2013年11月27日(水)



2013年11月27日(水)日本経済新聞
仏プジョーシトロエン ライバル出身新トップに託す
再建、東風と提携に活路
(記事)



 

【コメント】
仏ルノーの前最高執行責任者(COO)であるタバレス氏が仏プジョーシトロエンの次期最高経営責任者(CEO)になるそうです。
ただ、記事には、タバレス氏は、

>1981年にテストドライバーとしてルノーに入社。

と書かれています。
私ちょうど1981年からルノーでテストドライバーをやっていまして、
ですから私仏ルノーでの経歴は実はあのカルロスより長いんですよ。
で、まあサーキットでの同僚ということになるのでしょうが、タバレスっていうドライバーいましたかね?
ちょっと記憶にないなあ、という印象です。
まあ私より運転技術が上手い奴はルノーにはいなかったので、タバレス君のことは眼中になかったという感じだったのかもしれません。
というのは全部冗談です。

 



2013年11月27日(水)日本経済新聞
メキシコ携帯大手アメリカ・モビル 欧州でのM&Aに意欲 中南米シェア圧倒 拡大余地少なく 設備投資、年1兆円規模
(記事)




【コメント】
カルロス・ガルシアモレノCFOは、1981年に家庭用電話機器・オフィス用FAX機器類の修理工としてアメリカ・モビルに入社したそうです。
残念ながら会計のかの字も分かっていません。
というのは全部冗談です。

 


2013年11月27日(水)日本経済新聞
ソニー エンタメ事業CEOに聞く
独立より一体が有利 テレビ事業 投資を拡大
(記事)


 

【コメント】
マイケル・リントン氏は、「君には素質がある」などと言われてソニーに入ったそうです。
残念ながら経営のけの字も分かっていません。
というのは全部冗談です。

 

以上、仏プジョーシトロエン、メキシコ・アメリカ・モビル、ソニーをネタに冗談を書いてきましたが、
公務員として勤務するための能力や大企業に勤務するための能力と、物事を理解していく能力とは完全に異なる、
というのが、学生時代からずっと感じてる私の率直な感想なのです。

公務員や大企業勤務者が会計をはじめ大切な何かを全く分かっていないとしても無理はない、と感じることもあります。

 

こんな記事もありました↓。

 



米ウォルマート、新CEOに国際部門のマクミロン氏

 11月25日(ブルームバーグ):小売り最大手の米ウォルマート ・ストアーズは
国際部門を率いるダグ・マクミロン氏(47)をマイク・デューク最高経営責任者(CEO)の後任に指名した。
同社の25日発表によると、マクミロン氏は2月1日にCEOに就任する。デューク氏(63)は会長職にはとどまり、
マクミロン氏は25日付で取締役となった。
マクミロン氏は1984年に夏季の一時雇用者として入社して以来、ウォルマートでキャリアを積んできた。
アマゾン・ドット・コムやダラー・ストアーズに顧客を奪われつつある中、同社は米国内での売り上げ回復を目指している。
マクミロン氏が率いる国際部門では、中国をはじめ新興市場国での拡大を加速させている。
メキシコでは子会社の贈賄疑惑が浮上し、米司法省は連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)に基づく刑事責任の可能性を捜査している。
ジャニー・モンゴメリー・スコット(ニューヨーク)のアナリスト、デービッド・ストラッサー氏は
「国際部門が問題を抱えていることは明らかだ」と指摘した上で、今回の人事は株主にとって「現状維持」になると述べた。
デューク氏は1970年の株式上場以降で4人目のCEO。創業者、故サム・ウォルトン氏が最初のCEOを務め、
1988年に引退して以来、同社は内部からCEOを選んできた。
デューク氏がCEOに就任する前の営業日である2009年1月30日から今年11月22日までに、ウォルマートの株価は69%上昇している。
その間、S&P500種株価指数は2倍以上になっている。
事情に詳しい複数の関係者は5月、CEOの後任候補としてマクミロン氏のほか、
米国部門を統括するビル・サイモン氏(53)の名前が挙がっていることを明らかにしていた。
関係者3人によると、マクミロン氏は創業者一族と関係が深い。創業者一族は同社株の約半数を保有している。
(ブルームバーグ 2013/11/26 01:01 JST)
ttp://www.bloomberg.co.jp/news/123-MWTNQ76S972X01.html


 



