2014年4月28日(月)



2014年4月15日(火)日本経済新聞
アデランス 純利益30%増 前期、42億円
(記事)





2014年4月25日
株式会社アデランス
第45回定時株主総会招集ご通知 2014年(平成26年)2月期 (平成25年3月〜平成26年2月)
ttp://pdf.irpocket.com/C8170/YWWN/QEBa/OvKy.pdf

決議事項
第3号議案 監査役1名および補欠監査役1名選任の件
(38/40ページ)



>法令に定める監査役の員数を欠く場合に備え、補欠監査役1名の選任をお願いしたいと存じます。
>補欠監査役選任の効力につきましては、
>就任前に限り、監査役会の同意を得て、取締役会の決議により、その選任を取り消すことができるものとさせていただきます。

 


【コメント】
補欠取締役及び補欠監査役に関しては、会社法そのものに定めがあるようです。
株式会社アデランスが定款に「補欠取締役及び補欠監査役」という概念を定め、株主総会で選任しているというわけではないようです。
特段定款に定めなくても、全株式会社が会社法に従い、補欠取締役及び補欠監査役を選任できるわけです。

回りくどい書き方をしているわけですが、私がここで指摘したいのは、
「補欠取締役及び補欠監査役選任の効力」
についてです。
補欠取締役及び補欠監査役に関しては、会社法そのものに定めがあるわけですから、当たり前ですが、各選任決議は法的効力を持つわけです。
何らかの理由により、取締役及び監査役に欠員が生じてしまった場合は、
株主総会決議によりあらかじめ選任しておいた補欠取締役及び補欠監査役が自動的に正式に各職位に就任するわけです。

結論だけ言えば、商法概念的にはあらかじめ補欠取締役及び補欠監査役を選任することはできません。
なぜなら、補欠取締役及び補欠監査役を選任した株主と今現在の株主は異なるからです。
株主が異なるのですから、「以前の株主総会決議が有効であるはずがない」という考え方になるわけです。
商法概念的に正しい考え方は、取締役及び監査役に欠員が生じたならば、
速やかに臨時株主総会を招集して新たな取締役及び監査役を選任する、というだけです。
欠員が生じた場合に備えあらかじめ取締役及び監査役を選任することなど、商法概念的にはできないのです。
例えば、「今後会社が合併を行う場合に備え、事前に合併承認決議を取っておく」というようなことを考えてみるとよいでしょう。
事前に合併承認決議を取っておくなどという考え方は根本的におかしいと分かるでしょう。
将来の株主は、「そのような合併を承認した覚えはない」と言いたくなるでしょう。
また、将来の合併というのは、その合併契約内容が当然まだ決まっていないわけです。
合併契約内容すらまだ決まっていないのなら、合併の承認以前の話と言えるでしょう。
取締役及び監査役の選任も全く同じであり、
補欠取締役及び補欠監査役は選任した今現在は専門的な知識が豊富で優秀かつ人格的にも優れているかもしれませんが、
補欠取締役及び補欠監査役は選任されたことに安心し、その後バカになってしまい悪人になってしまうかもしれません。
そういったこと避けるためにも、「取締役及び監査役はその度毎に選任する」ということが大切なのです。
取締役及び監査役を前もって選任するということ自体が法理的におかしく、もっと言えば、「株主は変わる」ことが株式会社の前提ですから、
「株主総会決議を前もって取っておくという概念自体がない」、そう言い切ってよいと思います。
某製鉄会社同士の合併(その直前に株式交換を実施した)事例でも、「前もって株主総会決議を取る」という点が問題になったかと思います。
現会社法がデタラメ定めになっていますのでついでに書きますと、これは、取締役や監査役の任期の長さとも関係があることだと思います。
「株主は変わる、それも何らの期間の制約なしに」、という点を踏まえますと、
取締役や監査役の任期は(最長)「1年間」であることが商法制度上の前提でなければならないでしょう。
おそらく、一番最初の明治三十二年商法では、役員(会社機関)の任期は全て「1年間」であったと思います。