2014年4月22日(火)
2014年4月22日(火)日本経済新聞 公告
第15期決算公告
SMBCローンアドバイザー株式会社
基準日設定につき通知公告
フワコーポ株式会社
(記事)
【コメント】
気温と湿度(いわゆる気候)により、人が「おいしい」と感じる味覚は大きく違ってくるのだと思います。
そういう意味では、食べ物を取り扱う企業の多国籍化は非常に難しいと思います。
2014年4月21日
KOA株式会社
平成26年3月期
決算短信〔日本基準〕(連結)
ttp://navigator.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=tdnet&sid=1140165&code=6999&ln=ja&disp=simple
1.経営成績・財政状態に関する分析
(1)経営成績に関する分析」
(次期の見通し)
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【コメント】
記事にも書いてありますように、業績予想に関しては、通期(1年間)ではなく「第1四半期のみ」の業績予想となっています。
決算短信には、
>(注)平成27年3月期の連結業績予想については、現時点で第2四半期(累計)及び通期の合理的な業績予想の算定が困難であるため、
>第1四半期(累計)の業績予想のみを開示しております。
と書いてあります。
平成27年3月期第1四半期とは、平成26年4月1日〜平成26年6月30日のことですので、
全3ヵ月中、既に3週間(4分の1)が過ぎた時点での業績予想であるわけです。
通期の業績予想に比べれば、確かに数値の精度は高いとはいえるでしょう。
ただ、個人的には、やはり業績予想を発表していること自体がおかしいと思います。
通期ではなくより精度の高い四半期毎の業績予想にすべきだとは思いません。
通期であろうが四半期であろうが、
「その数値は確定した数値ではない(正しいことが保証された数値ではない)」
という点には何ら変わりはないわけです。
大切なのは、「正しいことが保証された数値」を発表することであって、精度の高い予想値を発表することではないのです。
次のようなプレスリリースもありました。
2013年12月25日
フマキラー株式会社
固定資産の取得中止及び平成22年に実施した第三者割当増資に係る資金用途変更に関するお知らせ
ttp://www.fumakilla.co.jp/ir/images/h251225-kotei.pdf
2013年12月25日
フマキラー株式会社
自己株式の取得及び自己株式の公開買付けに関するお知らせ
ttp://www.fumakilla.co.jp/ir/images/h251225-jikokabu-2.pdf
↓
2014年1月31日
フマキラー株式会社
その他の関係会社の異動に関するお知らせ
ttp://www.fumakilla.co.jp/ir/images/h260131-idou.pdf
【コメント】
一連の流れを簡単に要約すれば、次のようになります。
フマキラー株式会社は設備投資を行うためにエステー株式会社に第三者割当増資を引き受けてもらったが、
事業環境の変化を受けて当初計画していた設備投資は中止した。
設備投資を中止したことにより調達した現金が余ってしまったのだが、
その分は増資を引き受けたエステー株式会社からの株式の買い戻しに使うことにした。
ここだけ読むと、一時的な資本増強や自社株買い戻しということもあってよいのではないか、と思ってしまうかもしれません。
柔軟な資本政策が可能になるのではないかと思われるかもしれません。
しかし、それは結論を知っているからそう感じるのであって、
そもそもの話をすれば、フマキラー株式会社は当然設備投資を行うつもりで増資を行ったわけです。
そして、エステー株式会社も、フマキラー株式会社が設備投資を行うことを前提に、第三者割当増資を引き受けたわけです。
両社とも、「もし設備投資が中止になったら」などとは決して考えてはいないわけです。
基本的には設備投資を実施する直前に増資を行うべきであって、
前もって増資を行って一定期間現金を手元に保管しておくということはしないわけです。
株主の立場からすれば、払い込んだ現金が何ら収益を生み出していない状態にあるわけです。
株主ができる限り多くの配当を受け取れるよう、会社は一刻も早く設備投資を実行するべきでしょう。
払い込んだ現金は将来返してもらいたいという気持ちがあるのなら、資金の出し手は資本ではなく負債を引き受けるべきでしょう。
払戻しを受けることを前提に資本を払込むのは株式会社の前提に反することです。
議決権がないのに債権者はなぜ会社に(直接的もしくは相対的に)お金を貸し付けることができるのかと言えば、
株主が払い込んだ資本は減少しないという前提があるからだと思います。
言い換えれば、株主が払い込んだ資本は未来永劫社内に留保されるという前提があるからだと思います。
現行の定めのように自己株式の取得の原資を利益剰余金と考える場合は残念ながら説明になっていないわけですが、
仮に一つの考え方として、「資本取引には資本取引で対応すべきである」という点に重点を置くのなら、
