2013年6月30日(日)
2013年6月29日(土)日本経済新聞
LIXIL、北米進出 衛生陶器、米最大手を買収
(記事)
2013年6月29日(土)日本経済新聞
LIXIL
北米に進出 技術力生かし海外開拓
藤森社長「まだ大きな買収したい」
(記事)
2013年6月29日(土)日本経済新聞
■ボクシングプロ転向問題 引き抜き防止ルール導入
(記事)
2013年6月29日(土)日本経済新聞
■三菱自動車 優先株1万株を消却
(記事)
2013年6月29日(土)日本経済新聞 公告
第28期決算公告
東京海上アセットマネジメント投信株式会社
第23期決算公告
JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社
第22期決算公告
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
第10期決算公告
レオス・キャピタルワークス株式会社
債務引受に係るお知らせ
東日本高速道路株式会社第17回社債の債権者各位
独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構
東日本高速道路株式会社
(記事)
2013年6月29日(土)日本経済新聞 公告
債務引受に係るお知らせ
西日本高速道路株式会社第15回及び第16回社債の債権者各位
独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構
西日本高速道路株式会社
債務引受に係るお知らせ
政府保証阪神高速道路株式会社債券第2回及び阪神高速道路株式会社第7回社債の債権者各位
独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構
阪神高速道路株式会社
(記事)
【コメント】
同じ高速道路株式会社が発行する債券でも、
明示的に政府保証が付いているものは「債券」と呼び、政府保証が付いていないものは「社債」と呼んでいるようです。
政府保証が付いている債券のことを、社債と呼ぶのはそぐわない、ということなのでしょうか。
まあ、政府保証が付いていない高速道路株式会社発行の社債にも独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構による
重畳的債務引受条項が付いていますから、結局のところ、明示的に政府保証が付いていることと同じでしょうが。
もっと言うと、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構という組織は実質的に存在せず、
実態は国土交通省そのものというべきでしょうか。
それから、政府保証云々とは完全に別の話だと思ってもらいたいのですが、純粋に債務の引受や保証についての部分の話になりますが、
各高速道路株式会社が発行する社債はこの独立行政法人が引き受けるとのことですが、
各高速道路株式会社が発行する社債の弁済は同じ独立行政法人が連帯して弁済の責めを負う、と書かれています。
社債を引き受けた債権者が連帯して弁済の責めを負う、などというバカな話はないわけです。
通常債権者は、債務の弁済の保証のために、債務者の他に連帯して弁済の責めを負う保証人を付けて欲しい、と債務者に対して依頼するわけです。
どのように考えても、債権者自身が連帯して弁済の責めを負う保証人になるなどという話はないわけで、これは完全に意味不明なわけです。
「債務引受に係るお知らせ」の「社債の債権者各位」が一般の企業や投資家などであれば、
この独立行政法人がこれらの社債に対して連帯して弁済の責めを負うというのは意味が分かりますが、
ここでの「社債の債権者各位」とはまさにこの独立行政法人自身です。
意味不明もいいところであり、各高速道路株式会社は本当は社債や債券など発行していないのではないかと疑っているところです。
まあ、政府保証云々含め、公共事業ならではの矛盾、と言ったところなのでしょうが。
2013年6月29日(土)日本経済新聞
新規公開株の横顔
フォトクリエイト (6075)
イベント写真、ネット販売
(記事)
【コメント】
>スポーツ大会やお祭りなど、様々なイベントの写真を撮影し、インターネットを通じて販売する。
と書かれていますが、これで事業が成り立つわけがないと思いますが。
2013年6月29日(土)日本経済新聞
CCC傘下のIMJ ネットで不動産競売
ネット関連事業 CCCが再編
(記事)
【コメント】
もしも、不動産価格と言うのは、売り手と買い手との間で決まるものではなく、全て国が決めているものだとしたら。
・・・。
見てきたものや聞いたこと 今まで覚えた全部 デタラメだったら面白い そんな気持ち分かるでしょ
小学校や中学校や高校の歴史の教科書だけの話かなあと思っていたら、
実は自分が現に生きていたころの出来事ですらそうだった、というわけなのでしょうか・・・。
