2013年10月2日(水)



2013年10月2日(水)日本経済新聞
■あみやき亭 決算発表一番乗り
(記事)





2013年10月1日
株式会社あみやき亭
平成26年度3月期第2四半期決算短信
ttp://www.amiyakitei.co.jp/pdf/financialinformation251001.pdf

 

東京証券取引所 適時開示情報閲覧サービス
ttp://www.tse.or.jp/listing/disclosure/index.html


「PDFファイルのプロパティ」


 



【コメント】
東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービスによりますと、
「平成26年度3月期第2四半期決算短信」を提出(自社サイトや東証のサイトに)したのは「平成25年10月01日の12:35(正午過ぎ)」だったようです。
株式会社あみやき亭は「平成24年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」を2012年4月1日の午前7時30分に提出したこともありました。
一応この決算短信のPDFファイルの作成日は「2013/10/01 12:03:55」となっています。
9月30日に期末日を向かえ即座に作成に取り掛かりすぐ提出した、という体裁にはなっていますが。
PDFファイルの作成日が「2013/09/29 11:29:88」などなっていないだけましなのかもしれません。
率直に言えば、いくら最終消費者が顧客であるとは言え、たった12時間(以前は7時間)で決算短信を提出するのは極めて難しいと思います。
財務諸表の作成・出力だけであれば大勢で徹夜すれば何とかなるのかもしれませんが、一定量の文章も記載する必要があります。
期末日前からある程度は下書きはできるとは思いますが、期末日の次の日に提出するというのは極端な気がします。
また、文書作成の問題とは別の問題点もあります。
それは会計監査です。
この決算短信を見て株式投資を行う投資家というのは当然株式市場にいるわけです。
むしろ、投資家の投資判断に資するために決算短信を発表しているわけです。
それなのに、財務諸表をまだ監査していないのに決算短信を発表するというのはやはり問題があるわけです。
会計監査というのは、株式市場に間違いのない財務諸表を開示するために行うものです。
会社はこのように財務諸表を作成した、しかし、独立した監査法人から見るとその会計処理は認められない、その財務諸表は間違いである、
ということは当然あるわけです。
指摘を受け改めて正しい会計処理を行い財務諸表を訂正する、ということは当然起こり得ることでしょう。
もしそのようなことがないのであれば、はじめから会計監査は必要ないでしょう。
そして、財務諸表には間違いがないと監査法人が認めて初めて株式市場に財務諸表を開示できるわけです。
それなのに、実際の決算短信というのは全く会計監査を受けていないわけです。
過去の事例上、決算短信で開示した会計監査を受けていない財務諸表が、後になって訂正され、
有価証券報告書には会計監査を受けた異なる財務諸表が開示された、という事例はないように思います。
簡単に言えば、決算短信の財務諸表(未監査)と有価証券報告書の財務諸表(監査済)が異なる、という事例は今までにないように思います。
もちろんそのような事例はない方が望ましく今までなかったからよかったのですが、
しかしそれは結果としてよかったというだけであって、決算短信の財務諸表に間違いがないことを保証するものではないでしょう。
仮に決算短信に記載された間違いのある財務諸表を見て株式投資を行った投資家がいる場合、
その責任は誰が取るのか、という問題はあると思います。
有価証券報告書に記載された財務諸表に間違いがあった場合は、監査法人をはじめ会社などに一定の法的責任が生じるのだと思いますが、
決算短信は財務諸表に間違いがあっても誰も責任を取ることはない情報開示なら、決算短信を発表することは極めて危険であると思います。
期末日の次の日に決算短信を発表する株式会社あみやき亭もまた、株式市場に対する強烈なアンチテーゼなのだろうな、と思いました。

 

 


2013年10月2日(水)日本経済新聞 公告
事業の一部譲渡に関する公告
株式会社三菱東京UFJ銀行
(記事)



 

【コメント】
銀行業ほど国内専業・国内限定の業務もないでしょう。
銀行融資は完全に各国単位です。
何か国際的な融資というのは実務上一切ない(あり得ない)わけです。
その理由は単純に、融資業務は各国の銀行法に基づいて厳格に行われなければならない(預金者保護のため)、というだけなのですが。

まあそういうわけで、三菱東京UFJ銀行のタイ現地法人の銀行事業をアユタヤ銀行へ譲渡するという取引に関しては、
日本の銀行法や日本の金融庁は一切関係がないことだと思います。
タイの金融当局からの許認可などは必要なのだとは思いますが。
日本の銀行法の効力はタイには及ばない(日本の銀行法の適用範囲は日本国内のみだ)からだ、と表現してもよいと思います。

