2014年4月6日(日)



2014年3月27日(木)日本経済新聞
トヨタ自動車自社株買い3600億円 今期 車10社、配当9000億円超
(記事)



 

2014年3月28日(金)日本経済新聞
日産・ルノー提携15年 世界4位グループに 「相乗効果最大に」
(記事)


 

2014年3月29日(土)日本経済新聞
ガリバー、46%増益 前期最終 年13円に実質増配
(記事)


2014年3月27日(木)日本経済新聞
個人間の中古車売買仲介 カーコンビニとオールアバウトが新会社 消費税対象外で割安感
(記事)

 


2014年3月28日
株式会社 ガリバーインターナショナル
業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1135920

 


2014年3月27日
株式会社オールアバウト
業務提携、新たな事業の開始及び子会社の設立に関するお知らせ
ttp://corp.allabout.co.jp/files/2014/03/140327_2.pdf

 


2014年3月31日
カーコンビニ倶楽部株式会社
【中古車の個人間売買支援事業】開始のご案内
ttp://www.carcon.co.jp/events_admin/pdf/2014033116421028867.pdf

中古車の個人間売買支援事業の概要
(1/2ページ)

 



【コメント】
ヤフー・オークションのようなCtoC中古品オンライン市場では、わずかな場所しか取らない小さな商品しか売買されません。
ちょっとした小さな商品群であれば、段ボールに入れておくなり押入れにしまっておくなり物置に置いておくなりすればよいわけですが、
自動車となりますと、「売れるまで車庫に置いておくからいいや」とは絶対ならないわけです。
いざ自動車を売ることを決意したら、すぐに中古車会社に売ってしまわないと、スペースの関係上次の自動車が買えないわけです。
サイト情報を買い手が見るまで自宅などの車庫にずっと置いておくことなど、田んぼと畑しかない田舎でも無理なことです。
また、たとえ田舎であっても、車検や保険の料金は買い手が見つかるまではずっと自分が負担し続けなければなりません。
都会であれば、駐車場代もバカにならないでしょう。
そういうわけで、カーコンビニ倶楽部株式会社がこのたび開始しようとしている、
インターネットを活用した中古車の個人間売買支援事業は絶対に成功しないでしょう。
ガリバーなどの中古車会社は、単に売り手と買い手を結び付けているだけでなく、
スペース(車庫)や車検や保険の料金に関して、買い手と売り手との間のズレを埋める役割を果たしている、と言えるでしょう。
個人間で物を売買する場合、売り手が売りたいタイミングと買い手が買いたいタイミングとの間に、必ず一定以上のズレが生じます。
中古車会社は、@時間、Aスペース(車庫)、Bお金(付随費用)の3つに関して、一種のバッファー(緩衝材)の役割を果たしているのです。

 

 


2014年3月27日(木)日本経済新聞
第一中央汽船 優先株で100億円調達
(記事)


2014年3月28日(金)日本経済新聞
第一汽、85億円調達 優先株で
(記事)

 


2014年3月27日
第一中央汽船株式会社
中期経営計画に関するお知らせ
ttp://www.firstship.co.jp/news/2014/pdf/20140327_1.pdf

 


2014年3月27日
第一中央汽船株式会社
第三者割当によるD種種類株式の発行、定款の一部変更、資本準備金及び利益準備金の額の減少並びに
株式発行と同時の資本金及び資本準備金の額の減少のお知らせ
ttp://www.firstship.co.jp/news/2014/pdf/20140327_2.pdf

 


2014年3月27日
第一中央汽船株式会社
業績予想の修正に関するお知らせ
ttp://www.firstship.co.jp/news/2014/pdf/20140327_3.pdf

 


2013年7月31日
第一中央汽船株式会社
訴訟の第一審判決に関するお知らせ
ttp://www.firstship.co.jp/news/2013/pdf/20130731.pdf

5.今後の見通し
(2/2ページ)