俺ほど物が分かっている人間はこの世にいないようだな、などと最近調子乗っていましたら、
正直こりゃあ一本取られたな、と思っております。
これからも天狗になることなく、謙虚に経営管理学と会計の研究にいそしみたいと思います。
2013年6月29日(土)日本経済新聞
■ヤマハリビングテック MBO実施、社名も変更
(記事)
【コメント】
MBOのことはよく、”経営陣が参加する株式非公開化”などと表現されることがありますが、
実際には上場企業のみがMBOを行うのではなく、このたびのヤマハリビングテックのように、
大企業の非上場の子会社の経営陣が、親会社から独立する形で子会社株式を自分達で取得する形のMBOもあるわけです。
ヤマハリビングテックは2010年までヤマハの完全子会社だったようです。
また、社内ベンチャーだったり会社の一事業部に過ぎなかった事業体のトップ(事業部長や社内ベンチャー社長など)が
自分でお金を出して出資する形で母体企業から分離・独立することもMBOと呼んでいいと思います。
そもそもの話をすると、むしろ元々はそういった分社化や親会社からの独立のことをMBOと呼んでいたのではないか、と思います。
当時そう呼んでいたかどうかは分かりませんが、例えば有名な企業で言うと、
事業のトップが出資して富士通から分離・独立したファナック株式会社がMBOに相当するのではないかと思います。
現経営陣も参加する形でファンドが出資して株式の非公開化を行い、その後再上場して大きな利益を得た事例が大々的に報道されたため、
その印象が強く残り、あたかも株式の非公開化がMBOであるかのように思われがちですが、
このたびのヤマハリビングテックのように、事業のトップ(子会社社長)が引き続き経営に当たりながら出資をして
母体企業から分離・独立することもMBOと呼ぶのだと思います。
>パナソニックが27日に公表した有価証券報告書には、この退職慰労金を含めた役員報酬の記載がない。
>同社は06年度に退職慰労金制度を廃止し、すでに権利を得ていた額だけを退任時に支払うことにした。
>この費用は同年度に会計処理したため、「昨年度の支出ではなく、今回の開示の対象外」(広報)という。
> ただ、専門家には開示すべきだとの意見もある。法政大学の胥鵬(しょほう)教授(企業統治論)は
>「役員報酬は投資家の重要な判断材料。高額なものは支払う段階で開示する仕組みに改めるべきだ」と指摘する。
金融庁
平成22年3月31日
「企業内容等の開示に関する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等について
ttp://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100331-8.html
(別紙2) 企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令
ttp://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100331-8/02.pdf
>d
提出会社の役員(取締役、監査役及び執行役をいい、最近事業年度の末日までに退任した者を含む。以下このdにおいて同じ。)の
>報酬等(報酬、賞与その他その職務執行の対価としてその会社から受ける財産上の利益であって、最近事業年度に係るもの及び
>最近事業年度において受け、又は受ける見込みの額が明らかとなったものをいう。以下このdにおいて同じ。)について、
>各役員(報酬等の額(当該役員が主要な連結子会社の役員である場合には、当該連結子会社から受ける役員の報酬等の額を含む。)が
>1億円以上である者に限ることができる。)ごとに役員の報酬等の種類別(金銭報酬、ストックオプション、賞与、退職慰労金等の
>区分をいう。以下このdにおいて同じ。)の額を記載すること。
>また、取締役、監査役又は執行役ごと(社外役員がいる場合は、社外役員以外と社外役員に区分すること。)の報酬等の種類別の総額及び
>対象となる役員の員数を記載すること。使用人兼務役員の使用人給与のうち重要なものがあれば、その総額、対象となる役員の員数及び
>その内容を記載すること。提出会社の役員の報酬等の額又はその算定方法に係る決定に関する方針の有無及び当該方針を定めているときは
>当該方針の内容及び決定方法を記載すること。
【コメント】
内閣府令は長ったらしいたらありゃしないので、要点のみ三行でまとめますと、
「有価証券報告書には、役員の報酬等について各役員ごとに役員の報酬等の種類別の額を記載しなければならない。
報酬等とは、金銭報酬、ストックオプション、賞与、退職慰労金等、その職務執行の対価として会社から受ける財産上の利益のことだ。
いつの報酬等を記載するのかと言えば、『当事業年度に係るもの及び当事業年度において受け、又は受ける見込額が明らかとなったもの』だ。」
となります。
