2013年10月18日(金)



2013年10月18日(金)日本経済新聞
イオンリート上場承認 公募・売り出し94万5000口
(記事)



 

H25.10.17 15:01
イオンリート投資法人
有価証券届出書(内国投資証券)
(EDINETと同じPDFファイル)


H25.10.17 15:01
イオンリート投資法人
臨時報告書(内国特定有価証券) 
(EDINETと同じPDFファイル)


H25.10.17 15:05
イオンリート投資法人
訂正有価証券届出書(内国投資証券)
(EDINETと同じPDFファイル)

 

 



2013年10月18日(金)日本経済新聞
KDDI、繰り上げ償還 CB227億円 沢井製薬は171億円
(記事)


 



2013年10月17日
KDDI株式会社
2015年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の120%コールオプション条項による繰上償還の権利発生と行使に関するお知らせ
ttp://www.kddi.com/corporate/ir/news/2013/1017/pdf/press_131017.pdf

 

 

(発行時のプレスリリース)

2011年11月28日
KDDI株式会社
2015年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行に関するお知らせ
ttp://www.kddi.com/corporate/ir/news/2011/pdf/press_111128b.pdf

 


2011年11月28日
KDDI株式会社
2015年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行条件等の決定に関するお知らせ
ttp://www.kddi.com/corporate/ir/news/2011/pdf/press_111128c.pdf

 


2011年11月30日
KDDI株式会社
2015年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行総額等の確定に関するお知らせ
ttp://www.kddi.com/corporate/ir/news/2011/pdf/press_111130.pdf

 



2013年10月17日
沢井製薬株式会社
2015年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債に係るコールオプション条項の権利行使に関するお知らせ
ttp://www.sawai.co.jp/wp-content/uploads/2013/10/20131017-01.pdf

 


(発行時のプレスリリース)

2010年9月1日
沢井製薬株式会社
2015年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の発行に関するお知らせ
ttp://www.sawai.co.jp/wp-content/uploads/2011/12/20100901-01.pdf

 


2010年9月1日
沢井製薬株式会社
2015年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の発行条件等の決定に関するお知らせ
ttp://www.sawai.co.jp/wp-content/uploads/2011/12/20100901-02.pdf

 


2010年9月2日
沢井製薬株式会社
2015年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の発行総額等の確定に関するお知らせ
ttp://www.sawai.co.jp/wp-content/uploads/2011/12/20100902.pdf


 


【コメント】
まず、記事の内容の間違いから指摘したいと思います。
記事を読みますと、KDDI株式会社も沢井製薬株式会社も、
新株予約権付社債の発行残高分は条項に基づき株式に転換する方針である、というふうに読めますが、それは間違いです。
両社とも、新株予約権付社債の発行残高分は単純に現金にて償還する、ということだと思います。
社債を株式に転換し、発行済株式総数が増加する、などということはないわけです。
記事の見出しには、”繰り上げ償還”と正しい言葉がそのまま書かれているわけですが、
記事の中身を読みますと、株式に転換するというふうに読めました。
両社からのプレスリリースを読みますと、新株予約権付社債の発行残高分は単純に現金にて償還する、で間違いないと思います。

 

では、両社は新株予約権付社債の発行残高分は単純に現金にて償還する、という前提でコメントを書きたいと思います。


まず、KDDI株式会社は、2011年12月に新株予約権付社債を発行する際、その目的について次のように言っていました↓。

「2015年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行に関するお知らせ」
【調達資金の使途】
(2/15ページ)



一方、沢井製薬株式会社は、2010年9月に新株予約権付社債を発行する際、その目的について次のように言っていました↓。

「2015年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の発行に関するお知らせ」
調達資金の使途
(2/14ページ)

 



KDDI株式会社の資金調達の目的は、全額が自己株式取得です。
一方、沢井製薬株式会社の資金調達の目的は、@設備投資、A将来の成長案件への戦略的投資、B借入金返済、の3つです。
私は昨日、企業が資金調達を行う場合、その金額が調達実施時に決定していることは企業経営上当然のことであると指摘し、

>株式会社エー・ディー・ワークスは販売用収益不動産の取得を目的として資金調達を実施するわけですが、
>その「事業規模の拡充」の金額は経営計画により決まる話であって、調達できる分調達するという経営計画では決してないわけです。

と書きました。
これは例えば沢井製薬株式会社で言えば、まず工場増設計画があり、その増設実行のためには300億円必要だと算出された、
だから300億円資金を調達する、という流れがあるわけです。


資金調達と工場増設だけであればこれで話は終わりなのですが、
実際にはその後、負債を返済する、という大切な義務が会社には残っているわけです。
工場を増設し売上高を伸ばし、より多くの利益と現金を獲得する、その現金の中から負債を返済していくわけです。
そこには長期的な資金計画があるわけです。
売上高の見込みがあり、利益計画があり、どのようなスケジュールで負債を返済していくのかという計画があるわけです。
そういった資金計画に基づき、会社は負債を返済していくわけです。

 


