2014年4月18日(金)



2014年4月17日(木)日本経済新聞
ライオン、CB150億円発行
(記事)


 

2014年4月17日(木)日本経済新聞
SPK、経常益5%増 今期15億円 海外向け販売回復
(記事)


 

2014年4月17日(木)日本経済新聞
第9期決算公告
ACA株式会社
(記事)

 


2014年4月17日(木)日本経済新聞
西松建、経常益4割増 前期60億円 減益予想から一転
(記事)



2014年4月18日(金)日本経済新聞
■西松建設 純利益61%増55億円
(記事)

 

2014年4月18日(金)日本経済新聞
吸収分割公告
リコージャパン株式会社
リコーITソリューションズ株式会社
合併公告
リコージャパン株式会社
リコーテクノシステムズ株式会社
リコービジネスエキスパート株式会社
(記事)

 


2014年4月17日(木)日本経済新聞
ライフコーポ 自社株買い TOB使い80億円
(記事)



2014年4月17日(木)日本経済新聞
公開買付開始公告についてのお知らせ
株式会社ライフコーポレーション
(記事)



2014年4月16日
株式会社ライフコーポレーション
自己株式の取得及び自己株式の公開買付けに関するお知らせ
ttp://www.lifecorp.jp/company/ir/pdf/140416jikokabushiki.pdf

(注)公開買付けにより買付けられた株式に対する課税関係について
(6〜7/8ページ)

 


【コメント】
プレスリリース記載の課税関係は、旧商法時の課税関係ではなかったかと思います。
新会社法施行に合わせ、税務上の取り扱いも新会社法の考え方に添う形で、税法も改正されたのではなかったかと思います。
現行の課税関係は税理士等の専門家にご相談いただきたいと思います。
ここでは私の考えを書きます。

 

「公開買付者の資本金等の額のうちその交付の基因となった株式に対応する部分の金額」とは、簡単に言えば、
「1株当たりの資本金等の額×自己株式の取得数」のことだと思います。
話を簡単にするために、ここでは1株のみ自己株式の取得をするとします。
「自己株式の取得の際株主が株式の対価として交付を受ける金銭の額」は二つに分けられるとここでは言っているわけです。
すなわち、

自己株式の取得の際株主が株式の対価として交付を受ける金銭の額
=1株当たりの資本金等の額+(自己株式の取得の際株主が株式の対価として交付を受ける金銭の額−1株当たりの資本金等の額)

と考えるとここでは言っているわけです。
「1株当たりの資本金等の額」を「@」、
「(自己株式の取得の際株主が株式の対価として交付を受ける金銭の額−1株当たりの資本金等の額)」を「A」、
と書きます。
プレスリリース記載の課税関係ですと、株主にとっては「A」が「株式売却益」の金額となるわけです。
しかし、株主にとっての正しい株式売却益の金額は、
「自己株式の取得の際株主が株式の対価として交付を受ける金銭の額−1株当たりの株式取得価額」
のはずでしょう。

 


ある一人の株主にとっては「1株当たりの資本金等の額」には何の意味もないのです。
株式の取得価額は株主によって全て異なるわけですから。
概念的に書けば、「売却額−取得額」が「売却益」であるわけです。
プレスリリース記載の課税関係は、全く異なる計算をしていることになるわけです。
根本的に間違った課税所得額を計算しているわけです。
例えば、会社の業績が絶好調(内部留保が極めて多い)の時にもしくはバブル期など株価が極めて高かった時期に株式を取得し、
その後業績不振やバブル崩壊を受け、このたび残念ながら極めて低い価額で株式を売却する(自己株式の取得に応じる)ことになった、とします。
この時、極めて単純な話になるのですが、本来この株主は大きな株式売却損を計上することになるわけです。
ところが、プレスリリース記載の課税関係の場合、正反対に株式売却益が計上されるわけです。
会計処理で言えば、企業会計上は株式売却損を計上し、税務上は株式売却益を計上するわけです。
根本的に意味不明ではないでしょうか。
企業会計上の売却損と税務上の売却益との差異は永久差異だとでも言うのでしょうか。
このような差異が生じてしまうことは、企業にとって有利なことなのかそれとも不利なことなのか、
税法遵守の上での一種の粉飾なのかそれなのか逆粉飾なのか、私には全く分かりませんが、
会計理論上は根本的に間違っていることだけは確かでしょう。

プレスリリース記載の課税関係(旧税法の定め)は、自己株式の取得が解禁(2001年)されてから新会社法が施行される(2006年)までの
間だけの規定だったのではないかと思います。
約5年間、実務上どのような不都合や矛盾、当局への苦情が生じたかは分かりませんが、
売却損が損金算入されるはずが逆によく分からない金額を益金算入されてしまったということで、
このような税法の規定など、これまた新概念という他ありません。