パナソニックは、前事業年度において支払った前名誉会長の役員報酬を有価証券報告書に記載しなかったそうです。
この点について、パナソニックは、
>この費用は同年度に会計処理したため、「昨年度の支出ではなく、今回の開示の対象外」
と言っているそうです。
パナソニックは2006年度に退職慰労金制度を廃止しており、その時点で権利を得ていた額だけを退任時に支払うことにした、とのことです。
2006年に退職慰労金制度を廃止した時点で、該当する役員が退任する時に会社が支払う報酬額を確定させ、
2006年度の決算の時に既に費用計上していた、だから昨年度の有価証券報告書には当該役員報酬は開示しなかった、ということのようです。
2006年度に費用計上したことは問題ないと思いますが、パナソニックが役員報酬を開示しなかった点についてはどう考えればいいでしょうか。
まず単純に、役員報酬の開示を義務付けている内閣府令の文言そのままに従うならば、
内閣府令には何と書いてあるかと言えば、開示しなければならない役員の報酬とは、
>最近事業年度に係るもの及び最近事業年度において受け、又は受ける見込みの額が明らかとなったもの
と書いてあるわけです。
このたびのパナソニックの例に当てはめて言えば、「2012年度において役員が受け取った報酬」を開示しなければならないわけです。
パナソニック前名誉会長は2012年度において退職慰労金を受け取っています。
ですから、パナソニックは前名誉会長へ支払った退職慰労金を有価証券報告書に記載しなければならなかったわけです。
「パナソニックはこの役員報酬を開示しなければならなかったのか否か」という問いに関してだけ言えば、
「開示しなければならなかった」の一言で答えは実は終わりです。
「最近事業年度において役員が受けた額を開示しなければならない」、と内閣府令に書いてあるからです。
法令とはそういうものです。
2010年4月12日
プライスウォーターハウスクーパース株式会社
役員報酬制度と個別報酬額の開示
〜内閣府令のポイントと対応策〜
ttp://www.pwc.com/jp/ja/advisory/research-insights-report/assets/pdf/pc_1004_01.pdf
このレポートは、今回の内閣府令について金融庁に寄せられたパブリックコメントを非常に上手く要約してあるのですが、
財務のアドバイザーとして、今回の内閣府令について簡単な解説もなされています。
レポートの元となった金融庁に寄せられた元々のパブリックコメントはこちらです↓。
1.パブリックコメントの結果
「コメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方」
ttp://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100331-8/00.pdf
こちらのファイルの、22頁(22/59ページ)の項番68から27頁(27/59ページ)の項番122までが、
このたび話題となっている役員報酬の開示に関するコメント「開示府令 役員報酬[第二号様式記載上の注意(57)d]」となっています。
プライスウォーターハウスクーパースのレポートは「コメントの概要」を上手く要約してあるのですが、
中でもこのたびの役員報酬の開示の賛否に関しては、「役員報酬の本質」についてずばり本質を突いた表現をしています。
それがこちらです↓。
「そもそも役員報酬とは何か」
(1/4ページ)
>株主は取締役に会社経営を委任しており、「委任に関する費用を知る」ということは株主の権利として当然である。
>報酬総額で十分ではないか、という考え方もあるが、株主が取締役の指名・解任を行うということからも、
>委任内容と報酬が見合っているか個人別に判断するため、個別報酬額が明示される必要性は高い。
まさにずばり一言、「役員報酬とは『委任に関する費用』である」と書かれています。
「委任に関する費用」という文言はパブリックコメント中にはないため、
プライスウォーターハウスクーパースが考えたのだと思いますが、この表現はまさに役員報酬の本質を突いていると思います。
パブリックコメント中には、項番69(22/59ページ)に、
>株式会社という法人と役員個人との委任契約における契約額である個人ごとの役員報酬等が委任側である株主側で分からないことはおかしい。
>報酬はいくらであろうと、その額が決定された理由、役員の貢献度等とともに開示されるべきである。
とありまして、このコメント中の「委任契約における契約額である個人ごとの役員報酬」云々の文言がこれに近いかと思いますが、
やはり有価証券報告書の性質を踏まえるならば、「委任に関する費用」という表現がずばり本質を突いています。
また、「金融庁の考え方」として、項番97(32/59ページ)に、役員報酬とは、
>会社から委任を受けた役員としての職務執行の対価
であると書かれています。