 

 


2013年10月2日(水)日本経済新聞
イオンREIT 来月上場 大手小売り初、1700億円調達 資産身軽に出店拡大
成長アジア 投資に備え
(記事)



 

2013年10月2日
イオン株式会社
資産の譲渡及び固定資産の賃貸借並びに特別損益の発生に関するお知らせ
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1094301

 


【コメント】
自社が保有している固定資産(自社ビルや店舗等)を別会社(例えば完全子会社など)に関連する負債と一緒に移すことはできるとは思います。
結局それは会社分割の一形態と見ることも可能だと思います。
通常の会社分割では、分割後、承継会社では引き続き事業行っていくという形ですが、
このたびのように自社ビルや店舗等のみを分割する会社分割では、
分割会社からの受取賃貸料のみを受け取る(事業の運営は事実上引き続き分割会社が行う)
という少し特殊な会社運営形態になるのだと思います。

>固定資産の譲渡を決定したことにより、2014 年2月期において、特別利益69 億円(連結)、特別損失69 億円(連結)を計上する見込みです。

とありますが、
この特別利益及び特別損失の計上は、分割会社(イオンリテール株式会社やイオンモール株式会社)上なのか
それとも承継会社(イオン・リートマネジメント株式会社)上なのか、それとも一方は分割会社上で他方は承継会社上なのかは分かりません。
分割会社上であれば、事業移転損益が考えられますし、承継会社上であれば承継した店舗等の減損損失が考えられます。
承継会社上で承継させる店舗の減損損失を計上し、会社分割に際し同額事業移転利益を計上する、などということも考えられますが、
事業移転利益は連結上は消去されますのでやはり違うと思います。

イオンマレーシア保有の固定資産に関してはおそらくネタだと思います。
国外の資産負債を日本の投資法人(リート)の個別財務諸表に載せることはできません。
投資法人にも連結財務諸表があるのかどうかは分かりませんが。
不動産業という特殊性を考えれば連結ベースでも海外に資産負債はないと思いますが。
通常の株式会社でも、海外の資産負債を個別財務諸表に計上することはできません。
その資産負債(海外の資産負債)を保有しているのは違う法人だから、が理由になると思います。
海外の資産負債を日本の法人が取得・保有することは、まずできません。
不動産であれば各国各国で不動産登記(法律上国内の”人”でないと登記できない)が必要ですし、
銀行借入なども国をまたぐことはできません。
通常の営業上の債権債務も、やはり国内に登記した相手とでないと現実には商取引はできないでしょう(アメリカの保険会社の日本支店は例外か)。
棚卸資産はどうでしょうか。
工場や倉庫自体は海外にありそれら固定資産は現地に登記している(海外法人が取得・保有している)としても、
棚卸資産自体は日本法人の所有物だ、ということは理屈ではあり得るのかもしれません。
例えば、日持ちのする商品等を単純に海外の倉庫に置いているだけ、という場合ですと、
海外の資産が個別財務諸表に計上されることになると思います。

 



NECは不動産(自社ビル)を買い戻しましたが、買い戻すことは一切せずに、
自社ビルを建てては即証券化し(証券化後も引き続き使用する)、建てては即証券化し(証券化後も引き続き使用する)、を繰り返せば、
それは結局自社ビルを建てずに最初から最後まで賃貸し続けているのと同じ、ということになると思います。
なぜなら、NECが負担しているのは、最初から最後まで支払賃貸料のみだからです。
ビル建設のための費用は(建設中借入金勘定や建設仮勘定は確かに貸借対照表に一時的に計上されますが)、
マクロ的に見れば全て投資家(信託受益権者)が負担していることと同じと言えるでしょう。

昨日はNEC単体財務諸表に与える影響のみを考えてみましたが、
今日はSPCや銀行や信託受益者も含めて、不動産の証券化の全体図を見てみましょう。
不動産の証券化とは大まかに言えば、次のような図になります。
銀行への支払利息や元本の返済、そして、信託受益者への受取賃貸収入の支払いの源泉は、「NECがSPCへ支払う支払賃貸料のみ」、
という点が重要だと思います(そして信託受益者が利益を受け取るのは一番最後であるという点も重要だと思います)。

