2014年1月28日(火)



豊田通商、トーメンエレを完全子会社化へ 1株1650円でTOB

 豊田通商(8015)は28日、トーメンエレクトロニクス(7558)に対しTOB(株式公開買い付け)を実施し完全子会社化すると発表した。
トーメンエレ株1株あたり、同日終値(1193円)を38.3%上回る1650円で買い付ける。買い付け総額は約160億円。
トーメンエレの完全子会社化により、人材交流や海外拠点の相互活用などを進め、半導体・電子部品の関連事業で競争力を高める。
 豊田通商のトーメンエレ株の保有比率は、13年9月末時点で発行済み株式総数の40.16%。
今回のTOBで発行済み株式数の59.8%にあたる967万7730株を追加取得する。
買い付けの開始時期は「14年6月末頃を目指す」としているが現時点では未定。「決定次第速やかにお知らせする」という。
 トーメンエレは同日、TOBへの賛同を表明した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
(日本経済新聞 2014/1/28 16:52)
ttp://www.nikkei.com/markets/kigyo/ma.aspx?g=DGXNASFL280S0_28012014000000

 


2014年1月28日
豊田通商株式会社
株式会社トーメンエレクトロニクス株式に対する公開買付けに関するお知らせ
ttp://www.toyota-tsusho.com/press/upload_files/201401281530.pdf

 


2014年1月28日
株式会社 トーメンエレクトロニクス
支配株主である豊田通商株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する賛同及び応募推奨のお知らせ
ttp://www.tomen-ele.co.jp/ir/library/news/release20140128_1.pdf

 


2014年1月28日
株式会社 トーメンエレクトロニクス
平成26年3月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
ttp://www.tomen-ele.co.jp/ir/library/news/42_3Qtanshin.pdf

 

2014年1月28日
株式会社 トーメンエレクトロニクス
(訂正)「平成26 年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正に関するお知らせ
ttp://www.tomen-ele.co.jp/ir/library/news/42_3Qrevisetanshin.pdf

 

「トーメンエレクトロニクス株価のここ10年間の値動き」


「トーメンエレクトロニクス株価のここ5年間の値動き」

 


【コメント】
豊田通商株式会社からの発表によりますと、

>本公開買付けは、上記の条件が充足された場合に、速やかに実施することを予定しており、
>本日現在、当社は、平成26年6月末頃には本公開買付けを開始することを目指しております

とのことです。
公開買付けの開始時期は、何と今年の6月末頃とのことです。
いくらなんでも早過ぎる気がしますが。
一応これは「適時開示(Timely disclosure)」という位置付けのようです。
ただ、これは"timely"ではなく"too early"の間違いではないでしょうか。

 



株式公開買付を行うことを発表してから実際の実施までの期間に関しては特段規制はないのだとは思いますが、
株式市場への影響を考えればやはりあまり期間は空けない方が望ましいのではないかとは思います。
このたびの事例では、最終的には完全子会社化を目指すということで、完全親会社が全株式を取得することが事実上決まっていますから、
上場廃止のその時まで株価は1株1,650円に張り付くということで何の問題もないのですが、
これが例えば、一定数の株式のみの取得を目的としており、その後も上場は維持される形の株式公開買付の場合ですと、
市場の投資家としては、一体いくらで株式を売買すればよいのか分からず非常に悩ましい事態となり得るでしょう。
このたびの事例に即して言えば、
「豊田通商株式会社は、トーメンエレクトロニクス株式の51%の株式を取得することを目的に、1株1,650円で株式公開買付を実施することを
本日正式に発表した。組織再編はせず、上場はその後も維持される見込みである。公開買付けの開始時期は、今年の6月末頃の予定である。」
という場合、市場の投資家は明日から公開買付期間の終了の時まで、一体いくらでトーメンエレクトロニクス株式を売買すればよいのでしょうか。
今日の終値は1,193円、買付価格は1株1,650円、上場は維持される見込み、
もちろん、株式公開買付には応じてもよいし応じなくてもよい、
という場面ですが、どうしたらよいでしょうか。
豊田通商株式会社はただ単に市場外(公開買付制度)でトーメンエレクトロニクス株式を1株1,650円で買う、と言っているだけなのですが、
市場内の投資家間で需給が拮抗している価格というのは、1,650円ではないわけです。
例えば今日の終値(=今日の取引の終了時点での拮抗価格(最終取引価格))は1,193円であったわけです。
公開買付期間中もトーメンエレクトロニクス株式は市場で売買はできるわけでして、
市場株価も買付価格も、どちらも法的な・経済的な一定の意味をもった価格であると言えるわけです。
同じトーメンエレクトロニクス株式に市場の全投資家にとって二種類の異なる価格が付いている状態になっている、と言いましょうか、
何と言いますか、このような場合のトーメンエレクトロニクス株式の一番公正な価格とはどちらになるのだろうか、と思いました。
もちろん、どちらも公正な価格と言えばどちらも公正な価格なのだろうとは思いますが。
上場株式の場合は概念的には、市場株価の方が株式の一番公正な価格を表すのだと思いますが、
株式公開買付が実施されますと、その市場株価が買付価格に大きな影響を受けてしまう形で価格が形成されますから、
単純には市場株価が株式の一番公正な価格を表すとは言い切れない部分が出てくると思います。
株式公開買付は、悪く言えば”市場株価形成のかく乱要因”となり得るわけです。
そういったことを考えますと、株式公開買付は、実施することを発表した場合はできる限る早期に開始する、
ということが市場株価の健全な形成のためには必要ではないだろうか、と思います。
例えば、国内外の競争当局における手続等に要する期間というのが、買付開始のためには別途必要という場面も実務上はあるでしょうから、
発表後明確に何ヶ月(もしくは何週間)以内に買付を開始する義務を課する、というのは難しいかもしれませんが、
特段の理由がないならできる限り早期に開始することが要求されるべきでしょう。

