2013年10月21日(月)
2013年10月21日(月)日本経済新聞 経営の視点
スーパー買う「すき家」の深慮 顧客との接点 近さ競う
(記事)
【コメント】
いくら最終消費者が顧客であるという共通点はあるとは言え、外食産業とスーパーとは何のシナジーもないでしょう。
ゼンショーがスーパーを買収しても何の意味もないと思います。
なぜ本業とは何の関連もない企業を買収するのか全く分かりません。
ただ、例えばトヨタホーム株式会社という会社があります。
社名の通り、トヨタ自動車の住宅事業部が分離・独立した会社です。
しかしこれもよく考えてみるとおかしな話で、「そもそもなんで自動車会社が住宅事業を行っているんだ?」という疑問があるわけです。
経営戦略論の教科書に書いてあることとは異なり、実際には事業間のシナジーというのはあまり考える必要はなく、また、
考える必要がないというより、考えてもそもそも異なる事業間のシナジーなど追求したくてもできないものなのかもしれません。
経営戦略論の教科書の内容とは異なり、それぞれの事業が独立して淡々と営まれているだけ、というのが実態なのだろうかという気がします。
もしそうだとすると、企業はシナジーを追求して買収を行なう必要などなく、
また、既に企業内で複数の事業を手がけている場合は法人を分ける必要も全くない、ということになるわけですが。
経営戦略論の教科書の記述は、決して間違ってはいないものの、概念的に過ぎる部分があるのかもしれないな、と感じている今日このごろです。
2013年10月21日(月)日本経済新聞
更生手続き来月末にも完了 セラヴィリゾート泉郷
(記事)
【コメント】
記事には、
>負債総額380億円のうち、税金を含め総弁済額を約30億円に抑えられた
と書かれていますが、これは間違いだと思います。
以下、税法や会社更生法の具体的条文ではなく株式会社における概念論を書きます。
会社更生法の適用を申請した時点で、事実上100%減資が行われます。
つまり、会社更生法の適用と同時に議決権は法的に停止され、株式はその価値を全て失うのです。
では税金はと言いますと、会社更生法の適用と同時に税務当局は会社に対する徴税権を失うのだと思います。
その理由は、債権者の価値が全額は守られなくなったからです。
損益計算書をイメージして欲しいのですが、
税務当局は債権者への支払いが終わって初めて会社から税を徴収することができますし、
株主は税務当局への納税が終わって初めて会社から配当を受け取ることができます。
逆から言えば、税務当局への納税を会社ができないならば株主は配当を受け取る権利は一切ありませんし、
債権者の債務を会社が全額弁済できないならば税務当局は税を徴収する権利は一切ないわけです。
会社倒産という自体になりますと、従業員への給与の支払いも会社の債務となります。
従業員も言わば債権者になるわけですが、従業員は通常の債権者よりもさらに会社財産に対する権利は強いのです。
そして、税務当局も納税を受ける権利があるという意味では会社に対する債権者でしょうし、
株主も残余財産を受ける権利があるという意味では会社倒産の場面では株主も会社に対する債権者であると言えるでしょう。
したがって、会社更生法を適用した時点での会社財産に対する権利の強さは
従業員>債権者>税務当局>株主
であるわけです。
より強い方(左)から順に全額弁済を受けるわけですが、より強い方が全額の弁済を受けられない場合は、
より弱い方は自動的に1円も弁済を受けられなくなります。
会社更生法の適用を申請した時点で、会社は債務を全額は弁済できなくなっているわけです。
つまり、その時点で、株主はもちろん税務当局も会社財産に対する権利を全て失っていると考えなければならないのです。
そうすると、通常更生会社には納税の義務は一切ないわけです。
更生会社の更生債権に税金が含まれることはないわけです。
更生会社には納税の義務はないことの論拠は決して会社の法人格が消滅するからではありません。
あくまで債権者への債務の弁済が全額はできなかったからです。
債務の弁済が困難な会社へ会社更生法が適用されると同時に、株主は議決権を失います。
そしてそれから、株主の次の主体として税務当局は更生会社への徴税権を失うのです。
以上の論理立ては株式会社における概念論から導き出したものです。
おそらく税法や会社更生法などでも私が以上書きましたような論理立てに沿った内容・条文になっていると思います。
もし税法や会社更生法などが私が導き出した論理立てとは異なった内容になっているのなら、
それは税法や会社更生法などが間違っているということです。