ウォルマートCEOが退任へ、後任は国際部門CEO

 小売り最大手の米ウォルマート・ストアーズは、マイク・デューク最高経営責任者(CEO)が来年初めに退任し、
ウォルマート・インターナショナルの社長兼CEOを務めるダグ・マクミロン氏が後任に就く人事を発表した。
 マクミロン氏(47)は即時、取締役会役員に指名され、2月1日にCEOに就任する。
 一方、デューク氏(63)は取締役会の執行委員会会長職にとどまり、マクミロン氏の顧問を1年間務める。
同社はこれをデューク氏の前任者からの一般的な慣行と述べた。
 ウォルマートのロブ・ウォルトン会長は、同社の「強さと成長の中での」人事刷新だと話した。
 デューク氏は09年2月からウォルマート社長兼CEOを務めた。
入社は1995年7月で、05年9月にウォルマート・インターナショナルの責任を持つ副会長職に就き、
03年4月から代表権を持つ副社長とウォルマート米国の社長兼CEOを務めていた。
(ウォール・ストリート・ジャーナル 2013年 11月 26日 06:41 JST)
ttp://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303735804579220420575410080.html

 



Nov 25, 2013
Wal-Mart Stores, Inc.
Doug McMillon Elected New Chief Executive Officer of Wal-Mart Stores, Inc.
ttp://news.walmart.com/news-archive/2013/11/25/doug-mcmillon-elected-new-chief-executive-officer-of-wal-mart-stores-inc

 


Nov 22, 2013
Wal-Mart Stores, Inc.
Walmart Board of Directors Adds Former Accenture CFO Pamela Craig
ttp://news.walmart.com/news-archive/2013/11/22/walmart-board-of-directors-adds-former-accenture-cfo-pamela-craig

 


Doug McMillon's Bio
ttp://corporate.walmart.com/our-story/leadership/executive-management/doug-mcmillon/

 

Mike Duke's Bio
ttp://corporate.walmart.com/our-story/leadership/executive-management/mike-duke

 


【コメント】
ウォルマートのCEOが来年2月1日に交代するようです。
後任はウォルマートの国際部門の社長兼CEOを務めるダグ・マクミロン(Doug McMillon)氏(47)です。
ダグ・マクミロン氏の顔を拝見しますと、全く世間知らずのおぼっちゃんという感じで、ほんとに大丈夫かいな、と言いたくなります。
苦労が全く顔に出ておらず、ウォルマートの将来が心配になりました。
というのは冗談ですが。

ダグ・マクミロン(Doug McMillon)氏の経歴についてですが、「Doug McMillon's Bio」を見ますと、

>In 1984, Doug began his career with the company as a summer associate in a Walmart Distribution Center.
(1984年、ダグはウォルマート物流センターで夏期休暇中のアルバイトとして弊社での仕事を始めました。)

と書いてあります。
18歳の夏休み中にウォルマートの物流センターでアルバイトをしたようです。
アメリカでは秋から学校が始まりますから、高校を卒業し大学へ進学する直前の休み(7〜8月など)の間に
ウォルマートでアルバイトをした、という感じなのでしょう。
ウォルマートでアルバイトをしたとだけ聞きますと、つい店舗でアルバイトをしたと思ってしまいますが、
ダグ・マクミロン氏の場合は、各店舗へ商品を配送するための大型倉庫でアルバイトをしたようです。
卸売業者からの商品の搬入の時に発生する各種の伝票整理やトラックに積み込むための商品の仕分けなどを行っていたのかもしれません。
買掛金(請求書)は本社へ行くのでしょうから、物流センターでは扱わないかもしれませんが。
まあそんなこんなで、

>In 1990, while pursuing his MBA, he rejoined the company in a Tulsa, Okla., Walmart store.
(1990年、MBAの取得を行いつつ、ダグはオクラホマ州にあるウォルマートストア・タルサ店で弊社に再入社しました。)

となったようです。
1990年と言いますと、ダグ・マクミロン氏が24歳の時ということになりますが、MBA在学中に入社したということで、
その入社はMBAの1年生の時なのか2年生の時なのか、そしてアルバイトという形だったのかいわゆる正社員という形だったのか、
その辺りのことは具体的には分かりませんが。

 



まあそんなこんなで、

>Originally from Jonesboro, Ark., Doug graduated from the University of Arkansas in Fayetteville,
>with a bachelor of science in business administration. He received his MBA in finance at the University of Tulsa. 
(生まれはアーカンソー州のジョーンズボロなのですが、ダグはフェイエットビルにあるアーカンソー大学を経営管理学の文学士号を得て
卒業しました。ダグはタルサ大学にてファイナンス専攻でMBAを取得しました。)

