2013年8月17日(土)



バンク・オブ・アメリカ、メリルを法的統合へ―10‐12月期にも .

 バンク・オブ・アメリカは2008年に救済・子会社化したメリルリンチを今年10-12月期にも法的に本体に完全統合する方針だ。
バンカメが当局に提出した資料で明らかになった。
 この方針通り実施されても、メリルリンチはバンカメの一部門として存続し、名称の変更もない。しかし法的には一体となるため、
メリルは各規制当局に、これまでのようにバンカメとは別に決算などの業績報告書を提出する必要がなくなる。
このため投資家はメリルの業績を調査するのに、バンカメ本体の報告書から探ることになる。
 資産規模で全米2位のバンカメは08年のメリル買収後、ブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)の会社組織の簡素化方針と
当局の簡素化圧力もあり10年に子会社の整理に着手した。
 子会社の整理は、バンカメの収益が低迷する中で、コスト削減の効果をもたらすが、同社の広報担当者によると、
08年から12年にかけて有力子会社数は25%減少し1537社になった。
 バンカメに完全統合されることにより、1971年6月に上場した証券会社メリルリンチは法的に消滅することになる。
これまでメリルは持ち株会社により経営され、モイニハンCEOがその持ち株会社の役員の1人になっていた。
 広報担当者は、この統合措置は従来の顧客に影響を及ぼすことはなく、
メリルリンチのブランドで行ってきた取引にも全く変わりがないと述べた。
 バンカメは以前からメリルの完全統合方針を表明していたが、時期を明らかにしたのは初めて。
この完全統合をすると、バンカメは、メリルのこれまでの全債務を引き継ぐことになる。
(ウォール・ストリート・ジャーナル 2013年 8月 17日 09:47 JST)
ttp://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324593704579017500710399162.html

 

 


米銀BOA、メリルリンチの解散計画−ブランドは維持へ

  8月16日(ブルームバーグ):99年の歴史を持つメリルリンチが、一つの法人としての存在を消すことになる。
同社がバンク・オブ・アメリカ(BOA )に買収されてから4年余りが過ぎた。
BOAの2日の当局への届け出 によれば、同社は10−12月(第4四半期)にもメリルリンチの法人組織を解散させる。
リテール証券と投資銀行におけるメリルのブランドは維持する。メリルの債務はBOAが引き継ぐ。
BOAはブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)の前任者時代の2009年にメリルを買収。現在、組織の簡素化を進めている。
メリル統合は年80億ドル(約7800億円)のコスト削減目標の達成に寄与する可能性がある上、
大手行を危機の際に清算しやすい組織にしたい当局の思惑にも合致する。
クレジットサイツのアナリスト、デービッド・ヘンドラー氏は16日、「さよならメリルリンチ?」との見出しを付けたメールで
「簡素化された組織は、想定される最悪の金融危機が起きた際に清算計画を成功させる可能性を高めるだろう」と記した。
法人組織を解散すればメリルが当局への情報開示を個別に行う必要もなくなる。BOAの広報担当者ジェリー・ドゥブロウスキー氏は
今回の計画について、顧客へのサービスやメリルリンチのブランドには「何の影響もない」と述べた。
メリルの社史によると創業者のチャールズ・メリル氏は1929年の大恐慌の前に株式を手放すよう顧客に助言し、評価を固めた。
71年に上場し、その後、牛を描いたロゴマークを導入した。メリル幹部は世界で最も認知度の高いロゴの一つだとしてきた。
(ブルームバーグ 2013/08/17 17:37 JST)
ttp://www.bloomberg.co.jp/news/123-MRMRYR6KLVS801.html

 


 


【コメント】
「さよならメリルリンチ」という本がありますが、この原題は「Riding the Bull」です。
著者にとっては、「メリルリンチで働くことは猛牛の背に乗っているようなものだった」、という意味なのでしょう。
また、英語の bull には、牛という意味の他に「強気の買い手、強気筋、買い方の、強気の」という意味があります。
「a bull market」で「強気の相場」という意味です。
メリルリンチのあの牛のロゴマークはこの意味に由来するものなのでしょう。
利益相反の関係が生じかねませんので、証券会社は株式や債券の発行体(いわゆる上場企業等)からは中立でなければなりません。
ですので、証券会社が上場することにはにはそもそも問題があるとは言えるわけです。
証券会社は手数料収入に徹することが本来の本業という点を踏まえると、そもそも証券会社が資金調達をすることは必要ないわけです。
まあそれでも、上場していたメリルリンチ株式は当時優良銘柄(blue chip)だったのは間違いないのでしょう。


今、バンクオブアメリカはメリルリンチを吸収合併しようとしています。
証券業務を行う際のブランド名としては残すようですが、証券業と銀行業は根底から異なる業務を行っているとすら言えるわけです。
証券業と銀行業が合併して経営上上手く行くかどうかは未知数でしょう。
ただ、証券業は本来は手数料収入による業務のみを行わねばならないのですが、
現在では証券会社自身が株式を保有してその売買で利益を得ている面もあるわけです。
証券会社は本来行ってはならない業務を現在行っている、とすら言えると思います。
バンクオブアメリカがメリルリンチを吸収合併するというのなら、ついでに、
そのような嘘っぱちやこっけいな矛盾とすら言えるような業務を証券業から除去することを強力に押し進めて欲しいと思います。
そして、バンクオブアメリカのブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)にはこの一仕事を終えた後、
次のようなタイトルの本を執筆して欲しいと思います。

「Ridding the Bullshit」 (邦題「でたらめ業務を取り除いた日々」)