それなのに、KDDI株式会社と沢井製薬株式会社は当初の返済期日よりも前に、繰上償還を行うと言っているわけです。
もちろん、当初の計画よりも売上高や利益額が大きく推移してきており手許現金が計画以上に増加しているから早めに負債を返済する、
ということは実務上行われることだとは思います。
しかし、KDDI株式会社と沢井製薬株式会社の場合は、繰上償還を行う理由が、「株価が上がっていること」なのです。
資金計画とは何ら関係がないのです。
株価が上がっているだけなのに、なぜ当初計画の返済期日よりも前に繰上償還ができるのか、という話になるわけです。
株価が上がっていることと手許現金が増加することとは何も関係ありません。
本来であるならば、株価が上がっているだけでは繰上償還はできないのです。
そういったことを考えると、120%コールオプション条項や130% コールオプション条項といった条件が社債要項に定められていること自体が
資金計画上完全におかしいわけです。
このコールオプションは社債発行者の方が権利者ですから十分な手許現金がないなら権利行使しなければよいと言われればそれまでですが、
しかし今度は逆に、経営が計画以上に上手く行き十分な手許現金があるにも関わらず株価が十分に上昇していないがために繰上償還できない、
という弊害もこの条件は生じさせかねないわけです。
繰上償還の条件その他は社債発行時に定めておかねばならない(柔軟な返済は社債よりも銀行借り入れの方が上でしょう)のだとは思いますが、
少なくとも、償還の条件を株価とリンクさせるのはおかしいわけです。
株価の変動と、利益計画の進捗状況や手許現金の増減とは何ら関係がないのですから。
まあ、このたびの社債と言うのは普通社債ではなく、転換社債型新株予約権付社債ということで、
転換価額や株価がそもそも極めて重要な要素であることは理解できるわけですが、
本質的な資金の流れのみに着目すれば、負債の発行と返済に株価は関係がない、ということは一般論として言えるわけです。

 


それから、このたびの繰上償還は、「株価が設定値以上に上昇した場合に繰上償還する」という条件に基づいて行われることです。
しかし、その条件も(少なくとも既存株主にとっては)おかしいわけです。
私は以前、転換社債型新株予約権付社債の転換や償還について、
株価が転換価額よりも上昇した場合は社債を株式に転換し、
株価が転換価額よりも上昇しなかった場合は、当初決められた株式数分(社債価額分)のみ社債を株式に転換し、
残りの社債残高は現金にて償還すべきだ(もしくは社債は全額現金にて償還するべきだ)、と書きました。
これは新たに発行され得る株式数を社債発行時点で確定させることが既存株主の利益保護につながるからだと思うからです。
転換価額修正条項が付いていると、(上限下限は設定されているにせよ)どれだけ新たに株式が発行されるか分からないわけです。
まあ私が提案している考え方も結局、現金にて償還することになるか否かが資金計画とは無関係な株価に左右されてしまうことになる、
という点では問題は大きいわけですが、その点は置いておくとして、
少なくとも株価が上昇している状況下では、逆に社債は株式に転換された方が、既存株主の利益は相対的に脅かされる程度が小さい気がします。
まあこれも、株価が上昇しても転換価額は切り上がらないという条件が実務上は多いと思いますので、
その場合は発行される株式数には結局影響がない(株価が上がっても発行される株式数が減るわけではない)ことになっていまうわけですが。
社債の転換や償還はどうあるべきかについて、ああとも言えるしこうとも言えるという感じでなかなか上手い説明ができないでいますが、
その原因は結局、最初から最後まで「株価と資金計画とは何ら関係がない」という点に行き着く気がします。
株価を転換や償還の要素要因・条件としている時点で、債権者保護や株主保護を趣旨とした説明は不可能である気がします

 


私は今までに何回か、会社における唯一の健全な利害対立は株主と債権者の利害対立だ、と書きました。
株主の利益と債権者の利益は常に対立しているわけです。
会社における株主の利益保護に重点を置けば債権者の利益保護が相対的に疎かになり、また逆に、
債権者の利益保護に重点を置けば会社における株主の利益保護が相対的に疎かになります。
両方の利益を同時に両立させる方法と言うのは根源的にないわけです。
そんな中にあって(その利害対立を前提とした上で)、株主が会社に払い込んだ現金は資本として会社に固定され、
債権者が会社に対して持っている金銭的な債権というのは所定の各期日に弁済されていく、という形で会社は運営されているわけです。
株主は払い込んだ現金は払い戻されないことを前提に株主をやっていますし、
債権者は債権は所定の期日に弁済されることを前提に債権者をやっているわけです。
両者は以上のような利害対立を前提としているわけですが、そんな債権者が「自身が株主に変わる」ことを容認する、
などということが概念上あり得るのだろうか、という根本的な疑問が私にはあるわけです。
率直に言えば、転換社債型新株予約権付社債の新株予約権を権利行使し、債権者が株主になる、ということ自体が
根底からなる矛盾ではないかという気がするわけです。
ただ単に株式市場で転換して手に入れた株式を売却できるから株主になったというだけではないか(矛盾話をごまかせているだけではないか)、
という気がするわけです。
矛盾をごまかしているわけではないと言うのなら、では私はこう尋ねたいと思います。
「その株式が上場していなくてもあなたは社債を株式に転換したのですか」、と。
本来なら、債権者が株主になるなど絶対にあり得ないはずなのです。
資本は資本であり、負債は負債なのです。
両者は本質的に相容れないものなのです。
債権者が株主になることなど本来ならあり得ず、負債が資本に変わるなど本来ならあり得ないはずなのです。