2013年11月6日(水)
2013年11月5日
株式会社雪国まいたけ
社内調査委員会の調査報告書の受領及び当社の対応について
ttp://www.maitake.co.jp/company/pdf/20131105_1.pdf
【コメント】
記事には、
>過去の決算を修正すると、2012年3月期の配当可能剰余金がゼロとなり、
>同期の株主配当金1億3300万円が全額違法配当になっている可能性があるという。
と書いてあります。
また、調査報告書中にも次のように書いてあります。
3.当社の今後の対応
(3/26ページ)
>過去決算の修正により、平成24
年3 月期は配当可能剰余金がゼロとなり、
>平成24 年3 月期に実施した株主配当金133 百万円は、全額違法配当の状態となっている
社内調査報告書(要約版)
第4 違法配当状態と対応策
(21/26ページ)
>過去決算の修正により、平成24
年3 月期は配当可能剰余金がゼロとなり、
>平成24 年3 月期に実施した株主配当金133 百万円は、全額違法配当の状態となっている。
どの部分が気になっているのかと言えば、「全額違法配当」という文言です。
特に「全額」という部分です。
結論を先に一言で言えば、「仮に配当が違法だったのであればそれは当然『全額』に決まっているのではないか」となります。
配当は適法は違法かのどちらかしかありません。
支払った配当の一部は適法、などということはないわけです。
これは配当可能な利益剰余金が一定額あったのだとしても、その「全額」が違法となります。
報告書によると、配当可能剰余金は実はゼロだったとのことですが、
ゼロではなく利益剰余金が一定額あったのだとしても支払った配当金は「全額」が違法となります。
問題となっている平成24年3月期に実施した(2012年6月下旬に支払った)配当総額は133百万円だったとのことです。
ここで仮に、分配限度額(配当可能限度額)が実は100百万円あったとします。
すると、支払った配送総額の内、100百万円分は適法であり、残りの33百万円分は違法であった、
という考え方はしないのです。
分配限度額(配当可能限度額)が100百万円あったとしも、配当総額である133百万円の「全額」が違法配当です。
これはなぜかというと、「配当総額133百万円」で「一固まり」だからです。
株式会社雪国まいたけは配当を100百万円分のみ支払う、ということはできなかったわけです。
株主総会決議に従って、株式会社雪国まいたけは配当を133百万円支払うことしかできなかったわけです。
仮に株式会社雪国まいたけが配当を100百万円分しか支払わなかったのだとしたら、
それは株式会社雪国まいたけにとって債務不履行です。
株主総会決議により株式会社雪国まいたけは配当を133百万円支払う義務を負ったわけです。
勝手に配当を100百万円分のみ支払うということは法的にも不可能なのです。
というわけで、分配限度額(配当可能限度額)の有無や多少に関わらず、
わずかでも分配限度額(配当可能限度額)を超えた配当を会社が行ってしまった場合は、
その「全額」が違法配当となるのです。
調査報告書には、
>本調査委員会としては、違法配当状態を速やかに解消すべく措置を講ずるように提言する。
と書いてありますが、これはどうすればよいのでしょうか。
違法配当というのはある過去の一時点の違法行為のことを指すのであって、
現在まで違法状態が継続しているわけではないのです。
過去の配当が違法であったのは確かですが、それは「その時の配当が違法であった」というだけであって、
その状態が続いていることとは違うわけです。
「違法配当状態の解消」と言われてもどうすればいいのでしょうか。
この場合、「過去違法配当を行ったという問題を解消せよ」と主張する人物がいるとすれば、それは債権者になると思います。
株主総会決議自体は会社も承認済み(取締役会で議案を決議している)のはずです。
会社が株主総会決議に物を言うのはお門違いでしょう。
すると、債権者は株主に対し「過去違法に受け取った配当金を会社に返還せよ」と主張できるのかどうかが争点になるのではないでしょうか。
「債権者は配当を違法に受け取った株主に対しお金を会社に返還するように言えるのか」というと、どうなのでしょうか。
一般的な感覚としてはお金は返すべき、という気もします。
ただ、条文は詳しくは見ていませんが、会社法には違法配当が行われた場合の取り扱いについては記述されていない気がします。