【コメント】
第一中央汽船株式会社が株式を発行して資金調達をするそうです。
その理由は、海運市況の回復が想定以上に鈍いことや過去に建造した高コスト船の処分損失が今期は大きなってしまったことだ、
と記事には書いてあります。
確かにそれらの要因もあるのでしょうが、影響額として一番大きいのは、、「訴訟損失引当金」を計上したことのようです。
船のチャーター専門会社からレンタルした貨物船が何らかの理由により荷揚港港外にて座礁、同船が全損したことに関して、
船のチャーター専門会社が同船の全損に係わる損害賠償請求を求めて訴訟を提起した、という事件だったようです。
第一審判決としては、第一中央汽船株式会社に対し、損害賠償金約137.6百万米ドル及びこれに対する金利約29百万米ドル並びに
訴訟費用の支払いを命じる、という内容であったようです。
この判決を受け、第一中央汽船株式会社は「2013年度第一四半期」に訴訟損失引当金として、59億37百万円を計上したようです。
これが、第一中央汽船株式会社が株式を発行して資金調達をする理由となっています。


「中期経営計画に関するお知らせ」
オーシャン・ビクトリー号訴訟 第一審判決
(7/16ページ)

 



「中期経営計画に関するお知らせ」には、

>平成25年7月30日、英国高等法院より当社に対し、損害賠償約137.6百万ドル及び金利約29百万ドル並びに訴訟費用の支払いを命じる
>第一審判決が言い渡されました。
>本判決において当社の主張が認められなかったことは誠に遺憾で控訴審においては改めて当社の主張の正当性を訴えるとともに、
>本判決の不当性を主張し、徹底的に争っていく所存です。

と書いてありますので、この支払い額は法的に確定した金額というわけではないわけです。
判決内容も裁判所の判断の是非も法的に確定したものではなく、当然命じられた支払い額も法的に確定した金額ではないわけですが、
保守主義の原則に基づき、命じられた金額を訴訟損失引当金として計上したわけです。
裁判ではなく企業会計の話をしますと、引当金の設定要件は企業会計原則に明確に定められています。
将来の費用となりそうなものは何でもかんでも引当金を計上してよいわけではないわけです。
引当金を設定してよいのは、以下の4つの要件が全て満たされた場合のみです。

@将来の特定の費用又は損失に対するものであること
Aその発生が当期以前の事象に起因していること
B将来の費用又は損失の発生の可能性が高いこと
Cその金額を合理的に見積もることができること

このうち、第一審判決は、@とAの要件は完全に満たしているわけですが、判断が難しいのはBとCだと思います。
引当金の要件でいう「発生の可能性が高い」とは、可能性で言えば9割以上、少なくとも8割以上は優にある場合、を意味するかと思います。
発生する可能性は五分五分という程度では引当金は計上してはならないわけです。
「金額を合理的に見積もることができる」というのは、信用するに足る一定の計算根拠(計算式等)があるであったり、
関係者の多くがその金額を聞いて納得する(過去の経験や事例その他から)、というような意味合いかと思います。
できるだけ多くの金額を計上して保守的でありさえすればよいというわけではないのです。

 



では、裁判における「第一審判決」とは、企業会計上(引当金の設定要件に照らして)、
どのような影響を持ったものと考えなければならないでしょうか。
実はそれには絶対的な答えはないのだとは思います。
判決が出てみたら、思ったより支払額が少なくて済んだという場合は、控訴しないこともあるでしょう。
逆に、「滅茶苦茶な判決だ。賠償金をもらいたいのは明らかにこちらの方だ。もちろん控訴する。」という場合ですと、
第一審判決で命じられたとはいえ、実際に賠償金を支払う可能性は非常に低い上に、命じられたその金額も全く合理性を欠いている、
というようなこともあるのではないかと思います。
そのような場合ですと、第一審判決で命じられたものの、引当金は一切計上しない、という会計上の判断もあるのではないかと思います。

第一中央汽船株式会社の場合はどうなのか、私には全く分かりませんが。

>本判決において当社の主張が認められなかったことは誠に遺憾で控訴審においては改めて当社の主張の正当性を訴えるとともに、
>本判決の不当性を主張し、徹底的に争っていく所存です。

