2014年4月14日(月)



新書の紹介(2014年4月20日発売予定)


「新幹線50年の技術史」 曽根悟 (著)
講談社 ブルーバックス・シリーズ
2014年は東海道新幹線開業から50年。日本初の高速鉄道技術はどう変化し、進歩し、停滞したのか。鉄道技術の碩学による渾身作。

 


【コメント】
東海道新幹線開業から2014年で50年になるそうです。
一方、旧商法施行から2014年で115年になります。

50年という年月は、長いのか、それとも、短いのか。

 

 



2014年3月26日(水)日本経済新聞
古河機金の配当 今期1円増3円
■テラプローブ 純利益98%減1000万円
■世紀東急工業 優先株をすべて消却
■エーザイ 来期から国際会計基準
(記事)

 



2014年3月25日
古河機械金属株式会社
平成26年3月期 配当予想の修正に関するお知らせ
ttps://www.furukawakk.co.jp/pdf/140325.pdf

>平成26年3月期末の配当予想につきましては、平成25年5月10日の決算発表時以降、1株当たり2円00銭としておりましたが、
>当期の連結業績は前回(平成26年2月5日)発表通りの利益を確保できる見込みであること、
>また、来期以降の見通し等を勘案し、1株当たり3円00銭の配当予想とさせていただきます。

 


【コメント】
IRカレンダー
ttps://www.furukawakk.co.jp/ir/stock/calendar.html

IRカレンダーを見ますと、5月8日(木)に平成25年3月期決算発表を予定しているようです。
同じ様な指摘の繰り返しになりますが、みだりな発表は株価をいたずらに変動させるだけだと思います。
業績予想や配当予想はよそう、と言ったところでしょうか。

 

 


2014年3月25日
株式会社テラプローブ
業績予想の修正及び特別利益、特別損失の計上に関するお知らせ 
ttp://www.teraprobe.com/ir/pdf/20140325.pdf

 

2014年1月24日
株式会社テラプローブ
業績予想の修正及び特別損失の計上に関するお知らせ
ttp://www.teraprobe.com/ir/pdf/20140124.pdf

 

【コメント】
2014年3月25日付けのプレスリリース「業績予想の修正及び特別利益、特別損失の計上に関するお知らせ」には、

>2. 特別利益の内容
>当社広島事業所において、平成23年及び平成24年に実施いたしました設備投資の実績が、広島県産業集積促進助成制度の助成対象となり、
>この度広島県より補助金465百万円の交付が決定したことから、特別利益として計上いたします。

と書いてあります。
これは、「2014年3月期」の決算において特別利益を計上する、という意味だと思います。
ただ、交付を受けた補助金「465百万円」の全額を「2014年3月期」に計上するのは企業会計上は望ましくないと思います。
なぜなら、「費用・収益対応の原則」が守られていない(「保守主義の原則」の観点からもあまり望ましくはない)からです。
助成対象となったのは「平成23年及び平成24年に実施した設備投資」とのことですが、
当該設備投資の効果はその設備の耐用年数に渡って発現するものです。
決して、2014年3月期のみ(もしくは設備投資を実施した平成23年及び平成24年のみ)に効果を発現するものではありません。
したがって、有形固定資産の減価償却手続きの理屈(費用の期間配分)と同じ様に、
「特別利益(受取補助金)の期間配分」のような考え方を行っていく必要があろうと思います。
(県からの補助金なので税務会計上はどちらにせよ無税だと思いますが)企業会計上は「繰延受取補助金」などという勘定科目を一旦用いて、
設備の耐用年数に渡って各期に適宜取り崩していく(適宜利益計上していく)、という会計処理が望ましいと思います。
「現金は既に受け取っている」という意味では、実は全額利益計上してしまっても「保守主義の原則」にはそれほど反しないとは思いますが、
ここではさらなる期間損益計算の精緻化を図るため、敢えて「費用・収益対応の原則」に重点を置いて考えてみました。

 

 



