2013年11月1日(金)



2013年11月1日(金)日本経済新聞
登場
次期日商会頭 三村 明夫氏 (72)
国益重視、2期6年に意欲
(記事)


 


【コメント】
昔なじみのゴロツキも
今じゃ偉くなったもんよ

 


「馬子にも衣装、ゴロツキにも学歴。」


戦前、旧制中学まで出たじっちゃが言ってた。

 

 



2013年11月1日(金)日本経済新聞
■神明(米穀卸最大手) 「かっぱ寿司」の筆頭株主
(記事)



 

米穀卸最大手の神明、「かっぱ寿司」筆頭株主に

 米穀卸最大手の神明(神戸市)は31日、11月29日付で回転すし店「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイトホールディングス(カッパHD)
の筆頭株主になると発表した。株式460万株を約84億円で取得する。神明の持ち株比率は26.49%で実質的に経営の主導権を握る。
 神明はカッパ創業家が経営する現在の筆頭株主、ジェム・エンタープライズ(長野市)が保有するカッパ株全株を取得する。
1株あたりの取得価格は1829円。今後は同様に筆頭株主となっている元気寿司との間で人事交流や業務提携などを検討するとみられる。
神明とカッパHDは2013年4月に資本・業務提携した。
(日本経済新聞 2013/10/31 19:57)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXNASDD310F2_R31C13A0TJ1000/

 


2013年10月31日
カッパ・クリエイトホールディングス株式会社
◆株式の売出し、主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動並びにその他の関係会社の異動の予定に関するお知らせ
ttp://www.kappa-create.co.jp/company/ir/1310idou.pdf

 


2013年10月31日
株式会社神明
カッパ・クリエイトホールディングス株式会社の株式取得について
ttp://www.akafuji.co.jp/20131031.pdf

 

 

「カッパクリエイトホールディングスのここ3ヶ月間の値動き」

 


【コメント】
まず文言の話からなのですが、
カッパ・クリエイトホールディングス株式会社からのプレスリリースには、「株式の売出し」という文言が使われていますが、
取引実態を踏まえればこれは「株式の売出し」ではなく、相対取引による単なる株主間の株式の売買に過ぎないと思います。
「株式の売出し」というのは株主による「株式市場への売出し」のことを指すのであって、
株主が相対取引等で特定の他者に株式を売り渡すことは「株式の売出し」とは呼ばないように思います。

 

次に、株式会社における根本的な概念の話になりますが、
カッパ・クリエイトホールディングス株式会社からのプレスリリースには、

>平成25年10月31日開催の取締役会において、当社の主要株主である株式会社ジェム・エンタープライズが保有する当社の全株式を
>株式会社神明へ譲渡することについて取締役会の全会一致で賛同する旨を決議致しました

と書かれてあり、また、株式会社神明からのプレスリリースには、

>平成25年10月31日開催の取締役会において、本株式譲渡契約を締結することを、参加者全員の一致により決議致しました。

と書かれています。
株式会社における根本的な概念に基づけば、これら両社の取締役会決議は全く何の意味合いもありません。
これはあくまで両社の株主同士の株式の売買です。
株主間の株式の売買には、取締役会も取締役も社長も会社も全く関係はないのです。
株主間の株式の売買に関し、取締役会の全会一致で反対する旨決議を行おうが、株主は全く自由に株式の売買を行うことができます。
また逆に、株主間の株式の売買に関し、取締役会の全会一致で賛成する旨決議を行っても、株主としては株式を売買しないことは全く自由です。
要するに、株主間の株式の売買と会社(取締役会や各取締役や社長等)側とは何の関係もないのです。
会社が株主の行動に影響を与えることは一切できないのです。

 


ところで、株主と他者との株式の売買に一定の制約をかけるために、会社は株式に「譲渡制限」を付けることができます。
ただこれは非上場企業においてのみ認められる制度であり、上場企業の場合は株式に譲渡制限を付けることはできません。
会社経営上、好ましくない者の参加を防止するという観点から見れば、譲渡制限株式は確かに一定の意味合いはあるように思います。
しかし同時に思うのは、「株式譲渡自由の原則」は株式会社における根本的な概念の一つなのです。
株式に「譲渡制限」を付けること自体が株式会社における根本的な理念に反する、という見方もできると思います。
なお、株式に「譲渡制限」を付ける場合はその旨定款に定める必要があります。
これは定款変更ですから株主総会の特別決議が必要になります。
ここで、譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要することになるわけですが、 
ここでいう「株式会社の承認」とは具体的にはどの決議機関でしょうか。
会社法には、

>株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。
>ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

と書かれています。
実務上ほとんど全ての会社には取締役会が設置されていることを考えると、
ここでいう「株式会社の承認」とは第一義的には取締役会決議のことを指すのでしょう。
そして但し書きにあるように、定款に別段の定めを置くこともできるようです。
別段の定めとは、例えば「株式譲渡の承認は代表取締役に一任する」といった具合なのでしょう。
ただここで疑問に思うのは、条文解釈上ではなく概念上の話ですが、
「株式会社の承認」は、取締役会決議であるべきなのか株主総会決議であるべきなのか、という問題はあるように思います。
私も自分なりに色々と考えてみたのですが、この問題は究極的な結論は出ない気がします。
というのは、株式の譲渡制限には、会社経営上、好ましくない者の参加を防止するという目的があるのですが、
「好ましくない者の参加」というのは株主にとっても会社にとっても悪影響の程度は同じだからです。
ある者が株主にとっては望ましくないが会社にとっては望ましいということはあり得ませんし、
ある者が会社にとっては望ましいが株主にとっては望ましくないということもあり得ないからです。
結局のところ、株主の利益・利害=会社の利益・利害なのです。
この問題に決定的な結論はなく、ぜいぜい、株主・株式に関することだから第一義的には株主総会で決議すべき、くらいでしょうか。
ただ同時に、概念上、会社には株主を選ぶ権利はないように、ある株主も会社の株主を選ぶ権利はないわけです。
株主には例えば新株式を発行することをやめさせる権利はありますが、発行済みの株式の他者間の譲渡に物を言う権利はないわけです。
このことを考えると、この問題に結論が出ない理由は、「株式に『譲渡制限』を付けることはおかしい」ということ自体にあるのだと思います。