とは言っているものの、引当金を計上しているということは「自社の主張に正当性はない」とどこかで感じているということなのでしょうか。
もしくは、神の目から見ると「主張の正当性」は明らかに第一中央汽船株式会社にあるものの、
既定の関連法律や過去の判例から判断すると、結局控訴審でも同じ様な判決が出てしまうだろうと諦めているから、
仕方なく引当金を計上しているのかもしれません。
どちらなのかは私には分かりませんが。

 



第一中央汽船株式会社が株式を発行して資金調達をするわけですが、
その内容や是非についてもう少し考えてみましょう。


「中期経営計画に関するお知らせ」の12/16ページには、

>オーシャン・ビクトリー号の訴訟リスクに備えるため、金融投資家2社及び当社取引先数社を引受先とする、
>総額85億円の種類株発行により、自己資本を増強。

と書いてあります。
判決内容に基づき、訴訟損失引当金として、59億37百万円を計上(2013年度第一四半期)することになったわけです。
当然、損害賠償金を支払っても企業としての収益力が向上するわけでも何でもありません。
企業にとっては何のプラスにもならない費用の支払いに過ぎないわけです。
同じ現金支出でも、利益を生み出す設備投資などとは完全に異なるわけです。
株主資本や手許現金が減少してしまう(恐れが高い)わけですから、新株式を発行して増資をしようというわけです。

・・・しかし、よく考えたらおかしくないでしょうか。
この損害賠償金を支払いは、株主からすると、会社から自分のお金が不当にも減少してしまった、ということを意味するわけです。
裁判に負けたので損害賠償金を支払うということは決して不当ではありません。
株主からすると、裁判に負けたことが不当なのです。
なぜなら、株主は船が座礁することがないような安全な海運事業運営を経営陣に委任しているからです。
裁判に負けた原因は何なのか、より直接的には、訴訟を提起されるに至った原因は何なのか、
株主としては、そちらの責任を追及したいという気持ちを持つのではないでしょうか。

 



一言で言えば、「船が鹿島港外にて坐礁してしまった責任は誰にあるのか?」を株主としては明確にしたいという気持ちがあるのだと思います。
仮に、船が鹿島港外にて坐礁してしまった責任は、安全な海運事業運営を委任している経営陣にあるのだとすれば、
株主としては、経営陣に対し、会社が被った損害を賠償して欲しいと思うのではないでしょうか。
船が鹿島港外にて坐礁してしまったのは不可抗力であって経営陣には何ら責任はないということであれば、
経営陣は会社が被った損害を賠償する必要はないでしょう。
しかし、船が鹿島港外にて坐礁してしまったのは経営陣の職務怠慢によるものということであれば、
経営陣は会社が被った損害を賠償しなければならないでしょう。
「増資をする」ということは「株主が会社に金を出す」ということですが、
責任の所在によっては、「会社に金を出す」義務を負わなければならないのは経営陣の方かもしれないわけです。
もちろん、その場合、「会社に金を出す」といっても、それは出資ではなく、損害賠償金の支払いという扱いになりますが。
この場合、経営陣が負う責任(賠償金額)は無限責任となります。
「訴訟リスクに備えて増資をする」ということ自体が、経営戦略上もおかしいと思いますし、より法的に考えていっても、
企業法務を踏まえますと、増資の前に責任の所在を明確にする方が先である気がします(資金繰りの点はおいておくとして)。
例えば、「船が鹿島港外にて坐礁してしまったのはあくまで不可抗力」(=経営陣には何ら責任はない)ということであるならば、
今度は、「船が鹿島港外にて坐礁してしまった責任は第一中央汽船株式会社にもない」という理屈が成り立つように思うわけです。
そうしますと、第一中央汽船株式会社に対し訴訟を提起したChina National Chartering Co.,Ltdは、
全く別の手段で同貨物船の全損に係わる損害を回復させることを考えていかねばならないのではないか、と思うわけです。
また、第一中央汽船株式会社にとっても、自社に対する訴訟の提起などではなく、
全く別の手段についてChina National Chartering Co.,Ltdが考えてくれた方が助かるわけです。
全く別の手段とは具体的には、「海上保険」ということになると思いますが。
これ以上細かな手続きについては、航海傭船契約、定期傭船契約、それぞれの海上保険契約の内容次第ということになるのだと思いますが、
大きな視点で法理的に考えていけば、
最終的に第一中央汽船株式会社に責任があるのなら、結局第一中央汽船株式会社の経営陣に責任があるという理屈になり、
第一中央汽船株式会社の経営陣に責任はないのなら、最終的に第一中央汽船株式会社にも責任はないという理屈になるわけです。
保険金というのは、誰の責任でもない場合に支払われるものだと思います。
極端に言えば、第一中央汽船株式会社に責任があるという状態があり得ず、
責任があるのは株主から委任を受けた経営陣か、もしくは誰の責任でもないのなら海上保険、ということになると思います。
要するに、株主は、どのような場面においても会社が損害を受ける事態を避けられるように対策を講じるわけです。
裁判で負けて会社が損害賠償金を支払うことは、ある意味経営上全く想定すべきことではないわけです。
なぜなら、理屈では、本来は会社が訴訟を提起される場面自体がないはずだからです。
仮に会社が訴訟を提起される場面があるのだとしたら、損害賠償金は経営陣に支払ってもらわねばならないはずだ、と言えるわけです。