 



この辺りの議論が結局、「自己株式の取得は資本の払戻しかそれとも剰余金の分配か」という議論と関連があるのだと思いますが、
結論を一言で言えば、「少なくとも資本金勘定を減少させているわけではないから資本の払戻しとは見なしづらい」ということだと思います。
債権者保護の観点から払込資本は減少させないことになっていますから、
さらには、自社株買いは配当と同じく株主への利益還元の一手法に過ぎないとの考え方から、
税法の規定とは無関係に、旧商法時代から「自己株式の取得は剰余金の分配(当期未処分利益の処分、利益処分)である」
という結論に達しようかと思います。
確かに、発行済株式総数(社外株式数)を減少させているという点に重点を置きますと、
「株式と資本の関係」を鑑みれば、自己株式の取得は「資本(株式)を払い戻している」と言えます。
株式と資本は概念的には一体であると言うと言い過ぎかもしれませんが、両者は会計理論上極めて強く結び付いているわけです。
ただ、そのことと資本金勘定の価額そのものとは関係はないわけです。
資本金勘定の価額はあくまで払込資本の金額を表すだけです。
資本金勘定の価額と、株式の公正な価額とは全く関係がないでしょう。
自己株式の取得を行う際の株式の価額は、資本金勘定の価額を基準に当然に決まるもしくは人為的に決定するわけでは決してないでしょう。
自己株式の取得を行う際の株式の価額は、1株当たりの株主資本額もしくは市場株価を基準に決まってくるものでしょう。

 



仮に、自己株式の取得に際し、取得株式数に比例させて「資本金勘定と利益剰余金勘定の両方を同じ比率ずつ減少させる」としましょう。
発行済株式総数のa%を取得したならば、取得金額に応じて資本金勘定もb%、利益剰余金勘定もb%減少させるわけです。
このような考え方も不可能ではないとは思いますが、やはり資本金勘定を減少させることは債権者保護の観点に反するでしょう。
何と言いますか、全株式は平等であるため、資本金勘定と利益剰余金勘定は全株式に平等に帰属しているわけです。
ある株式には資本金勘定が相対的に多く帰属しており、他の株式には利益剰余金勘定が相対的に多く帰属している、
などということは一切ないわけです。
ここで、自己株式の取得の原資は利益剰余金だとします。
そうすると、自己株式の取得を行いますと、取得した株式にのみ原資となった利益剰余金が帰属していたことになってしまうわけです。
また、取得した株式には資本金も一定額(一定割合)帰属していたわけですが、その点は完全に無視されています。
会計理論上、利益剰余金は資本金の代替にはなりません。
つまり、株式数を減少させる形で株主資本を減少させる場合、「資本金勘定と利益剰余金勘定の両方を同じ比率ずつ減少」させないと
全株式は平等であるという原則に反する一方、資本金勘定を減少させると今度は債権者保護の観点に反する、
という、まさに「あちらを立てればこちらが立たぬ」という状態に陥ってしまうわけです。
株式会社の理念・概念・成り立ちに照らせば、自己株式の取得は絶対に行ってはならないわけですが、
その理由は以上のような会計理論上の矛盾が内在するからだと思います。
例えば、誰の利益も害していないのなら、自己株式の取得も認められるのではないか、という意見はあると思います。
1株当たりの利益剰余金額未満の価額での自己株式の取得や、創業者が会社に保有する株式を無償で譲渡する、
というような場合であれば、確かに債権者保護の観点にも反しませんし株主平等の原則にも反しません。
利害関係者の利益を害しているか否かという点からのみ言えば、確かに自己株式の取得も認められる余地はあると思います。
ただ、ここでの議論というのは、利益を害しているか否かではなく、
株式会社の理念・概念・成り立ちから必然的に導かれる「会計理論上の矛盾」が理由になるわけです。
また、誰の利益も害していないことを理由に自己株式の取得を続ければ、
それこそ最後は株主が一人もいなくなる(発行済株式総数(社外株式数)が0株になる)わけです。
これは株式会社の理念・概念・成り立ちに根源的に反することでしょう。
何株までであれば自己株式の取得を行ってよいなどという基準は株式会社にはないでしょう。
「1株認めれば全株認めなくてはならなくなる」ということになろうかと思います。

というわけで、旧税法の定めがなぜプレスリリース記載の課税関係のようになっていたのかは分かりませんが、
その点は置いておくとして、今日は旧税法の間違った定めを題材に、
「資本金勘定と利益剰余金勘定の株式に対する帰属関係」という観点から、
自己株式の取得は会計理論上絶対に認められない理由を考察してみました。