 

 



2014年1月28日(火)日本経済新聞 公告
発行価額等の決定に関するお知らせ
産業ファンド投資法人
前払式割賦販売業務廃止及び積立金ご返金のお知らせ
蛇の目ミシン工業株式会社
(記事)





2013年6月18日
蛇の目ミシン工業株式会社
営業外費用(事業再編損)の発生に関するお知らせ
ttp://www.janome.co.jp/ir/news/news142.pdf

 


2013年8月2日
蛇の目ミシン工業株式会社
営業外費用の計上ならびに業績予想の修正に関するお知らせ
ttp://www.janome.co.jp/ir/news/news144.pdf

 


蛇の目ミシン工業株式会社
平成25年3月期 有価証券報告書
ttp://www.janome.co.jp/ir/pdf/87.pdf

 


【コメント】
「営業外費用の計上ならびに業績予想の修正に関するお知らせ」
1. 営業外費用(事業再編損)の計上
(1/1ページ)



将来の返金額および調査費用等を見積もった結果、450百万円を事業再編損として営業外費用に計上した、とのことです。
しかし、それは間違いだと思います。
解約返金支出額は損益には影響を与えません。
損益に影響があるのは、月掛金(積立金)の返還以外の、前払式割賦販売業務廃止に関わる費用のみです。
おそらく、契約者への問合せに要する費用等の見込額を事業再編引当金として計上する、ということなのでしょう。
実際にその費用を支出したのかどうかは詳しくは分かりませんが、
ここでは将来発生する費用の見込み額を当期に計上した、と考えますと、
事業再編に関する引当金計上の仕訳は以下のようになると思います。


(事業再編損失引当金繰入) 450百万円 / (事業再編損失引当金) 450百万円

 


有価証券報告書
個別貸借対照表 負債の部
(72/100ページ)



有価証券報告書によりますと、前受金勘定(=月掛金(積立金))は2013年3月末時点で、175百万円だったとのことです。
この月掛金(積立金)を同じ価額だけお客様に返還していくわけです(つまり、前受金の返還は損益取引ではない)。


月掛金(積立金)を実際に返金した時の仕訳

(前受金) 175百万円 / (現金預金) 175百万円

 

ただ、一つ気になるのは、前受金勘定が、2012年3月末時点では148百万円だったわけです。
なぜか、2013年度の1年の間に前受金勘定が増加しているわけですが、理屈ではこのようなことはあり得ないはずです。


2012年2月10日
蛇の目ミシン工業株式会社
特別損失の計上および業績予想の修正に関するお知らせ
ttp://www.janome.co.jp/ir/news/news109.pdf

>割賦販売法に基づく前払式割賦販売業者(経済産業省許可事業者)として、お客様と月掛予約契約を締結してまいりましたが、
>平成15年10月に月掛予約契約の新規募集を中止し、平成18年10月には掛金の積立期間も終了しております。

と書いてあります。
平成18年10月には掛金の積立期間も終了しているのなら、平成18年10月以降は前受金勘定は減少していくはずです。
解約に伴いお客様に月掛金(積立金)を返還した場合も前受金勘定は減少しますし、さらに、
当初の契約通りお客様に商品を販売した場合も前受金勘定は減少します(販売実現に伴い、前受金勘定が売上勘定に振り替えられるから)。
平成18年10月以降に前受金勘定が増加することは(他に前払式割賦販売を行っているわけではないのなら)絶対にあり得ないと思います。