 



これから新株式を引き受けようとする株主は、第一中央汽船株式会社がどういう理由により増資を行うのか当然知っているでしょう。
「訴訟で負けたからです。」
と聞いて納得する株主がいるでしょうか。
純粋に営業上の理由により赤字計上というのなら納得もしますが、
「誰の責任か不明のまま」ということであれば、株主は絶対に納得しないでしょう。
これから新株式を引き受けようとする株主は、第一中央汽船株式会社に対し、
「私が新株式を引き受ける前に、経営陣から損害賠償金を受け取ることが先ではないでしょうか。」
と言いたいかもしれません。
訴訟で負けて会社から現金が流出したのなら、株主のために、今度は経営陣が会社に対して損害を賠償しなければならないわけです。
この上株主が会社に現金を払い込むなど、話があべこべではないでしょうか。
もちろん、経営陣には何ら責任はないのなら損害賠償の必要はありませんが。


理論上の話に過ぎないかもしれませんが、株式会社の理念や概念に照らせば、
このたびのような船の座礁といった営業上以外の理由が原因の損失(特別な要因に基づく損失)に関しては、

経営陣に責任がある→経営陣から会社に損害賠償金を支払ってもらい、会社の損失はゼロの状態にする。
経営陣に責任はない→訴訟により相手方から会社に損害賠償金を支払ってもらいもしくは保険金を受け取り、会社の損失はゼロの状態にする。

というのが、株主(債権者も含めてよいと思いますが)から見た場合の会社経営のあるべき姿ではないかと思います。
株主(や債権者)はそうやって自分の利益を守っていくしかないのではないかと思います。
純粋に営業上の理由(純粋に業績不振等)で会社が倒産しても、株主は納得するでしょう。
しかし、船が座礁して会社が倒産した場合は、株主は絶対に納得できないでしょう。
訴訟に負けた際、会社にお金を払い込むのは株主ではない、逆だと、会社にお金を払い込むのは経営陣なんだと、
経営陣が負うべき無限責任とはそういうことではないだろうかと思いました。

 



三菱自動車や三菱重工業がどれくらい貿易(海上輸送)を行っているのかは知りませんが、次のような記事がありました。


2014年3月27日(木)日本経済新聞
三菱自 社外取締役に宮永氏 三菱重工社長迎える
(記事)



今後、どの上場企業も社外取締役を選任することが増えてくると思います。
社外取締役の定義は取締役の定義とは別に規定があるのだとは思いますが、
会社法上、取締役としての法的地位は社内取締役も社外取締役も同じです。
どちらが責任が重く、どちらが責任は軽い、ということはないはずです。
今後株主が取締役を選任する時は、その候補者に対して、こう尋ねなければならないかもしれません。

"How much?"

と。
「役員報酬はなんぼ欲しいんや?」という意味ではありません。
「万一の時、いくら払えるのか?」という意味です。
「無限責任に耐えられるのか?」という意味です。