2014年1月25日(土)
【コメント】
中国・アリババが香港に上場しているソフトウェア開発会社を買収する、とのことです。
アリババ集団は、
>買収後、自らの資産を注入することで正式な上場手続きを経ない「裏口上場」を狙っているのではないかとの観測も一部で広がった。
とあります。
裏口上場に関して一般論を言えば、裏口上場を企てる者がいるとすれば、それは会社自身ではなく株主の方です。
このように書くと、何か言葉尻を捕らえた表面上の話をしているように思うかもしれませんが、
裏口上場によって誰が得をするのかを考えますと、むしろ本質的な指摘であると言わねばなりません。
株式が上場をしても会社は得はしません。
得をするのは株主です。
それで、裏口上場というのは簡単に言えば、上場企業が非上場企業を吸収合併する(当然上場企業が存続会社)ことを言うわけです。
合併の対価として、非上場企業(消滅会社)株主には上場企業(存続会社)株式が割当てられます。
これにより、非上場企業株主は出資している企業が上場審査を受けることなく、自らが保有する株式を上場させることができる、
という流れになります。
裏口上場を行う場面では、非上場企業株主としては、出資先である非上場企業が上場企業を買収する必然性というのはないのですが、
合併の前に上場企業でも合併の株主総会決議が必要となりますので、アリババの場合は事前に議決権を確保する目的で、
上場企業を買収したのだと思います。
記事にあるような、一部で広がった観測が正しいのかどうかは知りませんが、
上場企業が非上場企業と一定規模以上の組織再編(合併、会社分割、事業の譲受け)を行う場合は、
非上場企業が上場審査と同等の審査を経ていることを(株主総会決議とは別の)法律上の条件とすべきだと思います。
その理由は、組織再編に伴い上場企業の貸借対照表の載ってくる資産負債の内容及び価額に間違いがないことを保証するためです。