2013年9月7日(土)
ベアリングや合金鋼の大手ティムケン(オハイオ州)の取締役会はこのほど、株主からの要請を受け、
合金鋼とベアリング事業の分割を検討すると表明した。12日までにゴールドマン・サックスを顧問に起用した。
ウォールストリート・ジャーナルによると、同社株を合わせて7.3%所有するリレーショナル・インベスターズと
カリフォルニア州教職員年金基金(CALSTRS)が事業分割に関する強制力のない決議案を提示したところ、
5月の株主総会で過半数の53%に支持された。
採決後の総会の席でウォード・ティムケン会長は「思慮深い申し入れに感謝する。株主の見解を慎重に検討し、
45日以内に次のステップを発表する」と話した。経営陣はこれまで分割案に反対していたが、
今月10日になって事業分割を検討するための特別委員会を組織すると発表した。
企業構成や資金配分を含む特別委の勧告は、第3四半期末までに提出される予定。
ティムケンは1899年にヘンリー・ティムケン氏によって設立され、今も創業者一族が経営に関わっている。
自動車や石油・ガス業界向けに特殊合金事業を拡大してきた数少ない中西部の金属メーカーの1つで、従業員は2万人、
2012年の売上高は50億ドル。合金鋼事業は供給過多で利益率が低下し、自動車の変速機、航空機の車輪、工作機械などで使われる
ベアリング事業からの利益を増やしてこれを補っている。
(US
FrontLine News Wednesday, June 12, 2013 6:34
PM)
ttp://www.usfl.com/?p=19732
9月5日(ブルームバーグ):ベアリング製造などを手掛ける米ティムケン
は鉄鋼事業をスピンオフ(分離・独立)することで合意した。
ラルフ・ホイットワース氏率いる投資会社リレーショナル・インベスターズなどがティムケン経営陣に求めていたこのスピンオフは
株主投票で過半数の票を集め、ゴールドマン・サックス・グループがまとめたレビューでも支持されていた。
5日のティムケンの発表資料によると、スピンオフで誕生する鉄鋼会社の会長兼最高経営責任者(CEO)には
ウォード・ティムケン氏(46)が就任。もう一方のグローバルベアリングとパワートランスミッション事業を手掛ける新会社は
リチャード・カイル氏(47)が社長兼CEOに就く。ティムケンの現CEO、ジェームズ・グリフィス氏(59)は分割が完了次第、退任する。
リレーショナルとカリフォルニア州教職員退職年金基金(CALSTRS)は昨年11月から、株主価値の向上を求めて
ティムケンにスピンオフを迫っていた。5月に実施された株主投票では53%が分割を支持、
これを受けてゴールドマンが戦略的レビューを行った。
(ブルームバーグ 2013/09/06 12:12
JST)
ttp://www.bloomberg.co.jp/news/123-MSOJ0C6S972J01.html
【コメント】
ベアリング製造で有名な米ティムケン社が会社分割を行い、鉄鋼事業(特殊合金事業)を分離してそのまま上場させる、という記事です。
現在ベアリング事業は黒字のようなのですが、鉄鋼事業はあまり業績が思わしくないようです。
詳しいスキームのことは分かりませんが、日本で言えば、まず新設分割(物的分割)により鉄鋼事業を分社化(完全子会社化)し、
鉄鋼事業子会社株式を現在の親会社株主に現物配当する(原資は利益剰余金)、というような流れになるのだと思います。
日本では特定事業の分社化はよくあると思うのですが、その株式を株主に分配する(トータルで言えば人的分割=分割型分割)、
という事例は非常に少ないと思います。
特に上場企業が人的分割(=分割型分割)を行った事例というのは全くと言っていいほどないと思います。
理屈では日本でも可能なのだとは思いますが、日本では行われていない理由は、詳しくはありませんが、税制面その他のようです。
上場企業がこのように2つの上場企業に分社されるとなりますと、
理屈の上では、
「分社前米ティムケン社の株式時価総額=分社後米ティムケン社の株式時価総額+分割された鉄鋼事業会社の株式時価総額」
となるはずです。
会社が分社しただけなのですから、株式分割と同じ様な理屈で、株式時価総額が増加したり減少したりするのはおかしいわけです。
その辺りの株価の手当て(米ティムケン社の株価は一定度切り下げねばならないはずです)は証券取引所で正しく行われているのかどうなのか。
米ティムケン社の株価は同じのまま(株式時価総額は同じのまま)で鉄鋼事業会社が上場するとなりますと、
当然合計の株式時価総額は分社前に比べて大きくなるわけです。
また、日本でも伊藤園の事例がありますが、普通株式の他に新たに優先株式を発行し優先株式をそのまま上場させる、ということがあります。
2007年7月26日
株式会社伊藤園
優先株式の無償割当て及び平成20年4月期配当予想の修正に関するお知らせ
ttp://www.itoen.co.jp/direct/topics/topics_pdf_download/topics_id=22263&disp=inline
伊藤園はこの時、既存株主に対して優先株式を無償割当て(普通株式1株に対し優先株式0.3株)しているわけですが、
普通株式自体は分割されていないものの、この時普通株式の市場株価は、株式分割に準じた取り扱いがなされています。
このプレスリリースには普通株式の株価の切り下げに関しては一切かかれていませんが、
実際には2007年8月28日(火)付(正しくは無償割当ての効力発生日である2007年9月3日(月)付でしょうか?)付で
普通株式が「1株から1.3株へ」株式分割されたものとみなし、普通株式の株価の切り下げが行われたようです(株価が1/1.3倍へ下がる)。
「第1種優先株式の値動き」
「普通株式の値動き」
ところで、このティムケン社には、ティムケン社の従業員の子供を対象とした奨学金制度があるようです↓。
従業員扶養家族(子供)向けティムケン奨学金プログラム
ttp://www.timkenbearings.com/JA-JP/ABOUT/CITIZENSHIP/SCHOLARSHIP/Pages/Scholarship.aspx
今の日本に、奨学金を受けてまで勉強を頑張ろうと向学心に燃える学生はどれくらいいるのでしょうか。
経済的に豊かになるに反比例して、努力をする気持ちが日本人からなくなっているように思えてなりません。