2013年10月8日(火)
Microsoftはかつて、1つの簡潔なスローガンを掲げていた。「すべての机に、家庭にコンピュータを」というものだ。
しかし、新たなスローガンはもっと長い。退任が決定している最高経営責任者(CEO)のSteve
Ballmer氏は、
最後となる株主宛て書簡の中でそのスローガンを提唱した。同書簡は、Microsoftが米国時間10月7日に投資家向けサイトで公開した
2013年度年次報告書に添えられたものだ。Ballmer氏は、自身の最終年につづる株主向け書簡を通じて、
Microsoftはソフトウェア企業からデバイスとサービスの企業へ転換を図ることを表明した。
Microsoftの2013年以降の新たな企業ミッションは、「世界中の家庭や職場、外出先で、人々が最も価値を置く活動に取り組めるよう、
それを可能にする個人および法人向けのデバイスとサービスの製品群を生み出す」というものだ。
僭越ながら、もう少し短くして「個人および法人向けのデバイスとサービスの製品群を生み出す」というのはどうだろうか。
とはいえ、Ballmer氏やMicrosoftの面々が、この新しいスローガンの「人々が最も価値を置く活動」という部分にこだわる理由は、
筆者にも理解できる。この文言は、ITのコンシューマ化が実現し、定着しているということについて、
Microsoft経営陣が確信をもっていることを端的に言い表している。「メール」は消費者向けアプリでも企業向けアプリでもない、その両方だ。
インスタントメッセージやビデオチャット、メモや簡単なドキュメントの作成といった機能についても、Microsoft幹部らは同様に主張している。
このような確信にこそ、Microsoftが個人向けと法人向けの両事業を手がけ、さらに、デバイスとサービスの両事業を手がけることに、
幹部陣が強くこだわる理由を理解するための重要なカギがある。
(CNET
Japan 2013/10/08 12:37)
ttp://japan.cnet.com/sp/allaboutms/35038212/
【コメント】
記事で言っている「2013年度年次報告書」とはこれのことです↓。
Fiscal Year 2013
Proxy
Statement
ttp://www.microsoft.com/investor/Downloads/Investor%20Services/Information%20for%20Investors/2013_Proxy_Statement.doc
その他、2013年度(2012年7月1日〜2013年6月30日)の経営全般に関する報告書(日本で言う有価証券報告書)と株主への手紙はこちらです↓。
Fiscal Year 2013
Annual Form
10K
ttp://www.microsoft.com/global/Investor/RenderingAssets/Downloads/FY13/Q4/MSFT_FY13Q4_10K.docx
Shareholder
letter
ttp://www.microsoft.com/investor/reports/ar13/docs/2013_Shareholder_Letter.docx
Our director nominees
(5/67ページ)
Our
director nominees (details)
(23/67ページ)
スティーブはCEOを1年以内に退任するとのことですが、
年次報告書の「取締役候補者」の通り、スティーブはちゃんと今後とも取締役としてマイクロソフトに残ります。
CEO職のみが交代になる、というだけです。
まあ別に私から言うことは何もないのですが、
ああそう言えばデュポンの取締役になれなかったらマイクロソフトの取締役になるって書いたっけ、と思い出しましたので、
マイクロソフトの来年の年次報告書(Proxy
Statement)をマイクロソフトに無断で自分で作成してみました。
取締役候補者のページのキャプチャーはこちらです↓。
Our director nominees (details)
(23/67ページ)
まあこんな感じでやっていこうかなと思っています。
ただ、年次報告書をざっと見ていて目に止まったのはこれでしょうか↓。
Director nominations and qualifications
(22/67ページ)
「Director
nominations and qualifications(取締役候補者と資格)」の表が載っています。
この表の「Experience,
expertise or attribute(経験、専門技能もしくは属性)」に
「Ethnic, gender, national or other
diversity(民族、性別、国籍もしくは他の多様性)」とあります。
多民族国家ゆえの判断基準、といったところでしょうか。
ただやはりこれはどうなのでしょうか。
independence, integrity, high personal and professional ethics, sound
business judgment,
and the ability and willingness to commit sufficient time
to the Board.
(独立性、誠実さ、高い人徳と職業倫理、健全な経営判断、そして取締役会に十分な時間を費やすことのできる能力と意欲)
を大前提にした上で、後は、
Technology, devices and services, Leadership, Global business, Financial,
Mergers and acquisitions,
Public company board service and governance, Sales
and marketing, Research and
academic
(技術・デバイス・サービス、リーダーシップ、グローバル・ビジネス、財務、M&A、
上場企業における取締役及び統治経験、販売及びマーケティング、学術研究)
のみで判断すればそれでよいのではないでしょうか。
「Ethnic, gender, national or other
diversity(民族、性別、国籍もしくは他の多様性)」は結果です。
それを目的に人選を行うべきではないのです。
経験や専門技能だけで人選を行ったら、全員白人になる場合もあるかもしれないし全員男性になる場合もあるかもしれない。
しかしそれはそれでいいじゃありませんか。
「Ethnic,
gender, national or other
diversity(民族、性別、国籍もしくは他の多様性)」を目的にしてしまうと、
不透明な人選の結果、理不尽な逆差別が生じかねないのです。
もちろん、民族、性別、国籍で人を差別することは決して許されないことです。
しかし、経験や専門技能で人を選抜することは差別でも何でもないのです。
スティーブやビルから、
「Because you will contribute to our diversity.
(マイクロソフトの多様性に貢献することになるからだ。)」
という理由で取締役の就任を依頼されたら私は断ります。
しかし、
「We need
your accounting and financial skills.
(参謀さんの会計や財務の技能が我が社には必要なのです。)」
と言われれば、私はマイクロソフトの取締役の職を是非引き受けたいと思います。
というわけで、この点に関してもマイクロソフトの来年の年次報告書(Proxy
Statement)をマイクロソフトに無断で自分で作成してみました。
私の「Experience, expertise or
attribute(経験、専門技能もしくは属性)」はこちらです↓。
来年の取締役選任の際の参考にして下さい。
Director nominations and qualifications
(22/67ページ)