2014年3月30日(日)
【コメント】
記事の内容は全てデタラメでしょう。
マイナスの金利というのは概念的にあり得ないと考えてよいと思います。
その理由は単純であり、お金を貸して相手方に利息を支払うくらいなら、はじめから貸さない方がましだから、というだけしょう。
経済合理性に従えば、利息を受け取る目的で、お金を貸すわけです。
お金を貸した側が利息を支払うでは、話があべこべでしょう。
ただ、取引先等に対する経営支援目的で無利息でお金を貸すということはあると思います。
この考えの延長線上に、追加支援を行う目的でお金を追加的に相手方に渡すということは考えられると思います。
その場合は、結果としてマイナスの金利のような状態になるとはいえるかもしれません。
決してはじめからマイナスの金利が付されているわけではありませんが、
追加的に貸し出すとなりますと、元本合計額と受け取った・支払った利息、そして返済額から、
いわゆる利回りがマイナスになることはあり得るわけです。
貸し出した全額が返済され、一定の利息を受け取ることが前提の貸出金の場合は、
利回りがマイナスである状態は結果としてマイナスの金利になった、というような言い方ができるかもしれません。
ただ、この「追加支援を行う目的でお金を追加的に相手方に渡す」場合の会計処理については、
貸出人、借入人双方について、それぞれ3通りずつ考えられるように思います。
貸出人が借入人に100円貸し出しているとします。
この貸出金には通常のプラスの利息が付されていおり、利率は5%だとしましょう。
ところが、利払い日に借入人は経営不振から利息を支払えないとします。
貸出人は経営上の理由から借入人を倒産させるわけにはいかないと判断し、借入人に対し追加的に10円お金を渡したとします。
この時、このお金の授受に関し、両者の仕訳は次の3通りが考えられると思います。
@貸出人から借入人への追加貸出だと見なす場合
貸出人の仕訳
(貸出金) 10円 / (現金預金) 10円
借入人の仕訳
(現金預金) 10円 / (借入金) 10円
注:どちらによっても、税務上益金でも損金でもない。
企業会計上も損益には一切影響を与えない。
A貸出人から借入人への利息の支払いだと見なす場合(マイナスの金利と見なす場合)
貸出人の仕訳
(支払利息) 10円 / (現金預金) 10円
借入人の仕訳
(現金預金) 10円 / (受取利息) 10円
注:貸出人にとっては支払額は税務上損金、借入人にとっては受取額は税務上益金となる。
企業会計上もそれぞれ、営業外費用、営業外収益となる。
貸出人の仕訳
(寄附金) 10円 / (現金預金) 10円
借入人の仕訳
(現金預金) 10円 / (受取寄附金) 10円
注:貸出人にとっては支払額は税務上損金算入されない。
借入人にとっては受取額は税務上益金となる。
企業会計上もそれぞれ、営業外費用、営業外収益となる。
以上のような3通りの会計処理方法が考えられるかと思います。
税務上の取り扱いについてですが、非常に細かな定めが税法にあったり、経営支援目的の場合はまた別の考え方があったりと、
ケースバイケースの側面もあったりすると思いますので、厳密な細かな定めについてはここでは触れません。
当初当事者間で契約により定められていたはずの「支払われなかった利息」の取り扱いについては、考え方が難しいと思います。
貸出人としては、とりあえずこのたびの利払い日には利息は支払わなくてもよいと判断したわけですが、
「支払われなかった利息」というだけでは益金でも損金でもない、という取り扱いに税法上はなると思います。
当事者の自由意思で当初の契約内容を変更しただけだ、となると思います。
それから税法上、「マイナスの金利」というものは基本的には想定してないと思います。
ただ例えば、当事者の自由意思によって、貸出金に当初からマイナスの金利を設定した場合は、どうなるのだろうか、という気がします。
税法上支払利息そのものではないが、業務に直接、間接の関係をもっている相手方に対してなされる支出、ということであるならば、
税法上「交際費」と認められ、税法上損金算入が可能になるのかもしれません。
そう考えると、その経済合理性はともかく、結果的には税法上は間接的に「マイナスの金利」を認めている、という形になると思います。