となったようです。
アーカンソー大学で学部を卒業したのが何年のことなのか、そして、タルサ大学で修士課程を修了したのが何年のことなのかは分かりませんが。
プレスリリースには、”veteran Doug McMillon”(経験豊富なダグ)という言葉が書いてありますが、
顔を見ますとまだまだ実務経験が足りないようですので、ウォルマートからコンサルティングの依頼があった時は、
「顧客のニーズとは何か」からダグに教育したいと思います。

 



ところで、「Doug McMillon's Bio」を読みますと、一番最初に次のように書かれています。

>Doug McMillon is the president and chief executive officer of Walmart International,
>a fast-growing segment of Walmart's overall operations,
>with more than 6,300 stores and more than 823,000 associates in 26 countries outside the United States.
(ダグ・マクミロンはウォルマートの国際部門の社長兼CEOなのですが、
その国際部門はウォルマートの全事業の中でも急成長をしている部門であり、
米国外の26カ国に6,300以上の店舗、82万3,000人以上の従業員を抱えています。)


また、ウォルマートからのプレスリリースの最後には「About Wal-Mart Stores, Inc.」(ウォルマートについて)が書かれてあり、そこには、

>Each week, more than 245 million customers and members visit our 11,096 stores under 69 banners in 27 countries
>and e-commerce websites in 10 countries.
(一週間に、2億4,500万人以上ものお客様や会員様が、27カ国で69種類のストア名で営業されている1万1,096の実店舗に来店なさっており、
また、10カ国ではオンラインショッピング用のウェブサイトにアクセスなさっています。)

と書かれています。
日本では西友がウォルマートの完全子会社として運営されていますが、
2億4,500万人、27カ国、1万1,096の実店舗、といった数字を見ると、
グローバルと言いますか、本当に想像するのも難しい数字だなと思います。

 

でこれらの文章を引用して何が言いたいのかと言えば、次の記事を見かけたからです↓。

 


Why Do 1.4 Million Americans Work At Walmart, With Many More Trying To?
(Forbes 11/27/2013 @ 7:30AM)
ttp://www.forbes.com/sites/realspin/2013/11/27/why-do-1-4-million-americans-work-at-walmart-with-many-more-trying-to/

 

この記事を執筆したのは「Doug Altner」というとある研究所のアナリストのようです。
名前が新CEOと同じ「Doug」ということで妙に印象に残りました。
ただ別に執筆者が「Doug」氏だからこの記事を紹介したわけではなく、記事のタイトルが面白いなと思ったので紹介しました。
タイトルを説明的に訳せばこうなるでしょうか。

「140万人ものアメリカ人がウォルマートで働いており、なおもウォルマートで働こうとする人が増えているのはなぜなのか?」

「With Many More Trying To」の with は「付帯状況の with」であり、「OがCしながら〜、OがCである状態で〜」という意味になります。
more の後ろには people(またはAmericans) が隠れています。
trying to の後ろには work at Walmart が隠れています。
「より多くの人々がウォルマートで働こうとする(という状態で)」という意味になります。
問題は「many」なのです。
この many は品詞としては形容詞なのですが、解釈としては more people に副詞のような形でかかっていると考えてもいいと思いますし、
単語が隠れていて「with many people and more people trying to work at Walmart」のような形になっていると考えてもいいと思います。
いずれの解釈にせよ、140万人という従業員数を受けて、140万という数字を強調して、「そんなにも多くの」(so many, as many as)、
という意味や気持ちを執筆者は読者に伝えようとしているのだと思います。
「140万人というだけでも多いがそれよりさらに多くの、それよりさらに数が増えている」、
という意味や気持ちを伝えたいのだと思います。
「ウォルマートで働こうとする人が増えているが、現時点でも既に非常に多い(140万人もだ)と私は思う」、
と記事の執筆者は言いたいのだと思います。
many はなくても意味は通じますが、manyを敢えて入れることによって、
「140万人よりもさらに多くの」という意味を強調したいのだと思います。

 


ちなみに、1984年のうら若いダグ氏は店舗内ではなく物流センター内でのアルバイトだったわけですが、
ウォルマートでは入社してすぐは店舗では以下のような業務を行うようです。

>Many entry-level Walmart jobs consist of comparatively safe and non-strenuous work
>such as stocking shelves, working cash registers, and changing price labels.
(ウォルマートにおける新人レベルの業務の多くは、陳列棚への商品補充、レジ打ち業務、値札の張り替えといった、
比較的安全であまり奮闘を要するわけではない仕事から成っている。)

 

最終的にお客様と接するのは、店舗であり店舗の店員です。
最後の最後は店舗と店舗の店員が店の評判を決めるのではないでしょうか。

新CEOのダグ・マクミロン氏が、陳列棚への商品補充、レジ打ち業務、値札の張り替えといった仕事を、
「non-strenuous work」だと思っていなければいいがな、と思っています。

