2014年2月14日(金)



2014年2月13日(木)日本経済新聞
消せるペン10億本で配当
(記事)





【コメント】
まず、こちらのプレスリリースを見てみましょう。


2014年2月12日
株式会社パイロットコーポレーション
役員の異動に関するお知らせ NEW !!
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1126625


役員の異動といっても基本的には役職名が変更になるだけのようです。
「○○担当」や「○○本部長」という役職名が消え、「常務取締役」や「取締役」といった名称だけになるようです。
まあいろいろあるのでしょう。

 


記念配当のプレスリリースというのはこちら↓です。


2014年2月12日
株式会社パイロットコーポレーション
平成25年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1126617

2.配当の状況
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記事によりますと、記念配当は2014年12月期に「フリクション」シリーズ累計販売10億本を記念した配当を行う、とのことですが、
決算短信を読むと、2013年12月期も記念配当を支払っているようです(第2四半期末及び期末両方)。
2014年12月期に記念配当を行うのは経営上はまだ意味は分かりますが(財務上は全く意味は分かりせんが)、
2013年12月期に既に支払っている記念配当というのは一体何を記念した配当なのでしょうか。
全く意味が分かりません。

 


それから、「純資産配当率(連結)」という財務指標が計算されています(2012年12月期は1.4%、2013年12月期は1.7%とのことです)。
これは全く意味がない財務指標です。
分子は、親会社単体の配当金額です(子会社が親会社その他の株主に支払った配当金額は含まれないのだと思います)。
分母は、「@親会社単体資本金+A親会社単体資本剰余金+B親会社単体利益剰余金+C子会社単体の連結子会社化後の利益剰余金」です。
この分母のうち、配当可能な金額(勘定科目)というのは、「B親会社単体利益剰余金」だけです。
@親会社単体資本金も、A親会社単体資本剰余金も、C子会社単体の連結子会社化後の利益剰余金も、配当は不可能なのです。
分母と分子の整合性が全く取れていないため、「純資産配当率(連結)」という財務指標は何も表していないのです。
これは単体ベースで見た場合でも、「純資産配当率(単体)」というのは意味はないのです。
なぜなら、分母のうち、配当可能な金額(勘定科目)というのは、「B親会社単体利益剰余金」だけであり、
@親会社単体資本金も、A親会社単体資本剰余金も、配当は不可能だからです。
敢えて配当金総額と貸借対照表を組み合わせた財務指標を考えるなら、「(単体)配当金総額÷(単体)利益剰余金×100」、になるでしょう。
もしくは、何かグループ経営の指標ということで、グループ子会社からの配当をいかに親会社株主への配当に使っているかを見るために、
「(単体)配当金総額÷(単体)受取配当金額(ただし連結子会社からのみ)×100」、
という財務指標も面白いかもしれません。
ただ、(単体)配当性向(これも当然単体ベースで見るべきですが)という財務指標の分母である(単体)当期純利益額には、
連結子会社からの受取配当金がはじめから含まれている、という点には注意が必要です。
もちろんこれは、連結子会社からの受取配当金は何か当期純利益から引き算して考えないといけないという意味ではありません。
少なくとも、
「配当金総額÷(連結子会社からの受取配当金+当期純利益額)×100」
という計算式は間違いだ、ということを指摘したかっただけです。
この分母ですと、連結子会社からの受取配当金が二重計上されていることになりますので間違いです。
親会社にとっては、「連結子会社の当期純利益」と「連結子会社からの受取配当金」は、
連結上そして個別上、全く意味が異なるのです。
それなのに、「親会社の連結当期純利益」というのは、何かそれらが合算されそして減算されて、完全にごっちゃになっているわけです。
この点について深く考えていきますと、やはり財務指標は単体ベースでのみ見れば十分である(そして単体ベースでしか見れない)、
という結論に行き着く気がします。