要するにそういうことなのですが、やはり有価証券報告書の性質を踏まえるならば、「委任に関する費用」という表現が本質を突いています。
ここで思い返して欲しいのが、「役員報酬とは何か」ということなのです。
役員報酬は法律面や労働面では、会社との委任契約料と表現してもよいでしょうし役員としての職務執行の対価と表現してもよいでしょう。
しかし、会計との接点において、役員報酬とは「委任に関する費用」であると表現するのが一番本質を突いているわけです。
(私個人としましては、「役員報酬等は、配当と全く同じ様に、種別を問わず全て株主総会決議を取るべき「利益処分」の一つだ、
そうでないと「委任」した結果を正しく反映したことにならないじゃないか(明治期から役員報酬とはそもそも業績連動だったはずです)」、
と思うわけですが、時代の流れ(ストックオプションの登場など)ということで、ここでは役員報酬は損益計算書上の費用項目だと考えます。)
この点についてもう少し書きますと、株主にとって有価証券報告書の中で一番大切なものが財務諸表であるわけですが、
有価証券報告書と財務諸表の整合性を考えた場合、
当事業年度の有価証券報告書に開示される費用に関する項目というのは、当然当事業年度の財務諸表中の費用と同じでないといけないわけです。
当事業年度の財務諸表中の費用をもう少し個別具体的に開示したものが、例えばこのたびの役員報酬の開示であるわけです。
なぜ当事業年度の費用の金額が大切かと言えば、当期純利益の金額が大切だからであり、株主資本の金額が大切だからです。
当事業年度の費用の金額が異なれば、当然当期純利益の金額も異なるものになりますし、株主資本の金額も異なるものになります。
当事業年度の費用の金額は直接的に当事業年度末における株式の価値に影響を与えます。
だから当事業年度の費用の金額が大切なのです。
ここで、パナソニックは役員報酬に関してどのような会計処理を行ったかと言いますと、
退職慰労金制度を廃止に合わせ2006年度の決算の時に既に費用計上しているわけです。
つまり、このたびの退職慰労金の支払いは2012年度の当期純利益の金額や株主資本の金額に何ら影響を与えていないのです。
だからパナソニックは「昨年度の有価証券報告書には当該役員報酬は開示しなかった」、と言っているわけです。
考えてみれば、パナソニックの言っていることの方が正しい気がします。
内閣府令に戻って、このたびのパナソニックの役員報酬開示に関連しているパブリックコメントを少しだけ紹介します。
項番86(29/59ページ)に、パナソニックの関係者が質問したのではないかと思われるほど状況が酷似したコメントが載っています。
「廃止された役員退職慰労金制度に係る役員退職慰労金の支払いが、実際に役員を退任するときまで留保されているケース」とあります。
この質問に対する金融庁の答えも、「有価証券報告書に開示するべき」となっています。
ただ、内閣府令に沿った金融庁の見解も分からないではないのですが、ここには会計理論とは異なるある一つの法律上の問題があるように思います。
項番86「廃止された役員退職慰労金制度に係る役員退職慰労金の支払いが、実際に役員を退任するときまで留保されているケース」
(29/59ページ)
パナソニックは2006年度以降、退職慰労金繰入額を計上していませんし、
当然2006年度の退職慰労金繰入額を、2010年3月期から開始された役員報酬開示制度でも有価証券報告書で開示していません。
ですから、内閣府令に従えば、パナソニックはこのたびの役員報酬は開示すべきだった、となるでしょう。
ただ、役員報酬開示制度は2010年3月期から開始されたわけですから、2006年度に役員報酬を開示しているはずがないのです。
2006年度の時点では役員報酬は開示なくてよかったわけです。
これを今になって開示せよというのは少し筋が違う、という気もします。
その理由は情報開示を渋っているということではなく、法の遡及適用のようなイメージになるのではないかと思うからです。
例えて言うなら、次のような感じでしょうか。
ある道路の制限速度は今日6月30日までは時速50キロ、明日7月1日からは時速40キロになるとします。
その道路を今日6月30日に時速50キロで走りました。今日の制限速度は時速50キロですからこれで何の問題もないわけです。
ところが明日7月1日に、交通の係りの人がやってきて、
「お前は昨日、この道路を時速50キロで走った。この道路の制限速度は時速40キロだ。だからお前は時速10キロの制限速度違反だ。」
と言って罰金を取られてしまうようなものです。
この例え話を聞くと誰もがそれはおかしいと気付くはずです。
明日7月1日からは時速40キロで走れば何ら問題はないはずです。
今日6月30日までは制限速度は時速50キロだったから今日6月30日には時速50キロで走った。それだけのことでしょう。
そのことを明日7月1日に制限速度違反だと言われても対応の取り様がないでしょう。