自己株式の取得の原資は払込資本(資本金)であるべきだ、という考え方が出てくるわけです。
利益剰余金を自己株式の取得の原資としてしまうと、資本会計上、「資本取引・損益取引区分の原則」に反する側面があるわけです。
「自己株式の取得は資本の払戻しである」という考え方の一根拠はこれだと思います。
ただ、法制度上は債権者保護を最優先と位置付けていますので、自己株式の取得の原資は利益剰余金と定めているわけです。
自己株式の取得の原資が払込資本(資本金)ではなく利益剰余金であるのは、妥協にも近い「折衷案」の結果と言えるわけです。
債権者保護の観点を無視すれば、会計理論上は、自己株式の取得の原資は利益剰余金ではなく払込資本(資本金)であるべきだ、
という考え方に分があると思います。
ただ、債権者保護の観点は会計理論においても中心命題の一つですから、
自己株式の取得を所与のものとするなら、その原資は払込資本(資本金)ではなく利益剰余金であるべきだ、という結論になるわけですが。
>6. 今後の見通し
>上記の異動による当社の連結業績に与える影響はありません。
と書いてあります。
これは半分は正しく半分は間違っているでしょう。
自己株式を取得しても損益には何の影響も与えませんから、上記の異動による個別及び連結損益計算書に与える影響はありません。
しかし、自己株式を取得しますと、利益剰余金と手許現金は減少しますから、上記の異動により、
個別及び連結貸借対対照表には非常に大きな影響を与えます。
この場合の”当社の連結業績”は「損益」という意味で用いているのはもちろん分かりますが、
損益計算書と貸借対照表はある意味(精算表としては)一体ですから、正確には業績には「財務状況」の意味も含まれるのだと思います。
【コメント】
プレスリリースに、
>5.今後の見通し
>本件は、「純資産の部」の勘定科目間の振替処分であり、当社の純資産の額の変動はなく、
と書いてある通り、資本準備金の額を減少させても、財務体質の健全化には全く寄与しません。
それどころか、債権者保護の観点から言えば、資本準備金の額の減少により「財務体質はむしろ悪化した」と言わねばならないでしょう。
なぜなら、現金が社外流出しやすくなってしまったからです。
@株式会社の成り立ちからして、そもそも資本金を取り崩すというような概念はない。勘定科目間を振り替えるということ自体が概念上ない。
A資本金制度はそもそも債権者の利益保護のためにある。万が一資本金を取り崩すのなら債権者保護手続きを必ず取らなければならない。
B上記「@」及び「A」の記載内容とやや矛盾してしまうが、資本金を取り崩すのに株主総会決議は不要と言えるかもしれない。
なぜなら、資本金を取り崩すことは株主にとって有利なこと(分配可能な剰余金が増加するため配当を受け取りやすくなる)だからだ。
このことは逆から言えば、資本金を取り崩すことに賛成する債権者はそもそも絶対に一人もいないはずだ、という結論になる。
この点、「万が一資本金を取り崩すのなら最低でも株主総会決議は取るべきだ」という予想される結論とは少し違うように思う。
無論、繰越利益剰余金を社外に分配する場合や各種準備金等として別途積み立てる場合は、必ず株主総会決議を取らねばならないが。
大まかに言えば、次のようになる。
繰越利益剰余金が減少する場合→必ず株主総会決議を取らなければならない。
繰越利益剰余金が(何らかの要因により)増加する場合→増加する分には株主に有利なことなので、特段株主総会決議は不要と言える。
このことも逆から言えば、次のように簡潔に表現できる。
増資には債権者保護手続きは不要である。
なぜなら、増資は債権者にとって必ず有利なことだからだ。
@利害関係者にとって必ず有利なこと→決議や保護手続きは不要。
A利害関係者にとって必ず不利なこと→決議や保護手続きは不用。
B利害関係者にとって有利か不利かは自明なことではない場合→議決権行使によって決し、また同じ趣旨に従い、保護手続きを課する。
@は、「取るまでもない」と言える。反対する者はいないはずだ。
Aは、取る取らない以前に、法制度上そのようなことを認めてはならない。仮に利害関係者が認めても法的に実施不可能とすべきだ。
Bは、まさにケースバイケース。法で縛る話ではない。利害関係者の意思決定によって決めていく話。
反対の場合、議決権があるなら議決権を行使すればよいし、議決権がないなら消極的意思決定ということで保護手続きに則ればよい。
@は反対するのは自由、と言える。
Aは賛成を認めない、という意味。
Bは@とAの中間、つまり、反対も賛成も自由であり、議決権がない分保護手続きには適宜重点を置くべき、と言える。
この文脈での@の「不要」は英語で「unnecessary」、Aの「不用」は英語で「invalid」。
株主に明らかに不利な株主総会決議ははじめから法的に無効であり、また、
債権者に明らかに不利な会社の行為は自動的に法的に無効になる、
というような概念になる。
法というのは、関係者の意思を縛るためにある。
いい方にも悪い方にも、だ。
「当事者が決めたことだ。」で済むのなら、はじめから法律はいらない。
私的自治を旗印にするのなら、弁護士業界は不要不急産業のはずだ。