行えるのは会社の最高幹部として職務のみであって、法的な意味での「業務」は取締役は行えないように思えます。
これは結局のところ用語の定義の話に過ぎないわけですが、
法的な厳密な意味での「業務」とは、「自然人が会社の代わりに行う行為」のことを指すのではないかと思います。
会社自身は法的な器(法人)に過ぎませんから、当たり前ですが、動いたりできませんし話をすることもできません。
そこで、自然人が会社の代わりに計算書類を作成したり株主総会を招集したり万一の際は裁判を行ったり、
ということをしなければならないわけです。
それらの行為のことを法律の世界では総称して「業務」と呼んでいるのではないでしょうか。
代表取締役は代表権と業務執行権を持つと言われますが、
実は「代表権=業務執行権」(つまり同じ意味、同じことを指す)のではないかと私は思います。
つまり、代表者が業務執行者(「代表」する者が「業務」を執行する者)ではないかと思います。
逆から言えば、会社の本業(営業)の一つとして、営業部を統括したり工場を管理したり資金繰りを把握したりということは
法的な厳密な意味での「業務」ではないのではないかと私は思います。
それらは「業務」とは区別し職務と呼ばなければならない(他の表現でももちろんよいわけですが)のではないかと思います。
私が以上書いたことは、今まで自分で経営や商法その他を勉強してきた中で(言わば独自に)辿り着いた結論です。
専門家から聞いたり何かの本に書いてあったことではありませんから、ひょっとしたら間違っているかもしれません。
現に会社法の条文その他からは必ずしも私が書いたようには読めないかもしれません(むしろ、取締役も業務を執行すると読めます)。
そして、一般的な意味では、取締役はやはり”業務”を行うと言えるでしょう。
こういった一般的な意味での”業務”と法律用語としての「業務」との違いがやはりあるように私には思えますが。
私が今まで読んできた本にはこの辺りのことについて明確に書いてあることはなかったように思えますが、
私の推論が正しければ、株主総会の招集を行えるのは「代表取締役」のみであり「取締役」にはできない、ということになると思います。
ちなみに、代表取締役は取締役の中から取締役会で定めます(取締役会決議で選任します)。
それから、取締役会は取締役の合議体(取締役の全員によって構成される会議)というに過ぎません。
したがって、定款の定めに関わらず、取締役会は全取締役が招集できることとなっています(これは会社法にそう定められています)。
ですから、日本マクドナルドホールディングスで定款変更をしても、本質的には意味はないと思います。
取締役会招集の手続きとしては、ある定められた取締役が通常は行うこととする、という程度の意味しかないと思います。