 



「Everyday Low Price」が売りのウォルマートでも、アメリカにおける消費税はもちろん支払う必要はあるでしょう。
消費税についての記事を紹介します。

 

セブンイレブンのレシートには税額がない 増税前、一国民として考えたいこと
(日経ビジネスオンライン 2013年11月13日(水))
ttp://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20131111/255704/

 

>「領収書(レシート)に税抜価格と消費税等の税額を明示すれば、税率をかけることで生じる1円に満たない端数を
>決済ごとに切り捨てられる」というものだ。
>かつて、税抜価格での表示が認められていた時にあった、消費税法の施行規則の「特例」が復活した格好だ。

 



【コメント】
久しぶりに日経ビジネスオンラインの記事を取り上げます。


セブン・イレブンのレシートには、消費税額の記載がないようです。
詳しくは分かりませんが、税法上、レシートには消費税額の記載は必要ないということなのでしょう。
今日は消費税の端数処理について少しだけ考えてみましょう。
消費税の端数処理については、消費税法上、「積上法」と「総額法」の二種類があります。

ここでは、商品そのものの価格を本体価格(=税抜価格)、消費者が商品代金として支払う価格を販売価格(=税込価格)と書きます。
セブン・イレブンに行って、本体価格だけで合計711円になる商品を買う場合と、
販売価格の合計額が711円になる商品を買う場合を考えます。
これと同じ商品の買い物を1年間でそれぞれ10回行ったをしたとします。
この時、以下のような表と預った消費税額になります。

「一年間の販売合計額(単位:円)」


711円が本体価格の場合、預った消費税額は積上法だと350円、総額法だと355円になります。
711円が販売価格の場合、預った消費税額は積上法だと330円、総額法だと338円になります。

消費税額の計算方法と、本体価格に対する販売価格もしくは販売価格に対する本体価格、の計算方法が両者で異なる点に注意が必要です。

 



この表を見ると、積上法の方が総額法よりも預った消費税額は多くなります。
しかし、全く同じ取引なのに、「預った消費税額が異なる」などというバカな話はないでしょう。
「預った消費税額が異なる」のなら、事業者は一体いくら消費税を納税すればよいというのでしょうか。


消費税法は何回か改正されてきたようなのですが、
現行の消費税法では「総額法」が原則になっているようでして、「積上法」はあくまでも「特例」という扱いのようです。
しかし、この定めは理論的に間違いです。
理論上も実務上も、消費税額の計算方法は「積上法」しかあり得ません。

理由は二つあります。
一つ目は、「消費税額は各取引毎に確定する」というのが理由です。
事業者は各取引毎(一人の消費者にレジで精算する毎、レシートを発行する毎)に消費税額を確定させます。
一取引毎に消費税額は確定するのです。
一年間の消費税額は単なるその合計額です。
ですから、積上法が正しいのです。
二つ目は、「総額法による消費税額の計算方法は端数処理を合計二回行っている」というのが理由です。
端数処理の回数は少なければ少ないほど望ましいと言いますか、究極的なことを言えば端数処理など一切行わないのが一番良いのです。
ただ一円未満の金額はこの世に存在しませんから仕方なく端数処理するだけなのです。
上の表では、「711円が販売価格の場合」の表を所与のものとして作成しましたが、
あくまで「販売価格=本体価格+消費税額」なのですから、まず本体価格が先に決まるのであって、販売価格が先に決まるはずがありません。
「店頭での価格表示は、税込価格にするか、それとも、税抜価格にするか」という議論がありますが、
それも本体価格に消費税額を足し算して、税込価格を店頭で表示するという流れなのであって、
税込価格が先にあるわけでは決してないのです。
本体価格がまず先にある、したがって、ほとんどの場合、販売価格は端数処理をした後の価格であるのです。
それなのに、一年間の消費税額をその販売価格の合計額から計算するとなりますと、
何か本末転倒という言い方でもよいですし、端数処理を合計二回も行っているから間違い、と言ってもいいわけです。

総額法による消費税額の計算は端数処理を二回も行っている分、本来の消費税額よりも不正確なのです。
もちろんここでいう「本来の消費税額」というのは積上法による消費税額のことです。
事業者は単に積上法による消費税額を納税すればよく、わざわざ総額法による消費税額は計算する必要はないのです。

 


敢えて積上法による計算方法の理論的問題点を挙げるなら、
同じ商品を同じ価格で同じ個数買ったのに消費税額が変わることがあるという点です。
まあこれは積上法の問題点というより、端数処理の問題点になるわけですが。

