2013年12月16日(月)



中国、店頭市場を全土に拡大へ―中小企業の資金調達促す

 【上海】中国は多くの中小規企業に店頭(OTC)取引市場を開放し、新たな資金調達手段を提供する計画だ。
国内の雇用と経済の成長には、そうした措置が不可欠と判断したとみられる。
 中国国務院(内閣に相当)は13日付の文書で、一定の資格を満たした国内企業に店頭市場を開放することを明らかにした。
直ちに施行されたもよう。比較的規模が小さい、イノベーティブな新興企業が対象とされている。
(ウォール・ストリート・ジャーナル 2013年 12月 16日 15:32 JST)
ttp://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303674004579261392215403298.html

 


2013年12月15日(日)日本経済新聞
株の店頭公開、手続き簡素化
(記事)



(関連レポート)

2013年2月28日
大和総研リサーチ
中国の中小企業向け店頭市場が正式スタート
ttp://www.dir.co.jp/research/report/overseas/china/20130228_006876.pdf


2012年11月
野村総合研究所 Thought Leaderに訊く
加速する中国の証券市場改革
ttp://fis.nri.co.jp/~/media/Files/knowledge/thoughtleader/2012/itf_201211_2.pdf

 



【コメント】
株式の売買を広く社会一般に行う場所であるいわゆる「株式市場」には二つあって、
一つが「取引所市場」、もう一つが「店頭市場」だ、と言いますが、実際には両者は全く一緒だと言っていいと思います。
その株式市場を開設している主体が証券取引所という法人の場合は「取引所市場」と呼び、
その株式市場を開設している主体が証券会社等の集合体(日本では日本証券業協会)の場合は「店頭市場」と呼ぶだけなのだと思います。
株式を「取引所市場」で売買するようになることを「上場」、
株式を「店頭市場で売買するようになることを「店頭登録」(店頭公開)、
と言ったりして両者を区別する向きもありますが、実際には両者は「株式市場である」という点で全く一緒だと言っていいと思います。

公式に「証券取引所」を名乗るためには法的には免許が必要なようでして、
かつての「店頭市場」もこの免許がなかったために証券取引所とは名乗っていなかったわけなのですが
店頭市場で実際に行われていたことは証券取引所で行われていたことと全く同じだったのです。
店頭市場は2004年12月に正式に免許を取得したとのことで正式に証券取引所に組織変更された、という扱いになっていますが、
実際には、組織変更も株式売買制度の変更もコンピューター・システムの変更も何もなかったわけです。
証券取引所免許の取得の有無が云々というのは、極めて表面的な議論ではないかと思います。

 


「店頭市場」というキーワードでグーグルで検索しますとたくさん解説記事がヒットしますが、どの解説記事も何か違うような気がします。
以下、インターネット上の解説記事を見ながら簡単にコメントします。
まず、証券取引所では取引所取引(上場取引)を行い、店頭市場では店頭取引を行う、などと書かれています。
そして、この取引所市場と店頭市場との違いに関連して、
取引所取引とは、売り注文と買い注文を証券取引所に集めて売買を成立させる取引(いわゆる市場取引)であり、
店頭取引とは、売り手1人に買い手1人の相対の取引(そのままですがいわゆる相対取引)である、と書かれてあり、
店頭市場とは証券会社が顧客の相手方となって売買を成立させる市場である、といった解説がなされています。
しかし、この解説はおかしいわけです。
なぜなら、店頭取引とは売り手1人に買い手1人の相対の取引(=証券会社が顧客の相手方となって売買を成立させる取引)であるのなら、
証券会社が店頭登録されている株式を言わば商品在庫として保有しておかねばならないからです。
もちろん、店頭取引とは証券会社が店頭銘柄を在庫として持っている取引(顧客はその在庫を店頭で買う)のことだというのなら、
インターネット上の解説で正しいわけですが、実際には証券会社は店頭在庫として株式を保有しているわけではないのではないでしょうか。
仮に、証券会社の店頭に顧客が来店し店頭銘柄を買いたいという申し出があった場合は、証券会社はどうするのかと言えば、
その銘柄が取引されている価格を調べることでしょう。
どこで調べるのかと言えば、店頭市場の価格を見るわけです。
現在店頭市場ではその銘柄はいくらで売買されている、とその顧客に伝え、顧客がそれでいいということであれば、
顧客が希望する株式数分、証券会社は店頭市場に対して買い注文を出すわけです。
それで売買が成立し、その顧客は店頭銘柄を購入することができるわけです。
この時、その銘柄は誰が持っていたのかと言えば、証券会社が在庫として持っていたのではなく、
店頭市場にいる投資家(既存株主)が持っていたわけです。
これはまさに、いわゆる取引所市場と全く同じではないでしょうか。
どの解説記事を読んでも店頭市場では相対取引である、と書かれていますが、これは間違いです。
店頭取引はあくまで市場取引です。
店頭取引は決して相対取引ではない(相対取引なら証券会社が銘柄を在庫として持っておかねばならない)のです。