この例え話から分かるように、パナソニックが2006年度の時点では役員報酬は開示なかったのは当然であり、
そのことを今になって不備があったかのように言われるのはおかしいわけです。
これは有価証券報告書と財務諸表の整合性といった会計理論に関する話ではなく(会計理論とは関係がない話です)、
純粋に法律(法の効力と時間的適用範囲)に関する話になります。
パナソニックと関連しそうな質問としては、他には、項番81(28/59ページ)に、
>提出会社には役員の退職慰労金制度はないが、その役員であった者が最近事業年度中に退任して、役員就任以前の使用人であった計算により
>算出された未払退職金を役員退任時に受け取る場合には、役員としての退職金によるものではないので、開示の対象とはならないとの理解でよいか。
とありますが、役員の退職慰労金制度についての質問ではありますが、これはこのたびのパナソニックの事例とは関係がない質問になると思います。
なお、”役員就任以前の使用人”ということではなく「使用人兼務役員」という文言が「金融庁の考え方」に書かれていますが、
「使用人兼務役員」という立場の人間は実務上はいないと思います。
使用人とは会社と雇用契約を結んでいる人であり、いわゆる役員とは会社と委任契約を結んでいる人です。
法律上、会社と雇用契約と委任契約の両方を結ぶことはできないわけではないのでしょうが、実務上はそのようなことはしないと思います。
よく、「取締役兼営業本部長」といった肩書きの人がいますが、これは取締役として営業本部長の職務・職位に就いているだけのことであり、
その人は使用人ではありません(営業本部長に就くために委任契約とは別に雇用契約を会社と結ぶわけではない)。
最後に、「役員報酬とは『委任に関する費用』である」、「有価証券報告書と財務諸表の整合性がそもそも一番大切だ」、
「今になって過去の役員報酬を開示するのは一種の法の遡及適用だ」と書いてきたことと関連があるパブリックコメントを紹介します。
これは、「会計上の問題と法律上の問題の違い」と言えばいいでしょうか。
項番90
「『最近事業年度に係る』報酬等の額と『最近事業年度において受け、又は受ける見込みの額が明らかとなった』報酬等の額とは異なるのか」
(28/59ページ)
私が「開示府令第二号様式記載上の注意」などを解釈し間違えているということかもしれませんが、
「事業年度に係る」報酬の額と「事業年度において受けた」報酬の額とは異なりますので、これらは区分して開示する必要があると思います。
まあ私が逐条解説を行うのもおかしな話ですので、正確なところは金融庁に確認して欲しいのですが(区分する必要はないと書いてありますが)。
私がこの二つを「区分して開示する必要がある」と考えた理由を簡単に書きますと、
事業年度に係る=会計上=費用の側面、
事業年度に受けた=法律上=実際の支払い、
というような区別があるので区別すべきだと思いました。
役員がその職務を執行した期間=会計上の費用が発生する期間、という点に異論はないと思いますが、
これが「事業年度に係る」役員報酬の額(会計上の費用の発生の側面)、となります。
役員が実際に報酬を受け取った期間=会社が実際に報酬を支払った期間、という点に異論はないと思いますが、
これが「事業年度に受けた」役員報酬の額(法律上の実際の授受の側面)、となります。
金融庁の見解をある意味否定していることになりますが、仮に私の解釈が正しいと仮定しましょう。
すると、この二つを「区分して開示する」ことにしますと、
パナソニックが2006年度に費用計上し2012年度に支払った役員報酬について2013年3月期の有価証券報告書に開示する義務を負うことは、
法の遡及適用の色合いが薄れることになると思います。
なぜなら、法律的には現に2012年度中に役員報酬を支払っているからです。
会計理論の観点(有価証券報告書と財務諸表の整合性の観点)から言うと、
パナソニックが2006年度に費用計上し2012年度に支払った役員報酬について2013年3月期の有価証券報告書に開示する義務を負うことは、
「法の遡及適用」や「費用の開示と有価証券報告書の開示のズレ」の一面があったのですが、
有価証券報告書と財務諸表の整合性を重視するのではなく、とにかく当事業年度に役員報酬を会社が支払ったら(役員が受け取ったら)開示しろ、
というような法定開示義務であれば、これは法の遡及適用でも何でもなく、
ただ単に施行の後に生じた事実に内閣府令を適用しているだけだ、という解釈になると思います。
注)昔人生参謀今経営参謀は全分野に高い専門性を有していますが、法律上・会計上・税務上のアドバイザリーを行う立場にはありません。
本サイトは情報分析力の提供を目的としたものであり、実際の制度検討、適用にあたっては、法律上・会計上・税務上の留意点について
弁護士・公認会計士・税理士等の各専門家に確認されることを推奨いたします。