「不動産の証券化の全体図」



煤i支払賃貸料)i
=倍(支払賃貸料)i−(減価償却費)i−(支払利息)i}×(1−法人税率)
  +煤i元本の返済額)i+煤i受取賃貸収入)i


i期の支払賃貸料をNRi、i期の減価償却費をDi、i期の支払利息をRBi、
i期の受取賃貸収入をRIi、i期の元本返済額をPi、法人税率をt、とすると、

年Ri = (NRi−Di−RBi)(1−t) + 捻i + 燃Ii

となる。
REITは、支払賃貸料を受け取り、支払利息を支払い、
減価償却費と支払利息を減算し法人税を支払い、元本の一部を返済し、
残りを投資家(信託受益権者)に受取賃貸収入として支払う。
減価償却費は現金支出を伴わないため、全額を元本の返済と受取賃貸収入の支払いに
充てることができる。

 

 


2013年10月2日(水)日本経済新聞
分割銘柄の売買が急増 カルビーやユーグレナなど 最低投資額下がり個人が買い
(記事)





2013年9月13日
株式会社長谷川コーポレーション
単元株式数の変更および株式併合に関するQ&A
ttp://www.haseko.co.jp/hc/information/upload_files/20130913_1.pdf

 

2013年9月13日
株式会社長谷川コーポレーション
株式併合公告
ttp://www.haseko.co.jp/hc/information/upload_files/20130913.pdf




2013年6月4日
株式会社長谷川コーポレーション
第96期定時株主総会兼普通株主様による種類株主総会招集ご通知
ttp://www.haseko.co.jp/hc/company/ir/news/upload_files/20130604.pdf




【コメント】
株式会社長谷川コーポレーションは、転換条項との関係なのだと思いますが、普通株式同様優先株式も株式併合を行ったようです。
普通株式同様優先株式の株式併合にも株主総会決議が必要なのですが、優先株式の株式併合のための株主総会決議というのは、
「普通株主による種類株主総会決議」と「優先株主による種類株主総会決議」の両方が会社法上必要となるようです。
ただし、優先株式には議決権はありませんから、「優先株主による種類株主総会決議」は
会社法上の定めに基づき「決議があったみなして」、そのみなされたものを優先株主による種類株主総会決議とするようです。
これは優先株式発行時には、普通株式の株式併合が行われた場合の取り扱い(優先株式はどのように株式併合を行うか)については、
会社と優先株主との間で何ら契約を定めていなかったため、このような変則的な種類株主総会決議を取ることになったのだと思われます。
ここでそれぞれの株式併合のために必要な株主総会決議をまとめてみますと、ある面白い、そして矛盾とも言える権利関係が見えてきます。

普通株式の株式併合 → 通常の株主総会決議(特別決議)(普通株主による株主総会決議)のみ
優先株式の株式併合 → 普通株主による種類株主総会決議と優先株主による種類株主総会決議(とみなされる決議)の両方

普通株式の併合のためには普通株主による株主総会決議のみで事足りるのに、
優先株式の併合のためには優先株主による株主総会決議だけでは足りず、普通株主による株主総会決議も必要、となっています。
これは考えてみれば矛盾とも言えるでしょう。
優先株式の併合に普通株主の承認が必要だというのなら、普通株式の併合にも優先株主の承認が必要であると言わねばならず、
逆に、普通株式の併合には普通株主の承認だけで十分だというのなら、優先株式の併合にも優先株主の承認だけで十分でなければならないはずです。
同時に、優先株式の併合になぜ普通株主が口を出すのか、優先株式のことは普通株主には全く関係ないではないか、という意見はもっともですし、
また、普通株式の併合に対し優先株主が一定の異議や意見を申し述べたいと思うのもまたもっともなことだと思います。
しかしここでは、普通株主は優先株式の株式併合には物申せるが、優先株主は普通株式の株式併合には全く物申せない、という関係になっています。
「優先株主による普通株式併合に関する種類株主総会決議(とみなされる決議)」のようなものが必要、という考え方はあると思います。
しかし実務上(出資契約書上)そして会社法上はそういう定めにはなっていないようです。
優先株式発行時に出資契約書に、
「普通株式の分割や併合、配当支払い、新株式の発行、自己株式の取得、合併、会社分割、他社の株式の取得、株式交換、株式移転、その他組織再編など、
株式数や株主資本額や会社財産に影響を与える行為に関しては全て優先株主の承認を必ず得ることとする」
といった、株主総会決議や取締役会決議が必要となる事柄には全て優先株主が口を出せるような包括的な条項を定めておけばよいのだとは思います。
優先株式には議決権がない以上、こういった包括的な条項でしか普通株式の議決権には対抗できないと思います
(逆に言えば、普通株式の議決権は包括的(理屈では会社全体のことに口を出せる)な効力を持っていると表現できると思います)。
この場合、普通株主が決議した内容の多く(株式数や株主資本額や会社財産の関連事項)を優先株主が否決できることになりますが、
優先株主にとって償還の引き当ては利益剰余金しかない以上、普通株主にとっては致し方ない定めと言わねばならないでしょう。