 



店頭登録されている銘柄はコンピュータシステムを通じて取引がなされているわけですが、
取引所市場に上場している株式もコンピュータシステムを通じて取引がなされています。
それぞれのコンピュータシステムで使っているハードウェアやソフトウェアは違うでしょうが、
両者の基本的仕様や売買が成立する仕組みは全く同じであるわけです。
若干誇張して言えば、店頭市場というものそのものが実はこの世に存在しない、と言っていいと思うわけです。
あるのは「株式市場」なのです。
証券取引所も株式市場、店頭市場も全く同じ株式市場、ただそれだけのことなのです。
インターネット上のQ&Aサイトに、

>店頭市場の株
>証券取引所での取引は、顧客の株を取引しますが、店頭市場では、誰の株を取引するのですか?
>顧客の株?それとも証券会社が所有する株ですか?

という質問が載っていましたが、正しい答えは、「店頭市場時代も顧客の株」です。
証券会社が所有する株は取引しません(むしろ、証券会社は証券を一切所有してはならない。証券会社は仲介のみに徹しなければならない)。
この質問者は、本を読んで勉強していると、「店頭取引は相対取引である。」と書かれていたのでしょう。
ですから、「店頭市場では証券会社が所有する株を取引するのだろうか?」と思ったのでしょう。
私自身、以前に、”店頭取引の株式は証券会社が在庫として持っておかねばならない”という意味のことを書いたかと思います。
実は私も学生時代のことですが、本を読んで勉強していますと「店頭取引は相対取引である。」と書かれていたのです。
その時私は、「それなら、店頭取引の株式は証券会社が在庫として持っておかねばならないな。」と思ったものです。
私自身そういった記憶がありますから、この質問者の疑問は至極まっとうであると私は思います。
実際には店頭取引は相対取引ではないわけですが、店頭取引は市場取引と同じであるのなら、
取引所市場と店頭市場は全く同じ(表面上の運営主体が取引所か日本証券業協会かの違いのみ)、と言わねばならないわけです。

 



ネットの上の記事を見ますと、いわゆる店頭市場に関して、
2001年2月には店頭市場へ株式公開することを「店頭登録」から「店頭上場」という表現に変更し、
同年7月には店頭市場の正式な呼称を「JASDAQ市場」と変更した、
そして、「JASDAQ市場」は2004年12月に証券取引所に組織変更され、これにより「JASDAQ市場」は取引所市場となった、
などと書かれていますが、これは本当に極めて表面的な変更に過ぎないわけでして、
店頭市場の実態は最初から取引所市場と全く同じだったのです。
店頭登録と株式上場とは全く同じ、と言えばいいでしょうか。
店頭取引とは言うものの、証券会社ではあくまで店頭銘柄の売買の仲介を行っていただけなのです。
売買注文の受付や売買の成立はあくまで市場で行われていたわけです。
店頭取引とは言っても、実態はまさに取引所市場での取引と全く同じだったのです。
取引所市場でも、かつては投資家同士は手作業で売買契約を結んでいたわけです。
ただ、透明性や公平性の確保のため、その両者の間に証券会社が入っていました(実際の売買契約締結を証券会社が代行していた)。
かつては売買成立に時間がかかっていたという問題はあったのだとは思いますが、それは時代背景を踏まえれば致し方なかったのでしょう。
今では取引所市場も店頭市場も、証券会社間を結ぶコンピュータネットワークが導入されており、
オンラインで取引できるような仕組みが作り上げられている(株価をリアルタイムで知ることができるようになった)ため、
今では当たり前のように証券会社や投資家はコンピュータ上で(自宅のパソコンで)株式の売買ができるわけです。