例えば、上の表で言えば、本体価格が711円の商品を一度に10個まとめて買う場合と、
本体価格が711円の商品を一度に1個ずつ買い(毎回精算する)、それを連続して10回繰り返して買う場合とでは、
合計の消費税額が変わってしまうのです。
これは消費税額の計算方法としては総額法と積上法の比較のイメージに非常に近いと言ってもいいかもしれません。

本体価格が711円の商品を一度に10個まとめて買う場合は、合計の消費税額は、
711円×10個×5%=355.5円=355円
となります。
一方、本体価格が711円の商品を一度に1個ずつ買い(毎回精算する)、それを連続して10回繰り返して買う場合は、
レジで精算する一回毎の(確定した)消費税額はあくまで711円×5%=35.55円=35円ですから、合計の消費税額は、
35円×10回=350円
となります。

この場合は、355円という消費税額と350円という消費税額は、両方とも正しい消費税額になります。
あくまで同じ商品を同じ価格で同じ個数買っているわけですから、この計算は一見矛盾しているように思うかもしれません。
しかし、この場合はどちらも正しく矛盾は一切ありません。
なぜなら、「取引の内容が異なる」からです。
本体価格が711円の商品を一度に10個まとめて買う場合は、あくまで「10個まとめて買う」が一取引です。
この取引を何回も行うわけではありません。
しかし、本体価格が711円の商品を一度に1個ずつ買い(毎回精算する)、それを連続して10回繰り返して買う場合は、
あくまで「一度に1個ずつ買う(毎回精算する)」が一取引です。
これを10回繰り返すわけです。
表面上確かに同じ商品を同じ価格で同じ個数買っているわけですが、取引の内容が異なるために消費税額が異なる結果になるのです。

 



これは決して脱税などではありません。
少しでも消費税の支払額を減らしたいなら、「一度に1個ずつ買う(毎回精算する)」という一取引を10回繰り返せばよいというだけです。
これは「一取引毎に端数処理が発生する」という点を利用した一種の節税方法と言ってもいいかもしれません。

それから、事業者にとっては、預った消費税額が、
本体価格が711円の商品を一度に10個まとめて買う場合は355円、
本体価格が711円の商品を一度に1個ずつ買い(毎回精算する)、それを連続して10回繰り返して買う場合は350円、
となるわけですが、これも難しく考える必要はありません。
消費者が本体価格が711円の商品を一度に10個まとめて買う場合はまさに預った消費税額である355円だけ納税すればよいですし、
消費者が本体価格が711円の商品を一度に1個ずつ買い(毎回精算する)、それを連続して10回繰り返して買う場合は
まさに預った消費税額である350円だけ納税すればよいだけの話です。

「まさに消費者から預った消費税分だけ納税する」、これが消費税です。
事業者は消費税など1円も負担しません。
計算方法によって事業者が負担する消費税の納税額が変わるなどと言うことは決して起きません。
店頭での価格表示を税込価格にしようが税抜価格にしようが、とにかく消費者から預った消費税分だけ納税する、というだけなのです。
消費者から預った消費税額は各取引毎(一人の消費者にレジで精算する毎、レシートを発行する毎)に確定するのですから、
何か総額法のような形で消費税額を改めて再計算する必要は全くないのです。
各取引で消費者から預った消費税額を全額納税する、それだけなのです(全取引で預った消費税額を単純足し算する必要はありますが)。
事業者にとってはレシート発行回数を増やすといった手法で消費税額を節税するということは一切できません。
消費税は事業者は一切負担しないのですから、事業者には重税も節税も何もないのです。

なお、消費税相当額に1円未満の端数が生じる場合、その端数をどのように処理 (切捨て、切上げ、四捨五入など)するかですが、
この端数処理の方法は理論上も実務上も「切捨て」以外あり得ません。
なぜなら、端数の四捨五入や切上げを行うと、消費税を5%以上課税していることになるからです。
本体価格が711円の商品の消費税額は「35円」です。
端数を四捨五入して消費税額を36円としますと、消費税率が5%を超えてしまいます(36円÷711円×100=5.063%)。
消費税法上、消費者に課税してよい最大の税率が5%、と考えなければならないのだと思います。
消費税を5%以下課税する分には問題ないのでしょうが、消費税を5%を超えて課税することは税務当局による法律違反でしょう。
店舗等での取引(レジでの精算等)では端数処理(切捨て)がほとんど全ての場合において発生していることを考えると、
消費税率はぴったり5%なのではなく、実際には5%未満(4.9%超)ということになるわけです。