2014年3月25日
世紀東急工業株式会社
A種優先株式(交付価額修正条項付取得請求権付株式)の取得請求権月間行使状況(大量行使)
ならびに自己株式(A種優先株式)の消却に関するお知らせ
ttp://www.seikitokyu.co.jp/wp-content/uploads/2014/03/140325.pdf

 

【コメント】
世紀東急工業株式会社は2005年9月にA種優先株式を発行していたのですが、
このたび優先株主が取得請求権を行使したため、世紀東急工業株式会社はA種優先株式に代わり普通株式を発行したようです。
それで、世紀東急工業株式会社はA種優先株式を消却する、と言っているようです。
問題なのは、このA種優先株式は世紀東急工業株式会社にとって”自己株式”なのか、という点なのです。
会社法上は確かにこのA種優先株式は自己株式に該当するのだと思います。
そしてこのA種優先株式の消却は「自己株式の消却」に該当するのだと思います。
発行済株式総数も消却及び新株式発行に合わせ、増減するのだと思います。
消却株式数は1,500,000株であり、発行新株式数は15,000,000株ですから、トータルでは発行済株式総数は増加することになるわけです。
しかし、会計上は、このたびの「A種優先株式の取得請求権行使ならびに自己株式(A種優先株式)の消却」の仕訳はどうなるのでしょうか。
私が思うに、仕訳は、

(仕訳なし)

だと思います。
なぜなら、世紀東急工業株式会社はA種優先株式に代えて普通株式を発行しただけだからです。
このたびの優先株主からの取得請求権の行使に応じることは、「利益剰余金を原資とした自己株式の取得」とは異なるものであると思います。
世紀東急工業株式会社は、新株式発行の対価は何も受け取っていない(A種優先株式取得の対価も支払っていない)でしょう。
敢えて言うなら、A種優先株式そのものが新株式発行の対価のようなイメージ(変則的な現物出資のようなイメージ)でしょうか。
このたびの取引によっても、利益剰余金は一切減少しない(自己株式勘定は一切生じない)わけです。
それから、やや概念的な話になりますが、A種優先株式発行時に会社が増加させた資本金は、
A種優先株式に代わり普通株式を発行した後でも(A種優先株式を消却した後でも)全く同じ資本金のままであると思います。
資本金の種類は一種類のみですから、どうしてもそうなってしまうのだと思いますが。
この辺りは、「株式と資本金の関係」について厳密に考えていくと、会計理論上はおかしな点があるのだと思います。
いずれにせよ、このたびの取引は、会社法上は自己株式の取得でも、会計上は自己株式の取得ではない、と言わねばならないと思います。

 

 


2014年3月25日
エーザイ株式会社
国際会計基準(IFRS)の任意適用に関するお知らせ
ttp://www.eisai.co.jp/news/news201413pdf.pdf

 


【コメント】
>なお、IFRSへの移行に伴う開示スケジュール(予定)は、以下の通りです。
>2014年5月 : 2014年3月期 決算短信及び連結計算書類(日本基準)※2
>2014年6月 : 2014年3月期 有価証券報告書(日本基準)
>2014年8月 : 2015年3月期 第1四半期決算短信(IFRS)※3
>2014年8月 : 2015年3月期 第1四半期報告書(IFRS)※3


スケジュールはこれで正しいと思います。
2014年3月期に関わる財務情報開示は全て日本基準で最後まで貫徹し、IFRSによる開示は2015年3月期分から、というふうにすべきです。
つまり、決算期である暦でいう「3月」を境に適用・開示する会計基準を分けるのではなく、
「どの期に関わる財務情報開示か」で適用・開示する会計基準を分けるべきなのです。
一事業年度に関して作成・開示される決算短信、連結計算書類、そして報告書は全て同一の会計基準を適用すべきであるわけです。
その理由は、決算の数値の四半期間の連続性や比較可能性を担保するためです。
例えば、第3四半期までは日本基準を適用し、第4四半期(通期)からは(4月になったので)IFRSを適用する、
という適用の仕方は完全に間違いであるわけです。
以前どこかの企業がそのように間違っていたのではなかったかと思いましたので書きました。