 


そして実は株式の売買がコンピューター化された今でも、実際の売買契約締結は証券会社が代行している、と言わねばならないでしょう。
なぜなら、株式の売買の際、株式市場で出会った実際の売買相手と直接は株式売買契約を締結するわけではないからです。
例えば株式市場で株式を買う場合、売却相手とは直接は売買契約は締結しないでしょう。
それでも株式の取得や決済には何の問題もないでしょう。
それはなぜかと言うと、証券会社が間に入っているからなのです。
上場株式の売買契約締結に関しては、証券会社が by attorney(代人をもって、代行を委任された)という形で行い、
上場株式売買の実際の当事者達は in person(自分で、本人が)では行う必要はない(透明性・公平性の観点からはむしろ行ってはならない)、
ということになっているのです。
このことに関連して店頭市場の話に少し戻りますと、
”店頭市場とは証券会社が顧客の相手方となって売買を成立させる(相対取引)市場のこと”、という説明が一般的になされていますが、
店頭取引では証券会社は、株式を所有しているのではなく、
顧客からの注文を受けてその時市場で株式を買ってその場でその株式を顧客に売るのなら、
それをまさに市場取引(取引所市場)というのです。
それを相対取引と言うのなら、取引所市場も相対取引と言わねばならないわけです。
証券会社が上場株式の売買当事者の間に入っている(売買契約締結や決済を代行している)というのは、
まさに、証券会社がそれぞれ顧客の相手方となって売買を成立させる、という意味なのです。

 



英単語からも「店頭市場」について少しだけ考えてみましょう。
「店頭市場」は英語で「the over-the-counter market」と言います。
文字通り、「証券会社のカウンター(店頭)における市場」という意味になるかと思います。
ネット上に載っていた語句としては
>店頭取り引きが行われる市場
>a market at which over-the-counter type selling takes place
というのが載っていました。
店頭市場という言い方も、英語の「the over-the-counter market」を訳しただけのものなのだと思います。
ただ以上書いてきましたように、「the over-the-counter market」という表現・英語すらおかしいわけです。
なぜなら、いわゆる取引所市場に上場していた株式も、ネット証券が誕生する前は全て「over-the-counter」(店頭)で売買していたからです。
アメリカで初めて「the over-the-counter market」が誕生した時、アメリカ人自身が、
「今までの上場株式も全て over-the-counter なのに、何で the over-the-counter market という名前が付いているんだろう?」
と思ったことでしょう。
「over-the-counter ではない上場株式がそもそもあるのだろうか?」と疑問に思うわけです。
日本でも全く同じ(「上場株式は全て店頭で買う。店頭では買わない上場株式があるのか?」という疑問がある)ではないかと思います。
アメリカでも日本でも、"What is the over-the-counter market?"(店頭市場って何だ?)というのが当時の人々の疑問だったと思います。
証券会社のカウンター(店頭)の先にある市場がそもそも取引所市場であったわけですが。
(The stock market which is over the counters of brokerage houses is fundamentally an exchange market.)
それなのに、カウンター(店頭)先の取引所市場とは別に「the over-the-counter market」(店頭市場)というのがある
というのは意味不明なのです。
こういった点からも、店頭市場と取引所市場とはそもそも同じである、ということが分かるかと思います。

ところで、市場取引の反意語である「相対取引」ですが、これは英語で何と言うでしょうか。
辞書を引いてもネットで検索してもなかなか上手い訳がないような気がします。
negotiated transaction、negotiation transaction、cross trade transaction、cross trading、
arm’s length transaction、matching transaction、
といった訳が載っています。
これらの訳語で実務上もちろん通じるのだとは思いますが、今日の議論を踏まえ、私なりに「相対取引」の訳語を考えてみました。
それは、「a face-to-face transaction」という訳語です。
辞書にもインターネット上にも全く載っていない訳語ですが、
英語圏のネイティブにも日本語の「相対取引」の意味で通じるのではないかと思います。


