2013年7月16日(火)



統合新市場、任天堂など売買大幅増

 東京と大阪の両証券取引所が現物株市場を統合したのを受け、それまで大証での取引が中心だった銘柄の中には、
16日に売買代金が大幅に増える例が相次いだ。
 任天堂は売買代金が165億円と、前週1週間の1日当たり平均の2倍強に増加。株価終値も前週末の大証終値から6%上げた。
村田製作所や日本電産の売買代金も同2〜3倍前後に増えた。
 これらはもともと東阪で重複上場していたが、統合を機に東証に売買が一本化された銘柄。東証への移行で商いが膨らむのは、
株価指数に連動した投資商品に組み入れられやすくなるとみる投資家が増えるためだ。
 取引量が増えると、少ない売買で株価が一方向に振れるといったことも起きにくくなる。
三井住友アセットマネジメントの木村忠央氏は「価格形成が円滑になれば運用ファンドごとに適切なタイミングで売買できる」と指摘。
三菱UFJ投信の筋野裕二氏も「投資家層が厚みを増す」とみる。
 近鉄百貨店や王将フードサービスなど、それまで大証だけで上場し、今回東証に移った銘柄に注目する投資家も多い。
上場企業側も「東日本を攻めるチャンスだ」(王将フードの大東隆行社長)と業容拡大に期待する。
統合で新たに東証に上場した企業には、上場する際に通常必要となる費用は発生しない。
重複上場だった企業にも、費用を減らせる利点がある。
(日本経済新聞 2013/7/17 0:03)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXNASDC1600K_W3A710C1EA2000/


 

 



【コメント】
東京と大阪の両証券取引所に重複上場していた銘柄は、このたびの統合を機に東証に売買が一本化されたわけですが、
率直に言えば、それらの銘柄は今までは東京証券取引所での取引がほとんど全てだったわけです。
重複上場していた銘柄で、大阪証券取引所でも行われた取引というのはほとんどないわけです。
銘柄や日によりわずかな違いはあるでしょうが、平均的に見れば、率直に言えば、
重複上場していた銘柄の全取引量のうち、東京証券取引所での取引量が99.9%以上、大阪証券取引所での取引量は0.1%未満です。
東京証券取引所に上場している銘柄を、大阪証券取引所で取引する理由は全くないわけです。
したがって、東証への移行で商いが膨らむなどということは決して起こらないわけです。


ただ、近鉄百貨店や王将フードサービスなど、それまで大証だけで上場し、今回東証に移った銘柄の中には、
東証への移行で商いが膨らむことは心理的にはあり得ることかもしれません。
基本的には現代ではネット証券などもありますので、株式の売買において証券取引所間に違いは全くありません。
大阪証券取引所では株式の購入が面倒であったが東京証券取引所ではは株式の購入が容易になった、などということはないわけです。
ただ、証券取引所が統合されたことを受けて、同じ東京証券取引所内において株式の売買が容易になった、ということは言えるわけです。
上場している銘柄数が一気に増えましたから、投資家の側からすると、
「今ままで保有していた大阪証券取引所のみに上場していた銘柄を東京証券取引所で売ろう」
というような心理が働くことはありえるかもしれません。
今までも、「大阪証券取引所のみに上場している銘柄を大阪証券取引所で売却し、新しく東京証券取引所のみに上場している銘柄を買う」
ということはそれほど面倒だったわけではないと思いますが、株式や株価や売買の本質からは少し離れた理由になりますが、
何となく同じ取引所内だからいろんな株式を売買してみようというような心理的な要因で今後商いが膨らむことはあり得るかもしれません。


 


とは言え、株式が上場している取引所というのは企業経営そのものとは何ら本質的な関係にはないわけです。
例えば、これまで大阪証券取引所のみに上場しており、
今までは主に大阪を中心とした西日本でのみ事業を展開してきた上場企業のことを考えますと、
東京証券取引所で株式を上場することは、東日本への業容拡大の契機とはならないわけです。
株式を上場している場所と事業展開をしている地域とは何ら関係がないわけです。
東日本の消費者に、東京証券取引所への株式上場が何か影響があるでしょうか。
東日本における既存競合他社や料理のおいしさの方がはるかに消費者に影響があるでしょう。
東京証券取引所へ株式を上場したからといって、東日本の消費者がその企業の料理を食べたいと思うようになるわけではありません。
逆に言えば、どの証券取引所へ株式を上場しない場合でも(すなわち非上場企業のままでも)、
料理さえおいしければ消費者は必ずついてくるわけです。
消費者は料理のみでその企業を判断します。
上場しているか否かや上場している証券取引所でその企業を判断するわけではありません。

 


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