 


さて、このたびの株式の譲渡に関して見てみましょう。

神明は今年4月末に議決権ベースで3・93%の株式を取得したようでして、
このたび、カッパ・クリエイトホールディングスの創業者からその保有する全株式22.56%分を追加取得することにしたようです。
1株あたりの取得価格は1829円ということで、まさに時価による株式の売買ということになると思います。
上場株式の場合は市場株価が一番公正な価格と考える他ないと思います。
厳密に言いますと、一番公正な時価での売買となりますと、本来は4週間と1日後の株価での売買ということになるわけですが、
将来の株価は分からないわけですから、実務上は合理的な価格を決め打ちする必要があるわけです。
当日の株価や直近の株価の推移から考えて、1株1829円という価格は極めて妥当です。
本来は売買価格については、株式売買日である11月29日(4週間と1日後)にその時の直近の株価の推移を踏まえ決定したいところなのですが、
総株式数の22.56%分もの株式を売買するとなりますと、株式市場に与える影響も大きいものがあり、
予期せぬ形で株価が異常に変動しかねません。
本来は創業者が大量の株式を売却するといったことも他の情報と重要度は何ら変わることのない一つの開示情報に過ぎないのであって、
株式市場ではその情報も織り込んだ上で新しい株価が形成されねばならない、というのが理屈の上での正しい考え方かもしれません。
しかし、これは市場株価そのものの意義に関わる話かもしれませんが、株価はその時の単なる思惑で左右される部分が非常に大きいため、
「そもそも株価というのは正しく形成されているのか」、という疑問は株式市場では常に付きまとう問題なのです。
したがって、不慮の異常な株価変動が生じたり、このたびの情報が原因でかえって正しい株価形成がなされない恐れが生じるために、
実際の株式売買日よりも4週間と1日後も前ではありますが、
両社は、株式の売買価格を当日の株価や直近の株価の推移を十分に踏まえ、あらかじめ決定したわけです。

 


これは考えようによっては、株式市場への配慮という言い方もできるかもしれません。
株価はその時の単なる思惑で左右される部分が非常に大きいため、
このたびの大量の株式売買の情報がかえって株式市場における正しい株価形成を阻害する恐れすらあるわけです。
「両社の株式の売買価格は一体いくらか?今後株価はどう推移するのか?神明の持分法適用関連会社になることの影響は?さらなる追加取得は?」
などなど、株式の売買価格が決まるまで、
株式市場の投資家や両社の既存株主にとっては、不用意な憶測を強いられることになる、とも言えるでしょう。
とりあえず現時点では業務・資本提携強化のため2013年11月29日付で22.56%分の株式を取得することが決まっている、
だからその時の売買価格はこれです、と先に決めてしまった方がよいわけです。
もちろん、株式市場にとってのみではなく両社にとっても、予期せぬ形で異常に変動した株価の影響を受けた価格での株式の売買は避けたい、
という思いもあるでしょうから、両社にとっても先に決めてしまった方がよい、ということはあるでしょう。
とにかく2013年11月29日付の株式の売買価格は現時点での極めて妥当な価格に決定した、
この上で今後株式市場で新たな株価形成がなされていくのはもちろん全く自由なことだ、というスタンスで両社はいるのでしょう。
そういうわけで、株式の価格というのは理論上はまさに「その売買実行時の市場株価(もしくは簿価)」が一番公正な価格であるわけですが、
実務上は、以上述べた理由により、当該情報を開示すると同時に売買価格も決定・発表する方が誰にとっても望ましいわけです。
実務上、上場企業同士のM&Aなど大型の組織再編の場合は、組織再編の発表日と実際の組織再編実施日との間に長い期間が空くことがあります。
一定の公的な審査や両社の株主総会を経た上で、などとなりますと、
組織再編の発表から実際の組織再編の実施まで1年間以上間が空くこともあります。
その場合、組織再編の発表時の両社の株価水準と組織再編の実施時の両社の株価水準とが大きく異なることになるわけです。
厳密に言うと組織再編の実施時の株価水準から判断して決定・発表された株式の売買価格は妥当ではない、という場面も生じ得るわけです。
ただそれでも、その時の単なる思惑により予期せぬ形で株価が異常に変動することになるのは誰にとっても決して望ましいことではないため、
理論上は厳密性には欠けるものの、実務上は株式の売買価格はできるだけ早く決定する(できればやはり開示と同時に発表すべき)べきなのです。
これは、市場株価はその時の単なる思惑により容易に大幅に変動し得るが故の現実的妥協、といったところでしょうか。
簿価であれば、少なくとも思惑では変動しません。
簿価は、思惑とは無関係の要因である経営の結果のみによって変動します。