最後に、証券会社の業務について一言だけ書きたいと思います。
証券会社には「broker-dealer」という言い方もあります。
この理由は、証券会社は、株式の仲買を行う(証券の委託売買業務、委託注文を取り次ぐ)ブローカー(broker)としても、
また、株式を自己勘定で売買するディーラー(dealer)としても業務を行うので、この名称が付いたようです。
しかし私は、証券会社は brokerage(仲買業)のみを行うべきだと思っています。
証券会社は dealing(自己勘定売買)は決して行うべきではないと思っています。
現在の証券会社の業務である「underwrite(引き受け業務)」には、
この brokerage(仲買業)と dealing(自己勘定売買)の両方の意味が含まれているのですが、
証券会社の本来の「underwrite(引き受け業務)」には brokerage(仲買業)の意味しかなかったはずです。


以下、文脈の都合上、「引き受け(underwrite)業務」という言葉を書いてますが、
この言葉を証券会社について使っている場合は「brokerage(仲買業)」の意味のみを指していると思って下さい。
この言葉が証券会社の dealing(自己勘定売買)をも指すと解釈しますと、文の意味が通じなくなります。
その点に注意して以下の文は読んで下さい。
私が言いたいことは、「証券会社は brokerage(仲買業)のみに徹するべきだ」ということです。
その理由は、証券会社が株式市場との窓口になっている以上、証券会社が株価を任意に決めることは実際には可能だからです。

 


私はいつも、「証券会社は引き受け(underwrite)業務に徹するべきだ」と書いています。
証券会社が引き受け(underwrite)業務に徹するというのは、手数料収入のみに徹するという意味です。
株式や債券を低い価格で取得しよう、そしてそれら株式や債券を高い価格で売却しよう、
というインセンティブは証券会社は決して持ってはいけないのです。
なぜなら、市場の有価証券の価格形成に悪影響を及ぼす(証券会社が自分が保有している株式の価格を人為的に上げかねない)からです。
証券会社が有価証券の価格を気にし始めると、市場における有価証券の公正な価格付けが不可能になります。
これは市場の投資家にとって極めて不公平であると言わねばならないでしょう。
また、引き受け業務のみを行うのであれは、証券会社は絶対に損をすることはないのです。
企業や投資家と市場との仲介のみを行う、それが本来の証券業です。
株価が下がろうとも損はしない、株価が上がっても得はしない、それが本来の証券業だと思います。

 

また、これに関連して銀行業についても一言付け加えます。
これは批判をしているのでは全くなく純粋に経営管理学の見地からの業界業務分析なのですが、
銀行業というのも実は手数料収入を得ていることに非常に近いと思います。
もちろん銀行業で得ている収入のことを手数料収入と言わないことが多いでしょう。
銀行はあくまで貸出金に対する利息収入を得ているわけです。
銀行で言う手数料と言うと、口座振り込み手数料等の手数料の方を言うことが多いでしょう。
銀行も手数料収入を得てはいるが、銀行全体としてみれば、貸出金利息の方がはるかに大きいわけです。

 



ところが、少し見方を変えますと、「銀行は預金者と借入者の間を仲介しているだけ」という見方ができるわけです。
株式発行や債券発行による資金調達のことを直接金融と呼び、銀行借り入れによる資金調達のことを間接金融と呼びますが、
「銀行は預金者と借入者の間を仲介しているだけ」という見方をしますと、資金の流れを見てみますと、
実は直接金融と間接金融というのは実は非常に似ている面があるわけです。
銀行は一時的に預金者から文字通りお金を預っているだけ、そして銀行はそのお金を資金を借りたいという人に橋渡ししているだけ、
その橋渡し手数料として、両者の金利差分を銀行は収入として得ているだけだ、と考えると、証券会社と銀行は非常に似ているわけです。
法律的には、株式や債券の場合は、その保有者は投資家自身になっている(最終的には証券会社は間に入らない形)のに対し、
預金・貸出金の場合は、預金者はあくまで銀行自身にお金を預け、
借入者はあくまで銀行自身から資金を借りている(最後まで銀行が間に入る形)、ということになるだけなのです。
両者の業務の流れを大きくとらえますと、直接か間接かの違いはあるにせよ、両者が行っていることは実は非常に似通っているわけです。
銀行も証券会社同様、仲介手数料収入を得る事が実は本業である、という見方ができるわけです。
銀行の場合はその仲介手数料が表面上貸出金利息の形を取っているだけなのです。