株主は会社にお金を会社に返すようにとは定められていないと思います。
債権者保護の趣旨を踏まえれば何らかの定めはあってもよさそうな気はしますが。
法律上は株主は違法に受け取った配当を会社に返還する義務はないようなのですが、その理由は、正確には分かりませんが、
ひょっとしたら「株主総会議案をチェック・承認する法的責任は第一義的には会社にあるから」かもしれません。
議案を最終的に決議し法的効力を持たせるのは株主の責任・役割ですが、
議案の内容に不備がないか精査・確認するのは会社(取締役会)の責任・役割である、という考えが会社法にはあるのかもしれません。
株主は、株主総会の議案の内容に不備がないか精査・確認することも取締役に委任している、と考えてみてはどうでしょうか。
もしこの考えが正しいとすると、違法配当を行った責任は取締役にあることになり、
違法配当を行った分(これは全額ではなく超過分のみでよいのかもしれませんが)は
取締役が会社に補填をしなければならない、と言うことになろうかと思います。
2012年5月2日
株式会社雪国まいたけ
平成24 年3
月期配当予想の修正に関するお知らせ
ttp://www.maitake.co.jp/company/pdf/20120502c.pdf
2.配当予想の修正内容について
(2/2ページ)
「1株当たり配当金は10円」とのことですが、その「10円」には内訳がありまして、
普通配当が4円、記念配当が6円、とのことです。
ただ会社としてはそのように普通配当と記念配当というふうに分けているわけですが、
結局どちらも会社の同じ利益剰余金(当期純利益)を原資にしていることには何ら変わりはないわけでして、
「1株当たりの配当の金額は10円である」という点において両者は区別できないわけです。
乱暴に言えば、会社が勝手に「4円分は普通配当で6円分が記念配当だ」と言っているだけだ、とも言えるわけです。
「1株当たりの配当の金額は10円である」で「一固まり」となりますから、
例えば仮に普通配当部分(53.2百万円)だけであれば適法な配当だったのだとしても、
法律上は普通配当部分などないわけですから、
「1株当たり配当金は10円」ということで会社が支払った配当は「全額」が違法配当、ということになるわけです。
H25.07.01 10:40
提出者 株式会社雪国まいたけ
臨時報告書
(EDINETと同じPDFファイル)
決議事項の内容
(2/3ページ)
トヨタ自動車株式会社
第109回 定時株主総会
(平成25年6月14日開催)
ttp://www.toyota.co.jp/jpn/investors/stock/pdf/2013/shareholders_meeting_j.pdf
決議事項
(4/56ページより一部改変)
株式会社雪国まいたけは、支払った配当の「全額」が違法配当であったわけですが、仮に記念配当の部分が違法の原因であったとしたら、
第1号議案 剰余金の処分の件 普通配当(1株当たり4円)の支払いについて
第2号議案
剰余金の処分の件 記念配当(1株当たり6円)の支払いについて
というふうに、配当支払いに関する議案そのものを分けるべきだったのかもしれません。
適法か違法かは議案単位で判断される、と言えばいいでしょうか。
配当支払いは各決議単位で法的効力を持つ、と言えばいいでしょうか。
これですと、第1号議案は全額が適法、第2号議案が全額が違法、という考え方になるのではないでしょうか。
もちろんそれでも、一つの法人(会社)としては違法配当してしまったということには変わりはないわけですが、
ここでは、「配当の全額が違法」という表現について特に考えてみたわけです。
「剰余金の処分の件 期末配当(1株当たり10円)の支払いについて」という一つの議案のままだとまさに全額が違法であり、
議案を分けていれば、適法配当の部分が出てくる、と思ったのです。
議案が一つだと支払い配当総額を二つに分けようがなく(普通配当か記念配当は名目に過ぎない)全額が違法、
議案が二つだと支払い配当総額を二つに分けることができ(普通配当か記念配当は明確に分かれる)一方のみが違法、
という解釈になるのではないかと思いました。
議案を分けてはじめて、配当総額が普通配当部分と記念配当部分に分かれる、と解釈できるのだと思います。
議案を分けない限り、会社の同じ利益剰余金を原資にしている以上、両者は分けられない、と考えるべきなのだと思います。