 


と同時に、「これでは会社の意思決定の所在が複数あることと同じではないか」という話になるわけです。
会社のことは基本的には普通株主が決める(そしてその委任を受けた取締役(会)が決める)わけです。
優先株式の償還が重要なのは当然にしても、あまりに会社の行為が束縛されてしまう、という側面はあるわけです。
普通株主も以前同様出資者であり、会社の最高の意思決定者です。
普通株主も普通株主の利益を追求する権利はあるわけです。
優先株主は償還日に償還されることを最優先に考える一方、
普通株主は特定日の自社株買いではなく、未来永劫の利益や配当のことまで考えて会社の意思決定を行っているのです。
必然的に普通株主の利益と優先株主の利益は一致しない側面もあるわけです。
ではどうすればいいのかと言うと、結論を率直に言えば、「この矛盾に解決方法はない」の一言なのです。
優先株主は優先株主の利益を考え、普通株主は普通株主の利益を考える、それは当然のことでしょう。
その両者が食い違い相反する以上、その矛盾に解決策などあろうはずがないのです。
敢えて言うなら、優先株主の利益と普通株主の利益を一致させるためには、「会社は普通株式しか発行しない」という方法しかないのです。
普通株主の意思決定と優先株主の意思決定はどちらが強いのかという法理上の問いには永遠に答えは出ず、そもそも答えはないと言えるでしょう。
ある事項では普通株主の意思決定が強く、ある事項では優先株主の意思決定が強い、ということになってしまうわけですが、
株主と言うのは、取締役の選任から組織再編から配当の決定まで、全てをトータルに考えて利益が最大化されるように意思決定を行うわけです。
取締役の選任と組織再編と配当の決定がちぐはぐでは利益は最大化されません。
このいずれかに関し他の誰かが意思決定をするとなると、株主の利益は最大化されないわけです。
そして、究極的には、普通株主が追求している利益と優先株主が追求している利益は異なるのです。
優先株主は償還日の利益を追求していますが、普通株主は未来永劫の利益を追求しています。
これでは会社自身の利益も最大化されないわけです。
株式の種類は複数だが会社は一つしかないのですから。
そして会社自身も未来永劫に渡って永続していくことを目的としています。
会社の事業活動は優先株式の償還日で終了ではありません。
株主の利益と会社の利益が完全に一致するように、「会社が発行する株式は普通株式のみ」というのがやはり究極的な結論なのです。
会社が発行している株式が普通株式のみの場合、株主の利益を最大化しようと思えば会社の利益を最大化することになり、
また逆に、会社の利益が最大化されればそれは株主の利益が最大化されたことと同じなのです。
株主の利益と会社の利益は必然的に一致しているわけです。
会社がつぶれでもしようものなら、株主の利益も完全にゼロです。
株主の利益と会社の利益ははじめから一致しているのに、そこに優先株式という、
普通株主の利益とも会社の利益とも一致しない株式を新たに発行するとなりますと、矛盾が噴出するのは火を見るよりも明らかでしょう。
意思決定の上でも利益追求の上でも(そもそも両者は一体不可分です)、会社が発行する株式は普通株式のみ、これが究極的な結論です。

 



ところで記事には、

>分割とは逆に、併合で売買が増えた銘柄もある。
>長谷工コーポレーションは1日付で5株を1株い併合すると同時に単元株数を5分の1に変更した。
>見かけの株価は5倍になったが最低投資金額は変わらない。
>株価の刻みが細かくなり、取引機会が増えたことが好感されたようだ。

とありますが、これは全く関係ないと思います。
2013年9月3日(火)に

>売買金額(市場株価×単元株式数)が小さければ小さいほど、市場株価の変動性は大きくなり、
>売買金額(市場株価×単元株式数)が大きければ大きいほど、市場株価の変動性は小さくなる