もちろん、銀行には預金保護の義務がある点や担保を取った上で仲介を行う点など、銀行は証券会社とは異なる点も数多くあるわけですが、
取り扱っている金融商品(株式か債券か貸出金)の違いこそあれ、
本質的には仲介手数料収入を得ている業務であることは同じであると思います。

銀行は預金者からの預金の「引き受け(underwrite)業務」に徹するべきであり、
それはもちろん借入者への「貸し出し業務」に徹することとセットです。
「『引き受け(underwrite)業務』かつ『貸し出し業務』」という1セットの仲介業務が銀行の本分、
株式や債券の「引き受け(underwrite)業務」という企業や投資家と市場との仲介業務が証券会社の本分、
銀行も証券会社もその仲介手数料を得ることが本業の対価だ、という見方ができるわけです。

銀行は今のところ、「『引き受け(underwrite)業務』かつ『貸し出し業務』」という1セットの仲介業務に徹しているようです。
引き受け(underwrite)た全てを貸し出しに仲介し切れず、一部は国債を保有する形になっているようですが、
それは預金保護を考えればやむを得ない面があるでしょう。
証券会社も銀行を見習い、株式や債券の「引き受け(underwrite)業務」という企業や投資家と市場との仲介業務に徹するべきだ
と私は思います。

 



それから、今ふと思ったのですが、証券会社のことは投資銀行とも呼び、英語では「investment bank」と言います。
そして商業銀行は「commercial bank」と言います。
どちらも「bank」と呼びますが、その語源はひょっとしたら今日私が書いたことが何か関係があるのだろうかと思いました。
「bank」の語源は「両替屋のカウンター・テーブル・店」という意味のようです。
銀行にも証券会社にも「カウンター」があるな、とふと思いました。
また、以上書きましたように、銀行と証券会社は概念的には「人と人との仲介を行っている」という点で業務が似ている側面があります。
歴史を百数十年以上さかのぼれば語源としては何か関係があるのかもしれません。
ただこの点については全くの思い付きであり、実際には語源としても全く関係ないかもしれません。
そこで今改めてインターネットで検索していますと、「investment bank」という表現自体、近年になって誕生した言葉のようです。
実際には語源としても全く関係ないのでしょう。
証券会社は brokerage(仲買業)のみを行うべきなのですから(そして元来 brokerage(仲買業)のみを行ってきたわけですから)、
証券会社が investment すなわち dealing(自己勘定売買)を行うことはそもそもおかしい
(そして証券会社は近年になって dealing(自己勘定売買)を行うようになった)わけです。
証券業と bank とは語源としても関係がないどころか、investment などとは、むしろあってはならない名称になっている、ということに、
よく考えてみたら当たり前のことだったのかもしれませんが、今頃気付きました。

 


それにしても、中国では現在急速に証券市場の改革が行われているようです。
改正や改革という場合は、ほとんどが改悪である、というのが歴史の教えるところです。
reform(改革、改心)が必要なのは、証券市場ではなく、改革を推進しようとしている人たちの方ではないかと思います。
法律や会計基準同様、証券市場もはじめから理想的な完璧な証券市場を整備できるわけです。
わざわざそれを変えるとなりますと、物事は必然的に悪い方向にしか向かわないわけです。
ただの改悪を、改革という言葉に置き換えるのはもうやめにしたらどうでしょうか。


資金調達手段は多様化するとろくな有価証券が出てこない。
(The more various the ways of financing are, the worse the securities newly issued afterward are.)


この言葉を、中国の、いえ、全世界の証券市場に送りたいと思います。