2014年3月22日(土)


2013年11月8日(金)日本経済新聞
サントリーHD 1〜9月純利益 7倍の1836億円
(記事)


2013年11月7日
サントリーホールディングス株式会社
2013年(平成25年)12月期
第3四半期決算概況
ttp://www.suntory.co.jp/company/financial/pdf/results_201309.pdf

 

 

注:サントリー食品インターナショナル株式会社は上場後も引き続きサントリーホールディングス株式会社の連結子会社のままです。

2014年02月17日
サントリー食品インターナショナル株式会社
親会社等に係る決算概況に関するお知らせ
ttp://www.suntory.co.jp/softdrink/news/ir/d/SBF0101.html

 



【コメント】
昨年2013年の11月の記事になりますが、第3四半期のサントリーホールディングスの連結当期純利益が前年比で7倍になったようです。
その理由は、2013年7月に連結子会社のサントリー食品インターナショナルが東証1部に上場したことに伴い、
特別利益を計上したことのようです。
サントリー食品インターナショナル(株)の上場に伴い発生した特別利益とは一体何でしょうか。
第3四半期決算概況を見てみましょう。


四半期連結損益計算書
(7/8ページ)



四半期連結損益計算書によりますと、特別利益としては、持分変動利益と関係会社株式売却益の2つが際立って大きいかと思います。
関係会社株式売却益は個別上のサントリー食品インターナショナル株式売却益が連結上もそのまま計上されたものでしょうか。
持分変動利益というのは、連結子会社の増資により持株比率が減少した場合に計上される、連結会計特有の利益のことのようです。
持分変動利益については後日改めて書きたいとは思いますが、
手元にあります連結会計の実務書を見ますと、完全に意味不明な会計処理の結果のようです。
親会社が元々所有していた連結子会社株式の簿価が小さい場合(そして子会社の増資時の発行価額が大きい場合)に
連結上結果として持分変動利益という利益が計上されるようです。
全く本質的ではない利益だと思いますが、連結会計上そのような利益が計上されるということで、
一応サントリーホールディングスの連結当期純利益は巨額になったようです。

 



純資産の部
(6/8ページ)



資本剰余金の金額がマイナスなのは見なかったことにしましょう。
資本剰余金の金額がマイナスになることは絶対ありません。
ここでより気になった点なのですが、連結子会社の増資額に比べて、少数株主持分の増加額が少しおかしいなと思いました。


サントリー食品インターナショナル株式会社の上場時の増資額は「276,690百万円」でした。
そして、親会社であるサントリーホールディングスも当該子会社株式を一定額だけ売り出しています。
大まかに言えば、この両方の金額の合計額が少数株主持分に振り替えられる形かと思います。
少数株主持分の増加要因は子会社計上の当期純利益もありますが、
連結貸借対照表に対するインパクトの大きさから言えば(増資のインパクトが圧倒的に大きいため)、

少数株主持分の増加額>「276,690百万円+親会社売り出し額」 

となるのではないかと思います。
実際の少数株主持分の増加額は「241,476百万円」しかありませんので、
サントリーホールディングスの連結貸借対照表は間違っているかもしれません。


ただ、上の方で書きました、連結上の持分変動利益のことを考慮すると実は正しいのかもしれません。
現行の会計基準では、大まかに言えば、少数株主持分の一部が持分変動利益に計上されているようなイメージになっています。
会計理論上は、連結子会社の増資額は全額が少数株主持分となるのではないかと思いますが、
連結子会社の増資を「連結子会社が(親会社にも)株主割当増資を実施した後、親会社はその分を他の株主に売却した」と考える結果、
持分変動利益が計上され、その分少数株主持分が減少するようです(この処理に伴いのれんも計上されます)。
現行の会計基準に従って会計処理を行った結果、
連結子会社の増資額の全額が少数株主持分となるわけではない(持分変動利益が計上される)のだとしますと、
少数株主持分の増加額は「241,476百万円」で合っているのかもしれません。