と書きましたように、売買金額(市場株価×単元株式数)は市場株価の変動性と関係があるだけだと思います。
売買金額(市場株価×単元株式数)は、売買代金や出来高とは無関係であると言っていいと思います。
長谷工コーポレーションでは、株式併合と単元株式数の変更により、市場株価は5倍になり単元株式数は5分の1になりましたから、
市場株価の変動性は変わらず、そして売買代金や出来高にも影響を与えていないと思います。
記事には、見かけの株価が大きくなったので株価の刻みが細かくなったと書かれていますが、実は全く大きくなっていません。
なぜなら、投資金額に対するインパクトは何も変わっていないからです。
見かけ上株価は5倍になったので株価の刻みの範囲も5倍になったのですが、それは投資金額とは全く関係ないのです。
投資家は長谷工株式を、買いやすくもなっていませんし買いにくくもなっていないわけです。
株価100円、単元株式数500株の株式を考えてみると、株価を1刻み(1円)上げるのに必要な金額は500円(1円×500株)です。
ここで、1株を5株に併合し同時に単元株式数を100株に変更します(最低投資金額は同じ50,000円)。
すると、株価を1刻み(1円)上げるのに必要な金額は100円(1円×100株)です。
「ほら5分の1に下がっているじゃないか」と思われるかもしれませんが、ところがどっこい、長谷工株式は今50,000円ずつしか買えないのです。
つまり100円分ずつは買えないのです。
結局その500倍ずつ株式を買わないといけないのです。
株価の刻みが5倍になった分、1刻みのインパクトは5分の1になった、株価1刻みの投資金額に対するインパクトは5分の1になった、
買わなければならない株式数もある意味5倍になった(5倍のインパクトが必要になった)、
と書くとかえって分かりづらいでしょうか(上手く表現し切れず、意味が分かりづらいならこの文は無視して結構です)。
以前同様、(今の株価なら)50,000円ずつしか買えないのなら、結局買いやすくもなっていませんし買いにくくもなっていないわけです。
この例の場合、株価が100円から101円に上昇することと500円から501円に上昇することは同じだ、ということです(同じ金額・同じインパクトが必要)。
単元株制度(単元株式数の設定)というのは、今まで何回も書いた通り、本当に「エミュレーター」だなと今日改めて思いました。

 



一応補足しておきます。
株価がそれぞれ101円、501円に上昇した場合は、
併合前の最低投資金額は50,500円、
併合後の最低投資金額は50,100円、
になります。
株価がそれぞれ102円、502円に上昇した場合は、
併合前の最低投資金額は51,000円、
併合後の最低投資金額は50,200円、
になります。
逆に、株価がそれぞれ99円、499円に下落した場合は、
併合前の最低投資金額は49,500円、
併合後の最低投資金額は49,900円、
になります。
株価がそれぞれ98円、498円に下落した場合は、
併合前の最低投資金額は49,000円、
併合後の最低投資金額は49,800円、
になります。

つまり、株式併合を行うと、併合を行わなかった場合に比べ、
株価1刻み当たりの最低投資金額の変化具合は小さくなります(最低投資金額の変動性が小さくなる)。
このことは逆に言えば、株式分割を行う(そして同時に単元株式数を増加させる)と、株式分割を行わなかった場合に比べ、
株価1刻み当たりの最低投資金額の変化具合は大きくなります(最低投資金額の変動性が大きくなる)、ということです。
このことを踏まえますと、確かに単元株式数の増減は発行済株式総数そのものの増減と完全にイコールとは言い切れない部分はあると思います。
株式併合もしくは株式分割の実施後、株価は株式市場における取引の結果随時変わっていくわけですが、
それに伴い、最低投資金額も随時再計算され、株式併合もしくは株式分割を実施した場合としなかった場合とで、
最低投資金額にも差異が生じてきます。
当然、最低投資金額は小さい方が既存株主は売りやすく投資家は買いやすい、ということになり、
最低投資金額は大きい方が既存株主は相対的に売りにくく投資家は相対的に買いにくい、ということになります。
そういった売買のしやすさや望ましい株主層や需給関係等を踏まえて、上場企業は最低投資金額を適切に設定する必要があるわけですが、
上に書きましたように、最低投資金額に確かに一定額の差異は発生してくるものの、
最低投資金額を変えない形でのこの種の「発行済株式総数と単元株式数の同時変更」には、
市場株価の変動性や売買代金や出来高を大きく変えるほどのインパクトはほとんどない、と考えないといけないと思います。